教育意識が高い地域で、地元中学と連携して子どもたちの成長を見守る/豊中市立東豊中小学校(大阪府)
阪急バスに乗って「東豊中小学校前」駅で下車、落ち着いた住宅エリア内に建つ「豊中市立東豊中小学校」は、千里丘陵開発の頃、1967年東豊中団地の誕生と共にできた豊中市で23番目の小学校です。 今回は、2021年(令和3)年度から同校に着任された田辺譲校長先生に、学校の特色や周辺地域との関わりについてお話を伺いました。
創立1967年、開校当時植えたポプラは大木に成長
――校長先生は今年着任されたそうですね。
田辺校長先生:2018年度から教頭として本校に勤務し、2021年度から校長として着任しましたが、実は教諭時代も5年ほどここにおりました。まだ40代で校長としては年齢も若いことから、お話をいただいたときは若干不安もありました。生まれ育った豊中で恩返しができればと思っています。コロナ禍ということもあり、学校単位で判断を迫られることも多く大変ではありますが、共に働いてきた仲間である先生方が大勢いらっしゃいますので、サポートしていただき、助かっています。
――今年創立55周年を迎えられたそうですね。これまでの沿革をご紹介いただけますか?
田辺校長先生:豊中市には41の小学校があり、23番目に誕生しました。当時は本校しかなかったことから、1974年には、児童数1578名、学級数も39というマンモス校になり、隣にある東豊台小学校を分離することになりました。
――現在の「東豊中小学校」について、児童数、学級数などを教えていただけますか?
田辺校長先生:今年度は、児童数487名、学級数21(特別支援学級4を含む)でスタートしました。豊中でも北部にあり、落ち着いた環境の中で、子どもたちはのびのびと学校生活を送っています。本校の卒業生の8~9割が第十五中学校に、1~2割が北側にある第十一中学校に進みます。
算数の「割合」でのつまずきを6年計画でなくす取り組み
―貴校の教育目標や、その実現のための特色ある取り組みなどあればお聞かせください。
田辺校長先生:教育目標は「広い視野で考え、豊かな心と主体的な行動力をもった子どもの育成」です。前任の蛯谷校長先生が「つよく かしこく やさしく」という3つの柱を掲げられ、私が踏襲させていただきました。学習指導要領も新しく改訂され、「主体的な学び」という視点で授業内容も変わってきています。子どもたちが自ら課題を解決していくために、話し合い活動を授業でも多く取り入れています。
特に6年間の中で一番つまずきやすいといわれている、算数の「割合」に力を入れています。何が問われているのかが分かりにくく、文章を聞き取る力も求められるのが「割合」です。「割合」は4年生から5年生にかけて出てくるのですが、それにつながる部分は1年生の「差を比べる」という部分からスタートするので、関連する領域はすべてしっかりと積み上げていく形で進めています。子どもたちは6年間本校に在籍するので、1~2年で積み上げたことを3~4年で、そして5~6年生でというように継続することで、力がどのようについているのかを見ていきます。
中学受験をする子どもたちが少ない理由は、地元中学の魅力ある学校づくり
――子どもたちの普段の様子や印象を教えてください。
田辺校長先生:豊中の中でも比較的落ち着いた子どもたちが通っている印象です。教育熱心なご家庭が多く、習い事や塾に通うお子さんがとても多いですね。子どもたちの勉強に対する意識も高いように感じます。年度によって差はありますが、中学受験をする子どもたちは1割から2割弱程度でしょうか。公立ですが第十一中学校は学力が非常に高いことから、帰国子女の受け入れも行っており、「勉強についていけるか」を心配する子どもたちもいるほどです。中学校が「私立学校に行く子どもたちを食い止めたい」という想いをもって、魅力ある学校づくりを行っているので、中学受験をする子どもたちが一時期より減ったと聞いています。
――中学校との交流があれば教えてください。
田辺校長先生:8~9割の子どもが通うことになる第十五中学校と、小中交流をさせてもらっています。6年生を中心に中1ギャップの解消を目標に、中学校の先生に出前授業をしてもらったり、クラブ活動の体験・見学を行ったりしています。理科の授業ではどんな実験をするのか、小学校の外国語の授業と英語は何が違うのか、算数と数学の授業の違いはどんなものなのかを知っておくこと、授業の雰囲気を知っておくことは大切です。先生同士は、卒業前と卒業後に連絡会で情報交換を行っています。
先生の努力と子どもの適応力で、一人一台タブレットの導入はスムーズに
――タブレット学習の導入で授業はどのように変わりましたか。
