COMMA,COFFEE(コンマ,コーヒー)
再開発により生まれ変わったひばりが丘団地内にお店を構える「コンマ,コーヒー」。地域のコミュニティスペースとして整備された「ひばりテラス118」内にあるカフェスペースで、店員とお客様との距離感も近いオープンキッチンが印象的な空間だ。SNS上で大きな反響を呼んでいる、絵本に登場するあつあつほわほわの「カステラパンケーキ」を知る人も多く、近隣はもとより全国からもファンが訪れる求心力のあるお店だ。今回はオープニングからコミュニティ・マネージャーとして店舗を運営する妹尾さんに、お店の特色や街とのつながりについてもお話を伺いました。
「ひばりテラス118」に誕生した注目のカフェスペース
――お店ができた経緯についてお聞かせください
妹尾さん:2015年11月にオープンしてから1年半になりますが、「ひばりテラス118」を運営する「一般社団法人まちにわひばりが丘(以下、まちにわひばりが丘)」のオーガナイザーを務める荒さんに声をかけていただいたのがはじまりです。「まちにわひばりが丘」は、ひばりが丘団地を中心にひばりが丘のまちづくりに取り組む組織で、お店の隣に事務所があります。この「ひばりテラス118」は、もともとひばりが丘団地のテラスハウス118号棟として実際に使われていた場所で、取り壊される予定だった場所をリノベーションして、地域の方々が気軽に集まれるコミュニティセンターとして生まれ変わりました。「ひばりテラス118」には大小6つのコミュニティスペースがあるほか、仕事や趣味にも使えるパーソナルスペースや共同菜園、芝生広場もあるのですが、飲食店があったほうが利用しやすいだろうということで出店させていただくことになりました。私はオープニングスタッフとしてお店の立ち上げ時からここに務めているのですが、コミュニティ・マネージャーという肩書きで店舗の運営から商品開発、お客様の接客まで幅広く仕事をしています。当初は私を含め2〜3人で焼き菓子やパンを提供するカフェとして運営していたのですが、「カステラパンケーキ」の反響もあり、現在はパート、アルバイトを含めて6名のスタッフで運営しています。
SNSを中心に評判が広がる絵本の中の「カステラパンケーキ」
――ぐりとぐらの「カステラパンケーキ」とは?
妹尾さん:「カステラパンケーキ」は、絵本の『ぐりとぐら』を読んだことのある方はご存知の方も多いと思いますが、絵本のなかで登場する大きなフライパンで焼いたあのパンケーキです。お客様からの要望もあって、お食事系のメニューも充実させたいとスタッフ間で会議をしていたときに、たまたま雑談のなかで挙がったぐりとぐらのパンケーキを「じゃあ、やってみようか♪」と。正直なところパティシエとして経験のあった私も他のスタッフも、ショートケーキやガトーショコラといった方向性でカフェデザートを増やしていきたいと考えていたので、パンケーキを作ったこともなければ『ぐりとぐら』を読んだこともなかった私にはピンッと来なかったというのが本音です。しかしあらためて絵本を読んでみると、ワクワクする内容で子どもにはもちろん、子育てをするお母さん、お父さんにとっても小さい頃に読み聞かせをしてもらった思い出の一冊で、世代を超えて親しまれている本であることを知りました。今からちょうど一年前の2016年春に商品として提供をはじめたのですが、SNSを中心に評判が広まり、全国からお客さんが訪れる当店の看板メニューになりました。
30分間かけて焼き上げるあつあつほわほわのパンケーキ
――作るうえでのこだわりは?
