子どもたちの“ふるさと”となる、 美南地区の拠点を目指して

子どもたちの“ふるさと”となる、 美南地区の拠点を目指して/吉川市立美南小学校 校長・蔦森邦雄先生

吉川市立美南小学校
校長・蔦森邦雄先生

子どもたちの“ふるさと”となる、
美南地区の拠点を目指して

2013(平成25)年4月、吉川市美南(みなみ)地区に新たな小学校「吉川市立美南小学校」が誕生した。真新しい建物は一般的な小学校のイメージよりも一回り大きく見えるが、これは小学校以外にも、高齢者ふれあい広場、子ども支援センター、地区公民館、学童保育室を併設した複合施設として造られているため。小学校の枠にとどまらず、あらゆる世代が利用しやすい場所となっている。
今回は開校から半年を経た2013(平成25)年10月に学校を訪ね、校長の蔦森邦雄先生に、主に小学校のことについてお話をうかがった。

まず、学校の沿革、目指している学校像についてお聞かせください。

吉川市立美南小学校
吉川市立美南小学校

もともと本校は、この近くにある「吉川市立中曽根小学校」が大規模化したということで、分離して新設された学校でして、市の施設との複合施設となっています。したがって、校舎は小学校としては非常に大きいものでして、東西で130mぐらいの廊下がありまして、校内についても非常に余裕のある造りになっています。

吉川市立美南小学校
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目指す学校像、という事についてですが、「美南」というこの地域の名前を冠した学校ですから、地域の核になるような、「美南地区といったら美南小学校」というような学校にしていきたいと思っています。

 

吉川市立美南小学校
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ここは新しい街ですから、ほとんどの親御さんにとっては「新しく移り住んできた場所」になるのですけれども、子どもにとっては美南が将来の「ふるさと」になるわけですから、「ふるさと」と呼ぶに相応しい、魅力ある地域と学校にしたいな、と思っております。

どのような学校目標、教育目標を掲げ、実践されているのでしょうか。

学校目標としては、「自ら考え、進んで行動する児童を育成する」という事を掲げていまして、特に「自ら」というところに、私はこだわっています。
いまの子どもたちは、「これをやりなさい」「あれをやりなさい」と、“言われたこと”については“それなりにやる”んですけれども、「こういう状況になったらどうしよう」とか、「今こうだから、こうすればいいな」というところが物足りないと思っておりましたので、学校目標に「自ら」という言葉を入れました。「受け身ではない、能動的な子どもを育てたい」ということです。

吉川市立美南小学校
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目指す子どもの像としては、「学び続ける子」「やさしい子」「ねばり強い子」という3つを掲げています。

「学び続ける子」については、特に「続ける」というところに私のこだわりがあります。「一過性のものではなくて、将来にわたって学びを続ける」という子どもになるための土台づくりが、この学校でできればと思います。

「やさしい子」については、これはもう、この文言の通りですね。みんな仲良くいじめなどの無い学校ということです。

「ねばり強い子」についても、体力面とかそういったものもありますが、私が求めているのは、「内面的なねばり強さ」というものです。くじけない心を育んでほしいと思っています。

吉川市立美南小学校
吉川市立美南小学校

職員には常に授業の中で、これらの目標を意識しながら、学習を進めてほしいということで指導しています。授業や指導になりますと、先生方はどうしても、「こうしなさい、ああしなさい」と言いがちになってしまうものですが、そうではなくて、「こういう場面だったら、みんなならどうしようか?」などと「考える機会」を設定しながら指導をするということですね。

カリキュラム面での特徴があれば教えてください。

吉川市立美南小学校
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我々の言葉ではカリキュラムを教育課程と言っておりますけれども、教育課程については中曽根小学校の頃と大きく変えてはいません。というのは、子どもにとっても2年生以上は全員中曽根小から来ていますし、職員も半分は中曽根小から来ていますので、学校が変わって、通学路が変わって、先生が変わっただけでも混乱が大きいんですね。ですから教育課程については、中曽根小の良いところを引き継ぎながら用いまして、時間をかけてだんだんと本校らしさを出していこうと考えています。

吉川市立美南小学校
吉川市立美南小学校

2校共通の特徴としては、朝の時間に余裕を持たせているという点があるかと思います。毎朝の読書の時間を設けていますし、それ以外にも、ジョギングをしたり、いろいろな基礎学習の時間に充てたり、集会活動をやったりということを朝の時間に行っています。

吉川市立美南小学校
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あとは、ここは複合施設ということが特徴でして、せっかくお年寄りの方も、乳幼児の方も利用する施設がありますから、まだ今後の話になりますが、それらの施設との交流事業も考えています。主にはお年寄りとの交流になると思いますが、運動会に招待したり、歌や朗読を聞かせたり、手紙をお渡ししたり、ということを検討しています。

校長先生が考えられる、今後の学習指導の方向性についてお聞かせください。

吉川市立美南小学校
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やはり学力の向上ですね。学力を上げるということは埼玉県全体の課題ですから、今は一応満足のいく状態にはなっていますけれど、それで満足してはいけないと思っています。数値目標もありますので、それをきちんと毎年クリアしていきたいと考えています。

吉川市立美南小学校
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そのためには授業の前提となる部分が大事になってきます。細かい事になりますけれど、学習上の規律、学習に入る前の心構えや持ち物などの部分ですね。これは家庭の状況にも左右されるものですので、家庭と学校と同じスピードで歩んでいかないといけません。ですので、そういうところを家庭に対しても働きかけながら、子どもの学力を上げていこうと考えています。

