大きな木々に囲まれた園舎で人間形成の「根っこ」を育てる/清心幼稚園 園長 清水進先生
近年開発が進む練馬区石神井地区。駅前は多くの人が行き交いショッピングにも大変便利である。一方で駅名にもなっている「都立石神井公園」は、閑静な住宅街の中にあり四季折々の自然を楽しむことができる都民の憩いの場だ。「都立石神井公園」のすぐ側に、区の保護樹木に守られるようして「清心幼稚園」の木造の園舍がある。2018(平成30)年には創立80周年を迎える同園は、自由遊びや野外保育を通して、人間形成の「根っこ」を育て、1人1人の子どもの持っている可能性を広げる教育が特徴で保護者や石神井の住民からも信頼が厚い。同園の清水進園長に話を伺い、「清心幼稚園」の概要と街の魅力について語って頂いた。
――「清心幼稚園」の沿革をお聞かせください。
清水先生:「清心幼稚園」は1938(昭和13)年に「石神井幼稚園」として開園しました。2018(平成30)年で創立80年を迎える伝統ある幼稚園で、自然の中での感動体験ができる保育が特徴です。私の父で、当時牧師をしていました清水侃三郎と私の母、前園長の清水俊子らにより創立した「石神井幼稚園」は、当初はキリスト教の精神が生きる教育をしていたと聞いています。その後に園は、第二次世界大戦の為に一時休園しましたが、戦後の1953(昭和28)年に再開。園名も“清らかな心”を意味する「清心幼稚園」に変え再スタートをして、現在に至ります。私は、2017(平成29)年度より第4代園長に就任いたしました。庭には両親が植え、苗から大木になったいちょうがあり、枝をひろげて雨や風をさえぎり、いつも子どもたちを見守ってくれています。「清心幼稚園」は今後も強い信念の元、より良い保育を日々展開して参りたいと思います。
――子どもたちはみんな生き生きとしていて楽しそうですね。教育方針についてお聞かせください。
清水先生:当園の教育方針は「より強く、より明るく、より仲よく」です。子どもたちにはわかりやすく、「じょうぶなからだに あふれるげんき すなおなこころに あかるいきもち みんなななかよく てをつなごう」と伝えています。園での様々な体験を通して心身ともに健やかな成長をし、互いに触れ合い、社会性を身に付けてほしいと思います。やりたいことに向かって精一杯頑張れる力強い身体も、僻んだり、恨んだりしない素直で明るい心も、友達を思いやってみんなが笑顔でいられるように行動できることも、全て小学校に入学するまでの幼児体験で培うものだと考えます。
「清心幼稚園」で大事にしていることは、子どもの興味関心を引き出すことです。 大人が一方的に教えるのではなく、自ら考え想像力を育てること、子どもたちから出てくる言葉に答えてあげたい、そう考えます。そしてそれを実現する為に当園では、一人一人に保育の目が行き届くように、今年度、年少組は1クラスに先生が4名、年長中組は1クラス2名と必要に応じて助手を1名というチーム保育を導入しています。「清心幼稚園」の子どもたちは、自分たちのやりたいことを見つけて遊びに取り組んでいるので、集中力があり皆騒がず静かに過ごせますし、とても元気でいきいきとしていますよ。
――「清心幼稚園」の保育の特徴について教えてください。
清水先生:「都立石神井公園」のすぐ北側閑静な住宅街にあり、区の保護樹木に指定されているイチョウ・ヒマラヤ杉・桜の大木があります。それらに守られるようして、当園の木造の園舍があります。都内とは思えない、まるで森のような空間で子どもたちは生活していますよ。遊具は世界チャンピオンのログビルダーが制作したもので、子どもたちはいろいろな想像を働かせて遊んでいます。このような遊具をはじめ、木造の落ち着いた園舎や大きな木々がある庭は、子どもたちを優しく包み安らぎを感じさせてくれていると思います。そして自然の中で遊ぶことによって四季の香りを感じ、子ども同士の社会の中で「自分」を育てていくことができるのではないでしょか。
当園では様々な野外活動を行っていますが、その中に「ポニーとあそぼう」という野外保育があります。通常、動物園では離れた場所から見たり、柵越しに餌をあげたりしますよね。「ポニーとあそぼう」では、柵が無い園庭にポニーを放し飼いにします。餌を持った子どもたちにポニーから近づいて来るので、最初は怖がったり尻込みしてしまったりする子もいますが、ポニーと近い距離で触れ合うことで、徐々に心の距離も縮まっていくのです。もちろん放し飼いには危険が伴いますので、全員の先生が毎年泊まり込みで牧場研修を受けています。そうすることで危険性も理解し、いざというときは即座に行動に移して、子どもたちに伝えることができるのです。創立当初より野外保育をしていますが、事故は一度もありません。「ポニーとあそぼう」も10年以上やっていますが、子どもたちが動物と触れ合うことで命の大切さや自然について体験しながら学んでいくことができる活動なんです。
