大宮公園や氷川神社の緑に恵まれた教育環境と
地域との結びつきが育む豊かな心/さいたま市立大宮北小学校 山元誠一郎校長先生
さいたま市立大宮北小学校
山元誠一郎校長先生
大宮公園や氷川神社の緑に恵まれた教育環境と
地域との結びつきが育む豊かな心
商業施設で賑わうJR線・東武線・埼玉新都市交通線「大宮」駅から徒歩約10分の距離にありながら、「氷川神社」、「大宮公園」、「大宮山東光寺」の穏やかな雰囲気に包まれた「さいたま市立大宮北小学校」。1925(大正14)年の開校より約90年という歴史ある学校で、地域と連携しながら子どもたちの成長を見守ってきた地域に根ざした学校です。今回は、校長として3年目を迎え「理数教育」の推進や、保護者や地域との結びつきを深める「ミュージックフェスティバル」の開催など、「子どもたちにいま何が必要か?」を原点としてさまざまな取り組みを行っている山元校長先生にお話を伺いました。
まず学校の歴史と概要について教えてください。
本校は1925(大正14)年4月に「大宮尋常高等小学校北分教場」として産声を上げました。その後、1929(昭和4)年に「大宮北小学校」として独立し、2015(平成27)年度で開校87周年を迎える伝統ある学校です。
「大宮」駅から徒歩約10分という便利な大宮区の中心にありながら、商業ビルを抜けると「氷川神社」や「大宮公園」、「大宮山東光寺」などの豊かな緑のある落ち着いた環境に囲まれています。学区探検や遠足などで大宮公園に出かける機会も多く、これらの豊かな環境は、憩いの場であるとともに、子どもたちにとっての大事な学習の場にもなっています。
児童数は現在1年生から6年生まで各学年2クラスで、約300名の児童が元気に通っています。また、一部の特別な支援を必要とする子どもたちのために個別的な指導を行う通級指導教室「かがやき」も設置されています。学校教育目標には“未来を拓き 心豊かにたくましく 生きる力を育む”を掲げ、「進んで学ぶ子、思いやりのある子、明るく元気な子」を目指す児童像としています。
「理数教育」に重点を置いた教育活動を行っていると伺いましたが?
「北小のこどもたちにいま何が必要か?」について教職員間で議論を重ね、2014(平成26)年度と2015(平成27)年度はさいたま市教育委員会から「理数教育」の研究推進校の委嘱を受けました。「意欲をもっていきいきと取り組む児童の育成」をテーマにさまざまな取り組みを行っているのですが、私も理科が専門ということもあり、廊下に「理科コーナー」を設けて、さまざまな気づきの場を提供しています。
たとえば「月面体重計」を利用すると、月面では体重が1/6になることに気がつきます。また金・鉄・アルミニウムと同じ体積でも質量が異なることを見て触れて分かるようにしてみたり、モーターを使って発電させる手づくりの実験キットを用意してみたりと理科の楽しさを知るきっかけづくりになればと思っています。
3~6年生を対象とした理科では「主体的に問題解決をする授業」を、1・2年生の生活科では「気付きの質を高める授業」の推進に努めています。また算数では1クラスの半数ないしはそれ以下の少人数による指導を進め、基礎基本の徹底を図っています。
さらに進学先の「さいたま市立大宮北中学校」との“小中一貫教育”にも積極的に取り組んでいるのが特徴で、毎週中学校の先生に来校いただき、担任とチームティーチングを行うなかでより多くの学びの機会を提供しています。また“動物介在教育”も本校ならではの特色で、地域の獣医さんや「大宮公園小動物園」の飼育係の方たちのご協力をいただき、小動物を飼うことで命の大切さや豊かな心を育んでいます。
特に低学年を中心にモルモットの飼育を続けているのですが、子どもたちが世話のできない土日や長期休業日などのお休みの日には、ご家庭の協力によるモルモットのホームステイを実施しています。卒業した中学生が飼育舎のウサギの世話にやってくることもあり、優しい心が育まれていると思います。
2014(平成26)年度にはじめて開催した「ミュージックフェスティバル」とは?
