相手の気持ちをおもんぱかる「やさしい気持ち」を育てる学校/調布市立第二小学校 校長 齋藤秀史先生
閑静な住宅街のなかに建つ「調布市立第二小学校」は、青々とした全面芝生の校庭を持つ創立70年を超える歴史のある学校。「“あいさつで始め、あいさつで終わる”“話している人に体を向ける”」など、一見当たり前に見える基本を身に付けることこそ、学力向上の大切な一歩、と語る齋藤校長先生に、特色のある教育活動や国領の街の魅力について話を伺った。
国領の人々に愛されて育ってきた学校
――昨年創立70周年を迎えられた御校の概要を教えてください。
齋藤先生:1945(昭和20)年6月1日に開校した本校は、昨年(平成27年)に創立70周年の記念式典を挙行いたしました。国領は江戸時代から宿場町として栄え、その後は住宅地として人々が暮らし続けてきた歴史ある街です。なかでもこの「調布市立第二小学校」はそのコミュニティの中心を担ってきた小学校ですので、学区の自治会や地域の皆さんの強い思い入れがある、愛されて育ってきた学校だと感じています。
齋藤先生:今年度は各学年2クラスずつ、1年生56名、2年生68名、3年生72名、4年生46名、5年生57名、6年生53名の全校児童352名が元気に通学してきています。各学年2クラスずつという小規模な学校ですので、先生方の目も行き届く温かい雰囲気の学校だと自負しています。先生全員で全校児童に目を配り、育てていける学校ですね。
――地域の方々とのつながりも強いのでしょうか?
齋藤先生:暮らしやすい環境が整っているからか、代々この地域に住まわれている方々が多く、本校の卒業生が自治会長さんや学校の評議委員をされていることが多いのが本校の特徴でもあります。卒業後も「自分たちの学校」という意識で温かく見守ってくださっているので、子どもたちにとっても嬉しい環境ですね。
齋藤先生:夏祭りやクリーン作戦、デイキャンプ、地域住民運動会、四地区合同耐寒マラソン、ニュースポーツ交流会、六地区ソフトボール大会など、ざっと挙げただけでも地域の方々と一緒に参加するイベントはたくさんあります。子どもたちにとっても、そういった機会に知り合った地域の方々に囲まれて育ち、挨拶できる間柄であることは大切なことです。
基礎を固めることで学力向上を目指す
――『授業改善推進プラン』や『二小スタンダード』など、独自的な教育の取り組みも目立ちますね。
齋藤先生:『授業改善推進プラン』は、通常小学校の授業は1コマ45分なのですが、3年生の3学期~6年生は火曜日と金曜日の1時間目は15分を追加した60分の国語の授業を行うというものです。高学年といえども60分の授業となると集中力の継続も難しいので、追加した15分で基礎基本の学習に取り組み、残りの45分で読解などの通常の授業を行うなど、授業内でメリハリをつけて楽しく、かつ基礎学習の充実を図る内容になっています。1~3年生の2学期まではその代わりに、調布市の独自の教材『ステップアップワーク』を使った15分の朝学習を行っています。
齋藤先生:また『二小スタンダード』というのは、2015(平成27)年度から取り組んできた「全学年で共通して身に付けたい学習規律」のことで、
1)あいさつで始め、あいさつで終わる
2)背すじをのばしてすわる
3)話している人に体を向ける
4)手を挙げて、指名されたら発言する
5)授業の片付けをする時に、次の授業の用意もする
という極めて当たり前の、基本的な姿勢です。今年度はより分かりやすい形になるように5つの約束に絞りこみ、1~6年生まで同じ目標に統一しました。これを各教室に貼り出し、毎授業で心がけるように先生方が指導しています。
齋藤先生:この当たり前のことを当たり前として身につけることで、教室全体の雰囲気が変わり勉強に対する向き合い方も変わってきます。またこれらは社会人としても大切な姿勢ですので、今のうちに身に付けて立派な大人に成長してほしいとも思います。
――日頃の教育活動において先生方が心がけていらっしゃることはありますか?
