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世田谷区立烏山中学校 校長 飯塚和彦 先生 インタビュー

地域の子育て拠点としても活用される「世田谷区立烏山中学校」

世田谷区立烏山中学校
校長 飯塚和彦 先生

レンガ造りの立派な建物を構えている「世田谷区立烏山中学校」。2017(平成29)年度で創立からちょうど70年を数えるこの学校は、新しい校舎に建て替えられる際に、区民のための開放施設や子育て支援の関連施設を新たに取り込みながら、区民が幅広いシーンで訪れやすい複合施設となった。今回はこの中学校の特徴と魅力、施設の見どころなどについて、校長の飯塚和彦先生にお話を聞いた。

飯塚和彦校長先生
飯塚和彦校長先生

学校の歴史についてお聞かせください

本校は1947(昭和22)年、新制中学がスタートした4月に開校した学校です。今年でちょうど70周年目を迎えます。校舎は最初は烏山小学校の敷地を借りて開校し、1948(昭和23)年の8月に現在の場所に移ってきました。1961(昭和36)年には鉄筋コンクリートの校舎に建て替え。さらに平成の建て替えの際、地域の方とコミュニケーションが取れるような学校にしたいという世田谷区のコンセプトのもと、現在のような形になりました。現在の校舎は2004(平成16)年の4月に建てられたものです。

校舎の外観
校舎の外観

教育目標について教えてください

教育目標については、「思いやる よく考える 力強く生きる」という言葉を掲げています。「思いやる」という言葉については、人とのコミュニケーションの中で、行事も含めて「感動と活力がある学校」にしたいと考えております。また、そういった学校の中でこそ、思いやりの心は育つものだと思っています。「よく考える」という言葉は、保護者の学習面での期待は大きなものがありますから、子どもたちに確かな学力を付けるために、「学びの期待がある学校」を作っていきたいと考えています。「力強く生きる」という部分については、生徒全員が「学校生活が楽しい」と言えるように、「一人ひとりが輝ける学校」にしたいと考えています。

教育目標
教育目標

目標を踏まえて、どのような実践をされていらっしゃいますか?

本校独自のものとしては、「ハートフルウイーク」というものあります。学校の中のどの先生でも良いので、生徒がリクエストをして、できるだけそのリクエストに沿った教員と面談できるように、一定の期間を設定しています。生徒自身が相談しやすい先生を選んでいますから、心配なことや、なかなか言えないようなことも聞けており、良い取り組みができていると感じています。もちろん、共有すべきことは教員間での共有も行います。学習に関しては、本校は世田谷区の9年教育の研究指定を受けており、計画的・組織的にPCタブレットを活かしていけるよう、研究をしようとしているところです。

また、「○○の烏中(からちゅう)」、という言葉を大事にしており、「あいさつの烏中」、「行事の烏中」、「部活の烏中」といった具合に、教育目標にもつながっていくものとして、意識的に使うようにしています。「あいさつ」は思いやりにつながりますし、「行事」については、本校は合唱コンクールと体育大会が2大行事になっているのですが、これは「よく考える」という部分にもつながっていると思います。「部活」は、力強く、いろんなことに燃えてほしいという部分です。

授業の様子
授業の様子

合唱コンクールと体育祭について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

本校の合唱コンクールは、与えられるものではなく、自分たちで作り出していくものになっています。パートリーダー、指揮者、伴奏者がいて、それぞれが講習会などをしながら、クラスごとに合唱をまとめていきます。学年が上がるにしたがって、自分たちでやる部分も増えて、演奏のレベルも上がっていきますが、1年生は思うようにいかないので、上級生との合同練習を開き、お互いを批評するという時間を持っています。3年生が説明し1年生もいろんなことを学んで、それをまた次の代に伝えていきます。こういった交流や取り組みの中で、ひとつの演奏を完成させていくので、合唱コンクールが終わった時には、生徒たちもすごく達成感が得られるようです。

体育祭は5月に行われるものなので、合唱のような交流時間は取れないのですが、大縄跳びなど学級単位の種目もありますし、ムカデ競争など多人数で行う競技もありますから、これも非常に盛り上がります。

体育館
体育館

学習面で力を入れている取り組みを教えてください

世田谷区独自のものとして「土曜講習会」を開いています。毎週土曜日に、外部の先生に講師をお願いをして、希望者を対象に講習会を行っています。当初は一定の基準を決めて、対象の生徒に対して実施していましたが、昨年度からは習熟度別のクラスにして参加できるように改善しました。

また、英語の授業以外に「イングリッシュタイム」という、英語を楽しむための時間を作っており、これも外部の講師の方に指導をお願いをしています。ほかにも、朝学習で新聞の記事をもとに、「ことばの力」を高めるための学習を行ったり、放課後に希望者を集めて漢検講座や英検講座を開いたりもしています。

補習授業については、放課後に希望者を募って、外部の講師を付けながら行っているものもありますし、「フォローアップ授業」という仕組みを取り入れ、授業時間内に、別室で個別指導を受けることも可能です。

