フランス産発酵バターをたっぷりと使ったクロワッサンが人気の新丸子のパン屋さん!/『ぱぱぱぱーん!』(神奈川県)
神奈川県川崎市、東急東横線・目黒線「新丸子」駅から、徒歩2分ほどの場所に2018年秋にオープンした『ぱぱぱぱーん!』。インパクト満点な店名のこの店の看板商品は、フランス産発酵バターをたっぷりと使ったクロワッサン。サックリと歯を入れた瞬間、弾けるようにバターの芳香が広がる珠玉の一品には、近隣はもちろん、遠方からも足を運ぶ熱心なファンが多く、週末ともなれば行列ができることも。今回は、この店のオーナーである神戸(かんべ)シェフを訪ね、店の特徴と店名に込めた思い、新丸子という地域への思いについてお聞きしました。
2018年秋、インパクト満天の『ぱぱぱぱーん!』オープン
――『ぱぱぱぱーん!』とはインパクトのある名前ですね!どんなきっかけでここに出店することになったのでしょうか?
神戸さん:店名については、「ちょっと変わっていて、ハッピーな気持ちになれるような名前」を付けたいなとずっと思っていて。「ぱぱぱぱーん!」って、なんか、おめでたい感じじゃないですか。まずその店名が最初に思い浮かんで、それからお店の物件を探し始めた感じです。
この場所については、この店がオープンする前から新丸子に住んでいたので、いちばん最初に考えたのも新丸子だったんですね。ほかにも元住吉とか、いろいろなところを探したんですけれど、いろんなご縁があって、新丸子のこの場所になりました。
― その新丸子との「ご縁」とは何でしょうか?
実はお店の2階が大家さんの事務所なんですが、大家さんが、僕がもともと勤めていた六本木のパン屋さんのファンだったらしくて、僕はこの物件に申し込んだ3番目か4番目だったんですけれど、経歴を見て大家さんが僕に決めてくださったんですよ。今でも大家さんには良くしていただいています。
――お店のコンセプトを教えてください
神戸さん:最近のパン屋さんって、けっこうハード系のこだわったパンだったり、“ブーランジェリー”みたいなおしゃれな名前だったりするんですけれど、僕は単純に「楽しいな」って思ってもらえるお店にしたかったんです。だって、楽しいところに人が集まるじゃないですか。敢えて言うなら、それがコンセプトです。
会話の楽しみにこだわった対面販売
――対面販売をされていますね。この点にもこだわりがあるのでしょうか?
神戸さん:これは、僕がフランスで研修させてもらったお店が対面販売をしていて、そもそもフランスって対面販売が多いんですけれど、そこで見た、店員さんと(お客さんが)話をしている絵が、「すごくいい!」って思ったからです。
トングでパンを取ってレジに持っていくお店だと、下手したらなんにも会話をせずに終わっちゃうじゃないですか。でも対面だと、「これひとつください」とか、「新しいのができたんだね」とか、「いつものやつ」で通じるお客さんがいたり、そういうのが楽しいな、って思ったんです。自分でやるとしたら、最初は小さなお店だし、そのほうがお客さんとも親密になれるかなって思って、対面のお店にしました。
――本格派なのに、価格は安めですね。これは地元の方をターゲットにしているからでしょうか、それとも、遠くから来られる方を見込んでですか?
神戸さん:そもそも、「特にこの層をターゲットにしたい」っていう想定はしていなかったんですよ。この場所を決めてから商工会議所さんに行ったら、「新丸子にはこんな人が住んでいる」っていうデータをもらって、それを見たら、この辺には単身者の方が多いみたいなんですね。だから、一応それは意識していますけれど、タワーマンションもまだまだ出来ていて、ファミリー層の方もけっこう増えているので、そっちの方からも来てくれたらいいな、と思っていました。
――実際のお客様状況としてははいかがですか?
ファミリーの方がけっこう多いですね。お客様のお子さんが、絵を書いてもってきてくださったりして、「オープンした頃はあんなにちっちゃかったのに、こんなにおっきくなったんだー」とか、そういう会話をできようになったのが、最近は嬉しいですね。
看板商品のクロワッサンのほか、ひと味違うこだわりのパンが揃う
――では、おすすめのパンをご紹介ください!
神戸さん:一番はもちろん、「クロワッサン」です。もともと、僕の修行先の麻布のお店(メゾン・ランドゥメンヌ)でクロワッサンの責任者をやらせていただいていたので、独立したらクロワッサンを看板にしたいな、とは思っていたんですね。
クロワッサンには「プレーン」「全粒粉入り」「フロマージュ」の3種類があって、まず「プレーン」については、湯種(ゆだね)っていう、ちょっとこれを入れるともちっとするような製法があるので、その製法で作っています。麻布とはそこがちょっと違います。
「全粒粉入り」は、ちょっとザクザクした、粒子が粗い粉が入ったクロワッサンです。「フロマージュ」は「変わり種もいっこ作ろうかな」って思って考えたもので、チーズも色々試してみたんですけれど、いちばん良かったのがゴーダチーズだったので、それをのせて焼いています。食べ比べをしていただくと、違いがわかって楽しめると思いますよ。
――ほかにおすすめパンはありますか?
