利便性が飛躍的に向上!/東京メトロ丸ノ内線「方南町」駅 東京地下鉄株式会社広報部広報課
1962(昭和37)年に開業した東京メトロ丸ノ内線「方南町(ほうなんちょう)」駅。丸ノ内線は、新宿以西で丁字型の路線図をみせ、「方南町」駅と「荻窪」駅の2駅を終点に持つのが特徴であるが、これは当時、「中野富士見町」に車両基地の建設が計画されていたことに加え、急激な経済成長に伴う人口増加により、鉄道路線の混雑対策が必要だったことに理由がある。新宿以西の路線の延伸が図られ、「新宿」駅~「荻窪」駅間が開通、同時に「中野坂上」駅~「方南町」駅間も開通することになったのだ。そのような経緯があり、開業以来「方南町」駅は丸ノ内線分岐線の終端駅として利用され続けてきたが、2019(令和元)年7月、駅のリニューアル工事が完了し、注目を集めている。
新しい「方南町」駅は、ホームの延伸に伴い6両編成の車両の運行が可能に。それに加え、始発駅で、なおかつ都心方面まで乗り換えなしでアクセスできるようになった。新型車両の2000系も導入され、「方南町」駅周辺のライフスタイルの変化から目が離せない。 今回は東京地下鉄株式会社広報部の内藤遥佑さんを訪ね、その詳細や丸ノ内線新型車両2000系についてお話を伺った。
6両編成の運行が可能となり、都心までの直通運転が実現
――まず、「方南町」駅のリニューアル工事の概要について教えてください。
内藤さん:今回の「方南町」駅のリニューアルは、全体的な方針としては「方南町」駅を利用する方の利便性向上を目的としたものです。「方南町」駅は、これまで3両編成列車のみしか乗り入れできなかったために、「中野坂上」駅で6両編成の丸ノ内線本線からの乗り換えが必要だったのですが、ホームが26m延伸されたことで、6両編成列車が運行できるようになりました。「方南町」駅から乗り換えなしで都心方面に行けるようになった結果、丸ノ内線全体の混雑平準化、列車遅延防止等にもつながる見込みです。
「方南町」駅から新宿・池袋方面の直通列車をご利用いただくと、「中野坂上」駅での乗り換え待ちによるホームの混雑が緩和されます。さらに「中野坂上」駅での乗り換えが減ることで、「荻窪」駅発の列車の混雑が平準化され、「中野坂上」駅での乗降にかかる停車時間の抑制にもつながるという具合です。
以前は乗り換えに便利な位置の車両に混雑が集中することや、3両から6両へ乗り換える際の駆け込み乗車により、ドアにモノが挟まることで列車の遅延につながるということが度々ありました。丸ノ内線の運転間隔は朝のラッシュ時で2分間と、東京メトロの路線の中でも最も短い間隔で運行されているということもあり、列車の遅延に伴う混雑は、「方南町」駅だけでなく丸ノ内線全体に及ぶ課題でもありました。
バリアフリー化に対応した3a・3b出口を新設
――リニューアルによって便利になったバリアフリーのポイントは?
内藤さん:東京メトロ全体で取り組んでいるバリアフリー化に即して、環七通り沿いに新しくできた3a・3b出口にエレベーター、エスカレーター、多機能トイレを新設しました。「方南町」駅においてかねてより課題となっていた、ベビーカーを利用する子育てファミリーにとっても利用しやすい環境が整ったと思います。
地下1階、地上3階の駅舎は、地域の“アイポイント”としても親しまれるよう、2階部分にはL型に一面ガラス窓を採用してデザインにこだわった外観になっています。
またホームには、丸ノ内線カラーのレッドをあしらったデザインも多く、壁面にグラデーションを描いたデザインは、始発駅・終着駅を表しているそうです。
ダイヤ改正に伴い、直通運転の本数が増加。始発駅としての利便性向上
――リニューアル後の駅の利用者の反応はいかがでしょうか?
