理事長 大久保さんインタビュー

地域の生活に根ざし下町風情が今なお残る/新小岩ルミエール商店街(東京都)


全長約420mにわたってアーケードが整備された「新小岩ルミエール商店街」。約150店舗もの専門店が軒を連ねる活気ある商店街で、ご年配の方から子ども連れのご家族まで幅広い層に親しまれている。
駅前の再開発等によって近年ますます注目を集めている地域だが、古き良き下町風情が今なお残る商店街は新小岩のライフスタイルを語るうえでも欠かせない存在だろう。
今回は新小岩ドリームウェイ商店街振興組合の事務所を訪ね、「新小岩ルミエール商店街」の概要や取り組み、地域の魅力についてもお話を伺った。

駅南口を出ると見えてくる「新小岩ルミエール商店街」
駅南口を出ると見えてくる「新小岩ルミエール商店街」

全長約420mにわたってアーケードが設置された「新小岩ルミエール商店街」

――まずは、「新小岩ルミエール商店街」の概要や特色について教えてください。

大久保理事長:「新小岩ルミエール商店街」は、JR「新小岩」駅の南口にある下町風情あふれる商店街です。全長約420mにわたってアーケードが設置されているのが特色で、昭和34(1959)年に葛飾区内ではじめてアーケードが設置された商店街として知られています。

お話を伺った理事長の大久保さん
お話を伺った理事長の大久保さん

葛飾区と江戸川区の2つの区にまたがっている商店街ということもありまして、駅寄りの「新小岩銀座商店街振興組合」と江戸川区寄りの「新小岩ドリームウェイ商店街振興組合」の2つの振興組合によって構成されているのも特徴です。
もともと別の商店街として発足し、送電線によってアーケードも一部分断されていたのですが、鉄塔がかさ上げされたことで、アーケードがつなげられるようになり、現在のような一体感のある大きな商店街として発展してきました。
「新小岩ルミエール商店街」という名前は、地元のお客様から「商店街の名前がふたつあって分かりにくい」といった声があり、一般の公募によって名付けられたものです。ルミエールというのはフランス語で「採光」という意味があるそうです。
ちなみにドーム状の屋根が「新小岩銀座商店街」で、三角屋根が「新小岩ドリームウェイ商店街」として見分けることができます。頭上をご覧いただくとわかりやすいと思います。

新旧150店舗近くものお店が軒を連ねる活気ある雰囲気が特徴

――都内でも賑わいのある商店街として知られていますが、賑わいを維持するための仕掛けづくりなど、具体的な取り組みがあればお聞かせください。

大久保理事長:現在、「ルミエール商店街」には140〜150店舗くらいのお店があります。月ごとにかなりの入れ替わりがあるので店舗数は一定していないのですが、空き店舗が出るとすぐに新しいお店が入ってくれるような状況です。地元に定着した長年続くお店もあり、新旧それぞれのお店が入り混じる活気ある雰囲気が特徴です。

賑わいをみせる「新小岩ルミエール商店街」
賑わいをみせる「新小岩ルミエール商店街」

最近では芸能人の方がプロデュースした、から揚げ屋さんやコロッケ屋さんといった話題のお店もオープンいたしました。ご年配の方から若い方まで幅広い層のお客様がいらっしゃいます。また中国、台湾、タイ、ベトナムといった外国のお店も多く、ワールドワイドな雰囲気を楽しめるのも「新小岩ルミエール商店街」の魅力のひとつになっていると思います。
組合として特にお店の誘致などをしているわけでは無いのですが、地域の生活に根ざした地域密着の商店街に魅力を感じて出店してくださっているんだと思います。多くの店舗さんがイベントに協力してくれるなど、商店街としての取り組みや地域とのつながりを大切にしながらお店を運営されているのを感じます。
また昔からこの地域には銀行や信用金庫といった金融機関が数多くあります。商店街の入口に銀行があるのもそうですが、小さい町で商圏も限られた狭いエリアにも関わらず金融機関が数多くあったのは、それだけ商売が盛んだったということでしょうか。

