さいたま市浦和西部まちづくり事務所インタビュー

再開発事業の成功例として語られる武蔵浦和駅周辺地区のまちづくり/さいたま市浦和西部まちづくり事務所


JR埼京線と武蔵野線の2路線が利用できる「武蔵浦和」駅の周辺には、再開発事業によって整備された綺麗な街並が広がり、都心部への交通アクセスに優れた住環境を求めて移り住む人も多い。さいたま市南区役所や図書館など行政の窓口やサービスの拠点が集まる「サウスピア」が駅前にあるほか、日々の生活に役立つ商業施設も多彩で、住みやすい街として注目を集めている。今回は武蔵浦和駅周辺地区のまちづくりを推進する「浦和西部まちづくり事務所」に伺い、まちづくりの概要と現状について教えていただきました。

「武蔵浦和」駅の開業を契機としてはじまった武蔵浦和駅周辺地区のまちづくり

――武蔵浦和駅周辺地区のまちづくりに関する事業の概要についてお聞かせください。

JR埼京線と武蔵野線の2路線が利用できる武蔵浦和駅周辺地区は、さいたま市の“副都心”として位置づけられており、1985(昭和60)年9月の「武蔵浦和」駅の開業が契機となって周辺地区のまちづくりがはじまりました。

「武蔵浦和」駅周辺の航空写真
「武蔵浦和」駅周辺の航空写真

現在のまちづくりの概要をまとめた図がこちら(※)ですが、南北に埼京線、東西方向に武蔵野線が走り、赤い太線で囲まれた部分がまちづくりの対象となっている区域です。

現在のまちづくりの概要図(※)
現在のまちづくりの概要図(※)

青く塗られているところが市街地再開発事業によってまちづくりが完了した地区になります。これまでに6つの街区の整備を終えているのですが、1998(平成10)年に完成した第2街区の「LAMZA(ラムザ)」からはじまりまして、今年の3月に事業が終わった第3街区の「OASIS(オアシス)」がもっとも新しいものになります。

駅周辺には高層マンションが立ち並ぶ
駅周辺には高層マンションが立ち並ぶ

その他は黄色いところが地区計画を定めている地区、緑のところは市としてまちづくりを行っている、あるいは呼びかけを行っている計画検討地区となります。

すでに整備事業が完了した地区の中では、「MUSE CITY(ミューズシティ)」(武蔵浦和駅第 8-1 街区再開発事業)が、「平成19年度土地活用モデル大賞」の「審査委員長賞」を受賞しています。

これから行われるまちづくりの取り組み

――現在進行中の事業または取り組みについてお聞かせください。

先ほどの図をご覧いただいてもお分かりになるかと思いますが、街区としても面積としても半分を超える部分のまちづくりが完了しているといえます。

整備された駅前の通り
整備された駅前の通り

現在進行中の事業のひとつに駅の北側に位置する第8-2街区がありますが、昨年、2017(平成29)年9月に地元のまちづくり協議会が発足いたしました。土地や建物をお持ちの方の任意の集まりですが、これからどんなまちづくりを進めていこうかと今まさに話し合いを進めているところです。

街並みの様子
街並みの様子

一方、第7-1街区につきましては、地元の方の集まりといったものは特に無いので、市のほうでまちづくりの機運を高めようと勉強会を開催したり、まちづくりニュースと題した情報紙を発行したりしています。私たち「浦和西部まちづくり事務所」では、武蔵浦和駅周辺地区の市街地再開発事業に関することやまちづくりの推進に関することを主な業務としており、まちづくりの骨子として掲げられている商業・業務・行政機能と住宅との均衡のとれた“職住近接型高次複合都市”の実現を目指しています。

「さいたま市 浦和西部まちづくり事務所」
「さいたま市 浦和西部まちづくり事務所」

――まちづくり協議会ではどんな話し合いが行われているのでしょうか。

第8–2街区で地元の方からは、「スーパーマーケットや日々の生活に必要な施設はだいぶ充足していて便利。地域の方の交流や憩いの場になるような場所がもっと増えると嬉しい」といった内容のご意見がありました。

歩車分離で整備された道路
歩車分離で整備された道路

生活における利便性は高いと思いますが、バランスよく自然を取り入れる、また、他の地域から人を呼び込んで、賑わいを生み出せるような施設やコンテンツが増えると良いのかもしれません。

「ミューズシティショッピングスクエア」
「ミューズシティショッピングスクエア」

具体的にどういったものが良いのか、どういった施設が足りていないのかについてはこれから先の議論ではありますが、着々とまちづくりが進められていますね。

市街地再開発事業によって、街区ごとにまちづくりを実施

――武蔵浦和駅周辺地区のまちづくりの特色はどのようなものでしょうか?

