子育て支援に力を入れるさいたま市の未来へ向けた取り組みとは?/さいたま市子ども未来局


さいたま市は、人口129万人が暮らす政令指定都市。子育て支援をはじめさまざまな施策に力を注ぎ、全国的に人口減少に悩む自治体が多い中、20歳代を中心に、市内に転入される若い世代の方が多いという。今回は子ども未来局子ども育成部子育て支援政策課の松尾さんと栗原さん、幼児未来部のびのび安心子育て課の吉田さんに、さいたま市の子育て支援に関して、そして南区の魅力についてお話を伺った。

「さいたま市役所」
「さいたま市役所」

さいたま市で子育てをするファミリー層に「しあわせ」を感じてもらうために

――—さいたま市の子育て支援に関する取り組みについて教えてください

さいたま市では2017(平成29)年度~2020(平成32)年度の4年間で、特に力を入れる事業を掲げる「しあわせ倍増プラン2017」を策定しました。なかでも第1章は「子どものしあわせ倍増」、第2章は「家族のしあわせ倍増」になっており、さいたま市で子育てをするファミリー層に「しあわせ」を感じてほしいとさまざまな事業を挙げています。

第1章では教育や学習環境の充実、困難を抱える子どもたちへの学習・自立支援、キャリア教育の推進など、第2章では保育需要の受け皿確保、「子育て支援型幼稚園」の創設、父親・祖父母の子育て参加の推進など、数々の具体的な事業を提示。市民一人ひとりがしあわせを実感できる都市を実現させるべく、全庁をあげて取り組んでいきます。

――—さいたま市では昨年、「待機児童ゼロ」を達成されましたね

女性の社会進出が進んでいる昨今、安心してお子さんを預けたいという要望は、年々強まっているように感じています。2017(平成29)年4月には、認可保育所や認定こども園、小規模保育事業などの多様な施設の整備・拡充をし待機児童ゼロを達成しました。しかし、同時期に改正された厚生労働省の調査要領により「育児休業中で復職意思のある方」も待機児童数に入れることになり、また待機児童数が増える形となってしまいました。

その対応として保育所や小規模保育事業などの施設を増やし、2018(平成30)年4月には、約2,000人の定員を増やす予定です。これからも、保育を希望する方が1人でも多く保育施設を利用できるよう取り組んでいきます。

イメージ
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子育ての選択肢を広げる子育て支援型幼稚園

――—しあわせ倍増プラン2017にもある「子育て支援型幼稚園の創設」とはどのような取り組みですか?

保育所は厚生労働省の管轄で両親の代わりに「子どもを保育する」場所であり、0歳からの利用が可能です。それに対し幼稚園は文部科学省の管轄で「教育の基礎を培う」ことを目的にされたもので、基本的には3歳からの入園になっています。ここ最近は女性の就業率の上昇に伴い、平均4~5時間という開園時間の短さから、幼稚園の就園率が下降傾向にあります。ただ保育所に預けている保護者のなかでも、幼稚園に預けたいと考える方々がいらっしゃるのも事実で、その選択肢を広げるために「子育て支援型幼稚園」の認定制度を創設することにしました。

子育て支援型幼稚園というのは、朝や夕方、そして夏休みなども預かり保育を実施するなど、一定の要件を満たす幼稚園のことです。現在も各幼稚園で預かり保育を実施していますが、その時間や日数にはばらつきがあります。そこで現在ある幼稚園の中で一定の要件を満たす園を「子育て支援型幼稚園」に認定することで、共働きのご家庭でもお子さんを預けられる幼稚園としてPRしていく予定です。2018(平成30)年度から認定を開始し、まずは2020(平成32)年度までに35園を目標とし、その数を徐々に増やしていこうと考えています。実はさいたま市内にある私立幼稚園は104園(認定こども園を含む。)と、全国でもトップクラスの幼稚園数を誇ります。このなかから「子育て支援型幼稚園」へ取り組んでくださる園を募り、長時間・通年的に預かれる幼稚園環境を整えたいと思っています。

南浦和にある「浦和若竹幼稚園」
南浦和にある「浦和若竹幼稚園」

――—父子手帖や祖父母手帳なども発行されていると聞きました

「父子手帖」はお父さんの家事・育児参加を応援することを目的に作成したもので、お母さんの体の話から赤ちゃんの成長、赤ちゃんとの接し方、“ちょっと笑える体験談”なども掲載した情報たっぷりの冊子です。この冊子をきっかけに育児にも積極的になってもらえたらと考えています。この冊子に掲載されている体験談は、さいたま市のパパ同士をつなぐネットワークグループ「さいパパ」のメンバーから寄せられたものです。「さいパパ」では市と協働で「さいたま パパ・スクール」を開催しています。このスクールは「パパがパパを育てる」をコンセプトに、子育てスキルの向上を目的とした講座や料理教室、アウトドア教室などを通して、パパ友が作りやすい環境を提供しており、父親にしかわからない悩みなども共有できるよい機会になっています。