1年を通じて子どもから大人まで楽しめるイベントが盛りだくさん

――商店街で開催されるイベントや見どころについてお聞かせください。

大久保理事長:「新小岩ルミエール商店街」では季節ごとにさまざまなイベントを行なっております。まず1月は「新春蔵開きセール」を開催しています。イベントの目玉として餅つき大会が行われ、つきたてのお餅をその場で提供するのはもちろん、もつ煮込みや甘酒の販売もあり毎年多くの人で賑わいます。

「新春蔵開きセール」の様子
「新春蔵開きセール」の様子

つきたてのお餅が食べられる「餅つき大会」
つきたてのお餅が食べられる「餅つき大会」

4月は、「新小岩さくらまつり(現:春の大江戸よしむねまつり)」があります。元々は3.11の復興支援を目的としたイベントとしてスタートしました。恒例のお祭りとして定着した今では、参加店舗でお得なセールがあるほか、駅前広場で行われるステージイベントでは、地元の団体によるダンスや阿波踊りなど子どもから大人まで多くの方が参加します。

地元団体の方によるフラダンス
地元団体の方によるフラダンス

子どもたちのチアダンス
子どもたちのチアダンス

10月の「よしむねまつり 〜ルミエール収穫祭〜」や、7月と12月は現金つかみ取りが大好評だった「チャンスセール」、冬の商店街を彩る「ルミエール・イルミネーション」といった取り組みも行っています。1年を通じて子どもから大人まで楽しめるイベントを開催し、商店街を盛り上げています。
「新小岩さくらまつり(現:春の大江戸よしむねまつり)」では、東京消防庁の音楽隊をお招きして、防火防災を呼びかけながらアーケードでパレードが行われたこともあります。駅前広場では地元の中学生が演奏を披露する場面もあり、地元に限らず多くのお客様が集まり、とても賑わうお祭りです。

SNSを活用した新しい情報発信

――新しい取り組みやイベントの予定がありましたらお聞かせください。

大久保理事長:現在はコロナ禍で人を集めるようなイベントは一切できておりませんが、一部、福引のガラガラをスクラッチに変えるなどして工夫して行なっている取り組みもあります。

事務所担当・花岡さん:商店街の公認キャラクター「よしむねさま」と「こまつなっち」が、昨年デザインを新たにして生まれ変わりました。残念ながらコロナの影響によってお披露目のイベントなどはできなかったため、Youtubeチャンネルを開設し、動画でのお披露目を企画しました。 数年前からはFacebookを立ち上げて公認キャラクター情報発信するなど、若い世代にも親しまれる商店街を目指しています。

商店街の公認キャラクター「よしむねさま」と「こまつなっち」
商店街の公認キャラクター「よしむねさま」と「こまつなっち」

Facebookを活用した取り組みのひとつに「ルミエール商店街フォトアルバム」があります。こちらのサイトでは、一般のお客さまが撮影した商店街の写真を随時募集しています。選出された画像は商店街のホームページ上でもご紹介していく予定ですので、ぜひ投稿してみてください。

Youtubeチャンネルは、まだ立ち上げたばかりですので、動画は2本だけなのですが、今後、子ども向けのチャンネル制作に取り組むとか、他にも良いアイデアを求めて構想を練っているところです。お客様ももちろん、興味がある方やアイデアをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ組合に声をかけていただけると嬉しいです。

新小岩ルミエール商店街(よしむねさま&こまつなっち)Facebook
新小岩ルミエール商店街YouTubeチャンネル

街並みは変わってもそこに住む人の地元愛は変わらない新小岩

――新小岩エリアの街の魅力についてお聞かせください。また街の変化についてはどのように感じますか?