田辺校長先生:昨年コロナ禍で学校が臨時休校になり、豊中市が昨年度中に急いで1人1台のタブレットを用意しました。6年生は昨年の11月、1年生から5年生は今年の1月にタブレットを配布し、タブレット学習がスタートしました。本校は比較的若い先生が多いことから、タブレットに対する抵抗がなかったので、導入はスムーズに進みました。ただ、先生の得手不得手で、授業での利用頻度に差が出てはいけないので、先生もICT研修を積極的に受講して、子どもたちにフィードバックするようにしています。
臨時休校中、学校と子どもたちがつながるために、学年の先生が動画を作って配信するなどタブレット学習の入り口を準備しました。学校のホームページに「すすんでチャレンジ家庭学習」というコーナーを作り、子どもたちが見るための動画アップや、文部科学省や大阪府の教育庁が公開している学習支援教材を紹介するなどの取り組みも行っていました。何より子どもたちは覚えるのが早いので、タブレット学習の導入は特に問題ありませんでした。「先生、こうするんやで」と逆に教えてくれる子もいますね。
子どもたちの自己肯定感を高めるために、身近な存在でありつづけたい
――保護者の方々との関わりはどのような形で進められていますか。
田辺校長先生:コロナ禍でなかなか思うように進められていないのが現状です。そんな中でも「学校活動の見える化」を意識した取り組みを行っています。例年は5月に土曜参観があり、9月・2月にも参観があり、年間3回は授業参観を行っていました。今年度も状況によっては実施できない可能性があります。保護者の方からすると「学校活動は通常どおり行われているけれど、子どもたちの様子を見る機会がない」状態です。アナログではありますが、学校行事ごとにその都度「学校だより」を発行しています。月2回くらいですが、子どもたちの様子を発信することで、保護者の方に学校活動を身近に感じていただければと思っています。
――地域と小学校が連携して行っていることはありますか。
田辺校長先生:学校の教育方針を理解していただき、学校活動に協力してくださっています。校内の小さな田んぼで5年生が田植えをするときは、地域にお住まいの農家の方が指導に来てくださいます。家庭科のミシンの指導に地域のボランティアの方が来ていただくなど、いろいろな場面で協力してくださっています。
――校長先生がこれから東豊中小学校で進めていきたいことはありますか。
田辺校長先生:子どもたちには、誰かから必要とされているという「自己肯定感」をもって、自分を認めてくれる大人が周囲にいる環境を整えてあげたいと思っています。自分が認められている、受け入れられていると思うと、子どもたちは孤独感を感じなくなるはずです。子どもたちは、平日はおうちより学校で過ごす時間のほうが長いので、安心・安全はもちろん、心休まる場所でありたいと思っています。「こんなことがあったよ」「こんなことができたよ」という話をしてくる子どもには、興味関心をもって「すごいやんか!」といった声掛けをしていきたいです。そう言われるだけでもすごくうれしいものですよね。そういう小さなことを大事にしていきたいと思っています。授業もよく見に行くんですが、「あ、校長先生!」と子どもたちが言ってくれるのが、私もうれしいので(笑)。子どもたちにとっても、保護者にとっても、地域にとっても身近な校長先生でありたいですね。
大小さまざまな公園が点在する東豊中エリア
――このあたりの住環境は、「住みやすい」という声が多い地域ですか。
田辺校長先生:そうですね。豊中市全体が住みやすいエリアだと思います。伊丹空港も近く、高速道路も充実。電車も阪急・北大阪急行が通っているので通勤や通学にもとても便利です。ただ、東豊中に限っていえば、最寄り駅は北大阪急行の「桃山台」駅になりますが、歩いて15分くらいはかかります。駅まではバスを利用する人が多いですね。
子どもを育てるという点では、大小さまざまな公園が点在するなど、緑が多い点は大きな魅力です。「とよなか百景」に選ばれている三ツ池の桜並木はきれいですよ。このエリアで住まいを探している子育て世代の方にとって、子どもが通う小学校や中学校は重要です。魅力ある学校づくりに取り組んでいる第十一中学校、第十五中学校に通うことのできる校区ということで、教育への意識が高い保護者の方にとっては、今後も注目のエリアになっていくでしょう。
豊中市立東豊中小学校
田辺譲校長先生
所在地 : 大阪府豊中市東豊中5-1-1
電話番号: 06-6848-4120
URL: http://www.toyonaka-osa.ed.jp/cms/h-toyon/
※この情報は2021(令和3)年8月時点のものです。
教育意識が高い地域で、地元中学と連携して子どもたちの成長を見守る/豊中市立東豊中小学校(大阪府)
所在地:大阪府豊中市東豊中5-1-1
電話番号:06-6848-4120・4001
http://www.toyonaka-osa.ed.jp/cms/h-toyo..