保護者の方には授業参観や懇談会のほかに、毎学期“学校公開日”を設けて普段の教育活動をご覧いただいています。「ミュージックフェスティバル」を開催した意図としても、イベントに向けた特別な授業や練習をあらたに設けたのではなく、あくまで普段の音楽の授業で身につけたものをそのまま披露することで、普段の教育活動がそれだけで素晴らしいということを感じとっていただければと思い実施しました。
2014(平成26)年度に初開催となった校内音楽会「ミュージックフェスティバル」では、金管バンドの演奏によるオープニングにはじまり、1年生から6年生まで各学年が歌を披露し、子どもたちの天使のような歌声に保護者の方々にも楽しんでいただきました。
チャレンジスクールの活動状況についても詳しく教えてください。
まず「チャレンジスクール」とは、子どもたちの自主的な学習たとえば授業の補習や宿題、ものつくりなどをサポートすることで、学ぶ楽しさを教え、基礎学力の向上や学習習慣の定着を図ることを目的として行われている取り組みのことです。本校では地域の方々を講師に招き、月曜日の放課後と土曜日に「読み聞かせ」や「工作」などの活動を行っています。
また本校ならではの特徴として、さいたま市の伝統産業のひとつでもある「盆栽」に取り組んでいます。大宮区の盆栽町にある「さいたま市大宮盆栽美術館」を訪問したり、一人ひとりが自分の盆栽(真柏)を育てたりしています。1年目はまだひ弱な盆栽も、卒業する6年目になるころには立派な盆栽に育っています。これもひとえに、地域の盆栽サークルの皆様のご指導のおかげです。
地域の方々との交流や連携も充実しているようですね。他にはどのような取り組みがありますか?
まずPTAの主催で開催される「北っ子まつり」では、ダディーズクラブ(おやじの会)や育成会、地域の方々のご協力をいただき、ゲームや工作など楽しいイベントを盛り上げていただいています。また学校の東側に位置する「大宮北公民館」とのつながりも太く、子どもたちの書初めや図工の作品を展示して、多くの方々に鑑賞していただく機会をご提供いただいています。
地域の社会福祉協議会の行事に招待されて合唱などを披露する機会もありますし、たくさんの賞賛をいただくことで、子どもたちにとっても大きな自信につながっているようです。また子どもたちの登校の時間には、たくさんのボランティアの皆さんが、そろいの緑のベストと帽子で通学路に立ち、交通安全・あいさつ指導を含めて見守ってくださっているのも地域に根ざした学校ならではの光景だと思います。おかげさまで、大きな事故もなく、子どもたちは元気に学校生活を楽しんでいます。
また本校では幼稚園との連携も大いに進めているところです。“小1プロブレム”(※)が問題になっていますが、本校では「ハッピースタート1年生」の取り組みとして、学区内にある2つの幼稚園と交流し、就学前に学校に来てもらっています。秋頃には1年生が作ったおもちゃで一緒に遊び、2月末には1年生が園児に学校生活について教えます。園児にとっては安心を、1年生にとっては自信を育む機会となっています。
※小1プロブレム:小学校に入学したばかりの1年生が、集団行動がとれない・授業中に座っていられない・先生の話を聞かない、などと学校生活になじめない状態が続くこと。
最後にこの地区の魅力を教えてください。
学校の近くには「さいたま市立大宮図書館」や「さいたま市立博物館」があり、学習の機会に恵まれています。また「大宮氷川神社」は静かなたたずまいで、隣接する「大宮公園」とともに、子どもたちにとってはもちろん、多くの人々の安らぎの場になっています。毎年12月10日に行われる「大湯祭(十日市)」もこの地域にとっては馴染みのある行事で、毎年たくさんの人で賑わいます。
一方、「大宮」駅は開業より130周年を迎え北陸新幹線の開通という話題も新しく、ますます発展していく可能性に満ちています。学校から少し足を延ばせば「鉄道博物館」もありますし、このように、“伝統あるもの”と“新しいもの”とが共存している環境は、子どもたちにとっても大人にとっても魅力ある町だと感じています。
今回、話を聞いた人
さいたま市立大宮北小学校
山元誠一郎校長先生
所在地:さいたま市大宮区宮町3-84
電話番号:048-644-0123
URL:http://omiyakita-e.saitama-city.ed.jp
※記事内容は2015(平成27)年3月時点の情報です。
大宮公園や氷川神社の緑に恵まれた教育環境と
地域との結びつきが育む豊かな心/さいたま市立大宮北小学校 山元誠一郎校長先生
所在地:埼玉県さいたま市大宮区宮町3-84
電話番号:048-644-0123
http://omiyakita-e.saitama-city.ed.jp/