まちづくりの手法にもいろいろあり、たとえば同じ市内の「みそのウイングシティ」で行っているのは土地区画整理事業です。およそ313haもの広大な地区にまずは街の基盤となる道路を作って、そこからそこに地権者や民間の事業者が個々で建物を建てていくことになると思うので、完成には時間がかかります。

一方、武蔵浦和では、駅前広場等が未整備な状態で駅開業を迎えたことから、都市基盤整備が喫緊の課題でした。また同時に空閑地が多く見られ副都心として発展していくために必要な生活基盤施設が不足していました。このため、都市基盤整備と施設建築物のビルドアップが一体的に行えるまちづくり手法である市街地再開発事業が当地区の主要な整備方策になった経緯があります。まちづくりの合意等事業実施の条件が整った街区から順次、民間活力で事業が進められ、様々な都市機能が集積しています。

駅前のロータリー
駅前のロータリー

例えば、第3街区には「プロムナードガーデン」という名前のひろば的な空間がありまして、一般の方にも広く開放された場所になっています。草花が植えられていたりひと休みできるベンチが設置されていたりと、民間事業者のお考えで地域の方が安らげる環境を整備していただいているのは、まちづくりの観点からしても注目すべきところですね。

再開発事業によって整備された利便性の高い街

――武蔵浦和駅周辺地区の魅力はなんでしょうか?

これはあくまで個人的な見解になってしまいますけれども、交通の利便性というのが大きいと思います。JR埼京線は各駅停車のほか、通勤快速・快速も含めたすべての電車が停車します。「池袋」駅までは18分、「新宿」駅までは24分、「渋谷」駅までは29分ほどでダイレクトアクセスできるほか、朝の通勤時間帯には「武蔵浦和」駅始発の電車が出ているのも魅力的だと思います。加えてJR武蔵野線を使用すると、乗り換え1回でアクセスできるエリアは、埼玉県内をはじめ首都圏各地に広がります。

また整備の完了した街区が多く街の基盤が整っているところや、再開発によって商業施設も含めさまざまな都市機能が集積してきているところです。またそういう意味でも生活の利便性が高まっているんじゃないかと思います。

 

子育て世代にも優しいまちづくり
子育て世代にも優しいまちづくり

各街区の建物の低層階にも飲食店が入っていますが、武蔵野線の線路の下で飲食店が集まっている場所もあり、ちょっとしたひろば的なもの、小径を作っているのが興味深いですね。

「ビーンズ武蔵浦和」
「ビーンズ武蔵浦和」

他には、武蔵浦和駅周辺地区から出てしまうのですが、「花と緑の散歩道」と呼ばれる整備された緑道があり、その先にある「別所沼公園」も魅力的ですね。第8-2街区の方とお話したときに、武蔵浦和の公園といえば「別所沼公園」と仰っている方がいました。

「花と緑の散歩道」
「花と緑の散歩道」

街区ごとで行われる地域のイベントやお祭り

――武蔵浦和駅周辺地区を象徴するイベントやお祭りなどはありますか?

毎年春の季節には、JR「武蔵浦和」駅から「別所沼公園」までつづく、「花と緑の散歩道」周辺で「西南さくら祭り」が開催されます。綺麗な桜の木の下で、地域の方々による出し物や、出店もあって賑やかですよ。親子で遊びに行かれる方も多いようです。

また、再開発ビルの自治会さんでは、年に数回フリーマーケットなどのイベントを開催しているようです。全てを把握しているわけではありませんが、その他にも色々な自治会さんでイベントや催し物があるようですね。

一般に開かれた空間も多い
一般に開かれた空間も多い

再開発事業の成功例として語られる武蔵浦和駅周辺のまちづくり

――今後のまちづくりを踏まえて、武蔵浦和に住まれる方へメッセージをいただけますでしょうか。

先日、再開発事業とまちづくりをテーマにした某番組の取材を受けたのですが、再開発の成功例として扱われていたのが印象的でした。武蔵浦和の再開発自体は、民間活力により市街地再開発事業を進めてきたのが、今日のような成功例として語られるまちづくりに至った要因のひとつかと思われます。

駅周辺の街並み
駅周辺の街並み

現在進行中の第8−2街区、まちづくりの機運を高めるための取り組みをしている第7–1街区におきましても、これからまちづくりの手法をどうするかといったところの検討がはじまるので、地域の方の声を伺いながらまちづくりのお手伝いをしていければと思います。これからさらに発展が見込まれるエリアでもありますので、まずはお気軽に武蔵浦和までお越しください。きっと暮らしのイメージもつくと思いますよ。

今回お伺いしたインタビューでも分かるように、武蔵浦和エリアは継続した発展が見込まれそうです。武蔵浦和の地価は近年上昇傾向にあり、国土交通省の調査によると、2016年→2017年の地価総平均 (公示地価、基準地価の総平均)は+15.72%の上昇があります。これからも開発が進められる、注目の武蔵浦和エリア。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

再開発事業の成功例として語られる武蔵浦和駅周辺地区のまちづくり
再開発事業の成功例として語られる武蔵浦和駅周辺地区のまちづくり

さいたま市浦和西部まちづくり事務所

所在地:さいたま市南区鹿手袋3-11-1
TEL:048-861-5905
URL:http://www.city.saitama.jp/006/015/049/002/p000627.html
※この情報は2018(平成30)年5月時点のものです。