学校と地域に「自信と誇り」を。まちぐるみで子供たちを育てていく/葛飾区立大道中学校 殿村靖廣校長先生

葛飾区立大道中学校
校長 殿村靖廣先生

学校と地域に「自信と誇り」を
まちぐるみで子供たちを育てていく

旧水戸街道沿いにあり、開校67年目を迎えた「葛飾区立大道中学校」は、今年度から独自の取り組み「大道四人組」をスタートさせるなど、さらに大きな飛躍を遂げようとしている。地域に根差した学校として子供たちをどのように育んでいくのか、2012(平成24)年に校長に着任された殿村靖廣先生にお話を伺った。

学校の沿革についてお聞かせください

葛飾区立大道中学校 外観
葛飾区立大道中学校 外観

学校制度が新しくなった1947(昭和22)年に、区内12番目の中学校「葛飾区立第十二中学校」として開校しました。校章には“ペンは剣よりも強し”の意味を込めて、12本のペンをあしらっています。1950(昭和25)年に、旧水戸街道(国道6号)という“大きな道”が通っている学区にあることから、「葛飾区立大道中学校」へと改称しました。

どのような教育に力を入れていらっしゃいますか

葛飾区立大道中学校 学校目標
葛飾区立大道中学校 学校目標

本校が目指すのは「生徒が自信と誇りを実感できる学校」です。そうなるために、「進んで学習に励む人」「勤労と責任を重んずる人」「心豊かで健康な人」の3つを教育目標に掲げています。また、2014(平成26)年度は「葛飾区教育研究指定校(平成26・27年度)」と「葛飾区特別支援教育推進モデル校」に指定されています。子供たちに学校、そして自分に対して「自信と誇り」を持たせたいと、指定校の研究においても、新しい取り組み「大道四人組」をスタートさせました。

「大道四人組」とはユニークな響きですね。どのような試みですか

葛飾区立大道中学校 教室
葛飾区立大道中学校 教室

学級の生活班を4人1組にし、そこでの人間関係を授業内での協同学習へ広げていこうという取り組みです。同じメンバーが生活班では給食当番や掃除などで協力し合い、授業の中では学習班として組んで「学び合い」「教え合い」をする。授業の振り返りや意見を出し合うといったことを4人グループの中で活性化させていくんです。6時限で10分ずつ協同学習をしたら、毎日1時間は話し合いができるわけで、それだけ、自分の意見を言わせること、人の意見を聞かせること、協同で作業させることは大事だと考えています。さらに、人に教えるには授業の内容を8~9割理解していなければならないので、子供たちの学習定着度は当然上がっていきます。

こうした取り組みは他校では聞いたことがありません。中学の3年間続けていくことで学習を完成させるつもりですが、今年の4月から始めたばかりで、すでに1年生はすごく変わってきました。これから、本校の生徒は「大道四人組」で大きく伸びていくと確信しています。

生活班と学習班が連動しているように、「大道四人組」では指導の“連続性”がキーワードになっています。新しい展開としては、地元の葛飾区立白鳥小学校に続いて、葛飾区立宝木塚小学校でも「四人組」の学習を始めることになっています。近隣の小学校が協同学習を取り入れてくれ、そこで学んだ生徒が本校に来てさらに「四人組」を発展させていければ、指導が連続しますよね。今、「小中連携」ということが盛んに言われていますが、一貫校でなくても、小・中学校で指導を連続させることは可能なんです。よく校長や先生が変わると学校は変わってしまうと言われていますが、人が変わっても変わらない学校は、やはり「自信と誇り」がある学校ではないでしょうか。「大道四人組」を起点にして、プライドを持てる学校にしていきたいと思っています。

学習面では他にもいろいろな取り組みをされていると伺っています

葛飾区立大道中学校 少人数学習教室
葛飾区立大道中学校 少人数学習教室

習熟度向上のため、理科・数学では2クラスを3分割した少人数クラスにしています。少人数クラスであっても、「四人組」による協同学習の要素は必ず入れています。また、プレゼンテーションの力が必要だと考え、ホワイトボードを導入しました。子供たちがきちんと書くこと、人の意見をしっかり書き留めておくこと、それを人前で発表することを重視し、そうした場面で有効活用しています。それから、このホワイトボードとセットで導入したのが、デジタイマーです。「四人組」で話し合いをしても、時間の感覚がつかみづらい。しかし、デジタルで明確に表示されれば、自然に時間の感覚が身に付くし、指導する側も時間をはっきり区切れるので、いろいろな教科で使っています。

生活指導ではどんな点に留意されていらっしゃいますか

葛飾区立大道中学校 教室
葛飾区立大道中学校 教室

「当たり前のことを当たり前にやる」ことです。そうすることで、学校をブランド化できればいいなと思っています。例えば、地域の年少の子供たちが、「大道中学校に行くなら、きちんとこうしなければいけない」と思うような学校でなければならないということ。ですから、生徒指導では、生徒にだめなことはだめだときちんと注意します。

また「カンファレンス」という教育相談部会を設けて、カウンセラー・養護教諭・管理職・学年主任が各学年で気がかりな子どもたちの情報交換をしています。担任が一人で抱え込むのではなく、子どもの課題をチームで共有し、支援のための知恵を出し合っていく。生徒指導というのは、問題が起こってからするのではなく、子供たちの課題を早く見つけて解決してあげること、同時に子供たちの心を耕し育てていくことだと思います。

