人口147万人を擁する政令指定都市の玄関口として発展し続ける「川崎」駅周辺の魅力/川崎市まちづくり局 北村岳人さん
神奈川県の北東部に位置し、横浜市と東京都とに挟まれた人口147万人を擁する政令指定都市・川崎市。「川崎」駅を中心とした「川崎駅周辺総合整備計画」は2006(平成18)年4月の策定より10年を迎え、災害対策や東京オリンピック・パラリンピックの開催などに向けた新たな考え方を盛り込み、2016(平成28)年3月29日に改定が行われました。今回は川崎市まちづくり局 市街地開発部 市街地整備推進課の北村岳人さんに「川崎」駅周辺の開発の現状と整備計画の改定のポイントについてお話を伺いました。
「川崎」駅東口の駅前広場のバリアフリー化を実現
―まず、「川崎駅周辺総合整備計画」の概要について教えてください。
北村さん:「川崎駅周辺総合整備計画」は今から10年前の2006(平成18)年4月に策定された計画で、川崎市の玄関口として相応しい「川崎駅周辺」のまちづくりに関する考え方をまとめています。なかでも中心となる事業のひとつが東口駅前広場の再編整備で、地上でも行き来ができるようバリアフリー化にも対応した整備を行いました。以前はバスターミナルに行くのにもいったん地下に降りてから階段を上る必要があり、高齢者やベビーカーを引く子育て中の方にとっては特に利用しにくい環境でした。
また放置自転車やゴミのポイ捨てなどの問題もあったため、“環境美化”をテーマに掲げた取り組みも行ってきました。
自転車については駅前まで乗り入れをせずに、駅から少し離れた場所に駐輪場を設置し、駅前はバスやタクシーなど公共交通を優先しましょうという意識改革も行いました。
また市役所通りに自転車通行帯を設けて歩行者と自転車を分けることで、歩行者が安全にそして快適に通行できる空間を確保しました。将来的には新川通りにも整備する予定で、駐輪場の設置や自転車通行帯整備のハード面の取り組みと同時に、自転車利用のルールやマナーの啓発活動などソフト面の取り組みも継続して行っていきます。
2011(平成23)年3月に再整備した東口駅前広場は、景観にも配慮し見通しの良いガラスの大屋根、LED照明や太陽光パネルの設置をはじめ、塗装面を汚れにくくする光触媒塗装や歩道の温度上昇を防ぐ保水性舗装など、環境に配慮した先端技術が導入され“環境技術の展示場”とも呼んでいます。
「川崎駅周辺総合整備計画」には他にも、西口他区の継続的な再開発の推進や、東西自由通路の混雑緩和と回遊性や利便性の向上を図るため、現在工事中の北口自由通路の整備を位置付けるなど計画全体の折り返し地点に辿り着いたような状況です。
今後の大きなプロジェクトとしては、「ミューザ川崎」の南側にある大宮町A-2街区の再開発や、「京急川崎駅周辺」の再開発なども予定されています。「京急川崎」駅には、2016(平成28)年4月27日に「京急川崎駅前ビル」が開業しますので、周辺の再開発を促すリーディングプロジェクトとして期待しています。
災害対策をはじめ社会情勢の変化に伴い改定された整備
計画
―2016(平成28)年3月29日に整備計画が改定されましたが、その理由とは?
