戸塚宿ほのぼの商和会インタビュー

ユニークな取り組みで地元を盛り上げる/戸塚宿ほのぼの商和会 会長 千葉賢二さん、副会長 高橋則雄さん・奈良慧子さん

JR「戸塚」駅の西口を出て左手側、戸塚小を中心とした、柏尾川と国道1号線に挟まれたエリアに点在する商店で組織されている「戸塚宿ほのぼの商和会」は、21世紀に入ってから新たに生まれたという、このご時世に珍しい商店会だ。しかし、その発足のきっかけは「危機感」。右肩下がりに商店街の利用者数が激減するという“ピンチ”に際し、商店主がつながって生まれた商店会である。
だが、「小さくて地味な商店街を何とかアピールしたい」と、取り組んでいる事業にはユニークで斬新なものがあり、何かと話題を集めている。今回は商店会の会長である千葉賢二さんと、副会長であり、商店会きっての饒舌家である高橋則雄さん、同じく副会長の奈良慧子さんのお三方に話を伺った。

商店街の役割、あるべき姿

戸塚宿ほのぼの商和会
戸塚宿ほのぼの商和会

―まず、「戸塚宿ほのぼの商和会」の概要を教えてください

千葉さん:じつはまだ歴史は浅くて、2007(平成19)年にできたばかりなんです。もともとは、すぐそこに区役所があって(現在は駅西口横に移転)、その周りにある商店はそれぞれ個別にやっていたのですが、区役所の移転が決まったことで、移転の1年前ぐらいから「これはシャッター通りになるのではないか」という危機感がつのってきました。それを防ぐために、新しく立ち上げたのが、「戸塚宿ほのぼの商和会」です。
もともと、国道沿いの店舗を中心とする「戸塚商和会」という商店会が、戦後間もない頃からある、古い商店会だったのですが、そこの人数が減ってきたということもあり、2010(平成22)年に合併して、今の形になりました。今は全部で60ぐらいの店が参加しています。

戸塚宿ほのぼの商和会
戸塚宿ほのぼの商和会

―どんな特徴がある商店街なのでしょうか?

高橋さん:特徴というと、聞こえが悪いかもしれませんが、「つながっていない」というのが大きな特徴です。そして、物販店がないことですね。
「生き残った店」と考えてもらえばちょうどいいかも知れません。区役所があった頃は物販店もいくつかあったし、うちの商店会とは別に、(会に入っていない店も含めて)この通り沿いに店が並び、商店街を形成していました。それが、区役所の移転と同時に、歯抜けのようになくなったんです。新しく入ってくるお店もありますが、物販ではなくて美容室や歯科などが多く、昔の商店街の雰囲気ではなくなってきています。しかし、その危機感が結束力を築くきっかけにもなったわけです。

戸塚宿ほのぼの商和会
戸塚宿ほのぼの商和会

―昔と比べると、だいぶ店の数は減ってしまったのでしょうか

高橋さん:区役所の移転と、「トツカーナ」の影響は大きかったですね。やはり商店街の原則は「生鮮」であって、そういう店(魚、肉、青果)を核として繁盛させることで、お客さんが来て、循環してくれる。昔はそれができていたから、栄えていたんだと思います。ある意味ごちゃごちゃした街だったかもしれませんが、そういうのも含めて良いと感じています。
確かに昔に比べると店の数は減ってしまいましたが、近くに商店街があると、気軽にお買い物ができますし、また最も良い点は、お客さんと店員との距離が近いことだと思います。日常の何気ない会話を楽しみに来られるお年寄りの方もいらっしゃいますよ。

商和会で作っているTシャツに書いてあるように、「住みたいな、フレッシュとつか」といった活気ある商店街を目指していきたいですね。「住んでみたいな」「いつもフレッシュだな」と思えるような街に。

さまざまなイベントで活性化を

さくらまつりの様子
さくらまつりの様子

―商店街を盛り上げるために、いろいろなイベントをやっているそうですね。

高橋さん:いろいろありますよ。カレンダー通りにいくと、まず、3月から4月にかけて柏尾川沿いで「さくらまつり」があって、7月には近くの「八坂神社」で横浜市の無形文化財に指定されている「お札(ふだ)まき」という祭りがあるのですが、そのお祭りの時に、250くらいの“プロの露店商”が「戸塚宿ほのぼの商和会」エリアと国道沿いに並びます。その賑わいにあやかりまして、商店街でも店先で露店を出すんです。お祭りにはだいたい3万5千人くらいの人が来場し、商店街の通りもたくさんの人が通るので、ほとんどの店で出してます。
これは我々としては「売り上げを上げる」というわけではなく、「サービス精神」なんです。顔を見せながら、コミュニケーションを取りながら、短い数時間だけれども楽しんでもらおうっていうのが、商店街が店を出す所以なんです。

お札まきの様子
お札まきの様子

―「日本一短い歩行者天国」があるそうですね?

