伸びやかに遊びながら学び・育つ「子どもの楽園」/府中白糸幼稚園 園長 平田嘉之先生、副園長 平田嘉史先生
学校法人平田学園 府中白糸幼稚園
園長 平田嘉之先生
副園長 平田嘉史先生
伸びやかに遊びながら学び・育つ「子どもの楽園」
府中市白糸台は多摩丘陵の裾野に広がる高台の土地で、白糸という名前は布作りの村だったことからつけられた名前。「武蔵野台」駅前にはスーパーや銀行が建ち並び、静かで暮らしやすい住宅街が広がっている。特急を利用すれば新宿まで30分足らずという好立地で、ファミリー層に人気の住宅地でもある。高台ゆえに水害からも守られ、古くから多くの人が暮らしたこの白糸台にある「府中白糸台幼稚園」に、この地域の魅力や子育て環境について話をお聞きした。
府中白糸台幼稚園の設立の経緯や概要について教えてください。
昭和43年4月6日に開園した本園は、当時開発が進んでいたこの地域の幼稚園不足を受け、私の父が開設したものです。平成15年に古くなった園舎を建て替え、現在は当時より敷地も広くなってリニューアルしています。
幼稚園には認可されるための施設基準というものがありますが、本園は基準の5倍の面積があります。園庭は約5000平方メートル、お芋畑は1000平方メートル、園児のあそび場のために平成12年に購入した約500平方メートルのうら山もあり、子どもたちは伸び伸びと体を動かして遊んでいます。50台以上ある駐車場もありますので、送迎時に利用していただいています。
現在、年少~年中~年長が各26名から32名程度で5クラスずつ、3歳児のたまごクラスが20名の1クラス。年少さんとたまごクラスは担任が2名おり、年中と年長は担任は1名ずつ。そのほか、フリーの教諭が4名と兼任教諭が9名、体育講師2名、ミュージックドーナッツ講師1名、絵画講師1名、ひまわりぐみの先生が9名、というかなりの大所帯で日々の教育活動をしております。
「ゆうぐみ」「ひまわりぐみ」「たまご組」など、多様なクラスがあるのですね?
「ゆうぐみ」は早朝7時10分からと保育終了後18時までの預かり保育のことで、こちらを実施してから働くママさんたちが増え、パートやアルバイトなどを入れたら4割程度のママさんがお仕事をされていると思います。夏休みも18日程度、冬休みも4日程度お預かりしていますし、幼稚園教育を受けながら長時間お預かりできるので利用する方が多いですね。
「ひまわりぐみ」は1歳・2歳・3歳のコースがあり、未就園児が週1回午前中の3時間、幼稚園に来て先生や同じ年齢のお友だちと遊んで過ごす内容です。早い時期から集団で過ごすことで経験値も高くなり、対人関係も上手に作れるようになることから、需要が高まっていると感じます。
「たまご組」は満3歳を迎えたら入れる幼稚園のクラス(4年保育)で、3年保育の年少さんとは別クラスとして設けています。週5日、9時から13時30分(水曜は11時まで)を幼稚園で過ごします。早く幼稚園に入れて集団生活を身に着けさせたいという保護者の方々のご要望に応えて始めたクラスです。
1日の流れを教えてください。
「ゆうぐみ」という預かり保育の園児たちは、朝7時10分お預かりしています。通常バスでは8時20から9時40の間、徒歩では8時30から9時15分の間に登園。登園したらすぐに自由遊びになります。広い園庭で工夫したりイメージしたり、友だちとの関わりのなかで自主的に遊べるようにしています。
その後は子どもたちの様子に合わせて、その日の活動内容を決めます。自由遊びの続きになることもありますし、ミュージックドーナッツや制作活動、運動遊びなどの活動になることもあります。 昼のごあいさつをしたら、クラス交流をしながらランチタイム。
月・火・木は給食、金曜日はお弁当です。13時15分から降園準備をし、13時30分から順次小さいクラスから降園をします。14時以降は預かり保育で18時まで随時お預かりします。
保育活動で大切にしていらっしゃることは何でしょうか?
