浦安市 こども部 こども課 インタビュー

浦安市こども部担当者が語る子育て支援。

妊娠・出産からお子さんが就学するまでの“切れ目のない”子育て支援を可能にする地域拠点として注目を集めているフィンランド発祥の“ネウボラ(neuvola)”。出生率や未就学児が大幅に減少している浦安市では、市長自らフィンランドの子育て現場を視察し、2014(平成26)年度より少子化対策の一環として“浦安版ネウボラ”の導入による新しい子育て支援を実践しています。今回は現地のネウボラの視察に参加した浦安市こども部こども部長の金子昇さん、こども課長の本田恭代さん、少子化対策室室長の並木美砂子さんにネウボラの概要と浦安市の子育て事情についてお話を伺いました。

少子化が進む浦安市の子育て支援のために

―まず、浦安市の子育て事情について教えてください。

浦安市の人口は2016(平成28)年4月現在165,411人で、一年間に生まれた子どもの人数(年間出生数)は1,317人(平成27年度)と東日本大震災が発生する前と比べて300人ほど減少しています。また一人の女性が生涯に生む子どもの人数をあらわす合計特殊出生率(平成26年)も全国平均の1.42を大幅に下回る1.09となっています。 過去5年間の推移を見ると、ほぼ横ばいで推移している全国、千葉県の合計特殊出生率と比べ低下しているのが見受けられ、0~5歳の未就学児の数も減少しています。

特に東日本大震災が発生した2011(平成23)年度以降はその傾向が顕著で、2015(平成27)年4月までの4年間で1,962人も減少しました。 その背景としては、人口そのものが流出してしまったこともありますが、未婚率の増加や晩婚・晩産化、ひとり親世帯の増加といった日本社会全体が直面する課題に加え、子育て世帯の95%が核家族といった浦安市ならではの状況もあり、少子化が進んでしまっているものと思われます。 はじめて子育てをするご夫婦にとって、身近な場所に親や兄弟などの支援者がいないことや、2人目、3人目が欲しくても経済的な不安感から負担に感じてしまうこともあり、行政としても早期の子育て支援が必要と判断し、少子化対策事業の一環として2014(平成26)年度より“浦安版ネウボラ”を導入・実施することになりました。

こども課のみなさん
こども課のみなさん

浦安市役所
浦安市役所

受付に置かれている案内
受付に置かれている案内

すべての妊婦さんとそのご家族を支えるサポート体制

―“浦安版ネウボラ”とは。

まだ日本では馴染みのない言葉かもしれませんが、“ネウボラ(neuvola)”とは福祉国家として知られるフィンランドの言葉で、“neuvo”とはアドバイスする、“la”は場所を意味し、地方自治体が設置する子育て支援の拠点を指しています。 具体的な支援の体制としては、地域ごとに認定された保健師が妊娠期から生まれてきた子どもが就学するまでのあいだ、すべての妊婦とその子ども、お父さんや兄弟など家族も対象として出産、子育てのサポートを行います。 浦安市では2006(平成18)年度から全国に先駆けて「子育て・家族支援者養成講座」を実施し、これまで3級認定者411名、2級認定者171名(平成27年度末)を養成してきました。また2008(平成20)年度より“子育てケアマネジャー”の養成も始まり、「子育て・家族支援者養成講座」の2級認定者のうち、「子育てケアマネジャー養成集中講座」も修了した17名が、“浦安版ネウボラ”の実現へと向けた大切な役割を担ってくれています。

ご家族の意向に合わせた子育てケアプランを提案

―“浦安版ネウボラ”ではどのような子育て支援サービスを受けられるのですか。

“浦安版ネウボラ”では大きく3回に分けて、子育てケアプランの作成を通じた情報提供や悩み相談なども受けられるようになっています。第1回目は、健康センターで母子健康手帳を受け取るときに、子育てケアマネジャーと保健師が妊娠期の過ごし方のアドバイスや必要な母子保健事業や子育て支援制度の周知など、その方の状況に応じた子育てプランを作成します。 2回目は出産前後、3回目は1歳の誕生日前後を予定していて、お母さんの就労希望やご家庭の意向を伺いながら計3回、個別の子育てケアプランを作成します。妊婦健診のスケジュールと合わせるとほぼ半年に1回の割合でお母さんとその子どもに接点を持つことが可能になっています。

これまでは母子健康手帳を渡した後は集団での健康診査のある1歳6ヵ月を迎えるまでの間、多くの方が行政と子育て家族との空白期間になってしまい、子育てに関する悩みや相談事などを把握できない状況にありました。身近な支援者や相談できる人がいなかったために、なかには産後うつや育児ノイローゼ、児童虐待など深刻なケースに陥ってしまうこともあり、行政としても“切れ目のない”支援で子育てをサポートする必要性を感じていました。

