葛飾区双葉保育園 園長 佐々木裕子さん
京成本線「お花茶屋」駅から徒歩で5分ほど。東堀切1丁目の住宅街にある「葛飾区双葉保育園」は、この地にすでに半世紀年以上も親しまれている、地域に密着した保育園だ。歴史のある園ながら、2014(平成26)年に園舎の建て替えが行われたばかりで、園舎と園庭はピカピカ。広く明るい園舎では、現在88人の子どもたちが日々を楽しく過ごしている。今回はこちらで園長を務められている佐々木裕子先生を訪ね、園の特徴と地域の魅力をうかがった。
――まず、保育園の歴史と概要について教えてください。
佐々木先生:この双葉保育園は、1961(昭和36)年に認可が下りた園で、今年で57年目になります。区内でも長い歴史がある保育園のひとつですね。最初からこの場所にあった園ですが、当時は都営住宅の一角を使っており、老朽化により建て替えることになったんです。その後は3年くらいの間、近くの仮園舎で過ごしまして、新しくできたこの保育園に戻ってきました。都営住宅の跡をぜんぶ保育園にしましたので、とても広々しているのが特徴です。
新しい園舎になり耐震面が強化され、今のところ、葛飾区内では最新の設備が整っている園になるかと思います。バリアフリーに対応していて、エレベーターや広い階段もありますし、トイレにはピクトグラムを使うなど、ユニバーサルデザインにも配慮しています。
規模については、公立の保育園としては小規模な保育園で、現在88名のお友達が通っています。「ひとりひとりの気持ちを受け止めて、家庭的で行き届いた保育をする」ということを心がけており、そのために、「クラス」や「担任」はありますが、担任する子どもたちだけではなくて、その日に関わったすべてのお子さんの様子を、お迎えに来た時に、保護者の方にお伝えできるように心がけています。
また、「身近な自然のいとなみにふれる」ということも大事にしていまして、カメ、メダカ、ウーパールーパーといった小動物を飼って、子どもたちがお世話もしています。カブトムシとクワガタムシについては、卵から成虫になるまでを年長さんが代々受け継いでお世話をしています。植物についても、園舎のまわりで野菜やお花をたくさん育てていまして、子どもたちが水をあげたり、雑草を抜いたりしてお世話をし、収穫したものはおうちに持って帰って家族と一緒に味わってもらっています。
――保育方針、特徴的なプログラムや行事などがあれば教えてください。
佐々木先生:まず、「近くに公園がたくさんある」というのがこの地域の特徴ですので、気候のいい時にはできるだけ公園に出かけるようにしています。広さも遊具もさまざまなタイプの公園があるので、年齢に応じて使い分けている感じですね。時には荒川の土手まで凧揚げに行ったり、「堀切菖蒲園」が近いので、6月の「菖蒲まつり」の時には菖蒲の花を見にいったりもしています。4、5歳児クラスの活動になりますが、月に1度図書館へ出かけたり、年に数回プラネタリウムを観に出かけています。外に出て遊んだり、学んだりすることが多い保育園ですね。
年齢を超えた交流も多いですね。たとえば2歳児クラスと5歳児クラスが一緒に手をつなぎながら公園に行ったり、3歳児が遊んでいる公園に5歳児クラスがお迎えに行って、一緒に帰ってくる、といったこともあります。本園の場合は少人数ですから、そういったことがしやすいんですね。4、5歳児のクラスは一緒にお昼を食べていますし、異年齢で一緒に過ごす時間は、非常に多い園です。
もうひとつ、「食育」についても力を入れています。調理師は、たとえば野菜の切り方でも、形がかわいく見えるように工夫して、子どもたちが喜んで食べられるようにしています。給食室はガラス張りで、踏み台に乗れば子どもたちも自由に見られるんですね。もちろん、味についても、子どもに合った味付けをすごく考えています。
一方で保育士も、「楽しく食べる」ためのいろんな工夫をしています。たとえば、「おやつたーべよ!」という月に一回の企画の時には、「好きなところでおやつを食べていいよ」ということをやっていたり、「セレクト食事」企画の時は、たとえば「味噌ラーメンか醤油ラーメン」「クリームチキンカレーかトマトポークカレー」の好きなメニューを選んで食べる日を作ったり、年長さんの卒園前には、「リクエストメニュー」といって、「もういちど食べてみたい保育園の給食」を子どもたちに挙げてもらって、それを1週間から10日くらい、献立に反映したりということもしています。
――地域の方々との交流があれば教えてください。
