宮司 斉藤成蹊さんインタビュー

神楽坂地域の安全と繁栄を祈願する/筑土八幡神社(東京都)

筑土八幡神社
筑土八幡神社

東京都新宿区にある、観光客が多く訪れる神楽坂より少し離れた場所にある、筑土八幡町に位置する『筑土八幡神社(つくどはちまんじんじゃ)』。小高い山の上にひっそりと佇む歴史ある神社で、地域の安全と繁栄を祈願する産土神(うぶすながみ)として信仰を集めています。町の移り変わりや地域の人と人とのつながりはどう変わったのか、『筑土八幡神社』の宮司を務める斉藤成蹊さんにお話を伺いました。

今からおよそ1,200年前に遡る創建の歴史

地域の安全と繁栄を祈願する「筑土八幡神社」
地域の安全と繁栄を祈願する「筑土八幡神社」

――『筑土八幡神社』の歴史について教えてください。

斉藤さん:神社の由来はパンフレットや境内の看板にも書かれている通りですが、今からおよそ1,200年前の嵯峨(さが)天皇の時代にまで遡ります。八幡神を熱心に信仰する老人の夢にお告げがあり祀ったのが起源であると言われています。
その後、伝教大師がこの土地を訪れ、神様を祀る祠(ほこら)の礎に八幡様の総本宮である筑紫国の宇佐神宮の宮土を求めたことから、『筑土八幡宮(つくどはちまんぐう)』と呼ばれるようになりました。

現在の社殿は、昭和38年(1963年)に再建されたもので、筑土八幡町・津久戸町・東五軒町・新小川町・下宮比町・揚場町・神楽河岸・神楽坂四丁目・神楽坂五丁目・白銀町・袋町・岩戸町の産土神(うぶすながみ)として信仰を集めています。

境内の狛犬
境内の狛犬

縁結びの神、交通守護の神としても信仰される庚申塔

――境内にある庚申塔が大変珍しいものだと伺ったのですが?

斉藤さん:庚申塔(こうしんとう)というのは一般的に、青面金剛(しょうめんこんごう)や3匹の猿を刻んだものが多いのですが、ここにあるのは雌雄2匹の猿に桃の実を配した珍しいもので、縁結びの神、交通守護の神としても古くから信仰されてきました。

雌雄2匹の猿に桃の実を配した、全国的にも珍しい「庚申塔」
雌雄2匹の猿に桃の実を配した、全国的にも珍しい「庚申塔」

斉藤さん:境内には他にも、新宿区内で最も古い石造の鳥居や、「金太郎」「一寸法師」「花咲爺」などを作曲した田村虎蔵の歌碑があります。

神楽坂の「升本酒店」から奉納された積樽
神楽坂の「升本酒店」から奉納された積樽

斉藤さん:また、平成24年(2012年)に御神輿を出すとき、神楽坂の「升本酒店」様から積樽(つみだる)を奉納いただきました。「白鷹」は伊勢神宮の御料酒として選定された唯一の銘酒で、蔵元は灘にあるんですが、神楽坂ともご縁のあるお酒です。

銘酒「白鷹」
銘酒「白鷹」

毎年9月に行われる例大祭には各町会の神輿が集まる

――年中行事にはどのようなものがありますか?

斉藤さん:まず1月1日の歳旦祭(さいたんさい)、それから2月3日頃に節分祭があります。例年、豆まきと甘酒を振舞っています。
それから大祓(おおはらい)という儀式が6月30日にありまして、人形(ひとがた)に名前を書いて心身の穢れを祓い清めます。
大祭は9月にありまして、今年は15日に予定しています。例年、各町会の御神輿が集まって町内をまわるのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で規模は縮小し、お宮のお神輿も出さないことが決まりました。
そして12月31日に大祓があって、歳旦祭につながっていくというのがおおまかな内容です。

境内の様子
境内の様子

地域にお住いのご家族が訪れる七五三、お宮参り

――七五三やお宮参りなどはいかがですか?

斉藤さん:11月に入ると七五三のご予約が入ってきます。それと赤ちゃんができて初宮参りに来る方も一年を通していらっしゃいます。お供物などの用意もあるので、事前にお電話をいただいてからお越しください。
それと社内安全、業務繁栄を祈願する会社の方もいらっしゃいます。年初めは2日から5日くらいまで。また4月の年度始めにいらっしゃることもありますね。
いずれも氏子区域というのが決まっていますので、そこにお住いの方あるいはお勤めの方が主にいらっしゃいます。

七五三、初宮参り、社内安全、業務繁栄などの祈願もできる
七五三、初宮参り、社内安全、業務繁栄などの祈願もできる

お家を建てたりするときの地鎮祭も一緒ですね。地域の安全と繁栄をお守りしている氏神様、正確には産土神と言うんですけど、地域的に決まっているので、ご存知無い方はお問い合わせください。
また一部例外もありまして、氏子区域にお住いでは無い方でも、おじいちゃんおばあちゃんがこの地域にいると言うことで、一緒に初宮参りや七五三にいらっしゃるご家族もいらっしゃいます。

先代から引き継いで50年、変わらないものは少ない。

「筑土八幡神社」前にある「東京新宿メディカルセンター」
「筑土八幡神社」前にある「東京新宿メディカルセンター」

――町の変化についてはどう感じていらっしゃいますか?