大久保理事長:僕はここで生まれてここで育ったので他の地域のことはあまりよく知らないのですが、新小岩には商店街があっていろんなお店がありますし、季節ごとに楽しいイベントもあって、それがこの町の良いところなんじゃないかと思います。
街の変化についてはもちろん小さい頃と比べればだいぶ違いますけど、「街そのものが変わってしまったな…」といった印象は無いですね。
僕が小さいときは、商店街に駄菓子屋さんがあって子どもたちが学校帰りに遊びに来たり、週末は人人人で歩けないくらいの賑わいでした。当時は郊外型のスーパーや大型の商業施設も無かったので、浦安や行徳あたりのお客様もバスに乗って新小岩に来ていたようですね。
昔からやっているお店さんもだいぶ変わったので、当時を知るお客様からすると新小岩はだいぶ変わったと仰る方もいると思いますが、私は根本的なところでは変わっていないんじゃないかと思っています。

「さかなや うらまつ」でのマグロの解体ショー
「さかなや うらまつ」でのマグロの解体ショー

事務所担当・花岡さん: そうですね、新小岩の人って新小岩愛が強いんですよ。みんな地元が大好きで、それで成り立っているような地域なので、高いビルやマンションが建って街並みが変わってもそこに住む人がそんなに変わっていないので、新小岩の人たちにとっては何も変わっていないようなイメージなんじゃないかと思います。
私も新小岩に住んでだいぶ経ちますが、みんな仲が良いし、新住民も旧住民も関係無く、住みやすい、愛すべき街なのかなと思いますね。
10年前、20年前と比べればもちろん見た目は変わっているけど、人が変わっていない。それが下町なんじゃないですかね。

綺麗に整備された「新小岩」駅南口広場
綺麗に整備された「新小岩」駅南口広場

――最後に、これから新しく新小岩に住まわれる方に向けてひと言お願いいたします。

大久保理事長: 新小岩はJRの快速が停まりますし、高速道路の出入り口も近くにあって交通の便が良いですよね。通勤通学の利便性もありますし、元気な商店街もあるので毎日の生活にも不便を感じることは無いと思います。
現在のコロナ禍においても、商店街を実際に歩いていただくとそんなにお客様の数が減ったような雰囲気もありませんよね。もともと観光目的でいらっしゃるお客様というのが少なくて、ほとんど地元の方が利用しているような商店街なので、空き店舗も少なく賑わいのある商店街が維持されているんだと思います。

事務所担当・花岡さん: 新小岩に住んだらまずは商店街を散策して欲しいですね。楽しい人も面白い人もいっぱいいますし、都心ではなかなか無いような個性的なお店もあるので下町商店街の散策がオススメです。
去年、緊急事態宣言の影響で大きなお店やデパートが休業になった時に、手土産やちょっとした贈り物などが買えなくなったので、地元の商店街でお買い物をするようになったと聞きました。

大久保理事長: 確かにコロナの影響というのは少なからずありましたけど、悪いことばかりではなくて、お客様が地元に戻ってきてくれるという側面もありました。
組合としても皆さまに安心してお買い物やお食事をしていただけるように、感染拡大防止のアルコールやマスクといった備品を組合側で購入してお店に配るなど、さまざまな取り組みを行って来ました。
コロナが収束したら、昨年整備が終わって綺麗になった駅前広場でイベントなどを開催したいですね。

南口広場でのイベント
南口広場でのイベント

新小岩ルミエール商店街
新小岩ルミエール商店街

新小岩ルミエール商店街(新小岩ドリームウェイ商店街振興組合)

理事長 大久保さん
所在地:東京都江戸川区松島3-15-7
電話番号:03-5662-3678
URL:https://www.lumiere-shoppingstreet.com/
※この情報は2021(令和3)年5月時点のものです。

地域の生活に根ざし下町風情が今なお残る/新小岩ルミエール商店街(東京都)
所在地:東京都葛飾区新小岩1・江戸川区松島3、4 
電話番号:03-5662-3678(ルミエール商店街事務所)
https://www.lumiere-shoppingstreet.com/