佐々木先生:まずひとつは、プレママと新米ママさんに向けたもので、0歳児のクラスに来ていただいて、子どもたちの様子を見てもらったり、おむつの取り替え方や離乳食の作り方などを見ていただいたり、という日を昨年度から設けていまして、地域にお住まいの、プレママさんたちに来ていただいて、大変好評をいただいています。
ほかには、近くの地域のサッカークラブのコーチの方に来ていただいて、4、5歳児に向けたサッカー教室を開いてもらったり、近くにある「共栄学園」のチアダンス部の生徒さんに、園庭でチアの演技を披露してもらったり、地域にあるフラダンス教室のみなさんにフラダンスを見せてもらったりと、いろんな「本物」に触れる機会というものも、地域の方々のご協力のおかげで、実現できているかと思います。植物や動物もそうですが、「本物」に触れる体験は、とっても重視しているところですので。
また、地域のシニアさんにも来ていただいています。この方々には、年長さんに「はさみ将棋」や「将棋くずし」などを教えていただいたり、皿回しや竹とんぼの飛ばし方といったものも教えていただいています。町会長さんもとってもいい方で、よく園に来てくださって、「夏祭りに遊びに来てね」と言ってポスターをくださったり、節分の時にも同じように来てくださったり。だから子どもたちも、地域の行事には沢山参加していると思います。
――近隣の保育園や幼稚園、学校との交流があれば教えてください。
佐々木先生:当然、同じ公立保育園同士ではいろいろな交流がありますし、小学校についても、「南綾瀬小学校」と連携をとっていまして、年長さんがプレ授業を体験に行って、小学生と一緒に遊んだり、運動会の練習や劇の練習などを見学させていただいたり、という交流はしています。
もうひとつ、これも特徴なのですが、ボランティアで保育のお手伝いをしてくれる学生さんがとっても多いんですね。学校の夏休みの時期になると、ほとんど毎日、ボランティアさんが来ています。保育士を目指している学生さんはもちろんのこと、中学生や高校生も来ますし、卒園した小学生も毎年来てくれて、「小学校ってこんなところだよ」ということを、年長さんに向けて話してくれています。
――職員の皆さんが子どもたちと接する時、どんなことを大事にされていますか?
佐々木先生:「ひとりひとりの子どもに、愛情をもって接する」ということを第一に考えています。最初に申し上げたように、担任以外の子と接点を持った時には、必ずその親御さんに直接、「今日はこんなことをしましたよ」「今日はこんなことができましたよ」というお声がけをして、一緒に成長を喜び合えるようにしています。子どもたちが毎日楽しく保育園に来られるように、愛情をもって接しています。
――お花茶屋周辺や、葛飾区の子育て環境としての魅力を教えてください。
佐々木先生:まずは、この街がもっている「下町の雰囲気」ですね。公園に遊びに行く途中にも、地域の方が「あらかわいいわね」「どこに行くの?」といっぱい声をかけてくださいますし、「古きよき昭和」の名残がある地域かなと思います。私たち職員に対しても、「ご苦労さま」とあたたかく声をかけてくださる方が多くて、本当にいい地域ですよ。
環境としても、公園はもちろん、小学校も中学校も近くにいくつもありますし、商店街も活気があって、特にお子さんのいる方には暮らしやすい街だと思います。自転車でちょっと行けば、児童館、図書館、プラネタリウムといったものもありますし。
それから、葛飾区全体についても、子育ての政策に関してとても力を入れている区ですので、そこも魅力だと思います。たとえば、妊婦さんには「マタニティパス」という交通系のICカードがもらえたり、児童館で母子手帳の交付を受けることもできたり、子育てに関してはかなり先進的な取り組みをしている区なんですね。もちろん、新しくて快適なこの「双葉保育園」もありますので。ぜひお花茶屋に住んで、子育てを楽しんでいただければと思います。
葛飾区立双葉保育園
園長 佐々木裕子さん
所在地 :東京都葛飾区東堀切1-15-16
電話番号:03-3602-5701
URL:http://www.city.katsushika.lg.jp/institution/1000100/1007108/1007179.html
※この情報は2018(平成30)年8月時点のものです。
葛飾区双葉保育園 園長 佐々木裕子さん
所在地:東京都葛飾区東堀切1-15-16
電話番号:03-3602-5701
定員:88名
入園対象:生後6か月~就学前
開園時間:7:15~19:15
http://www.city.katsushika.lg.jp/institu..