インタビュー/高槻市立桃園小学校 檜垣由里校長先生
1953(昭和28)年に高槻市で11番目の小学校として開校した「高槻市立桃園小学校」。ここはJR、阪急のいずれの駅からも徒歩10分という利便性に加え、周辺には市の公共機関・施設が密集する市の中心的役割を担う立地にあります。同校は開校当初より地域に支えられ発展してきた経緯があり、同校が1956(昭和31)年に市内の小学校で初となるプールを設けたのも、地元の多大な支援で実現したそうです。今なお地域と学校の、また学校間においても好連携が続くという同校を訪ねて、檜垣由里校長先生に学校の取り組みや地域の魅力についてお話を伺いました。
地域に見守られ支えられて六十余年
活動幅広く実りの多い小学校
――最初に「高槻市立桃園小学校」の概要・歴史について教えてください
檜垣校長:本校は「高槻市立高槻小学校」から分離する形で1953年(昭和28年)に開校いたしました。校名にはいくつかの由来があるとされ、創立の記念に桃の木が植樹されたことや、桃太郎のようにたくましく育って欲しい、桃の花園で学んで立派な実がなるようにといった願いが込められていたとも聞いています。校章も市章と桃の花を合わせたものとなっています。
平屋の西洋風建築にステンドグラスも備える校舎は、建築モデルスクールであったとされ、視察に訪れる方も多かったと聞いています。開校時は高槻市で11番目の小学校であったそうですが、現在は41校になっていますので、これは高槻市という地域が発展を続けていたことを示していると言えるでしょう。
――高槻市は教育に熱心なところだそうですね?
檜垣校長:高槻市は現市長の方針もあり、非常に教育に力を入れている市として知られています。「地域と連携した特色ある学校づくり推進事業」では、各学校ごとに計画書を出して、認められると最高で年間100万円の助成を受けることができます。
現在の本校は16学級と支援学級が7クラスあります。支援学級に関しては、大阪府が先進県として知られるところです。そして市内全校共通になりますが、全6学年において35人学級が実施されています。1年生は国が、2年生は府がこのように定め、3年生から6年生までは市の施策としてこのようになっています。
中学校や地域との連携を密にして
地域全体で子どもを育てる
――中学校との連携も強いと聞いています
檜垣校長:その通りです。これも市の方針に沿ったもので、「高槻市立第一中学校」との連携もそうですし、同じ中学校へ進む「高槻市立高槻小学校」も含む3校での連携体勢が整えられています。中学校との具体的な連携としましては、中学校から「出前授業」や「出前クラブ」を行っていただいて、子どもたちは小学校にいながら、中学校の授業やクラブ活動を体験することができます。また「スマイル体験」というプログラムもあり、こちらは中学校へ行って授業を受けたりクラブ活動を体験することができます。また私たち教員もそれぞれの立場や携わる部門ごとに会合が開かれていますので、頻繁に集まり顔を合わせている方だと思いますし、情報の共有も密になっています。また昨年からは中学校入学前の春休みに中学校から宿題が出るようになりました。小学校で学んだことの復習をするという目的のものですが、昨年の提出率が100%であったと聞いています。こうした取り組みは不安も払拭できますし、よく言われる「中一ギャップ」を回避する効果も感じられています。
――地域と触れ合う具体的なプログラムはどのようなものでしょう?
檜垣校長:簡単にご説明をさせていただきますと、まず1年生は地域高齢者の方から昔の遊びを教わって触れ合うということを行っています。2年生は消防署や郵便局を訪れたり、地域のコミュニティセンターで独居老人の方と一緒に歌ったり、手遊びをしたりという交流をしています。3年生になると駅前の商店街でお話を伺ったり、地元名産のひとつである寒天のメーカーにお邪魔して寒天を使ったお菓子や料理の知識を教わったりもしました。また本校は高槻市内でもっとも樹木が多いと言われていて、専門家を招いて木について教わることもあります。そして4年生は福祉について学ぶことをテーマにしているので、障害者福祉センターで点字や手話を習ったりします。また校区内にある医師会の看護学校の中を案内していただくこともありますし、熱中症に関するレクチャーを保護者と生徒向けにしてもらったりもしています。
――本当に地域と密な連携を取られているのですね。
檜垣校長:その通りなんです。これは学区やその近くのエリアに商店や施設、会社などが多くあることも教育の面で恩恵を授かっていると感じます。5年では各種産業を学ぶ際に、学習田を持っています。これは学校から少し離れた場所になるのですが、そこで田植えから稲刈り、そして餅つきまで実施しますが、これも地域のバックアップがなければ、学校だけで実現させることは不可能だと思います。また5年生は地元企業さんにお願いして出前授業をしていただくなど、キャリア教育も実現しています。6年生も同様にキャリア教育もしかりですし、過去には保護者の方で地雷除去の活動をなさっていた方に出前授業をしていただいたこともありました。そして教員の初任者研修として地域の企業さんに受け入れていただいたりもしています。
理解して納得できる子どもになってほしい
――指導に際して先生方が心がけていらっしゃることは何でしょうか?
檜垣校長:子どもたちが理解して納得ができる指導を行うということでしょうか。私たちには今、説明力が求められていると感じています。例えば間違った行動や言動については注意をしますが、大切なのは「今後どうすべきか?」という点です。行動や言動に間違いがあった場合は、それがなぜダメなのかを本人が理解して、あらためることが成長であり前進につながります。それを頭ごなしに叱ってしまうと、何が悪かったのかを本人が理解できないケースもあり、それでは指導の意味も効果もありません。行為や行動、発言がダメであれば、それを伝えるのが指導であって、人物を否定するわけでない。これをしっかり伝えるよう努めています。と同時に、指導方法の統一を計ることで、子どもたちが混乱しないよう注意を払っています。
――桃園小学校ならではの行事や学校施設について教えてください
檜垣校長:これは学校の立地も影響していることですが、本校は地元のイベントに場所を提供する機会が多いため、その分、地域の行事を身近に感じて参加する機会にも恵まれています。例えば「高槻ジャズストリート」もそうですし、夏の「高槻祭り」も校庭が使われています。もちろん防災という観点での拠点でもあり、避難所でもあります。つまり「何かあれば学校へ行く」という場所として機能している小学校です。プールがいち早く建設できたのも地元が費用を用意して下さったからで、現在でも体育館のスケールが他所より大きいのも、やはり地元のお力添えがあってのことです。これほどに地域と家庭、そして学校とが強く結びついて機能しているエリアは珍しいかもしれないですね。
地域の方が子どもたちの安全を力強くサポート
――最後にこのエリアの魅力について一言お願いします
檜垣校長:まず地域としては交通の便のよさをはじめ、利便性の高さが特長だと思います。また公共の各機関や民間の企業や商店も集中している便利な土地であることも間違いありません。大きな国道は子どもたちにとっては危険な要素でもありますが、正門前には陸橋も備えていますし、登下校時には「セーフティーボランティア」という活動で、地域の方が子どもたちの安全を力強くサポートしてくださっています。さらに高槻市では各小学区ごとに「地域安全センター」が設置され、地域・学校・警察が連携して包括的に安全・安心を確保するようにしていますので、より安全で住みよい環境になっています。
高槻市立桃園小学校
校長 檜垣由里先生
所在地 : 高槻市桃園町3-27
TEL : 072-671-1421
URL: http://www.takatsuki-osk.ed.jp/touen/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。
インタビュー/高槻市立桃園小学校 檜垣由里校長先生
所在地:大阪府高槻市桃園町3-27
電話番号:072-671-1421
http://www.takatsuki-osk.ed.jp/touen/