清水康男校長先生 インタビュー

「えがお」に満たされた学校を目指す/横浜市立洋光台第二小学校(神奈川県)


神奈川県横浜市磯子区にある閑静な住宅地、洋光台。この地区には洋光台第一から第四まで合計4つの小学校があり、『横浜市立洋光台第二小学校』は、2020(令和2)年に50周年を迎える小学校です。JR根岸線 洋光台駅から見て南西側を担当する学校で、合言葉は「えがお」。子どもたちも先生たちも、いつでもニコニコの笑顔で学び、学校に訪れる人を迎え入れてくれます。今回は、この「えがお」の取り組みを始めた方でもある、同校の清水康男校長先生にお話を伺いました。

清水康男校長先生
清水康男校長先生

学校に関わる全てのひとが“えがお”で過ごせるように

――学校の沿革と概要について教えてください

清水校長先生:本校は1971(昭和46)年に開校し、2020(令和2)年に50周年を迎える小学校です。児童数は469名、学級数は17で、うち2クラスが特別支援学級という形になっています。

校舎は左右両サイドに4階建ての建物があり、その間を3階建ての建物がつなぐ「コ」の字型になっています。真ん中の部分には中庭がありますが、中庭には「ドラえもん池」という池があり、いろいろな魚が棲んでいる子どもたちに人気の場所となっています。3階建ての校舎部分には「メディアセンター」という図書館があります。ちょっとしたステージもあるので、発表の場などに使われています。

両サイドの校舎は、1階が理科室や家庭科室などの特別教室になっていて、2階から4階までが普通教室になっています。それから、校庭が非常に広いというのも特徴です。スタンドもあって、のびのびと遊べる校庭になっています。コンパクトな校舎ですので、子どもたちの移動もしやすいですし、先生方としても状況の把握もしやすいので、すごくいい作りだと思っています。

校舎に囲まれた中庭
校舎に囲まれた中庭

――学校の教育目標についてお教えください

清水校長先生:「誰もが“えがお”で、生き生きと過ごせる洋光台第二小学校」が教育目標となっています。私が赴任してから立てたスローガンなのですが、本校の校長になって7年目になりますので、だいぶ定着してきたという実感があります。

「えがお」の意味は、「子どもがいきいきと学校に行く」ということはもちろんですが、それだけではなく、うしろで支えてくれている保護者の方々や地域の方々、そういった方々もすべて巻き込みながら、「えがおでいこう」という意味が込められています。

今では子どもたちが考えるキャラクターや標語などにも、「えがお」や「スマイル」という言葉が非常によく出てきますし、「スマイルくん」というキャラクターもできて、PTAでもいろいろな場面でそのキャラクターを使ってくれるなど、「えがおのあふれる学校」になってきています。

マスコットキャラクターの「スマイルくん」
マスコットキャラクターの「スマイルくん」

――「えがお」の実現のために、具体的に実践されていることなどはありますか?

清水校長先生:ほかの学校もやっているかとは思いますが、「たて割り活動」は大事にしています。それも、ただ仲良くするとか、ただ後輩の面倒を見るというだけではなく、それぞれの学年や発達段階に応じて、「できることは、ある程度子どもたちに任せよう」ということで、職員の間で共通認識をもってやっています。

たとえば、遠足に行った時などは、6年生が、つらそうにしている下級生の子の荷物を持ってあげるという場面があるわけです。そういう時にも、子どもが自主的にやってくれるように、先生たちは見守るということに徹しています。

児童から慕われている清水校長先生
児童から慕われている清水校長先生

清水校長先生:やはり、1年生が「頑張れる」という場面も大事だと思うんです。ですから、6年生はちゃんと1年生の様子を看取ってあげて、「そろそろ持ってあげたほうがいいな」とか、「ここで水を飲んだほうがいいな」とか、それぞれが自分で判断して、動いていきましょう、ということでやっています。1年生の子にまずは「どう?」って聞いてあげて、どこまで行けるのかを判断して、そこで初めて持ってあげる、というようなコミュニケーションですね。それがだいぶ育ってきていて、非常にほほえましいと思っています。

遠足から帰ってくると、リーダーの動きが本当に下級生をよく見ている、思いやっている動きになっているんです。6年生の担任は、それをすごく喜んでいますし、子どもをたちを心から褒められます。そうすると、子どもたちもますます意欲的に取り組みますし、それがみんなの「えがお」にもつながっていくのかな、と思っています。

先生と児童の距離も近い
先生と児童の距離も近い

――そのほか、特に力を入れている活動がありましたらお教えください

清水校長先生:教育目標ということでは、いわゆる「知・徳・体・公・開」ということでそれぞれ目標を設定しますが、その中でも、うちは「徳」を中心に置いています。その理由はやはり、子どもを「心」から育てていきたいからなんです。

学校生活ではいろいろなことが起こります。難題があったり、けんかもあるかもしれません。でも、それをきちんと周りがサポートしてあげて、解決に向かわせてあげることで、心は育っていくんです。ですから「考えていくことの大切さ」というのも、職員と共有しながらやっています。特に去年までの3年間は、道徳教育の推進校と、その後の拠点校というものに指定されていましたので、今もその経験を生かしながら、徳育の実践をしています。

