活気と自主性を育む/大田区立梅田小学校 甲斐裕子先生
1954(昭和29)年の開校より65周年を迎える「大田区立梅田小学校」。現在865名・26学級を擁する大規模校で、大田区の歴史と文化が息づく閑静な住宅地に囲まれている。体育の研究校として長年にわたって取り組んできたことで“活気のある学校”というイメージも強く、全教員が一緒になって身体を動かして遊ぶ光景は「梅田小学校」ならではの特色だ。今回は、2019(平成31)年4月に校長として着任した甲斐裕子先生を訪ね、同校の特色や地域の魅力などについてお話を伺った。
開校より65周年を迎える「大田区立梅田小学校」
――まず「梅田小学校」のこれまでの歩みや、現在の学校概要を教えてください。
甲斐先生:「大田区立梅田小学校」は1954(昭和29)年の開校より、今年度で65周年を迎える歴史ある学校です。開校時は、以前私が勤務していた「大田区立池上第二小学校」からも100名以上の児童が移ってきたという記録があり、周辺地域の児童数の増加に伴って設立された学校です。児童数は2019(平成31)年4月1日現在、865名26学級という大規模校ですが、学校の雰囲気は大変落ち着いていて、子どもたちも人懐っこくてとても素直な印象です。着任時から「校長先生!」と以前からずっと居たかのように親しく挨拶もしてくれて、新しい学校に着任する時に感じる不安や心配事などはすーっと無くなりました。
教員も一緒になって身体を動かして遊ぶ、活気のある学校
――梅田小学校の特色について、着任した直後に感じた学校の印象についてお聞かせください。
甲斐先生:前任の齊藤校長先生が体育に関する取り組みを長年頑張っておられて、区や都でも体育の研究校として発表していたので、「梅田小学校」といえば“活気のある学校”というイメージがまずありました。着任して何よりも印象的だったのが子どもたちの休み時間の過ごし方で、基礎的な体力がついているからか屋外で思いっきり身体を動かして遊んでいました。遊び方にスピード感があったり、どんどん工夫をしたりして、今までの学校の児童とぜんぜん違いました。
若い教員も多く子どもたちと一緒になって遊んでいるのを見て、本校ならではの特色だと感じました。これはすごいことです。体育の研究とは言っても早く走れるようにするとか、ボールをより遠くに投げられるようにするといった技能を高めることだけではなく、チームワークや集団行動といった学級経営にそのまま生かせる取組として行われてきたもので、みんなで一緒に遊んでいる姿を見ると6年間の研究を通じて培われてきたものがあるなと感じます。
「う」うわあー、大発見!、「め」めざせ!〇〇マスター、「だ」だれとでも 伝え合おう!
――貴校が掲げる教育目標についてもお聞かせください。
甲斐先生:今年度も引き続き体育の校内研究に取り組む予定なのですが、先述の通り活気ある校風と明るく元気な子どもたちを理想的なイメージとして、『「う」運動に楽しく取り組む子、「め」めあてをもって学習する子、「だ」誰とでも仲良くできる子』を目指していきます。
また、本校HPの「学校概要」にある「平成31年度 学校経営計画」からもご覧いただけますが、学校の教育活動全体にわたる新しいスローガンとしては、『「う」うわあー、大発見!、「め」めざせ!〇〇マスター、「だ」だれとでも伝え合おう!』の3つを合言葉として入学式・始業式の日に子どもたちにも伝えました。そのうえで来年度からはじまる新しい学習指導要領の『主体的・対話的で深い学び』の実現に向けた授業を推進していきます。
新しい学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」を実現のするために
――新しいスローガンの詳しい内容をお聞かせいただけますか?