こども部ども課の標識
こども部ども課の標識

子育て支援のパンフレット
子育て支援のパンフレット

「浦安市役所」内の子育て総合窓口
「浦安市役所」内の子育て総合窓口

“ネウボラ”の本場フィンランドでも導入されているインセンティブ

―“浦安版ネウボラ”の導入に際して工夫したことはありますか。

“浦安版ネウボラ”を導入するにあたって、すべてのお母さんと接点を持つきっかけとしてインセンティブを設けました。出産前後の2回目の子育てケアプランの作成時には、「こんにちは あかちゃんギフト」と名付けたベビー服などの衣料品をはじめとした浦安市オリジナルの子育てグッズの詰め合わせをお祝いの気持ちを込めてお贈りしています。ROOTOTE(ルートート)とのコラボによる使い勝手の良いマザーズバッグをはじめ、ホワイトチャペルとコラボした肌触りの良いオーガニックコットンの衣料品まで、年度ごとに配色やデザインが変わるのもご好評いただいています。 また1歳の誕生日を迎える頃の3回目には、育児サービスに関連する88店舗もの協賛によるバウチャー券「ファーストアニバーサリーチケット」をお贈りしています。協賛店のなかには、一時預かりや家事支援や整体・マッサージ、ガソリンスタンドなどもあり、日常生活に役立つ内容になっています。 インセンティブはフィンランドのネウボラでも導入されている特色のひとつで、英・キャサリン妃が第一子を出産した際に、フィンランドからベビー用品を詰め込んだ「育児パッケージ」が届けられたのはニュースにもなりました。

「こんにちは あかちゃんギフト」
「こんにちは あかちゃんギフト」

市内にある支援施設の案内MAP
市内にある支援施設の案内MAP

2016(平成28)年9月に開設した子育て支援の拠点を集約した「こどもネウボラ」

―“浦安版ネウボラ”の今後の展開について教えてください。

2014(平成26)年度より実施してきた“浦安版ネウボラ”ですが、「浦安市役所」より徒歩2分の「健康センター」に母子保健と子育て支援の拠点を集約し、「こどもネウボラ」として新たに整備しました。拠点を集約することで円滑かつ一体的なサポート体制が充実し、利用するお母さんやご家族にとっても安心感のある場所になることを期待しています。 1階には子育てケアプランを作成する「こんにちは あかちゃんルーム」と「子育て応援ルーム」があるため、隣接する母子保健のセクションとも連携が密に図れるようになります。また、地下1階にはエンゼルヘルパーの派遣などを担当する「こども家庭支援センター」が移設される予定です。2016(平成28)年9月に開設する予定ですが、「こどもネウボラ」として拠点を集約した施設はおそらく全国でも初の試みで、浦安市の充実した子育て支援のあり方を発信する拠点として注目してください。

子育ての心配や不安…そんな想いをやさしく包み込むサポート体制

―最後に地域のおすすめスポットを教えてください。

「浦安市役所」から徒歩4分ほどの場所にある集合事務所の3階には「浦安市子育て支援センター」があり、子育て中のお母さんやご家族にはおすすめです。そのほかに市内には8ヵ所の「地域子育て支援センター」があり、「浦安市子育て支援センター」のほかはすべて保育園に併設されています。 「浦安市子育て支援センター」は、親子で交流でき、子育てに関する情報も得られる場所です。子育ての疑問を質問できる職員もいるので安心して遊べます。また、予約不要の「子育て相談室」もあり、知識も経験も豊富な子育てケアマネジャーも常駐しているため、子育てにまつわる心配ごとや不安があるときなどは気軽に立ち寄ってみてください。

「浦安市子育て支援センター」の外観
「浦安市子育て支援センター」の外観

親子でゆっくりとすごせるスペース
親子でゆっくりとすごせるスペース

「浦安市子育て支援センター」入口
「浦安市子育て支援センター」入口

※2016(平成28)年7月実施の取材にもとづいた内容です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

今回、話を聞いた人

浦安市こども部こども課

こども部長 金子昇さん
こども課長 本田恭代さん
こども課 少子化対策室 室長 並木美砂子さん

浦安市こども部担当者が語る子育て支援。
所在地:千葉県浦安市猫実1-1-1 
電話番号:047-351-1111(代表)、047-712-6428(少子化対策室直通)
http://www.city.urayasu.lg.jp/