授業の様子
授業の様子

早くから取り組んだプログラミング授業、地域との連携もさかん

――地域と連携した取り組みなどがあればお教えください

清水校長先生:すぐ近くにある『こども宇宙科学館』との連携は深いと思います。最近になって「プログラミング教育」という言葉が話題になっていますが、本校では2010(平成22)年からプログラミングの授業を、『こども宇宙科学館』に開催してもらっています。当初は30名くらいの枠を科学館が設定し、そこに応募した子どもが参加していました。月面探査車のような車を、パソコンでコマンドを作って動かすということをやっていて、私も子どもたちと一緒に参加させていただきました。

地区の行事についても、子どもたちや先生方が参加することが多いです。本校の学区は洋光台地区という新しい地区と、栗木地区という昔ながらの地区がありますが、学校が両方の地区とうまく連動できていると思っています。学校が地域の人々の交流の場になっているような感じもあります。

学校で行事をする時などにも、両方の地区からそれぞれ人を呼んで、協働しながらやっていますし、学校をサポートしてくれる「学援隊」は、それぞれの町内会ごとに学援隊を立ち上げてくれています。たとえば洋光台四丁目の町会には「四丁目学援隊」が、栗木には「栗木学援隊」というものがありますが、こうした組織を通じて、地域の方々が毎朝、登校を見守ってくださっています。催し物や卒業式など、行事にも町内会の会長さんが参加してくださいますし、地域の温かい見守りがあっての小学校だと思っています。

「メディアセンター」
「メディアセンター」

――行事や課外活動についても、地域とのかかわりが深いということですが?

清水校長先生:町会の見守りもそうですし、洋光台地区については「街づくり協議会」というものが中心になって、いろいろなことを進めていますから、そういった中でいろんなイベントを行っていて、子どもたちもたくさん参加しています。「キャンドルナイト」というイベントも人気ですし、「キッズマーケット」という、子どもだけで行うマーケットの催しがまた面白いんです。地域の方の力を借りながら、自主的に動いて、手作りした商品を売っているんです。最近では、「これを作るにはどれくらいお金がかかったから、値段はこうしよう」ということで、原価や利益も計算しながらやっているようです。

秋には「洋光台音楽のつどい」があります。これは洋光台にある6つの小中学校が一堂に会して行う音楽会なのですが、ここには地域の方々もたくさん参加してくれています。

校舎からグラウンドを眺める
校舎からグラウンドを眺める

清水校長先生:栗木地区は昔ながらの土地柄ですから、お祭りがさかんで、お祭りの時には「学校の先生方も来てください」と声をかけていただくので、たくさん参加しています。子ども会の出店に先生方が参加して焼きそばを焼いていたり、わたあめを作っていたりもします。先生方も仕事抜きで、プライベートの時間として楽しんでいるようです。

先生もこうして地域の中に入っていくことで、ふだんは見られない子どもたちの一面を見られますし、地域理解もできますから、視野が広がって子どもたちを見る視点も増えてます。コミュニケーションツールにもなりますから、素晴らしいことだと思っています。先生方がこういった姿勢だから、地域からの協力も得られているのかな、と思います。

こどもたちの元気な声が響く校庭
こどもたちの元気な声が響く校庭

清水校長先生:このように、街の人々も一緒になって、「子どもたちがこの街を好きになってくれるように」という思いをもって、いろいろな取り組みをしているというのが、この地区の面白いところであり、魅力であると思います。

――最後に洋光台の街の魅力についてお教えください

清水校長先生:交通の便がいいですし、環境が良いです。駅の周りには買い物施設や病院も充実していますから、住みやすさという点では、かなり魅力的だと思います。でも、やはり一番の魅力は、子どもたちを見守るあたたかい視線があることと、みんなが「えがお」でいられる学校がある、ということだと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。子どもたちの自主的な学びの姿勢の根っこには、やはりそれをやって楽しい、一緒にやることの大事さ、コミュニケーションにおける交流の重要さなど、“えがお”を通して得られるものが多いことがわかると同時に大切さにも気づかせてくれる教育方針をとる、『横浜市立洋光台第二小学校』の清水校長先生からのお話でした。地域の方々のフォローもあって、子どもたちを見守りながら育んでいくことが、自主性にもつながっているのだとおもいます。これから、洋光台への転居や移住をお考えの方の参考になれば幸いです。

 

「洋光台」駅
「洋光台」駅

「えがお」に満たされた学校を目指す、「横浜市立洋光台第二小学校」
「えがお」に満たされた学校を目指す、「横浜市立洋光台第二小学校」

横浜市立洋光台第二小学校

清水 康男 校長先生
所在地:横浜市磯子区洋光台4-15-1
電話番号:045-833-1271
URL:https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/yokodai2/
※この情報は2019(令和元)年9月時点のものです。

「えがお」に満たされた学校を目指す/横浜市立洋光台第二小学校(神奈川県)
所在地:神奈川県横浜市磯子区洋光台4-15-1 
電話番号:045-833-1271
https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/scho..