甲斐先生:「梅田小学校」の今の課題は何かについて議論をしたとき、「自分で課題を見つけて、調べて、人に発表する」ということが課題として出され、まさに新しい学習指導要領で言われているような「主体的・対話的で深い学び」に力を入れて取り組んでいくことになりました。
『「う」うわあー、大発見!』というのは、日頃から「何でこれってこうなんだろう?」と常に疑問を持って、自分なりの課題を見つけられるようになって欲しいということです。これからの時代は教科書を丸暗記して100点をとれば良いという時代ではなくて、自分はそこから何を学びたいのか、どう学びたいのか、自ら課題を見つけることのできる力の育成を目指します。
次の『「め」めざせ!〇〇マスター』というのは、知識や技能の習得を指しています。なぜそうなるのか予想を立てて調べてみたり、あるいは技術を習熟しようと努力してみたり。学習に限らず運動、芸術、遊び、どんなことでも良いのですがマスターを目指して努力する子を後押しします。
そして3つ目の『「だ」だれとでも伝え合おう!』は、自分で得た知識や技能は、伝え合わなければダメだということです。自分がAだと思ったことを伝えた時、友達がBじゃないかと言うことがあるかもしれない。習得・習熟したことを誰かに伝えようとするのと同時に、友達の発表を聞き、相手を認め、さらに自分の取組を深めようとするところから深い学びがあるということです。
昼休みを活用した「うめだハッピータイム」で自主性や学年間の交流を高める
――「うめだハッピータイム」とは?特色ある取組みについてお教えください
甲斐先生:「うめだハッピータイム」とは昼休み時間に行われる体育的活動のひとつで、教員が中心になって普段できない遊びや、現代の子どもたちが失いがちな伝統遊びを伝えています。なわとびやリズムダンスといった遊びから、ろくむし、線切り鬼といった遊びまで、一年を通じて8つの遊びを順繰りに教えていきます。遊びを通じていろいろな動きや運動をバランス良くできるのが大事だと思っていて、サッカーとか野球とか水泳のように特定のスポーツ種目に限ったことではなく、日頃から身体を動かすことの楽しさを知ってもらう良い機会だと思います。
昨年度からはさらに次のステージへと研究が進んでいて、この「ハッピータイム」を教員主導ではなく、遊びを覚えた6年生がプレイリーダーとして子どもたちをまとめられるようにしていこうと取り組みはじめたところです。低学年の子どもたちも、教員に教えてもらうよりは、6年生のお兄さんお姉さんに教えてもらった方が楽しいだろうと考えました。教員が中心にやるとどうしても授業のようになってしまうので、あくまでも、「遊び」として、楽しく活動することがねらいです。
6年生は低学年の頃からずっと体育の研究に取り組んで積み重ねてきたものもありますし、何より1年生のお世話をしっかりやってくれるので、任せていて安心です。
6年生は、4月当初は、登校する1年生を笑顔で挨拶をして迎え、朝の支度などを一緒にしてくれました。休み時間など、困ったときに助けてくれるのも6年生です。1年生にとって、6年生は、担任の次に頼れる存在なのです。
地域に温かく見守られている「梅田小学校」
――地域とのつながりはいかがでしょうか。
甲斐先生:町会長様や自治会長様をはじめ、歴代のPTA会長様や地域の皆様も温かく見守り、応援してくださっています。大田区では夏休みに「夏のわくわくスクール」という取組があるのですが、学校支援地域本部の「スクールサポートうめだ」の方々もいろいろなお世話をしてくれて、手伝ってくれています。また「梅田小学校」は同窓会の活動が盛んです。卒業生を呼んで総会を開いたり、ゲームをやったり、カレーライスを作ってパーティーをやったりと、いろいろなつながりの中で学校運営を支えていただいています。
保護者とのつながりでは、PTA活動や「梅田小ダディ‘s」と名付けられたおやじの会も熱心に活動してくださっていて、運動会の準備やお手伝いはもちろん、独自で開催する「花火大会」や「学校に泊まろう」などのイベントも力を入れてやってくださっています。
歴史と文化、自然も融合した住みやすい街
――最後に、学校のある西馬込エリアの特徴や魅力についてお聞かせください
甲斐先生:「梅田小学校」は学区域が広く、交通アクセスにすぐれた「西馬込」駅周辺のマンションもあれば、「池上本門寺」の方には古くからこの地域にお住いの大きなお屋敷もあります。都営浅草線「西馬込」駅は、始発駅でなおかつ京急線とも繋がっているため、航空関係のお仕事をされている方や海外出張の多い企業のビジネスマンの方も多く、転出入が多いのも地域の特徴です。最近ではシンガポールやドバイなどから転校してくる子どもたちもいます。全体的に教育熱心なご家庭が多い地域といった印象です。
生活環境としては、校庭の北側に区民農園があったり、春になると「馬込桜並木」も綺麗ですし、「郷土博物館」や「川端龍子記念館」、「池上本門寺」の周りには豊かな緑もあって、自然と融合した住みやすい街なのかなと思います。
大田区立梅田小学校
校長 甲斐裕子先生
所在地:東京都大田区南馬込6-6-1
電話番号:03-3773-3975
URL: https://www.ota-school.ed.jp/umeda-es/
※この情報は2019(令和元)年7月時点のものです。
活気と自主性を育む/大田区立梅田小学校 甲斐裕子先生
所在地:東京都大田区南馬込6-6-1
電話番号:03-3773-3975
http://homepage3.nifty.com/umeda/