本物の素材と確かな技術が生む絶品洋菓子「菓子工房ガトーマスダ」/菓子工房ガトーマスダ 増田嘉嗣さん
「菓子工房ガトーマスダ」は、2000(平成12)年9月20日にオープン。本店(高島平)をはじめ、志村坂上店、成増ダイエー店、カスミ前野町店、横須賀店の全5店舗を構える名店だ。代表の増田嘉嗣(ますだよしつぐ)さんは、フルーツの加工会社「三啓商事」を経営し50年以上に渡りフルーツの加工及び製造・販売を行ってきた。そこで培ってきた技術を生かし開発してきたお菓子の数々を、直接お客様に届けたいとの思いで始めたのが同店の始まりである。増田さんに話を伺い、店の特色やこだわり、今後の展望について語っていただいた。
素材へのこだわりがおいしさへ繋がる
――お店の特色、ケーキ作りで一番大切にしていることついて教えてください。
増田さん:ガトーマスダの製品には、食品添加物を使用することはありません。また、マーガリンやホイップクリームは当社製品には使用しておりません。お客様の健康を考えて、体に良くないものは一切使用しないことが当社の一番大切にしているポリシーです。一般的にケーキ類や焼菓子類に合成着色料、合成香料、合成保存料などの食品添加物が使われていることは、よくご存じだと思います。また、洋菓子作りに欠かせないもので重要な食材に、マーガリン(コンパウンドバター含む)、ホイップクリーム、ショートニングがあります。実はこれらはフレッシュバター及び純生クリームの代用品なのです。そしてこれらの製造に用いられる添加物が乳化剤です。この乳化剤こそが時として、小さなお子様(乳幼児)や胃腸の弱い方には大変な負担をかける原因になっています。
お菓子屋として、食を提供する側として安心安全なものを召し上がって頂くことは当たり前です。食品添加物は、摂取しなくても良いのであればしないほうが良いのですし、使用しない方が3倍美味しいお菓子になります。おかげさまで多くのお客様から「ガトーマスダのケーキやお菓子はどれを食べても美味しいね!」と言って頂いております。当店が食材の全てに天然のもの、自然のものにこだわってきた結果が、お客様の評価につながっていると思います。
――おすすめの商品について教えてください。
増田さん:「完熟アップルパイ」がオススメです。山形・寒河江産の完熟リンゴを使用し、レモン果汁だけでソテーして濃縮した白いリンゴと赤ワインに漬け込んだ赤いリンゴの2種類のリンゴの良さを組み合わせたもので、アップルパイのイメージを一変させる逸品ですよ。また、「純生ロールケーキ」「レモンパイ」「熟成ショコラケーキ」「フルーツケーキ」などもオススメですね。
人の10倍の努力と100倍の実験
――お店を始めた経緯について教えていただけますか。
増田さん:戦後間もない昭和30年代に、元々は東京の大学の工学部に進学しようと思い九州から東京に出てきたのですが、食べていくだけでも大変な毎日を送っていました。そこで、将来設計を見直し、就職することにしたのですが、私は子どものころから“ものづくり”が好きでしたので、“ものづくり”に携わることができる仕事はないのか、と探し始めました。
そこでたまたま就職したのが合羽橋の菓子問屋でした。ある日取引先を周っているとフルーツケーキを目にする機会がありまして、それに私は刺激的なひらめきを感じたのです。フルーツの洋酒漬けはまだ一般的ではないし、今後大きなマーケットになる予感がしました。洋酒漬けの技術を磨くには年数がかかるものなので、若いうちに独立して腕を磨いていこうと決めました。
そして、人の10倍の努力と人の100倍の実験をすればなんとかなる、と腹を決めて弟子入りをせずに独立しました。こうして始まったフルーツ加工、製造・販売を行う「三啓商事」は、後にガトーマスダの母体となったのです。ここ高島平を選んだ理由は、フルーツ等の全国発送をするための運送業社が近くにあり利便性に優れていたこと、一緒に働いてくださるパートさんが多く集まる地域だったことも大きいですね。そして1977(昭和52)年には新工場を構えて、フルーツの洋酒漬け、糖漬け、りんごの加工品、マロンペースト等の菓子材料をここ高島平から製造し、2001(平成13)年に洋菓子店のモデル店として「ガトーマスダ本店」をオープンしました。「三啓商事」で培われたフルーツ加工のノウハウは、ガトーマスダの洋菓子には欠かせないものになりました。
