食文化が豊かな街・あざみ野で、世代を超えて愛される/OSTERIA PACE(オステリアパーチェ) (神奈川県)
「あざみ野」駅前から南へ1キロメートルほど、東名高速をくぐった先の一角に、地域の人々に親しまれるレストラン「OSTERIA PACE(オステリアパーチェ)」がある。広い石造りの外階段をあがると、店の前に到着する。そこから見下ろすのは、国道246号線を走る車と、荏田方面に広がる住宅街。夕暮れには空が美しく染まり、やわらかな街の灯りが風景に彩りを添えてくれる。
今回は、そんな“あざみ野の隠れ家”的存在のレストラン「OSTERIA PACE(オステリアパーチェ)」を営み、ご自身もエリアに在住という本多伸行シェフを訪ね、お店へのこだわりや、街に対する想いを伺った。
お店にも、暮らすにも、「いいな」が揃ったあざみ野。
――本多シェフは現在あざみ野にお住まいということですが、商売の地として、また暮らす街として、あざみ野を選ばれた経緯を教えてください。
本多さん:ここのオープン前、15年程前までは、自由が丘でイタリア人シェフの下で働いていたのですが、当時の住まいは市が尾でした。「独立するなら家の近くにお店を出して働きたい」という思いがあり、田園都市エリアで物件を探したんですね。住居としても、お店としても。
当時、たまプラーザや市が尾付近も含めて探しましたが、あざみ野は飲食店が多く、そのレベルも高い、加えて暮らすにも便利そうで、そこがまず「いいな」と思ったポイントですね。僕は犬が好きで、たくさん飼っているんですが、あざみ野だと駅からちょっと離れるだけで豊かな田園風景も広がっているので、犬を遊ばせるのにもいいな、という思いもありました。お店についても、たまたま、このマンションのオーナーさんと良いご縁があって、ここにお店を開くことにしました。
あざみ野は、食のレベルが高く、新旧の魅力を感じられる街。
――シェフはオープンから約15年、あざみ野にお住まいということですが、街の変化を感じられますか?
本多さん:隣のたまプラーザは再開発が進んで、ここ数年でだいぶ変わったと思いますが、あざみ野はいい意味で変化が少なく、「あざみ野商店会」などの昔からの商店街も残っているし、地元のお店の方たちがすごく頑張っている街です。
だからこそ昔ながらのお店もありますし、家賃もそこまで高くないからか、最近は若い方が新しいお店を開いたりして、お洒落なお店も増えています。そうした、新旧の魅力がうまくミックスされていることは、あざみ野の面白いところだと思いますね。
あとは食のレベルがすごく高いと感じています。個人で営まれている美味しい飲食店がお店が多い街なので、食事の楽しみには苦労しないですね。なぜそうなっているかと言えば、やっぱり「味のわかる方」が多いからだと思うんです。うちもよく「都内レベルの味なのに、価格は横浜だね」なんて言っていただけるんですけれど、そういう舌の肥えたお客様に恵まれていて、本当に有難いことです。
――子育てをする環境としては、いかがでしょうか?
本多さん:公園が多かったり、自然が近くにあるというのは、ひとつ魅力だと思います。また、教育に対して熱心な方が多い場所なので、塾や習い事もかなり充実しているし、交友関係も安心できる感じがあるので、落ち着いて子育てできる地域なんじゃないかと思います。
――あざみ野エリアの魅力的な景色、好きな場所などを教えてください。
本多さん:あざみ野2丁目にある桜並木が一番好きですね。西口から徒歩10分くらい歩いたところにある、「桜通り」と呼ばれているところです。僕もよく犬を連れて散歩しているんですけれど、春は本当に圧巻ですよ。
子ども、大人も、愛犬も一緒に楽しめるオステリア。
――お店のコンセプトを教えてください。
本多さん:当店は「オステリア」として、「リストランテ」と呼ばれるお店に比べると、比較的カジュアルな仕様で、「お子様からお年寄りの方まで、誰にでも来ていただけるお店」であることをコンセプトにしています。
料理については、たとえば自分の両親や、小さなお子さんも想像して、美味しく食べてもらえる料理を出したいと思い、塩加減や油の量などもそうした基準で考えています。一言で表現すれば、「優しい味付け」でしょうか。イタリア人シェフから教わった味をベースに、日本人にも食べやすい味付けにアレンジをして、毎日でも食べられるような素材感や味になるように心がけています。
――室内も、愛犬と一緒に利用できるのですね。
本多さん:はい、ワンちゃんも全席OKにしています!ただ、もちろん「ちゃんとしつけができている」ということは前提になりますね。ワンちゃんを連れて来られる方に関しては予約の時点でお伺いし、犬種も聞いています。他のお客さんの予約が入る時には、「ワンちゃんのいるお客さんがいますが、アレルギーは大丈夫ですか?」とアナウンスをするようにしています。