北村さん:整備計画を改定した大きな要因としては、東日本大震災の教訓を踏まえた災害対策と防災機能の強化の必要性が生じたことと、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定、「羽田空港」の国際化の進展によるグローバル化への対応などを新たな取組として盛り込む必要性が生じました。
10年という歳月の中で「川崎」駅周辺を取り巻く社会情勢も大きく変化したことから、“愛着や誇りを持ち、魅力と活力にあふれた街を目指して”というメッセージを発信し、今後10年間を見据えた整備計画を発表しました。計画の内容については本市HPからもご覧いただけますので、詳細についてはご一読いただければ幸いです。
「北口自由通路」の整備により回遊性や利便性が向上する「川崎」駅
―整備が進められている北口の自由通路についてもお聞かせください。
北村さん:東西自由通路の混雑緩和と、駅東西の回遊性・利便性の向上を図るため、北口自由通路と新たな改札口の整備を進めています。まず2017(平成29)年7月頃に東西自由通路に中央北改札を先行開業し、北改札と北口自由通路は2018(平成30)年3月頃の供用開始を予定しています。
西口側は「ラゾーナ川崎プラザ」に接続し、東口側は地下街の「アゼリア」まで接続する計画です。また北口自由通路には市の行政サービス施設を整備し、観光情報も発信していきます。
東京オリンピックの開催を機に川崎市の魅力を発信
―東京オリンピック・パラリンピックの開催決定に伴う取り組みがあれば教えてください。
北村さん:東京オリンピック・パラリンピックの開催決定によらず、海外から「羽田空港」に来て、乗り換えの時間を利用して、例えば「ラゾーナ川崎プラザ」で買い物や食事をして次の目的地へ向かうために「川崎」駅周辺を訪れる外国人の方もいます。そういった海外の方のニーズにも応えられるよう多言語サインの整備も進めていきます。
また駅周辺には「富士通スタジアム川崎(旧川崎球場)」や「川崎大師」、「ミューザ川崎シンフォニーホール」の他、東海道五十三次の宿場「川崎宿」の歴史的な文化資源なども立地しており、オリンピックの開催を機に国内外に魅力を発信することで観光振興にもつなげていきたいと考えています。
―「川崎」駅周辺の魅力、また今後の課題とは?
北村さん:「川崎」駅周辺の魅力としては、横浜市と都心部に挟まれた環境で「羽田空港」にも近く、アクセスの利便性に優れているのが最大の特徴だと思います。また、西口には「ラゾーナ川崎プラザ」、東口には活気のある商店街があり、買い物や食事をするのにも便利で生活しやすい環境だと思います。
京急を利用すれば最短で15分で「羽田空港」までアクセスできますし、場所によっては玄関を出てから1時間かからずに「羽田空港」から飛行機で飛び立ててしまうのは、魅力的ではないでしょうか。
また駅周辺には映画館が多いのも特徴で、「CINECITTA’(チネチッタ)」や「DICE(ダイス)」、「ラゾーナ川崎プラザ」などに約30スクリーンあります。
今後の課題としては、まちづくりは継続して実施することが重要なため、行政の力だけでできるものではなく、事業者や市民のみなさまにも協力していただく必要性を感じています。整備計画には、市民や事業者との協力や連携について明記しており、本市の玄関口に相応しい「川崎駅周辺地区」の将来像をみんなで共有することが重要だと考えています。
自転車については、指定の場所に停めることや、一定のエリア内では押し歩きをすることなどルールに基づいてマナーを守る意識が大切です。また歩行者も同様に、ななめ横断をせずに横断歩道をきちんと渡ることだったり、ゴミのポイ捨てをしない、タバコは指定喫煙場所で吸って自分で責任をもって始末することなど、ひとつひとつのきめ細かなことの徹底を、継続的な課題として取り組んでいきます。
今後とも“川崎らしさ”を大切にしたまちづくりを進めていきたいと考えています。
今回、お話を聞いた人
川崎市まちづくり局 市街地開発部 市街地整備推進課
(※現在:まちづくり局 登戸区画整理事務所 課長補佐)
北村岳人さん
住所 :川崎市川崎区宮本町1番地
URL:http://www.city.kawasaki.jp
川崎駅周辺地区のまちづくり:http://www.city.kawasaki.jp/kurashi/category/26-2-1-1-0-0-0-0-0-0.html
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。
人口147万人を擁する政令指定都市の玄関口として発展し続ける「川崎」駅周辺の魅力/川崎市まちづくり局 北村岳人さん
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮本町1