誰もが暮らしやすく、あたたかなまちづくりを／テクノパーク桜まちづくりを考える会（千葉県）

良好な生活環境を求める地域住民の想いが実を結び、約6ヘクタールもの広大な敷地に誕生する新しい街「ウェルネスシティつくば桜」。“子どもの通学路に信号機をつけて欲しい”という一言から始まった街づくりの活動は、テクノパーク桜を今後どのような街へと導いていくのでしょうか。住民によるまちづくりを行っている有志団体「テクノパーク桜まちづくりを考える会」代表の水谷浩子さんにお話を伺いました。

――テクノパーク桜に住んでどれくらいですか？

水谷さん：夫の仕事の関係でもともとは吾妻の公務員宿舎に10年ほど住んでいたのですが、テクノパーク桜で戸建ての分譲がはじまったのを知り、移り住んだのが今からおよそ20年前のことです。当時はまだ周りに家も少なくてスーパーマーケットが一軒あるだけといった状況で、たくさんの自然に囲まれたおだやかな環境でした。

水谷さん：友人の中には、小学校に通う子どもの教育環境を心配してくれる人もいましたが、お世話になった「つくば市立栗原小学校」では、小規模校ならではの良さを活かした先生方の手厚い指導のおかげで、二人の子どもも自分たちの希望を叶えて、今はそれぞれ都内の大学、就職先で頑張っているところです。

――まちづくりの活動をはじめるようになったきっかけは？

水谷さん：自宅から「栗原小学校」へと向かう間に、テクノパーク桜のメインストリートとなっている“しらかし通り”を渡らなければならなかったのですが、当時は信号機がひとつもなく、車の往来が激しい道をひとりで渡らせなければいけないのがなにより心配でした。

水谷さん：そこで、「子どもの通学路に信号機をつくって欲しい」と学校に相談したのがきっかけで、まちづくりの活動に携わるようになりました。
当時は、周りに同年代の子どもがいなかったため通学班もなく、娘ひとりのために信号機を作ってくださいと言うのは、ためらいもあったのですが、相談した翌日には警察に一緒に行きましょうと学校やPTAの会長さんが親身になって行動してくれたのが嬉しくて、その恩返しにと地域の活動やボランティアに積極的に取り組むようになりました。

――「テクノパーク桜まちづくりを考える会」が発足したきっかけは？

水谷さん：テクノパーク桜はもともと研究所と低層の住宅という職住一体型として開発された地区だったのですが、地区内にペアホテルが計画されるという問題が持ち上がり、良好な生活環境を守るために発足したのが「テクノパーク桜まちづくりを考える会」のはじまりです。

つくば市のウェブサイトにもありますが、「つくば市地域まちづくり活動」に参加するまちづくりグループに位置づけられており、テクノパーク桜が今後どのような街になっていくかを私たち自身が考えていく重要な役割を担っています。
その後ペアホテルの建設計画は白紙に戻り、この件がきっかけで約2万名の署名を集めて市に要望し、ラブホテル建築規制条例がつくば市に制定されました。2013（平成25）年に「第一種低層住居専用地域」と地区計画の変更が実現したことで、今回の「ウェルネスシティつくば桜」のまちづくりにも関わるようになりました。

――「テクノパーク桜まちづくりを考える会」のこれまでの主な活動は？

水谷さん：地域住民と学生、また小・中学校などの地域のつながりを深めるためのきっかけづくりとして2011（平成23）年より3年連続で「テクノパーク桜まつり」を開催いたしました。桜地区以外の店舗の協力もあり、計31店舗もの出店協力を得られたほか、学生や社会人サークルなどによるパフォーマンスなどで大いに盛り上がりました。

水谷さん：また「テクノパーク桜まつり」をきっかけに、2012（平成24）年3月には地元の店舗15軒による「テクノパーク桜商店会」も発足し、商店主さんとも連携をとりながらまちづくりを進めています。

――テクノパーク桜の魅力は？また「ウェルネスシティつくば桜」に移り住む方へメッセージをお願いします。

水谷さん：子育て環境にも適した自然環境に恵まれているのはもちろん、スーパーマーケットや飲食店などが身近なところに集まっているのは、つくば市内でも恵まれた生活環境です。たとえ高齢になって運転ができなくなったとしても安心して住めるでしょう。

水谷さん：また、全国的にも珍しい学生街ということもあり、街全体が歳をとらないため、循環する街としての魅力を併せ持っています。
20年前、信号機の設置をめぐり私たち家族が栗原の方々にあたたかく迎え入れていただいたように、「ウェルネスシティつくば桜」に住まいを構える方々も、私たちが笑顔で迎えてあげたいと思います。