校長 石神みさ都先生インタビュー

互いの違いを認め合い、自分らしさを発揮する/指ヶ谷小学校


地下鉄都営三田線「白山駅」A1出口から徒歩6分。文京区白山にある「指ヶ谷小学校」は、今年2020(令和2)年に105周年を迎える歴史ある公立小学校だ。昨年2019(平成31)年4月に赴任した石神みさ都校長先生に、同校のめざす教育や力を入れている取り組み、周辺環境の魅力について聞いた。

子どもたちに寄り添い、ありのままを共感的に理解する

昇降口の向こうには校庭が見える
昇降口の向こうには校庭が見える

――貴校の沿革・概要について教えてください。

石神校長先生:1915(大正4)年に「東京市指ヶ谷尋常小学校」として開校し、1947(昭和22)年に現在の校名になりました。各学年2クラスの計12学級で、児童数は2020(令和2)年9月現在で336名。数年前まで各学年1クラスだったそうですが、私が赴任した去年はすでに11学級あり、少しずつ増えている状況です。

お話を伺った石神みさ都校長先生
お話を伺った石神みさ都校長先生

――教育活動において、特に力を入れていることは何ですか?

石神校長先生:相手の気持ちを考えてコミュニケーションを図る力、“人間関係力”の向上に力を入れています。集団生活を送る学校はもちろん、社会に出てからも人間関係はついてまわります。子どもたちには、「こんなことを言ったら相手は嫌な気持ちになる」「こんな風に言えば仲良くなれる」といったことを学んでほしいのです。そのためには先生方の対応が大事です。子どもたちをよく見て、寄り添って、ありのままを共感的に理解すること。その上で一人一人の良さを認め、伸ばしていく。そういった先生の姿勢から子どもたちが学び、互いの違いを認め合い、思ったことを安心して言えるようになったらいいなと思っています。

電子黒板が設けられた教室
電子黒板が設けられた教室

――東京都の人権尊重教育推進校に指定されていると聞きました。

石神校長先生:そうなんです。今年度、来年度と人権尊重教育推進校に指定されていて、人権について学んでいます。昨日も「誠実さとは何か」というテーマで研究授業があり、子どもたちは一生懸命考えていました。人権教育の学びにあたっても、“人間関係力”をベースに「違いを認める」というテーマで進め、最終的には自分らしさを発揮できる“人間関係力”の向上につなげられたらと考えています。

――オリンピアンやパラリンピアンと交流する「夢・未来プロジェクト」の実施校にも指定されていますよね。

石神校長先生:はい。昨年はパラリンピックの陸上選手が来校し、競技用の車いすを子どもたちに使わせてくれました。驚くほど軽くて見た目も格好良く、子どもたちは大喜びでした。まだ日程等は決まっていませんが、今年も年度内に海外のオリンピアンが来校する予定です。

いろんな人との交流を通して多様性を学ぶ

4階建ての校舎
4階建ての校舎

――授業構成や学習における特色を教えてください。

石神校長先生:自分だけで考える時間と友達と交流する時間を設け、コミュニケーション能力の育成を図る授業構成を心がけています。コロナ禍の現在は難しい部分もありますが、コミュニケーション能力の育成には人との交流が欠かせません。いろんな人と会って多様な考えにふれてほしいので、ゲストティーチャーを招いての授業に積極的に取り組んでいます。
普段会わない人を前にすると、子どもたちはどう接するかその場で考えなければなりません。それが大事なんです。
昨年は元日本記録保持者による陸上教室、「JAL(日本航空株式会社)」による紙飛行機の授業、日本舞踊教室などを行いました。「日本体育大学」の学生さんにはダブルダッチを教えてもらい、その他にも判子作りや和菓子作りといったものづくりにも挑戦しました。また、今年度は文京区主催の出前コンサートもあって、11月には「東京フィルハーモニー」が来て演奏していただく予定です。

理科室
理科室

――特徴的な校外活動はありますか?

