八王子の夜を彩る“彫り”の山車 地域が作り上げる「八王子まつり」の魅力とは/八王子まつり実行委員会 広報宣伝部会長 青木訓行さん
八王子まつり実行委員会 広報宣伝部会長 青木訓行さん
八王子の夜を彩る“彫り”の山車
地域が作り上げる「八王子まつり」の魅力とは
毎年8月初旬に開催され、東京でも指折りの大規模な夏祭りとして知られている「八王子まつり」。52回目を数えた2012(平成24)年には、3日間でおよそ70万人もの人が訪れたという。今回はこの「八王子まつり」の運営にあたっている「八王子まつり実行委員会」(八王子市学園都市文化ふれあい財団内)をお尋ねし、広報宣伝部長の青木訓行さんに、祭りの魅力と見どころをうかがった。
「八王子まつり」は今年で53回目の開催を迎えるそうですが、お祭りの歴史的な背景について教えてください。
そもそも「八王子まつり」は、1961(昭和36)年に「3万人の夕涼み」という形で始まった「市民祭」ですので、「宗教色を出さない」ということが原則になっておりますが、もとをたどれば、八王子では300年くらい前から、それぞれの町にお祭りがあったそうなんですね。氏子のお祭りということです。それらを一つにまとめて行なうことにした時に「八王子まつり」と呼ばれるようになったんです。ですからまだ53回目と、歴史が無いように思われる方もいらっしゃるかと思いますが、それは「八王子まつり」になってからの回数ですので、歴史的には何百年と繰り返されてきたものです。
「八王子まつり」の見どころについて教えてください。
「八王子まつり」は「山車(だし)を中心にした祭り」というのがやはり大きな特徴かと思います。2003(平成15)年には、全国でも有数の伝統芸能と認められまして、「地域伝統芸能大賞」を頂いています。
山車は「ぶつけ」というのが一番の見せ所でして、これは山車と山車が向かい合って、お互いのお囃子を披露しあって、自分達のテンポに引き込んでいこうというものです。あとは「辻合わせ」といって、四隅から山車が集まってくる場面があって、それも迫力があります。
それから、八王子の山車というのは「彫り」の山車ですから、夜は立体的に照らされて、照明に映えてきれいなんですね。京都なんかの山車ですと、西陣織のきれいな布が張ってあったりするんですが、これは「昼間の山車」ですよね。「八王子まつり」がどちらかと言えば「夜の祭り」になっているのは、そのためかもしれません。灯火に照らされると、山車がすごく映えて美しいんですよ。写真を撮られる方なども、楽しめるかと思います。
山車は町会に参加している人でないと曳けないのでしょうか?
「八王子まつり」のいちばん良いところは、「氏子の祭り」ということで始まったものですので、どなたでもその土地に生まれれば、土地の神様に支えられているという風習に基づいますから、「鎮守様にお礼を言う」という意味のお祭りでして、地元の方なら誰でも参加しやすいと思いますよ。
ですが、町会に所属している人でしか担げないということもなく、誰でも参加することができますよ。今はこの「八王子まつり」を契機として、新しく八王子に住まわれた子育て世代の方と古くからお住まいの方との間に、うまく交流の形ができてきています。
ですから新しく引越してきた方も歓迎ですし、どなたでも山車を曳けるとは思いますよ。一応町会にお断りは通していただきますし、小さなお子さんには親御さんが付いたりとか、お年寄りの方で身体が不自由な方は指示に従って曳いていただくだとか、いろんな注意点はありますけれども。その判断は町会によりますが、当日はどこの町会も「會所」という形でテントを張っていますから、そこで一言言っていただければと思います。場合によっては、半被を貸してくれる町会もあるかと思います。ただ、注意点としましては、暑いですから、水分補給などにはご注意いただければと思います。
もちろん見るだけという方も大歓迎ですので、遠方の方もぜひいらしてください。
山車もお祭りも、皆さんの力が合わさって実現できるものなんですね。
そもそも山車というものは一人で曳けるものでないですから、そこには若い人の手も借りないといけないし、八王子から出ていってしまっているご子息の方なども、お祭りの時には山車を曳きに戻ってきたりしていますよ。
それから、山車を曳くには統率も必要でして、全員が町内頭などの指揮に従って山車を曳きますから、非常に地域のまとまりが良くなりますよね。昔の人はよく考えたもので、お祭りをコミュニケーションツールに使っていたんですね。地域のみんながお祭りに向かって気持ちを一つにして、お囃子を習ったり、山車の飾り付けの準備をしたり、点検をしたりする。そのへんの協力する姿は、本当に素晴らしいものだと思います。
一時的に八王子に住んで、学校などに通われている学生の方々なども、せっかく縁があって八王子にいらっしゃっているわけですから、「八王子まつり」も良い思い出にしていただき、将来、また来るきっかけにしてもらったらありがたいと思います。
山車、神輿以外にも見どころがありましたら教えてください。
「民踊流し」などはユニークだと思いますね。これは踊りの同好会の方が、民踊を踊りながら甲州街道を練り歩くというものです。それから「関東太鼓合戦」や獅子舞なんてのもあります。獅子舞って言うと、多分お正月の金歯の獅子舞を思い出すでしょうけど、「八王子まつり」では由緒正しき、龍の形をした獅子が舞います。
あと、子ども達にとっては夜店でしょうね。甲州街道の国道にお店が出るっていうのは、ほかの街だと事例がないみたいなんですね。「八王子まつり」は歴史があるから、国道にも夜店が出るんです。子どもたちにとって、夜店の思い出ってすごく印象深いじゃないですか。そういった点でも、子どもからお年寄りまで楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
青木さん、ありがとうございました。今年の「八王子まつり」についての最新情報は、公式ホームページをご覧ください。
今回、話を聞いた人
八王子まつり実行委員会
広報宣伝部会長 青木訓行さん
URL:http://www.hachiojimatsuri.jp/
※記事内容は2013(平成25)年7月時点の情報です。
八王子の夜を彩る“彫り”の山車 地域が作り上げる「八王子まつり」の魅力とは/八王子まつり実行委員会 広報宣伝部会長 青木訓行さん
電話番号:042-686-0611(八王子まつり実行委員会)
https://www.hachiojimatsuri.jp/