和田愼司さん、大塚智秀さん、神長康夫さん、阿部渚さんインタビュー

鉄道の高架化や建物更新で安全性・利便性を向上 立石駅周辺の再開発事業/葛飾区役所(東京都)

昔ながらの街並みが広がる東京都葛飾区。古き良き落ち着いた風景がある中で、道路などの都市基盤については防災上改善すべき課題もあります。災害に強く、また利便性の向上など更に魅力的な街に進化すべく、建物更新と一体で駅前広場や都市計画道路などを整備する市街地再開発事業が進められています。葛飾区役所の担当職員の方々に、再開発事業の進捗と生まれ変わる立石についてお話を伺いました。

良質な住宅の確保と人口増を目指す葛飾区

現在の葛飾区総合庁舎
現在の葛飾区総合庁舎

―まずは葛飾区の概要をお聞かせください。

阿部さん:葛飾区は、東京都の東部に位置し、東は江戸川を境に千葉県松戸市に、西は足立区と墨田区、南は江戸川区、北は大場川を境に埼玉県八潮市と三郷市に隣接しています。2021(令和3)年7月1日現在、人口は462,965人です。2025(令和7)年頃までは現在と同程度で推移し、その後徐々に減少する見込みです。駅周辺の整備による利便性の向上、そして良質な住宅の確保を着実に進めて転入者を増やし、人口増を図っていきます。

道路の拡幅や建物の不燃化で、災害に強い街・立石へ。総合庁舎の駅前移転でさらなる活性化も

立石駅北街づくり担当課長の和田さん
立石駅北街づくり担当課長の和田さん

―「立石」駅周辺の再開発の経緯と進捗状況をお聞かせください。

和田さん:「立石」駅周辺には、解消しなければならないいくつかの課題があります。道幅が狭く幹線道路もないため消防車や救急車などの緊急車両が通行しにくいこと、古い木造家屋が密集していて災害時に被害が拡大しやすいこと、災害時の避難場所や地域交流の拠点となるオープンスペースがないことなどです。これらの課題はかなり前から認識されていて、北口地区については1997(平成9)年3月に再開発研究会が立ち上がり、地権者さんたちが中心となって街づくりの検討が始まりました。

 区も積極的に支援し、2017(平成29)年6月に都市計画を決定。2021(令和3)年4月には再開発組合が発足し、約2.2ヘクタールの区域に、幅の広い道路や不燃性・耐震性に優れた建物の計画が進められています。具体的には、交通結節点となる駅前広場の新設、その広場を挟んで西街区に地上35階建ての住宅棟、東街区には葛飾区総合庁舎を中心とした地上13階・地下3階の業務棟の整備を予定しています。また、建物の低層部には、商業施設を配置して、賑わいと交流の場の形成を図ります。葛飾区の中心である立石にふさわしい、賑わいと魅力にあふれた街として、2028(令和10)年度の完成を目指しています。

立石駅南街づくり担当課長の大塚さん
立石駅南街づくり担当課長の大塚さん

大塚さん:南口の東地区は、2019(令和元)年6月に都市計画を決定。来年度中の再開発組合設立認可申請を目指しています。約1ヘクタールの区域に、地上32階・地下1階建ての住宅棟、商業施設や公益施設などからなる地上3階建ての複合施設の2棟を建設予定です。南口の西地区は、都市計画決定に向けて、どんな街にするのか権利者のみなさんで話し合っているところです。どちらも2029(令和11)年度頃の完成を目指しています。立石駅周辺では、3地区で再開発事業が進んでいますが、一体的で良好な住環境の整備を進めるため、3地区が連携・協力しながら検討を進めていきます。

総合庁舎推進担当課長の神長さん
総合庁舎推進担当課長の神長さん

―再開発や総合庁舎の移転によって、「立石」駅周辺にどのような変化を期待されますか。

神長さん:多くの区民や事業者が利用する総合庁舎が駅前に移ることで、駅周辺の人流が増え、賑わいが生まれるのではないかと期待しています。庁舎にはおよそ1,500人の職員が勤務していて、一日平均2,500人ほどの人が訪れています。昼間は来庁者が駅周辺を往来することになり、昼休みの時間帯には職員の多くも街に出ます。「立石」駅界隈には商業施設も整備されるので、夜も多くの人が飲食店などを利用するのではないかと思います。2028(令和10)年度にはビルが完成し、地上3階から13階までが区役所となる予定です。

区内の他エリアでも再開発が進行中

葛飾区の広報誌「広報かつしか」(2021(令和3)年7月25日号)で再開発事業を紹介
葛飾区の広報誌「広報かつしか」(2021(令和3)年7月25日号)で再開発事業を紹介