齋藤先生:本校の教育目標は「かんがえる子・がんばる子・やさしい子・けんこうな子」で、特にやさしい子という部分に重点を置いています。相手のことを大切に考え、相手がどう感じ、何を考えているかを常に意識できるような指導を行っています。日々の学び合いのなかでは、相手を認め考え方の違う友達とも折り合いをつけることが必要です。またそのことが学力向上にも大きく影響します。自分以外の人に意識が向けられるように、気持ちに余裕が持てるように、先生方は子どもたちに接しています。
齋藤先生:また先生方がそういった指導ができるように、私や学年主任などが先生方の気持ちを考え温かく接することも重要です。先生方がどんな思いをもって子どもたちを指導し、どんなことに悩んでいるのかをおもんぱかる、やさしい気持ちの連鎖をつなげていきたいとも考えています。
――異学年の交流も盛んだとお聞きしました。
齋藤先生:全校児童を12グループ、約30名前後のグループに分け、1年生から6年生まで全学年の子どもが全員メンバーになるように構成します。このタテワリ班は1年間を通したグループで、多い時で毎週、少ない時でも月に2回は遊ぶ時間を設けて交流しているので、全学年が本当に兄弟のように仲良くなるようですね。
齋藤先生:春は班の旗をみんなで考えて名札を作るところからはじまり、秋の全校遠足では、このたてわり班のメンバーで歩いて多摩川まで行きます。また1月には「たてわりスペシャル」として3~4時間目を遊びの時間に充て、一緒にお弁当を食べたり遊んだりする活動も実施します。兄弟がいない子どもたちでも、まるでお兄さん・お姉さん・弟・妹ができたような関係が築けていると思います。
低学年の子どもたちは、高学年のお兄さん・お姉さんが教えてくれたことをよく覚えていて、自分が大きくなった時に小さな子たちに返してあげる、そんな交流が脈々と受け継がれているようですね。
校庭を全面芝生に改修、スポーツ教育もより精力的に
――2012(平成24)年度に校庭を全面芝生にされ、毎日の子どもの様子に何か変化はありましたか?
齋藤先生:転んでも痛くないので、子どもたちは安心して走り回ったり遊んだりしているようで、実際けが自体も少なくなったと聞いています。また雨が降った後でも水たまりができにくいので、養生期間で使えない時期があると考えても子どもたちが校庭を使える時間はトータルで増えたような気がしますね。
横河電機のラグビー選手をお呼びしてのタグラグビー教室やFC東京のサッカー教室など、芝生を活かしたスポーツ教室も多く開催し、子どもたちが思いっきり体を動かせる機会も増やしています。
――スポーツ教育や文化活動にも力をいれていらっしゃいますね。
齋藤先生:東京都のオリンピック・パラリンピック教育の実施に伴い、さまざまな運動教室の実施を積極的に行っています。5月にはオリンピアンを招待して「かけっこ教室」を開催し、走ることだけでなくハードルや幅跳びのコツなども教わりました。プロバスケットチームによるバスケット教室、さきほどの話にも出たタグラグビー教室やサッカー教室なども開いています。子どもの体力低下が叫ばれるなか、いかに子どもの運動量を確保するかは学校の課題でもあります。全面芝生の環境を生かして、子どもが「スポーツは楽しい」と思えるような活動を今後も継続していきたいですね。
齋藤先生:そのほか、箏教室や茶道体験、落語教室など、日本の伝統文化に触れる体験授業も取り入れ、幅の広い豊かな教育活動を心がけています。知らないことを知る、未体験のことをやってみることで、子どもの感性はどんどん広がります。
また本校では音楽発表会という、日頃の音楽学習の成果を全校児童の前で発表する行事が毎年12月に行われ、学年ごとに練習した楽曲を披露し合います。その際に、自分たちが演奏するだけでなく、地域の演奏家の方々をお呼びして本物のパフォーマンスに触れる機会もつくるようにしています。
子育てにぴったりな落ち着いた街
――国領の街の魅力を教えていただけますか?
齋藤先生:国領の駅前も、バスターミナルや駅ビルなどの開発もひと段落して、落ち着いてきましたね。国領はこれから発展の可能性を秘めた楽しみな街だと思います。古くからの戸建て住宅も多く、静かで落ち着いた街並みは良質な住環境だといえますね。学校の子どもたちの様子を見ても、非常に落ち着いた子どもが多いと感じるのは、この土地柄や環境とは無関係ではないと思います。PTAのお母さま、お父さまたちも非常に協力的で、教育への関心も高いです。これから子育てをする世代にとっても安心な街ではないでしょうか。
駅前には大型スーパーが何店舗も建ち並び、「南国領」バス停付近にも大型スーパーもあります。「国領」駅から「新宿」駅までは30分足らずですし、ファミリー世代にはとても住みやすい街だと思います。
調布市立第二小学校
校長 齋藤秀史(さいとうひでぶみ)先生
所在地 :東京都調布市国領町4-19-1
TEL :042-485-1245
URL:http://members3.jcom.home.ne.jp/chofu-2sho/
※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。
相手の気持ちをおもんぱかる「やさしい気持ち」を育てる学校/調布市立第二小学校 校長 齋藤秀史先生
所在地:東京都調布市国領町4-19-1
電話番号:042-485-1245
http://www.chofu-schools.jp/chofu-2sho/