妹尾さん:「カステラパンケーキ」を作るうえで大切にしたのは、はじめて『ぐりとぐら』を読んだときの“あつあつほわほわ”というフレーズと、絵本を読んだことのある人のイメージと合致したら良いなという思いで素朴な味にするためのレシピを考えました。また作品の世界感を損なわないためにもフライパンをデザインの中心において、スキレットで焼き上げたパンケーキをそのまま提供することにしました。当初は小さなお子さんを連れて足を運んでくださるご近所のお母さんたちに、絵本を読みながらたまに食べていただけるような隠れメニューとしてしか考えていなかったので、まさか一日に数十個も作るようなメニューになるとは想像もしませんでした。この一年の間に少しずつレシピを変え、去年の秋頃にようやくレシピが固まったのですが、ワンランク上の薄力粉を使ったり、無塩バターにこだわったりと、とにかく美味しいものを提供したい一心でレシピを考案してきました。それまでの仕事でパンケーキを作ったこともなかったので、高温で30分間かけて焼き上げる「カステラパンケーキ」が他とどう違うのかもよく分からなかったのですが、フワフワ感を残したまましっかりと焼き上げているのが特徴です。しかし土日ともなると学生や遠方からのお客様も多く、一回焼き上げるのに30分かかる「カステラパンケーキ」を求めてお店の外に行列が出来てしまうことも多く、新たなメニュー開発にも挑戦しています。
地域のニーズに応じて柔軟に変化し続けるお店のいま
――新たに開発したメニューやお店の現況についてお聞かせください
妹尾さん:お食事系のメニューを充実させたりアルコールの提供をはじめたことで、夕方以降にお父さん世代の方がいらっしゃったり、朝イチで「カステラパンケーキ」をお召し上がりになる方がいらっしゃったりと、ご近所のママ友とご年配の方が中心だった客層が大きく変わりました。また「まちにわひばりが丘」が中心になって開催するマンション住民を対象としたパーティー会場として利用されたこともあり、100人を超える住民がコンマ,コーヒーに集まりました。階が違えば顔を合わすこともなければ、なかなかあいさつする機会もないマンションの住民を招待するイベントだったのですが、「この街をもっと良くしたい」という想いを共有できる空間としてご利用いただき、徐々にではありますが地域とのつながりも広がってきていると思います。昨今では近隣の農家さんから声をかけていただくこともあり、メニューの一部に地元で採れた野菜を使わせていただくこともあります。東久留米市にも小麦粉の会社があるとは聞いているのですが、こればかりは出会いでもあるので、ゆくゆくはそういったところでも地域とつながって行きたいと考えています。ちなみに新メニューとして今もっともチカラを入れているのが、旬のフルーツをふんだんに使った「パフェ」です。今は季節がらいちごを使っているのですが、夏はメロンとか白桃、秋は栗や巨峰を使ったりして、一年を通じて贅沢なパフェを作ってみたいなと考えています。
人のつながりが感じられるあたたかい街、ひばりが丘
――ひばりが丘の街の魅力についてお聞かせください
妹尾さん:お店のオープンにともなって近くに引越してきたのですが、それまでは新宿や武蔵小杉など自宅と職場の行き来が便利かどうかという点だけで住む場所を選んでいたのですが、いらっしゃるお客様を見ているとおたがいにゆずり合いの気持ちがあったり、ご近所のおじいちゃん、おばあちゃんが小さなお子さんに声をかけたりといった光景もごく自然で、人のつながりが感じられるあたたかい街だなと思います。私以外のスタッフはみんな徒歩圏に住んでいるので、どうしたらこの街が良くなるだろうと真剣に考えている地域の人たちとも共感する部分は多いようですし、いずれは地域の方が集まれるお菓子教室を開きたいと考えているスタッフもいるほどです。私個人の想いとしては、「カステラパンケーキ」がこれほどまでに大きな反響を呼ぶとは思っていなかったので、外でお待たせしてしまうお客様には申し訳ない気持ちもあり、コンマ,コーヒーの2号店を開くことでキャパシティーの課題を解決したいと思っています。間接的ではありますが、スタッフの雇用を増やしたり、お店に来るお客さんが近隣の商店に足を伸ばして買い物やお食事をすることも地域貢献のひとつのあり方かとは思うので、まずはこのお店で良い商品をつくって、良いサービスを提供して、良い環境を継続して維持していくことに専念したいと思います。
株式会社WAT コミュニティ・マネージャー
妹尾和也さん
住所:西東京市ひばりが丘3-4-47
電話番号:042-465-1665
URL:http://www.commacoffee.jp
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。
COMMA,COFFEE(コンマ,コーヒー)
所在地:東京都西東京市ひばりが丘3-4-47
電話番号:042-465-1665
営業時間:9:00~19:00
定休日:月・火曜日
http://www.commacoffee.jp