部活動も盛ん
部活動も盛ん

校舎の特徴について教えてください

レンガ造りのかなり立派な建物になっており、児童館や教育相談室、温水プール、陶芸教室など、公共施設も一緒の建物の中に入っています。「エコスクール」を目指して作られており、ガスを使った冷暖房が全館に完備されたり、風の通り方や採光についても配慮が凝らされていたりと、年間を通して快適な環境で学ぶことができます。

特徴的な設備としては、地下1階の温水プールが特に目を引く施設かと思います。授業では夏のプールの授業でしか使いませんが、日頃は区民の方に有料で貸し出す施設になっており、スポーツ振興財団が管理を行っています。

プールの隣のクライミングウォールも、区民の皆さんから人気の施設です。講習を受けた方しか使えないという規則なので、授業の中で利用することはできませんが、当然、講習を受ければ利用することは可能です。このほか、作陶室も多くの区民の方が利用されています。子育てや教育に関する区の窓口である教育相談室や、子どもたちの遊び場である児童館は、小さなお子様連れの方が子育てに関する悩み相談やリフレシュにお越しになる際にも訪れやすいと思います。

中学校の専有部分としては、1階に「情報学習室」という大きなスペースがあります。図書室とパソコン室を兼ねた開放型の空間で、生徒も自由にいつでも利用することができます。

また、ちょっとユニークなものでは、「森繁久彌文庫」というスペースがあり、森繁久彌さんが愛読した書籍などを、手にとってご覧いただくことができます。

クライミングウォール
クライミングウォール
情報学習室
情報学習室
情報学習室
情報学習室
情報学習室
情報学習室
森繁久彌文庫
森繁久彌文庫

地域と連携して行っている事業や活動などがあれば教えてください

本校にはボランティア部があり、地域のボランティア活動をいろいろと行っています。部員は80名ほどおり、主に、地域で行われるさまざまな行事などに、スタッフとしてお手伝いに入る形で活動を行っています。実際の活動は土日に行われることも多いので、運動部と兼部をしている生徒も多いです。たとえば、地域の避難訓練や小学校の運動会、児童館で行われる乳幼児向けのイベント、青少年委員会の炊事遠足、芦花公園のお祭りのお手伝いなどを行っています。逆に、地域の方が学校に来て部活の指導などを手伝ってくださることもあります。授業でも、日本の伝統文化を扱う授業で、着付けやお茶の作法の指導を教えていただいたりしています。

今後、力を入れて取り組んでいきたいことはありますか?

いま取り組み始めているもののひとつに「法教育」があります。法教育と言えば、模擬裁判といったイメージが浮かぶと思いますが、本校ではもっと生活に近い部分で教科と結びつけたいと考えていて、たとえば、家庭科で消費者の立場を知る授業があれば、クーリングオフについて、道徳の授業の中で、トラブルや人との関わりについて学ぶ授業があったら、問題の解決方法について弁護士の方に教えていただいたり、といったシーンを想定しています。法教育というひとつのものを、いろいろな教科に横断的に結びつけていけるように、現在弁護士会と一緒になって具体的な部分を決めているところです。

もうひとつ、障害者理解に関する部分にも力を入れています。本校は久我山にある特別支援学校の「青光学園」と交流をしており、出張授業に来ていただき、生徒に障害者のことを理解してもらい、そのうえで実際に障害を抱えた子たちに来てもらい、交流をしています。最初はお互い、なかかな思うようできない様子も見られるんですが、一緒になってゲームをやったり、歌ったり、身体を動かしたりすることで、だんだんと、お互いがすごく良い刺激を受けている様子が見られて、非常に有意義で良い交流になっていると感じています。

烏山周辺エリアの子育て環境の魅力について教えてください

子育てに関する環境がとても充実していることが、住み心地の良さにつながるかと思います。特に本校の建物については、中学校だけではなく、子育て相談の窓口や児童館もありますので、いろんなシーンで活用していただけると思います。

児童館については、小さなお子さんだけでなく、中高生が参加できるような企画も積極的に行っていますし、小さなお子さん向けのイベントの時には、中高生がお手伝いに入ったりと、いろんな年代の人が関わりやすい仕組みや環境が整っています。また、「世田谷区役所烏山総合支所」にある子ども家庭支援センターでは、何か悩みがあれば気軽に相談ができるように、専門のスタッフが常駐していますし、必要があれば児童相談所や小児科のドクターも関わって、連携して子育てのサポートを行ってくれます。そういった安心感も、地域の魅力であると感じています。

ここは地域の皆さんの、子どもに対する目線が温かい地域だと感じています。みんながひとつになって、この烏山の子育てを良くしていこう、という雰囲気がある地域ですから、子育て世代の方は、とても暮らしやすいのではないでしょうか。

飯塚和彦校長先生
飯塚和彦校長先生

 

今回お話を聞いた人

世田谷区立烏山中学校
校長 飯塚和彦 先生

世田谷区立烏山中学校 校長 飯塚和彦 先生 インタビュー
所在地:東京都世田谷区南烏山4-26-1 
電話番号:03-3300-6361
http://school.setagaya.ed.jp/tkama/




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