名古屋市立山吹小学校 山内敏之校長先生 インタビュー

歴史ある穏やかな街並みとそこに暮らす人が共に児童を育てる/名古屋市立山吹小学校 山内敏之校長先生

名古屋市立山吹小学校
山内敏之校長先生

1871(明治4)年にその前身ができた「名古屋市立山吹小学校」は、2018(平成30)年で開学147年を迎える名古屋市内で最も古くからある学校のひとつだ。学区は名古屋城の築城と共に造られた武家屋敷や町屋が多く並び、その面影を色濃く残す場所であり、「町並み保存地区」にもなっている。恵まれた環境ゆえ、市内でも人気の山吹学区。今回は、山内敏之校長先生に伺ったお話を基に、そんなエリアに建つ学校の魅力について紹介する。

開学147年、長い歴史を経て

2013(平成25)年度に改造工事を行った校舎は、木をふんだんに使った温かみのある造り
2013(平成25)年度に改造工事を行った校舎は、木をふんだんに使った温かみのある造り

歴史は古く、1872(明治5)年の学制頒布の前年、1871(明治4)年、現在の学区内にある大光寺と長久寺にて初等教育が行われたのが始まりとされている。1882(明治15)年、今の「逓信病院」の場所に学校が建ち、「第19番小学棣棠(やまぶき)学校」という名称に。「棣棠(ていとう)」とは中国の言葉で山吹の意味。この難しい「棣棠」の字を使用したのは、当時の校長三浦義重、教頭朝岡直三郎が漢学に造詣が深く、その意見に従ったからだと言われている。1887(明治20)年、前年に発令された「小学校令」に基づき名古屋区「棣棠尋常小学校」と改称され、1895(明治28)年には現在の「山吹小学校」の場所である橦木町に新築移転した。
戦時中、空襲で校舎が全焼するなどの困難を乗り越え、1946(昭和21)年、「棣棠国民学校」と「白壁国民学校」が一緒になり、「山吹小学校」が出来上がり、新しい歴史が始まった。現在は、開学147年、名古屋で最も伝統ある学校のひとつとなっている。

周辺は歴史的建造物が残された「町並み保存地区」

校舎北側は、「文化の道」西ルートにあたり、歴史ある建物が残る
校舎北側は、「文化の道」西ルートにあたり、歴史ある建物が残る

「山吹小学校」の周辺地区一帯は、名古屋随一の高級住宅街。また、名古屋城築城とともに、学区一帯には武家屋敷や町屋がつくられ、今でも江戸時代からの町割りが残るエリアとして、名古屋市から「白壁・主税・橦木町並み保存地区」に指定されている。学校の北側には輸出陶磁器商、井元為三郎邸として建てられた「橦木館」や、「大森家住宅」「伊藤家住宅」などが並ぶ「文化の道」がある。歴史を間近に感じながら通学することができる恵まれた環境といえる。

考えよう!探ろう!深めよう!

明るい教室
明るい教室

2017(平成29)年度より「 考えよう!探ろう!深めよう! 」というテーマを学校教育の努力点との推進計画の中心に据えて取り組んでいる。児童がめあてに向けて考えを持ち、めあて達成のために友達と対話をし、何が分かったのか、次に確かめたいことは何なのかをまとめ、振り返る。このような学習活動を通して、教科の目標を達成することと、児童の主体的な態度の育成を目指している。

「山吹小学校」ならではの学校行事・取組
―音楽集会―

音楽集会の様子
音楽集会の様子

「ひよこ集会」「うぐいす集会」と題した「音楽集会」が当学校の自慢。各学年、年間1回ずつ担当が割り当てられ、自分たちで曲を選んで他の学年に披露。全校児童にその曲を歌ってもらうため、時間をかけて練習し、次の機会にはその曲を全員で歌うという流れになっている。1年生でも最低2部合唱を行い、自分たちで指揮も行うという、とてもレベルの高い楽曲に仕上がるのが特徴。