内藤さん:利用者の動向については、リニューアルが完了したばかりで定量的なデータがまだなく、はっきりとしたことは言えないのですが、「方南町」駅を利用される方は年々増えておりまして、2017(平成29)年には1日平均37,224人、2018(平成30)年は38,064人のお客様にご利用いただいております。
ダイヤの改正に伴い、朝7〜8時台のラッシュ時間帯の直通運転は、18本あった「中野富士見町」駅始発のうち12本が「方南町」駅始発になりました(支線の3両編成列車から本線の6両編成列車への「中野坂上」駅での乗り換えが不要になったため)。丸ノ内線の新型車両2000系も導入されたことで、「方南町」駅の利用者はもちろん、丸ノ内線をご利用いただくお客様全体の利便性向上につながっていると思います。
丸ノ内線の“丸”をデザインに取り入れた新型車両2000系
――新型車両2000系について、その特長を教えてください。
内藤さん:丸ノ内線の新型車両として、性能面、デザイン面、安全面において優れた電車に仕上がっています。まずデザイン面は、丸ノ内線の文字にあるように“丸”をコンセプトに取り入れています。丸みを強調した前面窓や、車端部分の丸い窓もそうですし、前照灯や丸みを帯びたつり革など、随所に“丸”を取り入れているのです。
バリアフリーの観点からとして、全車両にフリースペースを設け、パイロット的な施策としては車内に電源コンセントを設けたので、簡単な充電ができるようになっています。
性能面では、制御装置に高効率のSiC素子を用いたモジュールを使って、省エネにも貢献しておりまして、環境にも配慮した車両になっています。安全面につきましては、非常電源装置や、脱線検知装置も搭載しておりまして、お客様を安全に駅までご案内できる車両になっています。
2023(令和5)年度末、無線による列車の制御システムを日本の地下鉄で初導入
――日本の地下鉄で初の導入予定となる「CBTC(無線式列車制御システム)」についても教えてください。
内藤さん:「CBTC(無線式列車制御システム)」は、2000系に搭載される最新の機器のひとつで、丸ノ内線列車がすべて新型車両に置き換わる2023(令和5)年度末に導入予定です。 従来のシステムは、一定区間ごとに列車が走っているかを検知する区間閉塞で制御していましたが、今回の新しいシステムでは無線で電車の位置をより正確に計測できるようになります。それによって、例えば電車の遅延が発生した時も、安全な距離を確保した上でロス無く運行を再開できるようになります。このシステムは、丸ノ内線を筆頭に、今後東京メトロ日比谷線、半蔵門線に導入していく予定です。
東京メトロで駅数No.1。沿線の生活を支える丸ノ内線の魅力
――内藤さんが考える、丸ノ内線の魅力についてお聞かせください。
内藤さん:ひとつは、東京メトロの路線の中で最も駅数が多いという点です。他の路線より、沿線に居住・通勤・通学されているお客様の数も多いはずですので、様々な地域のお客様を様々な地域へご案内できます。また先ほども申し上げた通り、朝のラッシュ時に運転間隔が2分と、東京メトロの他路線と比較してもっとも短い線でもありますので、そういった意味での輸送力の高さも丸ノ内線の強みですね。
――「方南町」駅周辺の地域の魅力についてお聞かせください。
内藤さん:「方南町」駅周辺は商店街も賑わっていて、活気のある街だと思います。私としてはリニューアルした「方南町」駅が、地域の“アイポイント”として街に新たな魅力をもたらし、地域住民の方に安全、安心で快適にご利用いただければ、非常にありがたいなと思っています。
駅を利用してみて、何かお困りの点があればお気軽に駅事務室にお立ち寄りいただければと思います。また、東京メトロに関する情報やイベントの案内は、公式のHPをチェックしていただくか、構内に設置してあるラックには、弊社の取り組みを紹介した「メトロのトリセツ」といった案内パンフレットもありますので、ぜひ手にとってご覧ください。
東京地下鉄株式会社
広報部広報課 内藤遥佑さん
所在地:東京都台東区東上野3-19-6
電話番号:03-3837-8277
URL:https://www.tokyometro.jp/index.html
※この情報は2019(令和元)年11月時点のものです。
利便性が飛躍的に向上!/東京メトロ丸ノ内線「方南町」駅 東京地下鉄株式会社広報部広報課
所在地:東京都杉並区堀ノ内1-1-1
電話番号:03-3311-3069
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