斉藤さん:先代の宮司から引き継いでもうすぐ50年になりますが、町並みはすっかり変わりましたね。昔は木造の家ばかりでしたけど、コンクリートの大きな建物も増えました。
昔は「東京厚生年金病院」と言っていたのも、「JCHO東京新宿メディカルセンター」という名前になりましたし、その前の道路も「大久保通り(放射第25号線)」と言うんですけど、平成28年(2016年)3月に完成して交通量も増えました。

また、周辺に新しい建物や住宅も増えましたので、新しくお住まいの方も増えているようです。お子さんの遊び場も少なくなってきているようで、学校帰りに子どもたちが境内にやってくるのは、変わらないといえば変わらないでしょうか。

移り行く街並みの中でも、「筑土八幡神社」は変わらずたたずんでいる
移り行く街並みの中でも、「筑土八幡神社」は変わらずたたずんでいる

お祭りを通じて感じる地域の人と人とのつながり

地域の人々に支えられて成り立っている
地域の人々に支えられて成り立っている

――地域にとっての『筑土八幡神社』とは?地域とのつながりについてもお聞かせください。

斉藤さん:神社というのは信仰ですから、ひとりでもふたりでも神様を信じて頭を下げてくれれば良いなという気持ちはありますけど。その家の信仰心によるものだと思いますので。
地域とのつながりという点では、神社はそもそも地域の人々の支えによって維持されているんですよね。

戦争で焼失した社殿も地域の人の浄財によって再建されましたし、ペンキを塗り替えるとか屋根を葺き替えるとか、そういうお金も地域の人が分担して出してくださっているので成り立っています。
あとはお祭りになると、各町会からお手伝いに来てくださる地域の方がたくさんいらっしゃいます。
神輿を出すのもかなりの人手が必要ですから、組み立てたり、紐で縛ったり、掃除をしたり。お祭りには子どもも多く参加しますから、子どもたちの世話を焼いてくれたり、お菓子を配ってくれたりと。そういうところに参加いただくと、自然と地域の人とも繋がりができるんじゃないでしょうか。

先ほどの質問の、変わらないものという点では、昔からお参りに来て下さる方や、お祭りの時に集まってくださる方、周辺のお店や企業さんなど変わらず支えていただいている方の存在は大変ありがたいですね。

治安も良く、大雨による浸水なども無い、住むのにも良い場所

運動がてらの散歩にもちょうどいいかもしれない
運動がてらの散歩にもちょうどいいかもしれない

――これからこの街に移り住む方へメッセージをお願い致します。

斉藤さん:基本的にこのあたりは、住むのにもとても良い場所だと思います。治安も良いですし、大雨による浸水など、災害による大きな被害も聞いたことがありません。
東京でも非常に良い土地だと評価を得ていますし、暮らしにゆとりのある人が多くいらっしゃる場所だと思います。
買い物にも不自由無く、ご近所とも仲が良さそうですし、今後お住まいなる方々にも、そういうところに溶け込んでいただければと思います。

神社の横には公園もある
神社の横には公園もある

まとめ

いかがでしたでしょうか。東京、神楽坂の移り変わりを古くから目にしてきた宮司さんの視点ならではの、神楽坂エリアの歴史と街の魅力、尽きぬ思いや語りつくせないほどの歴史を感じるインタビューでした。一風変わった庚申塔もみどころです。庚申塔とは、庚申塚(こうしんづか)ともいい、中国より伝来した道教に由来する信仰により建てられた石碑、石塔を指します。『筑土八幡神社』にある雌雄2匹の猿に桃の実を配した庚申塔も観光がてらにぜひご覧になってみてください。新宿のもつ先進的なイメージと歴史が調和した神楽坂の街は魅力に溢れていますね。これから神楽坂エリアへの転居や移住、観光をお考えの方の参考になれば幸いです。

 

筑土八幡神社

宮司 斉藤成蹊さん
所在地:東京都新宿区筑土八幡町2-1
電話番号:03-3260-2701
URL:http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/shinjuku/5437/
※この情報は2020(令和2)年8月時点のものです。

神楽坂地域の安全と繁栄を祈願する/筑土八幡神社(東京都)
所在地:東京都新宿区筑土八幡町2-1 
電話番号:03-3260-2701
http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/shinjuku..