―地域との交流―

「山吹ゼミナール」のようす
「山吹ゼミナール」のようす

「山吹キャリアゼミナール」というのも、特徴的な取り組みのひとつ。5、6年生を対象に、様々な職を持つ児童の保護者に講師として来てもらい授業を行っている。例えば2017(平成29)年度は税理士、飲食店経営、不動産販売、医師、薬剤師といった保護者が自分の職業について語った。特別講師を呼ばずとも、父母という身近な大人から貴重な話を聞けるというのは恵まれたポイント。児童自身が将来仕事を選択する上で、その表面的な部分だけでなく、当事者が感じているやりがいや苦労などを聞けることは大きな財産になると考えられる。

秋に行われる運動会
秋に行われる運動会

毎年秋に行われる運動会には保護者だけでなく、多くの地域の方も見学に訪れる。また、学区高齢者との交流を大切にしていて、年生はお年寄りと一緒にゲームをしたり給食を食べたりする「ワイワイ学校給食」を実施している。

―歴史・文化の継承―

東門からの様子
東門からの様子

歴史的文化財が多い土地柄を生かした授業も行っている。周辺には「文化のみち 橦木館」「 文化のみち 二葉館」「旧豊田佐助邸」など建物があり、3年生や6年生が現地に行き、調べ学習を行っている。学区に「白壁・主税・橦木町並み保存地区」をもつ特色を活かし、そこから直接学ぶことを通して、地域の文化を継承すると共に、地域に愛着を持ち大切にしようとする気持ちの育成を目指している。

魅力的な学校施設

屋上庭園
屋上庭園

全国的にも珍しい「屋上庭園」。校舎の屋上に教室2クラス分のスペースを使い、枯山水のように庭石などを置き日本庭園風のスペースが設けてある。
また、学区にお住まいの石像彫刻家、大口明一氏寄贈の彫刻も、敷地内の所々に置かれている。観察池の中にある、「石のエイ」、北正門内にある「ひなを抱く女性の像」がそれにあたり、貴重な芸術作品を身近に感じながら学校生活を送ることができる。

校内調理&磁器を使ったおいしい給食

毎日、美味しい匂いが漂う給食室
毎日、美味しい匂いが漂う給食室

給食は、校舎の1階に設けられた調理場で調理員が毎日腕を振るう。名古屋市がメニュー作成の上で心掛けていることは、「地産地消」。なるべく愛知県の食材を多く使い、滋味豊かな料理が提供される。また、強化用磁器食器も採用しており、アルミと違い、ずっしりと重みと厚みがあるお皿などを手に取ることで、より食事の楽しさを実感する一助となっている。

地域全体で子どもを育てる意識が高い

保護者や地域の人にも公開する作品展(平成27年11月)
保護者や地域の人にも公開する作品展(平成27年11月)

文教地区ゆえに、教育熱心の方が多いというイメージが強いが、実際は、勉強だけに打ち込むのではなく、昔から続く街並みを守る落ち着いた地域の人たちが、温かく子ども達を見守っているという雰囲気を作ってくれていることこそが、この学区の最大の魅力と言える。
「ゼロの日(10日、20日)」には地域の人が大勢出て、交差点に立つなど子ども達の交通安全に努める。そのほか、餅つき大会や、学区の運動会なども開催。それらの行事に積極的に参加してくださる方が多いことも、山吹学区の大きな魅力のひとつなのだ。
※この情報は2015(平成27)年12月の取材に基づいて、2018(平成30)年2月に加筆修正したものです。

今回お話を聞いた人

名古屋市立山吹小学校
山内敏之校長先生

歴史ある穏やかな街並みとそこに暮らす人が共に児童を育てる/名古屋市立山吹小学校 山内敏之校長先生
所在地:愛知県名古屋市東区橦木町2-24 
電話番号:052-931-7625
http://www.yamabuki-e.nagoya-c.ed.jp/