「祖父母手帳」は、祖父母や親たちの愛情に包まれて、子どもたちに健やかに成長してほしいという願いから生まれた冊子で、2016(平成28)年には育児雑誌が選ぶ ペアレンティングアワードも受賞しました。祖父母世代に向けて、今の子育て・孫育てのヒントを分かりやすく解説してあります。今は核家族が増え、祖父母が持つ子育ての知恵や人生経験を伝える方法がなくなりつつあります。実の孫でなくても、地域の子どもたち・親世代をサポートしていただきたいと、ファミリー・サポート・センターの仕組みも冊子のなかで紹介させていただいています。

たくさんの種類がある子育て支援ブック
たくさんの種類がある子育て支援ブック

2018年4月「さいたま市子ども家庭総合センター(あいぱれっと)」がオープン

――—子育て支援施設も充実していますね

2018(平成30)年の4月には、子どもに関するワンストップの総合相談窓口を設置するとともに、専門相談機関を集積し、連携して子育ての諸問題に対応することを目的とした「さいたま市子ども家庭総合センター(あいぱれっと)」が浦和区上木崎にオープンします。また、相談窓口だけでなく、子どもや保護者が交流できる「遊びひろば」や体を動かして遊べる「冒険はらっぱ」なども併設し、誰でも気軽に立ち寄れて一緒に遊べる拠点となる予定です。

ほかにも「子育て支援センター」があります。0~3歳未満のお子さんとその保護者が一緒に遊んだり、親子で友達をつくったりと仲良く交流できる場で、「子育て支援センター」として独立している「単独型」が各区に1箇所ずつ計10箇所、保育所等に併設されている「保育施設併設型」が54箇所あります。また、放課後児童クラブの施設のうち31箇所では、児童がいない平日9時から12時の時間帯を有効利用していただこうと、「のびのびルーム」として3歳未満のお子さんと一緒に遊べる部屋を用意しています。

南区には、武蔵浦和駅前の「サウスピア」という複合公益施設があります。この施設の1階に「子育て支援センターみなみ」、2階・3階には図書館、4~7階には南区役所、8・9階にはコミュニティセンターがあり、子育て支援センターを利用しながら区役所等での用事が一度に済んで便利です。なお「子育て支援センターみなみ」では、お子さん(3歳未満)の一時預かり(有料)を行なっており、図書館で本を読みたい、美容院に行きたい、習い事をしたい、買い物をしたい、ちょっとお子さんと離れてリフレッシュしたいなど、保護者の方のご都合でお子さんを預けることが可能です。

「サウスピア」
「サウスピア」

――—南区独自の子育て政策などはありますか?

南区では、子育てしやすい、支え合うまちづくりを推進するために、育児中の保護者が、出来るだけ早い時期(生後2・3か月)に必要な知識が習得でき、地域での仲間作りができるよう、南区の全乳児とその保護者を対象とした育児学級「みなみっこクラブ」を開催しています。また、民生委員・児童委員・愛育会等、地域の子育て支援者が公民館や児童センターなどで開催する「子育てサロン」等に保健師などを派遣して、子育てに関する講話や育児相談を実施しています。

教育熱心な家庭が多い文教地区

――—最後に南浦和の魅力をお教えください

南浦和はJR武蔵野線と京浜東北線が乗り入れた交通の要所であり、通勤・通学にも便利な街として人気が高まっている地区です。そもそも浦和地区は県立浦和高校や浦和一女などの全国トップレベルの進学校がある文教地区で、教育熱心な人たちが集まるといわれています。なかでも南浦和は、その交通の利便性を生かして予備校や進学塾が多く立ち並んでいます。予備校通り、塾銀座などとも呼ばれ、近隣のみならず埼玉県内からも多くの学生が通ってきます。学生が多いですが、駅前にはスーパーや百貨店も並び、日々の買い物などにも困らない便利な街です。

「東進ハイスクール 南浦和校」
「東進ハイスクール 南浦和校」

――さいたま市には子育て世代が転入しやすい雰囲気があるようですね

2013(平成25)年から、就学前児童数は67,000名前後とほぼ横ばいの状態を保っています。少子化が進んでいる現在、子どもの数が減少しないということは、おそらく若いファミリー層が転入している結果だと考えています。さいたま市が子育て支援に力を入れていることに着眼して、多くの若い夫婦が転入してきてくださっているのかもしれない、とうれしい予想をしています。

さいたま市では、安心して子どもを産み、育て、さらに子どもたちがきめ細かで質の高い教育を受けられるよう、今後も各種施策の充実に取り組んでいきます。ですから若いご夫婦には是非さいたま市に引っ越してきていただき、楽しみながら子育てをしていただければと思います。

子育て支援に力を入れるさいたま市の未来へ向けた取り組みとは?
子育て支援に力を入れるさいたま市の未来へ向けた取り組みとは?

さいたま市子ども未来局

子ども育成部 子育て支援政策課 主査 栗原誠司さん(左)
子ども育成部 子育て支援政策課 課長補佐 松尾真介さん(中央)
幼児未来部 のびのび安心子育て課 主査 吉田雄司さん(右)
所在地:さいたま市浦和区常盤6-4-4
電話番号:048-829-1111(代表)
URL:http://www.city.saitama.jp/
※この情報は2018(平成30)年1月時点のものです。

子育て支援に力を入れるさいたま市の未来へ向けた取り組みとは?/さいたま市子ども未来局
所在地:埼玉県さいたま市浦和区常盤6-4-4 
電話番号:048-829-1111
開庁時間:8:30~17:15
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.saitama.jp/