代表 平井丈夫さんインタビュー

まち歩きはまちづくりへの第一歩。街の魅力を発信する/小田原まちセッションズ(神奈川県)


2018(平成30)年7月に活動が始まった「小田原まちセッションズ」。玉砂利と、打ち寄せる波とのハーモニーが美しい「御幸の浜」に近い一軒家カフェ「ケントスコーヒー」を拠点としている。喫茶店としての利用ももちろん可能。今回は、カフェの自家焙煎珈琲をいただきながら「小田原まちセッションズ」の活動についてお話を伺った。

改めて小田原と向き合う

小田原まちセッションズ代表の平井丈夫さん
小田原まちセッションズ代表の平井丈夫さん

――「小田原まちセッションズ」は、2018(平成30)年7月に活動をスタートされたそうですね

平井さん:この活動は、小田原が好きな者たちが集い、互いに刺激し合いながらそこで生まれる出会いや気付き、その後の展開を楽しむというのがコンセプトです。「まち歩きの企画・運営」、「まちセッションの企画・運営」、「ケントスコーヒーの運営」を主な活動としています。

浜の近くの一軒家で営業中
浜の近くの一軒家で営業中

――まち歩きについて少し詳しくお聞かせください。普段は、どのようなコースを歩くのでしょうか?

平井さん:要望があればどのエリアでも案内をしますが、通常は「小田原かまぼこ通り(千度小路)」が中心です。駅前と比べたら少し静かなところですが、北条氏の時代には「船方村」と呼ばれるほど多くの漁師が住んでいた場所です。全国的な知名度を誇る小田原の蒲鉾は、ここで誕生しました。

自家焙煎の珈琲豆も販売している
自家焙煎の珈琲豆も販売している

――近年、雑誌・TVでもまち歩きがテーマの特集をよく見かけます。まち歩きの魅力についてどのようにお考えですか?

平井さん:街を歩くことで見えてくるものがあります。逆をいえば本を読むだけ、インターネットで情報を仕入れるだけでは分からないことがあるともいえます。まち歩きは、まちづくりへの第一歩ではないかと考えています。小田原の魅力を見つけ、発信していくために、観光協会などと一緒に仕組みづくりをしているところです。

有名な名所旧跡を訪ねるだけの旅行は、時代遅れのものとなりつつあるように感じます。旅行会社の提案するコースよりも、地元から提案された地元住民ならではの視点に基づくコースの方がより味わい深いものになります。それは外国人観光客に対しても同じことで、東京、富士山、京都という一般的なルートを辿るだけでなく、歴史のある街の“今の姿”を分かりやすく見せることで、より小田原に興味を持ってもらえるのではないかと思っています。

小田原で開催される「日本まちあるきフォーラム」のパンフレット
小田原で開催される「日本まちあるきフォーラム」のパンフレット

――「ケントスコーヒー」の運営についてお教えください

平井さん:学生時代に喫茶店でアルバイトしたのが縁で、この世界に入ることになりました。当初は仲間と一緒だったのですが、しばくらしてからケントスコーヒーの屋号で独立することになりました。その後、何度も移転を繰り返し、縁があってこの場所へと移ってきました。近くを立ち寄った際は、小田原談義とともに自家焙煎珈琲・水出しアイスコーヒーを味わっていただけるとうれしいです。

インテリアはダークブラウンで統一され、落ち着いた雰囲気が漂う
インテリアはダークブラウンで統一され、落ち着いた雰囲気が漂う

紅茶やコーヒーに関する本も
紅茶やコーヒーに関する本も

小田原が小田原でありつづけるために

――平井さんは、生まれ育ちも小田原だそうですね。小田原の魅力についてお聞かせいただけますか?

平井さん:明治から昭和にかけての小田原は、多くの文人が住んでいました。そのなかの一人、斎藤緑雨が友人宛てに認めた手紙に、“山よし海よし天気よし”の一文が見られます。小田原に移り住むことを勧める内容の手紙ですが、この一文こそ、小田原の魅力を簡潔に言い表しているように思います。東京とは程良い距離で、鉄道アクセスは東だけでなく西へ行くにも便利。東京のように何でもあるわけではありませんが、落ち着いて暮らすにはそれが適度な規模ではないかと思います。

10時半から19時半まで営業
10時半から19時半まで営業

――最後に、「小田原まちセッションズ」の課題・目標をお教えください

平井さん:「小田原まちセッションズ」の一員としてだけでなく、小田原市民としての意見にもなりますが、小田原をどのような形で次世代に残していくかというのが大きな課題ですね。これまで小田原は、観光資源に「小田原城」があることで少し安心していた感があります。しかし関東圏以外では、小田原は城ではなく蒲鉾のイメージが強いのが現状です。小田原が小田原でありつづけられる歴史的なストーリーを大切にしながら、国内外からより多くの観光客が来てくれるように、戦略的に取り組んでいくことが必要ではないかと思っています。

ケントスコーヒー 平井さん
ケントスコーヒー 平井さん

小田原まちセッションズ

代表 平井丈夫さん
所在地 :神奈川県小田原市本町3-4-21
電話番号:0465-25-4491
http://om-sessions.com/
※この情報は2018(平成30)年12月時点のものです。

まち歩きはまちづくりへの第一歩。街の魅力を発信する/小田原まちセッションズ(神奈川県)
所在地:神奈川県小田原市本町3-4-21 
電話番号:0465-25-4491
http://om-sessions.com/