――「いたばしのいっぴん」に選ばれた「完熟アップルパイ」について商品開発のコンセプトや苦労などについて聞かせてください。
増田さん:40年ほど前取引先を訪問していた時に、山形のりんご農家でりんごの「ふじ」に出会いまして、その時に「こんな美味しいりんごがあるんだ!」と衝撃を受けました。それまでのリンゴにはない甘さとジューシーさに大変驚きました。私自身アップルパイは甘くて好きではなかったこともありまして、このリンゴを使って日本一のアップルパイを作ろう、と闘争心に火がつきました。リンゴ農家に土作りから依頼して納得のいくリンゴに辿り着くまで10年、それからリンゴの水分を抜き糖度を高める製法を編み出すのに15年の歳月を要しました。リンゴの漬け込みに使用するにも一流の酒を使用し、良い材料、良い食材と味のバランスを徹底して研究し開発しました。その結果、他にはないリンゴは甘さがすっきりとしてサクサクの食感、パイはパリパリ香ばしい、リンゴの自然な美味しさが生きる「完熟アップルパイ」が生まれました。
落ち着きがあり暮らしやすい街、高島平に根付いた本店
――本店ならではの特徴がありましたら教えてください。
増田さん:本店では、以前ランチ営業をしていた名残もありましてイートインスペースがあります。お客様にゆっくりと寛いで本物のケーキを味わっていただきたく、ちょっと贅沢なイタリー家具やステンドグラス等が楽しめる空間をご用意しています。ぜひご利用ください。
――このあたりの方は、どういう目的でケーキを買いに来られる方が多いですか?
増田さん:お客様には高島平近辺の方はもちろん、埼玉や神奈川からも来ていただいています。ちょっと贅沢したい時や大事な方へのワンランク上のギフト商品として買い求められる方が多いですね。
――高島平の街の魅力、住みやすさについて教えて下さい。
増田さん:「赤塚公園」や「高島平緑地」など緑や公園が多いところが良いと思います。また、治安が保たれていて街に落ち着きがありとても暮らしやすいですね。「高島平中央病院」をはじめ医療機関が多くあるところも安心です。都心からのアクセスも良いですし、買い物も楽しめる。自然にもたくさん触れ合うことができる、そんな街だと思います。私は、高島平が好きですし、この街の人との関わりはとても大事だと考えていまして、店では年に3,4回中小企業診断士音楽隊とのコラボレーションでミニコンサートを開催しています。前回はのばら、オンブラマイフ、ヴァイオリンとオーボエのためのコンチェルトなど盛りだくさんの演奏をしたり、「おかしなはなし」と題しケーキのこだわりについてお伝えしたりしました。今後も続けていきたい活動のひとつです。
――「ガトーマスダ」のほかに、高島平エリアでおすすめのお店がありましたら、教えてください。
増田さん:「中国四川料理 剣閣」がオススメですね。あらゆる面でレベルが高く美味しいです。お店の息子さんが修行から戻ってきてから更に良くなったと思いますよ。同じものづくりをする人、食を扱う人として共感します。
――何か、次に挑戦、研究したいことなどありましたらお願いします。
増田さん:現在もガトーマスダのホームページ上で「おかしなはなし」を連載しています。私の中では既に100話分ほどありまして、随時記事にして公開していきたいと思っています。お菓子に興味がある人や現在業界で働いている人に、私が積み上げてきた考え方、経験、哲学をどんどん知らせていきたいと思っています。そして刺激を受けた人たちが、ガトーマスダは面白い、働いてみたい、と思っていただき最終的には技術を身につけて、お菓子業界全体が活性化されたり雇用に繋がったりすることができれば良いと思っています。
菓子工房ガトーマスダ
代表 増田嘉嗣さん
所在地 :東京都板橋区高島平7-14-21
TEL :03-3939-2992
URL:http://www.gato-masuda.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。
本物の素材と確かな技術が生む絶品洋菓子「菓子工房ガトーマスダ」/菓子工房ガトーマスダ 増田嘉嗣さん
所在地:東京都板橋区高島平7-14-21
電話番号:03-3939-2992
営業時間:10:00~20:00
定休日:1月1日
http://www.gato-masuda.co.jp/