小型犬を連れてくる方が多いのでまずトラブルはないですね。大型犬の場合は、貸切のパーティーなどで使っていただいています。
名物料理で、美味しいひと時を過ごす。
――料理の全体的な特徴と、名物料理について教えてください。
本多さん:私の料理の師匠がイタリア南部のトスカーナ地方出身の方なので、ベースはその辺りにあるのですが、南部だけではなく北部の料理も含め、イタリア料理全般をお出ししています。
名物料理は「ボローニャ風のラザーニャ」ですね。「グラナパダーノ」というイタリアのチーズを使っていて、テレビなどでも何度か紹介していただいているので、これを目当てに来られるお客様も多いです。赤ワインと一緒に合わせると美味しいですよ。あとは、生パスタも好評をいただいています。つけ麺用の麺で有名な「浅草開化楼」という製麺屋さんに特注で作ってもらっているもので、水を極限まで減らした低加水麺で、歯切れの良さが特徴になっています。
ワインについても、イタリアワインが中心で、生産地は北から南まで揃えています。また最近では、感染症関連の事情もあってかノンアルコールのワインもよく出るようになりましたが、そちらは山梨県産のものをご用意しています。そうでなくても、車で来られるお客さんも多いのですが、やはりドライバーの方にもワインを飲むことを楽しんでもらいたいので、ぜひこちらを試してみてください。
――価格もカジュアルな設定ということですが、予算感などはありますか。
本多さん:昼は2,000円程、夜は5,000円程で楽しまれる方が多いですね。前菜、パスタかピザ、デザート、コーヒーを組み合わせたランチセットが2,000円以内ですが、お昼に3,000円程のコースを召し上がる方もいらっしゃいますね。ディナーは3,300円からご用意しており、メインがついても5,000円以内です。
日々の食事から、特別な人との時間も、地元客のさまざまな「ご近所使い」に応える。
――どのようなお客様が来られますか?
本多さん:年齢層は幅広いのですが、ファミリーの方については、地元の方が中心ですね。平日の昼は、近くのママ友同士の方々が多く、週末になるとその方が旦那さんとお子さんを連れてご家族で来てくださったり。シーンで使い分けてくださっているような感じです。
恋人同士やご夫婦の記念日、誕生日といったシーンでのご利用ももちろんあります。15年もやっていると、最初に来た時には幼稚園だった子が、お酒も飲めるようになっていて、友達や恋人と一緒に来たりということもあるんですよ。あとは、愛犬家同士のつながりなどで、貸切で使ってくださる方も多いです。
――予約は必須ですか?
本多さん:必須ではないですが、予約はぜひお願いしたいですね。予約状況に合わせて仕入れも仕込みも、僕ひとりでやっていまして、空いていればもちろん入れますけれども、車を停めてここまで階段を上がってきて満席でお断りするというのは心苦しいですし、貸切の時もありますので、ぜひ電話を入れてからご来店ください。
何世代でも食事を楽しんでもらえるように、これからも変わらない“地域密着”であること。
――地域にとって、今後どのようなお店でありたいとお考えですか?
本多さん:“地域密着”のお店ということは開店当初からずっと掲げていて、「このエリアで一番おいしくて、サービスがいいね、リーズナブルだね」と言っていただけるように、と思ってやってきて、そこはこれからも変わらないと思います。
これからも、お子様からお年寄りまで、2世代、3世代と楽しんでいただけるような料理を作っていきたいです。小さかったお子さんが、大きくなって独り立ちして、結婚して、奥さんと一緒にお店に来てくれたりしたら、それが理想ですよね。
僕はいつも「うちに来たからには、しっかり食事をしてもらいたい」と思いながら作っているので、ぜひお腹を空かせて来ていただいて、美味しくいっぱい食べて、笑顔になって、一緒に食事をする人との大切な時間を楽しんでいただければと思います。
OSTERIA PACE(オステリアパーチェ)
店主 本多 伸行さん
所在地:神奈川県横浜市青葉区荏田町1476-1 カーサビラ3F
電話番号:045-915-8544
URL:https://osteriapace.gorp.jp/
※この情報は2022(令和4)年2月時点のものです。
食文化が豊かな街・あざみ野で、世代を超えて愛される/OSTERIA PACE(オステリアパーチェ) (神奈川県)
所在地:神奈川県横浜市青葉区荏田町1476-1 カーサビラ3F
電話番号:045-915-8544
営業時間:12:00~L.O.14:00(土・日曜日、祝日は~L.O.13:30)、18:00~L.O.21:00
定休日:水曜日、第3火曜日
http://www.osteria-pace.com/