越谷市立大袋東小学校インタビュー

日本一のビオトープを軸にエコ教育を実践する/越谷市立大袋東小学校 中三川 勉 先生

“ビオトープのある学校”として地域で親しまれている「越谷市立大袋東小学校」。「自然・人・物にやさしい東っ子の育成」を基本目標に掲げ、全国一と表彰されたビオトープを核に20数年以上にもわたって環境教育に力を入れてきた。子どもたちが授業の中で主体的に環境保全に関わる仕組みを作り上げた実績は高く評価され、近年はESDを取り入れて国際的な視野にまで学習の幅を広げている。日頃子どもたちがどのように環境学習に取り組んでいるのか、校長の中三川 勉 先生にお話を伺った。

校内に広がる地域の貴重な自然遺産

―まずは学校の沿革・概要をお聞かせください。

越谷市立大袋東小学校外観
越谷市立大袋東小学校外観

中三川校長:1974(昭和49)年に開校し、今年で42年目を迎えました。児童数は今年度が593名と、ごく一般的な中規模校です。ここ数年は児童数600人弱、各学年3クラスぐらいで安定して推移しています。
校舎の北側に約1,500平方メートルと校地のおよそ8%を占めるビオトープ「ならばやし」があり、これを基盤に長年環境教育に力を入れてきました。このあたり一帯はもともと杉や薪炭用の落葉広葉樹が植えられていた雑木林で、学校を作る時に木を伐らないで保存しておいた所がそのままビオトープの一部となっています。かなり古い木もあり、宅地化が進んだ今となっては、この地域の貴重な自然遺産だといえます。

環境教育から持続発展教育へと拡大

―ビオトープを活用した学習はいつ頃から始められたのでしょうか? またその内容や実績について教えてください。

木々が生い茂るビオトープの様子
木々が生い茂るビオトープの様子

中三川校長:1993(平成5)年に越谷市の「ふれあいサンクチュアリー整備事業」でビオトープを整備して以来、市のモデル校として環境教育に本格的に取り組み始めました。「もっといきいきビオトープ(MIB)」と称し、5年生が総合的な学習の時間の中でビオトープを維持管理しています。ロープ張りや不要な植物の刈込み、掲示物の作成、池に大量繁殖してしまったザリガニの捕獲、低学年の子を落ち葉プールで遊ばせるなど、1学期から子どもたち自身でテーマを決めてグループに分かれて取り組んでいます。ビオトープではコゲラなど常時5種類ぐらいの野鳥を観察することができますが、5年生のアイデアで鳥の巣箱も設置していますよ。

彩の国埼玉環境大賞の表彰状
彩の国埼玉環境大賞の表彰状

本校のビオトープは長年子どもたちが主体となって管理し、それが教育課程の中で位置づけられているという点で、多方面から評価をいただいております。2008(平成20)年には「全国学校ビオトープ・コンクール2007」で日本一の環境大臣賞をいただきました。続けて入賞するのは難しいそうですが、2013(平成25)年と2015(平成27)年には「全国学校・園庭ビオトープコンクール」で日本生態系協会賞を、今年は2度目の「彩の国埼玉環境大賞」をいただいております。歴代の校長や職員がビオトープが本校の環境教育の生命線であるということを意識してきたことが、環境教育をここまで長く続けてこられた理由だと思います。

―現在取り組んでいる環境学習にはどのようなものがありますか?

校内にはこうした環境学習に関する掲示物がたくさん
校内にはこうした環境学習に関する掲示物がたくさん

中三川校長:3~6年生は総合的な学習の時間にテーマ学習として、4大テーマに取り組んでいます。3年生は「3R大作戦」。ゴミの減量やエコキャップの回収に取り組み、節電節水もかなり徹底しています。ゲストティーチャーからリサイクルの現状について話を聞く機会もあります。4年生は「グリーンカーテン」です。2011(平成23)年に校庭西側花壇に設置した大ネットや各階のプランターで6月ぐらいからグリーンカーテンを作り、ゴーヤを中心に苗を植えて育てています。ゴーヤは食べ方の研究をしたり、夏休みの登校日にカレーにして自分たちで食べたり地域の方にふるまったりしています。
5年生はさきほどの「もっといきいきビオトープ」です。6年生はそれまでのエコ活動のまとめとして、「アースレンジャー修了大作戦」に取り組んでいます。自分たちでテーマを決めていますが、今年度は歴史の勉強とからめて江戸のリサイクルについて学んでいました。よしずやわらじ、保存食としてアジの干物を作ったりとユニークでしたよ。またことしは市の行事であるキャンドルナイトにも参加して、レイクタウンの湖岸に子どもたちが牛乳パックで作ったキャンドルホルダーを並べて、キャンドルに火をともしました。
1~2年生は「生活科」でビオトープを活用しています。どんぐり拾いしておもちゃを作ったり、落ち葉プールで遊んだり、昆虫を観察するにももってこいです。
ビオトープは休み時間にも子どもたちによく使われ、親しまれています。本校では自立を養うためノーチャイムを実践していますが、入学したばかりの1年生の中には休み時間になかなかビオトープから帰ってこない子がいるぐらいです(笑)。