高橋さん:はい、これが最も重要な役目とも考えています。もう60回ほどになりますが、商店街の道路を使って、毎月第3土曜日の11時半から午後3時頃まで、「戸塚区民市」というのを開催しています。
これは商店街に人を集めることを目的に、外からもお店を呼んで、三崎まぐろを冷凍車で持ってきて即売をしたり、焼き鳥やたこ焼きなど「ふだんの商店街にないもの」を楽しんでもらうという「市」です。小さなお祭りのようなものですね。この時に、小学校の前あたりの道が歩行者天国になり、その長さが29.4m。これは自分で実測してみての数字ですが、日本一短いのではないかと思います。

戸塚区民市の様子
戸塚区民市の様子

―横浜市商店街総連合会が主催している「ガチ!」シリーズにもたくさんの店が参加しているそうですね。

千葉さん:テーマに沿って横浜にある商店街の「ガチ!でうまいもの」を決める企画ですが、2011(平成23)年の「ガチコロ!」(コロッケ)から始まって、スイーツや丼、カレー、麺類などのテーマで毎年開催されています。各商店街ごとに割り当てが来るのですが、うちは毎回、3~4店舗出しています。前回の「ガチめん!」では、「幸村」さんがかなり頑張っていました。
「ガチ!」には高橋さんの店も出ましたね。有名なところだと、中華料理屋さんの「花木蘭」(ファムーラン)というお店があって、美味しいですよ。

「花木蘭」(ファムーラン)
「花木蘭」(ファムーラン)

―将来的に、「商店街をこうしていきたい」という思いがあればお聞かせください

千葉さん:課題はたくさんありますが、いずれは活性化のお手本になるような商店街になれたらいいと思っています。前に「ハッピーロード商店街」(板橋区大山町)へ見学に行ったことがあって、自分たちとの違いに愕然としたんですけれど、我々は自分たちの立場を踏まえて、自分たちしかできないものを確立していくしかないな、と思い、頑張っているところです。

高橋さん:僕はさっき申し上げたように、バラバラの商店街じゃなくて、核となる物販の店があって、その間に連続した、何でもそろう商店が並んでいるっていうのが作れたら理想ですね。現実的にそれは難しいかもしれませんが、今シャッターが下りている店のシャッターがもう一度上がって、そこに、地域住民が必要とするお店が入ってくれればいいな、というのが、切実な願いですね。

戸塚区民市の様子
戸塚区民市の様子

―では最後に、「戸塚の街の魅力」について教えてください。

高橋さん:交通アクセスについて言えば、昔よりも、便はすごく良くなりました。アクティー(東海道線快速)が停まるようになったし、湘南新宿ラインもあるから、1本で宇都宮まで行けます。地下鉄を使えば横浜の市街地にも行けて、西は湘南台までいける。これは本当に素晴らしいですね。

奈良さん:いま、街としてはすごく人口が増えてきているので、商店会としてはそれを何とか、取り込みたいと思っているところです。たとえば、商店街にある「こまちカフェ」さんが、けっこう話題になることが多いんですけれど、ここは若いお母さんが中心になったNPOがやっているカフェで、同年代で手を取り合って、いい方向に向けていこうということで、いろいろとやっていらっしゃるんですね。こういう場所を通じて、街全体で、子育ての手助けになるようなことをしたいね、という動きもあるので、そういうことも今後は新しい魅力になっていくと思います。

高橋さん:若い人も孤独なんですよね。結婚してここに来て、友だちがいなくて悩んでいる人もたくさんいるんです。そういう時に、ああいう場所に行って、輪がつながっていくというのは大切なことだなと思います。そこに古くから住んでいるお年寄りを結びつければ、お年寄りと子どもは相性がいいですから、素晴らしいことができそうだな、と感じています。これから面白いことができればいいですね。
街は商人がまちづくりに参加することで、いかようにも発展していくものだと思うんです。「生活に必要なもの」を取り入れていくのが商人ですから。その商人が、我欲を捨てて街の人と共存共栄を図れば、街はきっと良くなる。僕らはそういう気持ちをもって、この街に尽くしていきたいですね。

戸塚宿ほのぼの商和会
戸塚宿ほのぼの商和会

戸塚宿ほのぼの商和会

千葉賢二さん(中央・スナック 赤いくつ)
高橋則雄さん(左・レストラン アンダンテ)
奈良慧子さん(右・クラシス株式会社)
URL:https://www.facebook.com/totukajyuku/
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。

ユニークな取り組みで地元を盛り上げる/戸塚宿ほのぼの商和会 会長 千葉賢二さん、副会長 高橋則雄さん・奈良慧子さん
所在地:神奈川県横浜市戸塚区戸塚町3935−1 開花アパート102
電話番号:045-864-9588
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