石神校長先生:1~3年生のみで出かける「低学年遠足」は珍しいかもしれません。3年生がいつも以上に頼もしく見える一日です。昨年はバスで「葛西臨海公園」に行きました。
また、4年生の「防災宿泊体験」もためになる取り組みです。非常食を食べ、区から借りた毛布を利用して学校に寝泊まりするもので、災害時の避難所生活を体験します。学区域をまわって学ぶ機会も多く、3年生なら地域を知るために区内の「講道館」や「護国寺」、「肥後細川庭園」を訪れることもあります。
5・6年生は社会科見学の他に移動教室もあり、例年5年生は八ヶ岳に、6年生は魚沼に行って豊かな自然に親しんでいます。

広々とした体育館
広々とした体育館

――盛んな課外活動などあればご紹介ください。

石神校長先生:クラブ活動とは別に有志の4~6年生から成るミュージックバンドがあって、地域の方々にも人気があります。
「白山神社」の「あじさい祭り」や「白山下商店会」の「チャリティー感謝市」などで演奏を披露しています。熱心な子が多く、朝練習など一生懸命取り組んでいます。今年はコロナの影響で参加予定だったイベントがすべてなくなってしまったので、何か別の方法で演奏の機会を作れないか考えているところです。

治安が良く、人と緑が素敵な白山・春日エリア

図工室
図工室

――近隣の幼稚園や保育園との交流や、中学校との連携などあれば教えてください。

石神校長先生:文京区は保幼小中連携事業を進めていて、互いの保育や授業を先生方が参観しています。本校は「千石保育園」「さしがや保育園」「明化幼稚園」「林町小学校」「明化小学校」「第十中学校」と連携しています。連携以外の幼稚園や保育園の園児が本校の体育館などを使って運動会をすることもあります。
すぐ近くの「さしがや保育園」には私もお伺いして、保護者のみなさんに小学1年生の学校生活についてご説明しています。正式な説明会とは違った気軽な雰囲気なので、保護者の方も質問しやすいようです。

きれいに掃き清められた廊下
きれいに掃き清められた廊下

――文京区は私立中学校への進学率が高いと聞きましたが、「指ヶ谷小学校」はいかがでしょうか。

石神校長先生:3〜4割が私立中学校に進学します。このエリアではごく普通の数字だと思います。実際本校は、国や都が実施する学力調査でも良い成績を収めています。近隣の「第六中学校」や「茗台中学校」に行く子も少なくありません。

人工芝が敷かれた校庭
人工芝が敷かれた校庭

――今後、力を入れて取り組んでいきたい活動について教えてください。

石神校長先生:繰り返しになってしまいますが、やはり“人間関係力”を高めること。これに尽きます。
コロナ禍で痛感したのは、勉強はある程度オンラインで出来ても、友だちとの心のふれあいは難しいということ。小学生にとって人とのふれあいから学ぶことは大きく、学校は大切な場所だと再認識しました。そして改めて、子どもたちのコミュニケーション能力を高めたいと思いました。今後も、人と人との関係から学べる活動をどんどん取り入れていきたいと思います。

正門
正門

――白山・春日エリアの魅力を教えてください。

石神校長先生:治安が良く、人と緑が素敵な街だと思います。学校の教育活動について地域やPTAの方々と話し合う「学校運営協議連絡会」では、建設的な意見を積極的に出してくださり、本校のことを真剣に考えていただいていることが伝わってきます。
登下校時にはボランティアで通学路に立って子どもたちを見守ってくださり、運動会では町会の方々がテントの設営・撤収をすべてやってくださいます。地域の方が支えてくれる学校は強いと実感しています。
そして豊かな緑。校内や周辺にも木々がたくさんありますし、ちょっと行くと「小石川植物園」もあって、都心の割に緑が多い環境もいいですね。

指ヶ谷小学校 石神みさ都校長先生
指ヶ谷小学校 石神みさ都校長先生

指ヶ谷小学校

石神みさ都 校長先生
所在地:東京都文京区白山2-28-4
電話番号:03-3811-6005(FAX 03-5689-4548)
URL:https://www.bunkyo-tky.ed.jp/sasugaya-ps/
※この情報は2020(令和2)年10月時点のものです。

互いの違いを認め合い、自分らしさを発揮する/指ヶ谷小学校
所在地:東京都文京区白山2-28-4 
電話番号:03-3811-6005(FAX 03-5689-4548)
https://www.bunkyo-tky.ed.jp/sasugaya-ps..