神戸さん:お客様から「これ目的」ということで来ていただいているのだと、ひとつは「ナンテール」というパンですね。これはちょっと大きめのパンなんですけれど、「ブリオッシュ」という、水分を加えずに、卵の卵黄、牛乳、生クリームだけで練った生地で焼いていて、中はかなりしっとりしているんですね。これが、電子レンジで温めなおすと「ふわっと、とろっと」に変わるので、「ほかではあんまり見ないパンだね」と、お客さんからよく言われます。
この「ナンテール」はフランスの「ナント」っていう街のあたりの伝統的なパンで、本当はもっと大きめに焼くことが多いんですけれど、うちではそれを手ごろなサイズで出していると思うので、まずは一度食べてみてください。
あと、「ねじねじ」というパンも人気ですね。未発酵のクロワッサン生地をにカスタードとチョコチップを巻いてねじって焼いたもので、パイのようなクリスピーな仕上がりになっています。名前もキャッチーなので、特にお子様に人気がありますね。
――修行先の「メゾン・ランドゥメンヌ」と同じレシピのパンもありますか?
まるっきり一緒というパンは無いです。クロワッサンも、基本的な製法はほぼ一緒ですけれど、レシピは微妙に変えているし、使う素材もちょっと変えています。とくに小麦粉はかなり違うものになっています。
「体に良くないものは使わない」こだわりの素材でつくる美味しさ
――素材に関しては、どんなこだわりを持っていらっしゃいますか?
神戸さん:僕としては当たり前のことなので、「こだわり」とは言っていないんですけれど、マーガリンは一切使わずに、フランス産の発酵バターか、食パンに関してはラードも使っています。「体に良くないものは使わない」という感じですね。
小麦粉に関しては、本当はフランス産のほうが品質が安定していて、使い勝手もいいんですけれど、やっぱり美味しさを求めるなら国産がいいなと思ったので、北海道の小麦粉を主に使っています。8割くらいのパンはそうですね。
新丸子は散策するとすごく面白い
――神戸さんは新丸子在住で、最近お子さんも生まれたと聞きましたが、新丸子エリアの住み心地はいかがですか?
神戸さん:新丸子にはもうトータルで5年くらい住んでいるんですけれど、やっぱり、小さな個人のお店がいっぱいあるのが、一番の魅力だなって思っています。どのお店もすごく頑張っているので応援したくなりますよね。
生活するにも、安い八百屋さんなんかもあるし、夜遅くまでやっているスーパーもあるし、ちょっと歩けば武蔵小杉の大きな商業施設もあるし、反対側に行けば川原でお散歩もできますから、いい街だと思っています。
― 子育て世代におすすめのスポットがあれば教えてください。
うちは5月に子どもが生まれたので、個人的によく行っているのは、武蔵小杉の『グランツリー』ですね。あそこはワンフロアがまるまる子ども向けみたいになっているんですよ。あと、公園も近くにいっぱいありますね。
― 大人の方のおすすめのスポットはいかがですか?
大人目線だと、やっぱり新丸子の小さなお店ですね。僕も5年いてもまだ、「あ、ここにこんなお店があったんだ!」みたいな発見があるし、新しい個人店もどんどんできているし、散策をするとすごく面白いところだと思います。
― 交通の便はいかがですか?
もちろん最高に便利です。武蔵小杉がすぐそこなので、東京駅まで1本で行けるし、新宿、渋谷、池袋にも1本だし、横浜も、羽田空港もすぐです。僕は実家が群馬なので、湘南新宿ラインで群馬に1本で行けちゃうところも便利です。
ただ、武蔵小杉は家賃が高いので、実際に住むなら新丸子が最高だと思います。商店街もあるし、下町っぽい感じがあって雰囲気がすごくいいし、いいところだと思います。
――今後の展望について教えてください。
神戸さん:今でも近くのコーヒー屋さんとか、和菓子屋さんなんかとコラボしたパンを出しているんですけれど、この流れをもっと新丸子全体に広げて、いろんな店とコラボをしてみたいです。それを通して、「小さくても頑張っているお店がたくさんあるんだ」っていうことを、皆さんにもっと知ってもらいたいですね。
あと、実は2号店の「ぱーんつー」というお店を、武蔵新城に今年の5月にオープンしたので、こちらも頑張って繁盛させていきたいです。
――新丸子の街にあって、『ぱぱぱぱーん!』は将来どんな存在でありたいですか?
神戸さん:ちっちゃい時から通っていたパン屋さんが、大人になってもまだあるって、なんかいいですよね。だから、「いつもそこにあって、常連として通いつづけられるような店」になりたいです。「うちの朝食は、あそこの食パンがいつも定番」みたいな。
うちが長く続くことで、皆さんに、「このパン屋さんがあるから新丸子に住みたい」って思ってもらえたらいいな、って思いながら、毎日頑張っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。新丸子にある『ぱぱぱぱーん!』というちょっと変わった店名の、とても素敵なパン生地ならぬパン記事でした。店名の響きからは、結婚式に流れる有名な曲の出だしを彷彿とする雰囲気がありますが、そんなおめでたい場にもぴったりな風味のパンをつくり続ける神戸さん。新丸子の他のお店ともコラボ展開を継続していくことで、いずれは新丸子名物にもなっているかもしれません。そんな『Papapapa-n!』は、新丸子駅西口を出て徒歩2分の場所にあります。新丸子に訪れる機会があれば、芳醇なバターの香りとともに、自慢のクロワッサンもぜひご賞味ください。
パンと焼き菓子のPapapapa-n!(ぱぱぱぱーん!)
ぱぱぱぱーん!店主 神戸友輔(かんべ・ゆうすけ)さん
所在地:神奈川県川崎市中原区新丸子町729
電話番号:044-387-6014
※この情報は2020(令和2)年8月時点のものです。
フランス産発酵バターをたっぷりと使ったクロワッサンが人気の新丸子のパン屋さん!/『ぱぱぱぱーん!』(神奈川県)
所在地:神奈川県川崎市中原区 新丸子町729
電話番号: 044-387-6014
営業時間:9:00〜パンが売り切れ次第
※土曜、祝日は16:00、平日は18:00くらいに終了しそうです
定休:日・月曜日
https://papapapa-n.com/