―2012(平成24)年度からは持続発展教育(ESD)を取り入れていらっしゃいますね

大賞を受賞した「彩の国埼玉環境大賞」の発表内容の一部
大賞を受賞した「彩の国埼玉環境大賞」の発表内容の一部

中三川校長:ESD(Education for Sustainable Development)とは、持続可能な社会を創るための発展教育です。開発や環境問題、貧困や人権など地球的規模の課題に対して取り組む国際理解教育とも関連し、学校教育において環境をより広く捉えようという試みです。そこで総合的な学習の時間や生活科で行う従来の環境学習に加え、国際理解は社会、人権教育は道徳といったように、他の教科でも関連した内容を系統づけて指導していきます。今年の「彩の国埼玉環境大賞」受賞では、環境学習からESDへと領域を広げている点が評価されたと伺い、非常に嬉しかったですね。

―「エコフェスティバル」とはどのような行事ですか?

教室風景
教室風景

中三川校長:2005(平成17)年に埼玉県教育委員会から学校と民間団体とが協働して環境教育を実践する「学・民ジョイントプロジェクト推進校」の委嘱を受けて以来、毎年6月に実施しています。エコ活動や環境教育の啓発プログラムを持っている企業・NPOに依頼し、校内に体験型のブースを設けて子どもたちが順番に回っていきます。1~6年生を縦割りグループにして6年生が小さい子を案内して回るので、異学年交流の機会ともなっています。ことしは早稲田大学の研究所による「外来種をつかまえよう!」、日本プラスチック食品容器工業会の「プラスチック食品容器の一生」、東武鉄道株式会社の「人と環境にやさしい鉄道」など、15団体と各学年の先生たちとで計20ブースが出展しました。保護者にも公開していて、毎回ほぼすべての家庭が参加しています。

“お父さんの会”がボランティアとして活躍

―地域・保護者との連携について教えてください。

ビオトープにある池。奥には橋が架かっている
ビオトープにある池。奥には橋が架かっている

中三川校長:総合的な学習の時間で、学校ボランティアの方に講師をお願いしています。環境整備においても、“お父さんの会”にビオトープの管理を手伝っていただいたり、埼玉県生態系保護協会越谷支部にビオトープの管理方法や生物調査などで協力していただいています。今ビオトープの池にかかっている橋は“お父さんの会”の大工さんに付け直してもらったものですし、夏休みの逆上がり教室やボール投げ教室でも“お父さんの会”に協力していただいています。

コンパクトにまとまり暮らしやすい街

―学校周辺の街の魅力についてお聞かせください

校庭の様子
校庭の様子

中三川校長:私は2013(平成25)年度に本校に赴任しました。ここに来て驚いたのが、小さな喫茶店やレストランが街に点在していて、モーニングなどを召し上がっている年配の方をよく見かけることです。子どもの数そのものは減っていないので、年配の方と若年層がバランスよく過ごしている地域だなと思います。また、街がコンパクトにまとまっているので、暮らしやすいですね。近くには元荒川が流れ、景観的に大きな存在となっています。

中三川 勉 先生
中三川 勉 先生

今回、話を聞いた人

越谷市立大袋東小学校
校長 :中三川 勉 先生

所在地 :埼玉県越谷市袋山1750
TEL :048-975-4918
URL:http://school.city.koshigaya.saitama.jp/obukuroh_e/index.html
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

日本一のビオトープを軸にエコ教育を実践する/越谷市立大袋東小学校 中三川 勉 先生
所在地:埼玉県越谷市袋山1750 
電話番号:048-975-4918
http://school.city.koshigaya.saitama.jp/..