――「石神井公園」で行われる野外保育「森の幼稚園」についてお聞きします。
清水先生:「石神井公園」が幼稚園のすぐ側にある環境は、本当に素晴らしいことだと思います。「石神井公園」の自然は、水の色も緑も毎回行く度に違いますし、1日では見尽くせないくらいのたくさんの見所があります。公園の全てが素晴らしいですね。「石神井公園」での野外保育「森の幼稚園」では、子どもたちは朝、”公園に登園する”ことから始まります。同じものが2つとない多様性を教材として五感をはたらかせ、子どもが主体的に取り組むことを1日かけて行います。もちろん先生は、子どもたちにあらかじめ近づいてはいけない場所、やってはいけないことを伝え、常に見守る目を徹底させています。子どもたちはいきいきと野外保育を楽しんでいますね。
――貴園はサッカーが盛んとお聞きしました。
清水先生:実は私自身がサッカー大好きでして…(笑)。「清心幼稚園」は、“サッカー幼稚園”と言われるくらい園庭でサッカーを楽しむ子が多いですね。当園では誰でも気軽にサッカーに触れ合えるように独自のルールで行います。プロサッカー選手になった当園の卒業生は、Jリーグで活躍し日本代表にも選ばれた飯尾和也選手と現在、東京武蔵野シティーフットボールクラブ、U15に所属している卒園生の角昂志郎君です。角選手はこの度、U15日本代表が決定しました。飯尾選手は、現役時代にはサッカー教室をここで開いてくれていました。プロの選手直々に指導してくれる機会とあって卒園生も5,60人参加していました。嬉しいことに、2人とも「清心幼稚園」がきっかけでサッカー選手になった、と今でも話してくれているんです。それに卒園生はサッカー教室に参加する子、運動会の時に手伝ってくれる子もいるのでとても嬉しいです。「清心幼稚園」は、卒園した後も人生で悩んだ時やつまずいた時に気軽に来てくれる、心のふるさとのような存在であればいいなと思っています。
――保護者との連携はいかがでしょうか。
清水先生:幼稚園の生活は家庭との連携なくしては実現できません。 何より保護者の皆様が園を信頼してくださることが一番大切です。当園で先生方のお手伝いをする助手も、信頼関係のできている元保護者の方々です。また、「清心幼稚園」では父親の保育参加を積極的にお願いしています。 園とお父さん、お母さん。そして保護者同士がしっかり絆を結び、ともに手を取り合って子どもの成長を見守るようにしています。
――最後に石神井の街の魅力、子育て環境について教えてください。
清水先生:練馬区は23区の中で一番緑が多い区で、特に石神井は自然環境にとても恵まれた街です。長年暮らしていると、池袋から電車に乗って「石神井公園」駅で降りると、空気が違うのがわかります。「都立石神井公園」は街の人の憩いの場所になっていて、四季折々の美しい自然の姿を見せてくれるとても美しい公園です。またアクセスがとても良く、「石神井公園」駅は急行や快速などほとんどの電車が停まるので通勤通学にも便利ですね。最近では街の再開発が進んでいて、買い物がより便利になったり道路が広くなったりと、石神井が更に住みやすい街に生まれ変わっているのが魅力です。
子育て環境につきましても練馬区は、子育て世代に対しての補助金等が他の区に比べて手厚く、その為に近隣地区から引っ越してくる方がいる程です。また、練馬区は3~5歳児を対象に全国に先駆けて区独自の制度として「練馬こども園」を導入しています。これにより、通年(夏・冬・春休みも含む)で11時間保育を実施する私立幼稚園(認定こども園を含む)もあります。そういった子育てに関する制度の充実や街全体が子どもたちを見守ってくれる環境があるのも石神井の魅力です。働くお母さんにとっても住みやすく、子育てのしやすい街だと思います。
清心幼稚園
園長 清水 進 先生
所在地 :東京都練馬区石神井町6-20-12
電話番号:03-3996-0374
URL:http://www.seisin-kg.jp/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。
大きな木々に囲まれた園舎で人間形成の「根っこ」を育てる/清心幼稚園 園長 清水進先生
所在地:東京都練馬区石神井町6-20-12
電話番号:03-3996-0374
保育時間:9:00~14:00(水・土曜日は11:30まで)
預かり保育(14:00まで保育がある日):14:00~17:00
休園日:第1・2・4土曜日、日曜日、祝日、創立記念日、春・夏・冬休み、他
http://seisin-kg.sakura.ne.jp/