スペシャルインタビュー

大井町駅周辺のまちづくり/品川区都市環境部都市開発課 インタビュー


JR京浜東北線と東急大井町線、りんかい線が乗り入れる「大井町」駅は、都心にありながら賑やかな商店街が9つもひしめき合う、どこか懐かしさも感じさせる魅力的な街。そんな「大井町」エリアの現在と未来について、品川区都市環境部都市開発課の稲田さんと堀さんに詳しくお伺いした。

「品川区役所」は、「大井町」駅近くにあって便利
「品川区役所」は、「大井町」駅近くにあって便利

――品川区の特徴や概要について教えてください。

堀さん:品川区は、北は港区と渋谷区、西は目黒区、南は大田区、臨海部の東は江東区に隣接している区で、江戸時代には東海道第一の宿場町として賑わい、明治時代以降は京浜工業地帯発祥地として発展してきた歴史があります。
古くから交通の要衝として栄え、現在も国際都市東京の表玄関として立地のよさを誇ります。区内にはJR、東急、京浜急行、都営地下鉄、東京メトロ、東京モノレール、りんかい線など14路線40駅が整備されていて、交通アクセスのよさも抜群です。大崎駅西口に大型バスターミナルを整備して、秋田や金沢、大阪、名古屋などへの高速路線バスも発着させており、副都心の役割も担っています。
現在の総人口は約39万4000人、1964(昭和39)年以降減少し続けてきた0〜14歳の人口も、2004(平成16)年に前年比増になってからは増加を続けています。

――品川区のなかで大井町エリアはどのような位置づけにあるのでしょうか。

稲田さん:大井町駅周辺は、目黒〜大崎〜大井町を結ぶ都市軸上に位置しており、今後さらなる発展が見込まれる都市活性化拠点と位置づけられています。区の中心核として、文化・商業、そして人々が暮らす街として総合的な機能を持つのが大井町です。
JRの京浜東北線、東急大井町線に加え、2002(平成14)年のりんかい線の乗り入れ、近接地区における2010(平成22)年の羽田空港24時間国際化に続き、リニア中央新幹線に「品川」駅発着が決定しました。このように東京の表玄関という地の利を活かし、区における行政・文化・商業・交通の中心地として、様々な機能の集約地としてますます発展が期待されている場所です。
歩いてもらうと分かりますが、駅前には大型商業施設があり、同時に昔ながらの商店街がいくつもあって常に賑わっている、この2つが上手に共存しているユニークな街です。また品川総合区民会館「きゅりあん」や「四季劇場」のような文化施設もあり、同時に人気の飲食店街の横丁もあります。どこか懐かしい風情がありながら、交通アクセスはよく生活を送るのも便利な街という楽しく、魅力的な街でもあります。

品川区役所外観
品川区役所外観

「人が集まり、歩きたくなる街」を目指して、段階的に進めるまちづくり

――大井町周辺において、まちづくりに関わる具体的な予定があれば、教えてください。

稲田さん:現在、劇団四季の2つの劇場や「スポル品川大井町」というスポーツ体験施設がある東急大井町線北側の広町地域は、4〜5haある広い敷地で、区役所のすぐ裏にある駅からも近い好立地です。周辺には地域に密着した商店街も多いので、それらの商店街や住宅と調和した土地利用について、また区民の方々のゆとりややすらぎとなる場となるように、しっかり計画していきたいと思っています。

品川区役所入口
品川区役所入口

――まちづくりに取り組むにあたり、意識していらっしゃることはありますか?

稲田さん:まちづくりに際しては、やはり「区民が安全で快適に暮らせる街」を基本に考えています。商業の発展や施設などの整備はもちろん、大井町などの拠点性が高い地域では交通網などの快適性を高めるなど、区民のみなさんが暮らしやすいと感じられるようなまちづくりを目指しています。また品川区は夜間人口が約38万人に対し、昼間人口が54万人以上と、通勤・通学者も多い区でもあります。災害時の安全性や帰宅困難者対応なども、同時に考慮していきたいと考えています。

堀さん:「まちづくり」というと、ついハード面に意識が向きがちですが、人々の心や息づかい、コミュニティといった今ある人間関係・区民同士の繋がりがなくならないようにすることも大切です。品川区に住む人・商売をする人・働く人、それらの「人」全てが活躍できるまちづくりが重要だと考えています。

区役所のすぐ近くには「しながわ中央公園」も。
区役所のすぐ近くには「しながわ中央公園」も。

――ソフト面の事業などで、今後目指している方針などはありますか?