葛飾区では、区内の他のエリアにおいても再開発事業が進められていることが、区の広報物等で確認できます。

JR「金町」駅の南口には、2021(令和3)年7月に再開発ビルが完成し、ビル内は分譲マンション、商業施設が整備されており、今秋には多世代が交流できる複合施設の整備が予定されています。 北口についても再開発組合が発足、商業施設、自動車教習所、住宅、公益施設、広場などの整備が予定されています。JR「新小岩」駅の南口地区では、再開発事業に合わせて、現在、都市計画手続きが進行中です。その他、東南地区については、2022(令和4)年夏に、408台収容できる区内初の地下機械式自転車駐車場が完成する予定です。また、JR東日本が建設中で2023(令和5)年冬完成予定の(仮称)新小岩駅南口駅ビルの6階には、夜間や休日にも開庁する区民事務所や図書サービスコーナー、地域活動の活性化の拠点となる多目的広場などの整備が予定されています。区内各所の再開発事業によって、葛飾区の利便性はさらに向上していくと言えます。

鉄道の高架化や貨物線の旅客化。区民とともに新たな葛飾の魅力を作っていく

仮線路の工事が進む京成押上線。2021(令和3)年7月の「京成立石」駅周辺
仮線路の工事が進む京成押上線。2021(令和3)年7月の「京成立石」駅周辺

―「京成押上線・四ツ木~青砥間の鉄道の高架化」や「新金貨物線の旅客化」の計画も進んでいるかと思いますが、これらによって区民の利便性はどのように向上するでしょうか。

和田さん:2.6kmある「四ツ木」駅と「青砥」駅の区間のうち、まだ地上を走っている2.2kmの線路を高架化します。これにより、車通りの多い平和通りの踏切を含む11箇所の踏切がなくなり、交通渋滞が解消され、緊急車両が足止めされなくなります。また、踏切事故が無くなり、安全性が向上します。

また、これまで南北を分断していた線路が高架化されることで、南北の回遊性が高まることも期待しています。さらに、高架下を有効に活用することで、利便性の向上や新たな賑わいや交流が生まれることも期待できます。この連続立体交差事業は2001(平成13)年1月に都市計画が決定され、すでに高架橋を建てる間に使う仮線路と仮駅舎の工事が進んでいます。仮線路の整備には、既存の区道の敷地も使うため、区道の移設工事も進めています。高架化後にはバリアフリーの新駅舎が誕生し、駅前広場の設置でバスへの乗り換えなどもスムーズになります。

葛飾区では、いろいろな交通手段を使って快適に移動できるよう、新規バス路線の開設や自転車が走行しやすい道路などの検討を進めています。また、「金町」駅と「新小岩」駅を結ぶ新金貨物線の旅客化も、その一環として検討しています。実現すれば南北の移動が一層便利になります。路面電車のような低床車両を導入することで、高齢者や観光客に喜ばれることも期待しています。

安心して住み続けられる街を目指し、さまざまな検討がなされている
安心して住み続けられる街を目指し、さまざまな検討がなされている

―最後に、これから街に住まわれる方々に向けて立石周辺の魅力をお願いいたします。

大塚さん:立石は、区役所があり、人が集まる葛飾区の中心地。京成押上線は都営浅草線に乗り入れていて、「京成立石」駅から一本で日本橋や新橋など都心に出られますし、成田や羽田へのアクセスも良好です。立石はこれから新たに生まれ変わります。多くの人に愛されてきたレトロな雰囲気も形を変えて残せたらと思っていますが、新たな魅力や立石らしさを住民の皆さんと一緒に作っていきたいと思います。

葛飾区役所
葛飾区役所

葛飾区役所

都市整備部 立石駅北街づくり担当課長 和田愼司さん
都市整備部 立石駅南街づくり担当課長 大塚智秀さん
総務部 総合庁舎推進担当課長 神長康夫さん
都市整備部 都市計画課 鉄道立体担当係 主任 阿部渚さん
所在地:東京都葛飾区立石5-13-1
電話番号:03-3695-1111(代表)
URL:https://www.city.katsushika.lg.jp/index.html
※この情報は2021(令和3)年7月時点のものです。

鉄道の高架化や建物更新で安全性・利便性を向上 立石駅周辺の再開発事業/葛飾区役所(東京都)
所在地:東京都葛飾区立石5-13-1 
電話番号:03-3695-1111
開庁時間:8:30~17:00 ※水曜日は一部業務のみ19:30まで開庁
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始 ※毎月1回日曜日は一部業務のみ開庁(9:00~12:00)
https://www.city.katsushika.lg.jp/