先生からご覧になった子供たちの印象を教えてください

葛飾区立大道中学校 トロフィー
葛飾区立大道中学校 トロフィー

本校の子供たちは素直で前向き、本当によく頑張ります。何事にも一生懸命に取り組むので、いい加減にやっている部活はひとつもありません。今年の春季大会ではサッカー部が準優勝、バスケ部は3位になりました。相撲部は毎年全国大会へ出場していて、力士の大道(十両筆頭)と千代大龍(前頭二枚目)はここの卒業生なんですよ。

子供たちの意欲を引き出すには、先生たちがものすごく頑張って指導していることが大きいですね。先生たちは休み時間になっても、子供たちから離れません。先生が常に子供たちのそばにいて、「君たちが頑張るから、先生も頑張れるんだよ」という姿勢を見せることで、いじめや不登校もなくなっていると考えています。

校内の環境・設備はいかがでしょうか

葛飾区立大道中学校 校庭
葛飾区立大道中学校 校庭

昨年、トイレの改修工事、校庭の全面改修工事が終わり、来年は校庭に夜間照明が点く予定です。今後は、きれいになった校内をこのまま維持していきたい。私は、学校は「ディズニーランド」のようでなければならないと思っているんです。「ディズニーランド」では、「ごみが落ちていないから、捨てられない」という人の心理現象があるはず。つまり、常にきれいな環境を作っておけば、生徒たちも汚そうとは思わない。だから、きれいな環境で生活させることが重要だと思っています。

職員室の廊下には、卒業生が制作した美術作品を飾っています。私が持ってきた鈴虫も飼育していたり、理科室ではヤマメとサケもいて、いろいろ飼っているんです(笑)。学校の雰囲気がよくなれば、自然と生徒たちもいい雰囲気になるので、どういう空気感にしていくかが大事だと思っています。

地域との連携はどのようになさっていますか

葛飾区立大道中学校 地域
葛飾区立大道中学校 地域

葛飾区には学校地域応援団もありますが、地域の方たちに学校に入っていただくことがすごく大事だと思います。イメージは“おらが村”の学校です。地域の方たちが「応援しているよ」「協力するよ」という姿勢を取ってくだされば、子供たちにとって絶対ためになる。地域の方にとっても、「自分たちが関わったことで、子供たちがこういう風に成長していったんだ」とすごく自慢になるのではないでしょうか。それが、地域に根差した学校が進むべき姿だと思います。

具体的な取り組みとしては、子供たちと応援団が声をかけて集まってくださった地域の方たちが一緒になってボランティア清掃に取り組んだり、地元の祭礼で神輿をかついだりしています。先日は白鳥東町会から祭りの半てん50着をいただきまして、お礼に体育祭で半てんを着た生徒たちがソーラン節を踊りました。祭りの時には半てんを着て、神輿を担ぎに行こうと話しています。背中に「大道」の文字が入った半てんを着て外に行くと、自分の学校への「自信と誇り」になる。地元の方も嬉しいと思いますし、そういう関係はとても大事だと思います。

「運動会ボランティア」というのもあって、宝木塚小学校の運動会へ毎年、同校出身の2・3年生有志が手伝いに行きます。自分の母校を手伝えたら、その子たちの自信になる。小学生にとっては卒業した先輩であり、地域のご父兄からしたら、“だれだれちゃん”だとわかる。まさに町ぐるみのつながりですよね。そして、運動会を通じて、大道中学校へ行きたいという子どもたちが出てきたら、それも生徒たちのプライドにつながる。しかも、連続した関係性が生まれると思います。

今年から学校を開放して「ホタルの夕べ」も始められたそうですね

葛飾区立大道中学校 ホタル
葛飾区立大道中学校 ホタル

亀有~四つ木に渡る親水公園はもともと曳舟川だった所で、昔はホタルが飛んでいました。そこで、本校と宝木塚小学校とで協力してホタルを甦らせようということになり、両校でホタルを育てて、ホタルが光るようになったら、「ホタルの夕べ」を開いて地域の人たちに公開しています。先日、本校で開いた「ホタルの夕べ」には生徒と地元の人たち合わせて300人以上が集まり、すごく賑やかでした。本校ではマルチ部の生徒たちが先生と一緒にホタルを飼育していますが、ぜひ地域の方たちも手伝ってほしいですね。学校の取り組みに自分たちも関わっているということになれば、地域も「自信と誇り」が持てるようになり、街がさらによくなるのではないでしょうか。

お花茶屋エリアの魅力を教えてください

葛飾区立大道中学校
葛飾区立大道中学校

学校に対してすごく協力的で、温かい目で見守ってくださる方が多いですね。町内会やPTA役員には卒業生が大勢いて、学校をとても大事にしてくださいます。町内会から贈られた半てんにしても、町会長が子どもたちが頑張っている姿を見て、「なんとか応援してあげたい」と作ってくれました。そういう温かい地域性があると思います。子どもたちがこれを着ることでまた地域とつながれるし、本当にありがたいことです。

本校が「自信と誇り」を持った学校になることはもちろん、“おらが村”の学校に関わることで、最終的には地域が「自信と誇り」を持って、「ホタルの夕べ」などで地域との連鎖がもっと出てくればうれしいですね。街の人と一緒に子供を育てていけば、学校も地域もよくなる。そのための「自信と誇り」であり、学校のブランド化だと考えています。

今回、話を聞いた人

葛飾区立大道中学校 校長先生
葛飾区立大道中学校 校長先生

葛飾区立大道中学校 校長 殿村靖廣先生

住所:東京都葛飾区四つ木5-22-1
電話番号:03-3693-3350

http://www.katsushika.ed.jp/jdaidou/

※記事内容は2014(平成26)年6月時点の情報です。

学校と地域に「自信と誇り」を。まちぐるみで子供たちを育てていく/葛飾区立大道中学校 殿村靖廣校長先生
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