堀さん:例えば「大崎」駅の例でいえば、地域住民と企業、団体などが連携してその地域の維持管理を行い、地域活性化のためのまちづくりをする「エリアマネジメント」の取り組みがあります。具体的には駅周辺エリアに花を植えたり、目黒川にイルミネーションを飾るお手伝いをしたり、ファミリー向けフェスタを開催したりという、「大崎」駅周辺を盛り上げるまちづくりの活動です。

――大井町の将来的なビジョンについて教えてください。

堀さん:大井町のまちづくりの方向性を示す「大井町駅周辺地区まちづくり構想」では、(1)商業・業務・文化・居住などの機能強化による「人が集まる」まちづくり、(2)駅とまちをつなぎ、便利で安全な「歩きたくなる」まちづくり、(3)環境に配慮し、魅力的で快適なまちづくり、(4)まちの更新に合わせて、段階的に進めるまちづくりの4つを基本的な考え方として挙げています。この基本的な考えに基づいて、「土地利用」「都市基盤」「都市環境」の3つの方向性を表した地図があります。街に人を呼び込み滞在性を高めるための取り組みや、既存商店街と大型商業施設の共存など、街の「土地利用」に関するビジョンがピンクと青と黄色で示されています。また歩行者が行き来しやすい道づくりや都市計画道路の増幅など「都市基盤」に関するビジョンがブルーの矢印。沿道緑化や公園・緑地などの創出を考えた緑化整備、広場創出などの「都市環境」のビジョンが緑の矢印です。
中心のピンクの部分である駅前周辺の商業・業務地区を同心円状に広げ、その外側の青色の部分は業務複合地区として中心部の商業を支え、賑わいを創出する人の流れが生まれるのが理想です。そして黄色の住宅地へ安全・便利にスムーズに帰って行かれるような歩きやすい環境をつくり、住民にとっても暮らしやすい「まちづくり」を目指したいと考えています。

まちづくり構想
まちづくり構想

――最後に「大井町」エリア周辺でおすすめの場所などがありましたら、教えてください。

稲田さん:「品川区役所」の屋上庭園(ルーフガーデン)は、お子さんが遊べるアスレチック器具やベンチ、花壇、芝生広場などもあって、親子で遊んだりのんびりできるスポットです。展望台から臨海方面を一望できますし、晴れていれば富士山も見られます。市役所に用事がなくても、ぜひ一度来ていただきたい場所です。
また大井町を流れる「立会川」は、蓋がけしてしまっているのですが、その上に児童遊園を整備した際、大井町に住んでいた詩人・萩原朔太郎の代表的な詩集『青猫』をモチーフにした猫の像を設置しました。春には「立会川緑道」に咲くソメイヨシノとや八重桜がこの地域の風物詩で、桜まつりも開かれます。大井町の正面玄関にあたる猫の像と、桜を同時に楽しんでいただければと思います。

品川区役所
品川区役所

品川区役所

品川区都市環境部都市開発課
課長 稲田貴稔さん
都市開発担当主査 堀秀徳さん
所在地 :東京都品川区広町2-1-36
電話番号:03-3777-1111
URL:http://www.city.shinagawa.tokyo.jp
※この情報は2018(平成30)年11月時点のものです。

大井町駅周辺のまちづくり/品川区都市環境部都市開発課 インタビュー
所在地:東京都品川区広町2-1-36 
電話番号:03-3777-1111(代表)
開庁時間:8:30~17:00(一部業務:火曜日19:00まで)
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
※一部業務は日曜日も開庁
http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/