子どもは遊びのなかでさまざまな経験をし、友だち同士のぶつかりあいや小さな危機を乗り越えていくことで「気持ちを切り替える」「人間関係を調整する」といった情動を伸ばして成長していきます。大人が遊びをコントロールしたり仲裁をし過ぎると、その時はうまく納まりますが子ども自身の力はつきません。
過保護にし過ぎず、子どもが自由に自主自発的に遊べる環境を整えることが、この時期の子どもを最も成長させることだと考えています。勉強を教え込むよりも、遊びのなかから知識の必要性を感じるようになり、自ら学ぶ意欲を育てたい。
私の理想は「子どもの楽園」をつくること。常に子どもが主役の幼稚園であり、子ども本来の姿を尊重した幼稚園でありたいと思っています。また子どもの運動能力の著しい低下も問題です。本園では広い園庭と起伏のあるうら山などを使って、体を使った遊びを目いっぱいできるようになっています。学年をまたいで交流し、お兄さん・お姉さんの遊びに憧れ、後を追って遊ぶことでできなかったこともできるようになる。そんな自然な形で、運動能力も高められるような工夫もしています。
先生方への指導も力を入れられているとか。
大学の先生をお呼びして年6回ほど勉強会を開き、保育への理解を深めています。例えば、本園では自由な遊びを中心に保育活動をしており、ドリルなどで勉強を教えたりレベルを決めて到達させるような指導をしていないため、保護者の方々にとってはお子さんの成長が目に見えず分かりづらいという側面があります。
それを改善するために、抽象的な事柄をいかに分かりやすく保護者の方々にお伝えするかを職員全員で学び、保育の狙いや指導方針、子どもたちの成長の様子などを写真入りでお知らせする新聞を作成しました。新聞でもお話するときでも、ポイントは伝えたいことを100%紹介しようとすると過剰になり過ぎるので、大切なエッセンスだけをまとめること。そういったことも、この勉強会で習得しました。
また子どもの保育は非常にクリエイティブな仕事。子どもたちに“遊ぶ楽しさ”を教える先生の視野が狭くなってしまったら、質の良い指導はできません。家に持ち帰る仕事も多いハードワークな幼稚園教諭というお仕事なだけに、週末や夏休みにはきちんと自分の時間を取り真剣に遊んでくれるようにお願いしています。子どもにとって魅力的な先生でいることは大切ですし、その経験が必ず保育に返ると考えるからです。
保護者が参加する行事も多いのですか?
基本的に行事のお手伝いは立候補制にしています。最初は戸惑っていたお母さんたちも、手伝ってみると子どもの様子がよく分かって楽しく、お友だちもたくさんできるので多くの保護者の方々が手を挙げてくださいます。またお仕事などでお手伝いできない方も、行事当日に参加することで盛り上げ役として協力してくださいます。
またお父さんが主役で活動する「キンダーパパ」という独自組織もありまして(笑)、月1回(年7~8回)土曜日に、お父さんが幼稚園に来て子どもと一緒に遊ぶ会もあります。お母さんも参加可能としてしまうとお父さんが後ろに引っ込んでしまうので、この日はお父さんだけと決めています。飲み会にまで発展することも多くて、非常に身近な「異業種交流会」になっていますよ。そこから仕事を一緒にするようになったパパ同士もいるようです。
地域の方々との交流は?
地域の方々との交流も、あえて訪ねたり会を設けたりということではなく、夏祭りや運動会、ハロウィーンのお祭りなどに皆さん気軽に園に来て下さり自然に交流しています。夏祭りは累計で3,500人くらいの来場者があり、入れ替わり立ち代わり地域の方々や卒園生、元保護者の方たちまで大勢訪れて下さいました。自治会の皆さんも毎年運動会に来て下さり、子どもたちの成長を一緒に見守ってくれています。
近隣の材木屋さんが廃材を持ってきてくださったので、秋にはそれを使ってうら山で子どもたちとたき火や焼き芋をしました。また園舎を建ててくれた工務店さんは不要になった材木でうら山に木のステップを作ってくれました。そんな風に常に周囲の方々が幼稚園や子どもたちのことを気にかけてくださり協力してくれる、そんな地域ですね。
この地域の魅力について教えてください。
この地域は鎌倉時代から人々が暮らす歴史のある街で、園の南側に広がる「車返(くるまかえし)」という地名も、源頼朝が鎌倉幕府を開く前の奥州藤原氏との戦いの折、薬師如来像を鎌倉まで移送中に、縁あってこの地に安置することになり運搬に使った車だけを返すことになったことからついた名前です。 水が豊かなのに高台にあることから水害が少なく、昔から多くの人たちが好んで住んでいた地域です。
我が家も先祖代々300年以上この地に暮らしていますが、実に住みやすい街だと思います。近隣の方々ものんびりと鷹揚で、苦情やクレームもほとんどありません。先ほど話にも出たたき火なども、普通なら近隣への配慮からなかなかできない活動ですが、この地域は大らかに見守って下さっています。幼稚園側としては非常に助かっています。
今回、話を聞いた人
学校法人平田学園 府中白糸幼稚園
園長 平田嘉之先生
副園長 平田嘉史先生
学校法人平田学園 府中白糸幼稚園
所在地:東京都府中市白糸台5-13-5
電話番号:042-366-2201
http://www.hiratagakuen.ed.jp/
※記事内容は2015(平成27)年1月時点の情報です。
伸びやかに遊びながら学び・育つ「子どもの楽園」/府中白糸幼稚園 園長 平田嘉之先生、副園長 平田嘉史先生
所在地:東京都府中市白糸台5-13-5
電話番号:042-366-2201
http://www.hiratagakuen.ed.jp/