東京女子医科大学病院 院長 田邉一成先生 インタビュー

トップクラスの医療技術で患者に寄り添う「東京女子医科大学病院」/東京女子医科大学病院 院長 田邉一成先生


昼夜に関わらず多くの人が往来する街「新宿」という印象があるが、同区内のやや東寄りに位置する若松河田地区は、23区内一の高台にある閑静な住宅地で、「月桂寺」や「都立戸山公園」があり自然が豊かな環境下にあるのが特徴だ。また、「東京女子医科大学」および付属研究機関が町域の大部分を占めており医療の街としても知られている。「若松河田」駅から徒歩5分と、アクセスにも優れた立地にある「東京女子医科大学病院」は、「至誠と愛」の精神を基本理念に高い医療技術を提供している。今回は、同病院の院長である田邉一成先生に、病院の特色、先進的な取り組みや地域における役割などついて詳しくお話をうかがった

100年以上続く世界トップクラスの病院

「東京女子医科大学病院」外観
「東京女子医科大学病院」外観

――「東京女子医科大学病院」の歴史・概要について教えてください。

田邉さん:「東京女子医科大学」の創立者である吉岡彌生先生は、「済生学舎」を卒業し、明治中期の女性医師の一人として開業されました。多くの医科大学が女性の入学を認めないことから、女性医師の育成を決意し、1900(明治33)年に「東京女医学校」を創始しました。そして「東京女子医学専門学校」を経て、現在の「東京女子医科大学」に至ります。

創立者・吉岡彌生の像
創立者・吉岡彌生の像

今から100年以上前は女性が入学できる医科大学が非常に少なかったことから、精神的・経済的に自立し社会に貢献する女性を輩出するため、吉岡先生が設立したのが「東京女子医科大学」及び「東京女子医科大学病院」の始まりです。

――「東京女子医科大学病院」の特色、先進的な取り組みについて教えてください。

田邉さん:「東京女子医科大学病院」は、世界トップクラスの医療レベルを誇る病院です。特にがん治療においては診療する患者数および診療レベルは日本でもトップクラスにランクされています。通常の重い合併症を有する症例は、がんセンター等では診療が難しいことがありますが、そういったケースでも当病院では安全に診療を受けることが可能です。 また、脳外科や泌尿器科は日本でも有数の症例数をほこり、成績もトップクラスです。私がいる泌尿器科は、先進的なロボット手術、腎臓移植の手術の実績が日本で最も多く、その成績もトップクラスのものとなっています。

今回お話を伺った、院長・田邉一成先生
今回お話を伺った、院長・田邉一成先生

さらに当病院では肝臓、膵臓、心臓、腎臓の多臓器移植を行っています。一方、当病院は住宅地にあることから地域と共に育まれてきた歴史が長く、地域の開業医の先生方との連携や救急の患者さんの受け入れなどにも積極的です。女性の医師が多く女性が来やすい病院という点も特徴ですね。現在は、建物の耐震補強や新しい病院の建築も予定されており、より一層の病院機能の充実を目指しています。

――地域の基幹病院として取り組んでいることはありますか。

田邉さん:地域の開業医の先生方や救急隊の方々ときめ細かい連携連絡ができる診療科ホットラインのようなものを作っていくことを検討しています。これは地域の開業医の先生方が患者さんを紹介する時、大学病院側にタイムリーに相談ができたり救急患者さんの受け入れを要請することができたりとスムーズな連携が可能となります。

患者さんの受け入れ環境の充実

「東京女子医科大学病院」外観
「東京女子医科大学病院」外観

――災害など緊急時への対策について教えてください。

田邉さん:災害時に、より多くの患者さんを受け入れられるように病院を整備することは重要なことです。病院が、災害が起きてから行動、準備するのでは遅いのです。受け入れ環境の充実、建物の耐震補強など体制を整えています。

――救急診療の体制について教えてください。

田邉さん:救急診療(Emergency Division:EmD)では、どのような患者さんにも、『とりあえず診る、とりあえず向き合う医師になること』を目標に掲げて診療にあたっています。診療体制は、終日の救急車対応と平日16時以降、土曜12時以降ならびに休日終日時間外に自力で来院される患者さんに対して診療しています。特に開業医の先生方からご紹介を受けた場合、迅速に適切に対応できるように今後もさらに体制を強化していく考えです。

みなさんに愛される地域に根ざした病院をめざして

街の人にも開かれた病院のカフェスペース
街の人にも開かれた病院のカフェスペース

――診療のほかに一般の方も利用できる施設・サービスはありますか。

田邉さん:患者さんが自分の体を勉強していく事はとても重要です。総合外来センター1Fにある「からだ情報館」は、患者さんが病気や体についての様々な情報を得る為の場所です。スタッフが常駐していますので、知りたい病気についての情報がどんな医学書に載っているのか、どのような資料があるのかを、一緒にお探したり相談することができたりします。「からだ情報館」は、病院側が患者さんに対して責任説明を果たすという意味で、利用者や各所からの評価が大変高く、他病院関係者の見学希望も多いですね。

また、病院では一般の方を対象に講演会・シンポジウムの開催を数多くしています。がん患者さんとご家族との交流会「がんサロン交流会」や公開講座「自分の病気を知ろう」など一般の方が気軽に参加して勉強できる講座がたくさんあり、毎回多くの人達で賑わっています。

診療や治療だけでない取り組みも
診療や治療だけでない取り組みも

――今後の病院の目指すもの・展望はありますか。

田邉さん:私は、大学病院は先進的医療を中心に診療することが求められる一方で、地域に対する貢献も必要と考えます。災害時の受け入れ体制についても、さらに充実した病院へ作り変えていきたいと思います。

病院の理念「至誠と愛」の精神にもとづいた先進的医療、患者さんの視点に立つ医療、を心がけていきたいと考えます。

医療環境も整い、安心して暮らせる若松河田

――病院の周辺環境(若松河田エリアの魅力)について教えてください。

田邉さん:若松河田エリアは東京23区の中でも一番の高台にある住宅地です。新宿区と聞くと人が多くて混み入っているイメージですが、ここは昔からある街で、古き良き日本の良さが残る住みやすい都会といった感じではないでしょうか。近隣には寺などが点在していて静かな雰囲気ですし、商店街が多くあり、ちょっとした買い物であればここだけでも不自由がないですね。新宿の繁華街や、渋谷、銀座に車でも電車でもすぐの立地なのでショッピングや通勤通学にも大変便利です。そして私たち「東京女子医科大学病院」や「国立国際医療研究センター」など病院が近隣にあるので安心して暮らすことができる環境にあると思います。

東京女子医大 院長
東京女子医大 院長

東京女子医科大学病院

院長・田邉一成先生
所在地:東京都新宿区河田町8-1
電話番号:03-3353-8111(大代表)
URL:http://www.twmu.ac.jp/info-twmu/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

トップクラスの医療技術で患者に寄り添う「東京女子医科大学病院」/東京女子医科大学病院 院長 田邉一成先生
所在地:東京都新宿区河田町8-1 
電話番号:03-3353-8111
診療時間:9:00~16:00(土曜日 ~12:00)
休診日:第3土曜日、日曜日、祝日、創立記念日(12/5が日曜の場合は12/6)、年末年始(12/30~1/4)
https://www.twmu.ac.jp/info-twmu/