 

ただ本校では、学力向上で特定の科目、たとえば国語を頑張っていますとか、算数を頑張っていますとか、そういったものはありません。うちでいま一番の課題にしているのは、実は「道徳」なんですね。

吉川市立美南小学校
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道徳の授業の時間を中心に、道徳教育を進めていきまして、落ち着いた子ども、落ち着いた学級、落ち着いた学校にする。そこからさらに、学力を上げていくという、将来の学習のベースになる、「心」の部分をしっかりやっていこうと考えています。

学校の施設について、特徴をお聞かせください。

吉川市立美南小学校
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まず、校舎の造りに非常に余裕があることでしょうね。廊下はもともと広いですし、教室の廊下側が全部開きますので、教室と廊下をつなげたオープンなスペースも作れます。細かな事ですが、全部の教室に網戸が入っていますので、授業中に虫が入ってくる心配が無く、勉強に集中できます。

 

吉川市立美南小学校
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教室内の設備についても、画用紙を入れる幅の広い棚があったり、大学のように上下がスライドできる黒板があったり、黒板にマス目が入っていたり、掲示板にマグネットが付くようになっていたりと、「あったらいいな」という工夫をたくさん取り入れています。

吉川市立美南小学校
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暖房にはレンガを深夜電力で熱して、輻射熱で温める蓄熱タイプの暖房器を使っていますので、安全性や快適性にも優れているかと思います。

 

吉川市立美南小学校
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分かりやすいところですと、3階と同じフロアに屋外プールがありまして、これも防犯面、安全面、衛生面といろいろな面で、非常に素晴らしく、ありがたいことだと思っております。

吉川市立美南小学校
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体育館も校舎の中に入り込むような形になっていますので、非常に便利なのと同時に、断熱効果が高いですから、夏は涼しく、冬は暖かいという体育館になっています。

通われているお子さんの特徴、親御さんの印象などについて教えてください。

吉川市立美南小学校
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ほとんどのご家庭が築数年というところで、転入されてまだ日が浅い方が多いですから、まだ地域の特徴という事までは分かりませんが、子どもの教育に関しては非常に熱心ですね。若い方、30代か40代がほとんどじゃないかなと思います。昼間はお父さんは都内へお仕事、お母さんもフルタイムのお仕事、子どもは学校というのが典型的なご家庭でしょうか。ご家庭もみんな、ご覧の通り余裕のある建てかたをしたお家ばかりです。そういうところで、子どもたちが育っているんですね。

吉川市立美南小学校
吉川市立美南小学校

子どもたちについては、とても素直ですね。言うことをよく聞く子が多いです。それから、言葉遣いがよくて礼儀正しい子が多いです。これは家庭のしつけによるところも大きいのだと思います。

 

保護者の方も、マナーが良いと言いますか、例えば何かで集まって説明するという時などにも、私語なども無く黙って聞いているという感じでして、こういった環境が子どもに良い影響を与えているのだと思います。

吉川市立美南小学校
吉川市立美南小学校

PTAの活動については、まだまだスタートしたばかりでして、組織の仕組みを整えているところですが、基本的には中曽根小の時にやっていただいていたものをそのまま持ってきまして、「美南小では何ができるかしら?」ということを手探りで探している状態ですね。

校長としては、PTAの活動というのはご家庭を犠牲にして、自分のやっていることを犠牲にして、というものではないと思っていますので、まずはご自分と家族の健康を最優先に考えて、お仕事などのことも考えて、その次にPTAが入っていれば良いと考えています。ですから保護者の皆様には、「やれる範囲でご協力を頂きたい」という風にお願いしております。

職員の皆さんが普段から心がけている点は何でしょうか?

吉川市立美南小学校
吉川市立美南小学校

ひとついつも言っていますのは、「子どもへの言葉かけ」です。これを丁寧な言葉でやるということですね。子どもを下に見るのではなくて、同じ人格であるという見方で接するように、職員には指導しています。
そうすれば子どもの言語環境も良くなりますし、子ども同士の言葉遣いも丁寧になっていきます。言葉が荒れている学校は、子どもの行動も荒れてしまいますので、そこには注意を払っています。

美南エリアの魅力は?

吉川市南四丁目の街区公園
吉川市南四丁目の街区公園

形容詞を使って言えば、「新しい街」、「若い街」、「計画的で整っている街」ということでしょうか。それに、この一帯は開発され始めてから20年くらいは経つと思うのですが、まだまだ開発されるところが残っていますから、将来はさらに発展するのだと思います。将来も明るい見通しのもてる地域だと思うんですよ。

吉川美南の街並み
吉川美南の街並み

それから、この学校もそうですが、とても空間的に余裕があるんですね。その余裕が何かしら、子ども達の育ちや、地域の特性、住む人の人柄にも現れているかな、と思います。もちろん、教育環境としてはとても良い地域だと思いますよ。

吉川市立美南小学校
吉川市立美南小学校

今回、話を聞いた人

吉川市立美南小学校

校長 蔦森邦雄(つたもり・くにお)先生

住所:埼玉県吉川市美南4-174-3
電話番号:048-984-3730

※記事内容は2013(平成25)年11月時点の情報です。

子どもたちの“ふるさと”となる、 美南地区の拠点を目指して/吉川市立美南小学校 校長・蔦森邦雄先生
所在地:埼玉県吉川市美南4-17-3 
電話番号:048-984-3730
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