子ども達にやさしさを育む教育を/市川市立市川小学校 川元 洋先生
東京都内からも程近く、通勤通学にも便利な千葉県市川エリアは、複数の教育機関が存立する学園都市としても知られている。そんな教育意識の高いエリアの中でも、明治時代から140年以上の長い歴史を持つ市川市立市川小学校。今回は、2年前から当校に着任されている川元校長に、学校の教育方針や取り組み、生徒達の様子についてお話を伺った。
創立は明治7年、市内屈指の歴史ある伝統校
――最初に、学校の概要と特徴を教えてください。
川元校長先生:本校は、明治7年創立、今年で145周年を迎える市内でも指折りの伝統校です。学区にはJRや京成線もあり、交通の便が非常によい東京に一番近い学校になります。本校と国府台小学校、中国分小学校、第一中学校のある「第一中学校ブロック」の付近には、国府台高校、和洋女子大学、千葉商科大学といった高校、大学があり、学園都市・市川にふさわしい地域ではないかと思います。
歴史があり3代にわたって卒業者がいるような学校ですので、OB会や同窓会が盛んです。そうした地域にお住まいの卒業生の方々が、いろいろな面で協力してくださっているというのも、学校としては非常にありがたい部分ですね。
また、児童数は673名。クラス数が特別支援学級を入れて22クラスあります。それから、「ことばの教室」という通級指導教室が2クラスあります。このクラスは他校からも来てくれるお子さんがいるので、ご両親の送迎で来校してくれて、放課後に主に言葉の訓練をしています。
進学については、中学受験をする生徒は他校よりはやや多いかもしれません。塾に通っている生徒も多く、教育熱心な親御さんが多い印象です。
学校行事として珍しいことはそんなに行っていないと思いますが、この学校ならではのものといえば、やはり校庭にある大きなプラタナスとイチョウの木です。いわゆる学校のシンボルツリーですね。調べてみたら、プラタナスは大正2年に植樹されたようです。普通運動場にこうした大きな木を植樹することはないと思うのですが、この学校ならではの環境だと着任して思いました。
不易流行の精神で、子ども達のやさしさを育てる
――学校の教育目標、指導方針はどういったものになりますか。
川元校長先生:職員の先生方に伝えているのは、「不易と流行をできるようにしておくこと」です。「不易」というのは、今まで145年という伝統の中で引き継いできたブランドを先へ引き継いでいくことです。ですが、やはり現代社会の下で改革が必要になる部分もあります。改革をするにしても、何でもかんでも変えてしまうのではなく、必要なことをしっかりと見極めた上で改革していくことのできる教育の担い手としての職員になってほしいと思っています。それが、「流行」という言葉の意味です。
今年の教育目標は、「夢の実現に向けて行動する子どもの育成」です。今までは、「実現に向けて努力を続ける子ども」だったのですが、今年はそこから一歩進めて「行動する」というものを入れました。ただ、そうした目標の根底に流れるのは、「やさしい心がいっぱいの学校」です。始業式の時に子ども達に「チクチク言葉」と「ふわふわ言葉」のお話をしました。これらの言葉は、教育業界の先生方がクラスの掲示に使っている言葉なのですが、いわゆる人が傷つくようなことは言わない、けれど人が喜ぶことはどんどん言いましょうということです。やはりコミュニケーションをとったり、人との過ごし方は生きる上で大切なことです。「ふわふわ言葉」でいっぱいの学校、やさしい心をもった人になってほしいな、というお話を子ども達にはしましたね。
――掲げられた目標の下、どのような取り組みを実践されていますか。
川元校長先生:まずは、挨拶がしっかりできる子を育てたいと思っていますので、私も時間の許す限り、朝校門前に立って、挨拶と安全指導をしています。子ども達は、挨拶が大切だと分かってはいるものの、相手に伝わるように挨拶の仕方ができない子もいます。というのも、学校評価の際、子どもは自分が挨拶をできていると評価していても、親御さんはあまりできていないと評価するという面白い結果が出てくるんですね。これは、やっているつもりでも相手に伝わっていないということの現れです。ですので、去年から事あるごとに挨拶の大切さを子ども達に伝えています。「ふわふわ言葉」でお互いの気持ちもやさしくなれるのではないかなと思いますので、挨拶指導のような取り組みを日々進めていこうと職員にも話をしています。
また、こうした取り組みを行うにあたって、先生方には「子ども達に寄り添ってください」と伝えています。目に見えて性格や考え方が分かりやすい子もいますが、なかなか分かりにくいお子さんもいらっしゃいます。寄り添うことによって、その子の特性を見極めてくださいという話を日々しています。
――その他に、学校で力を入れている取り組みはありますか。
川元校長先生:キャリア教育の一環でもありますが、外部の方に来ていただいて講義をしていただいたり、子ども達と交流をもっていただく取り組みをしています。昨年は近くにある読売新聞社に協力していただき、5年生と6年生に新聞の作り方を教えていただきました。また、「楽しくボール運動を教える」ということでロッテマリーンズの方達にも来てくださいました。それから、牛に来てもらって乳しぼりをする「モーモースクール・ミルク教室」というのも3年生対象で行いました。
こういった機会には、子ども達の目の色が変わりますね。その道のプロの方のお話というのはやはり含蓄がありますし、そうした方々に会える機会というのは、教育目標にもある「夢を実現する子」にもつながっていると思います。憧れるだけではなく、どうしたらそうなれるのか、その道筋を自分で探れる人間になれたら、自分のキャリアも築けるようになるのではないかと思っています。
また、市川の学校では珍しいのですが、毎年クラス編成をしています。普通は2年に1回の頻度で行われるものだと思いますが、1年生から6年生まで毎年クラス編成をして、クラス担任が変わります。それから6年生については、教科担任制をとっています。ですので、いろいろな先生に見てもらえるというのも本校の特徴ある取り組みかもしれません。
市川は温かい地域の目がある、恵まれた学習環境のある街
――保護者をはじめ、地域の方々との交流はいかがですか。
川元校長先生: 保護者の方達には毎朝門の所に輪番制で交通指導や挨拶運動をしていただいています。それに、オープンスクール時やPTAの方が卒業式前に学校をきれいにしようということで来ていただき、子どもと一緒に学校清掃をしてくださることもあります。また、プラタナスの木が一度倒れて再生した時の話を授業でしてくださったり、毎朝秋田犬と一緒に行う「わんわんパトロール」といった学校周辺のパトロールもしてくださったりと、おらが学校ではないですが、地域の方々は市川小学校をとても愛してくださっていて、いつも本当に感謝しています。
――学校周辺の街の魅力について教えてください。
川元校長先生:自然に触れあえる場所としては、桜の名所でもある里見公園がおすすめです。学校でも遠足で子ども達を連れて行ったりしています。また、学校の屋上からは駅前のタワーマンションや富士山やスカイツリーも見えますし、天気のいい日は最高の眺めです。その他にも陸上競技場もありますし、江戸川区等の東京にも近く、子育て世代の方も住みやすい環境にあると思います。
市川市立市川小学校
校長 川元 洋先生
所在地 :千葉県市川市市川2丁目32-5
電話番号:047-325-4758
URL:http://www.ichikawa-syo.ichikawa-school.ed.jp/
※この情報は2019(平成31)年4月時点のものです。
子ども達にやさしさを育む教育を/市川市立市川小学校 川元 洋先生
所在地:千葉県市川市市川2-32-5
電話番号:047-325-4758
https://ichikawa-school.ed.jp/ichikawa-s..