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西東京市立田無第二中学校 校長 井上雅子先生

「健康・誠実・敬愛」を目標に、多彩な授業に取り組む「西東京市立田無第二中学校」

再開発が進み、西武池袋線の直通運転も各線に伸びてますます便利になったひばりが丘エリア。「西東京市立田無第二中学校」は静かで落ち着いた環境に建ち、地域の方々とも風通しのよい関係を築きながら日々特色のある教育活動を行っています。学力も安定し規範意識も高いという生徒たちの毎日の取り組みについて、そして、ひばりが丘の周辺環境について、井上校長先生に伺いしました。

地域に根付いた学校で学ぶ、規範意識の高い生徒たち

お話を伺った井上雅子先生
お話を伺った井上雅子先生

――学校の概要を教えてください。

井上先生::本校は1956(昭和31)年に旧・田無中学校谷戸分校として開校し、1959(昭和33)年に今の「西東京市立田無第二中学校」となりました。「健康・誠実・敬愛」を教育目標に置き、俳人の山口青邨先生直筆の石碑が校門を入ってすぐのところに設置されています。これは創立5周年を記念して依頼したものだそうで、現存する直筆の碑として、俳句以外ではこの石碑のみが残されているそうです。

現在1年生4クラス116名、2年生4クラス117名、3年生5クラス137名、合計370名の生徒が在籍しています。このほか通級指導学級K組に市内中学校から合計28名が通学しています。

教育目標が刻まれた石碑
教育目標が刻まれた石碑

――生徒さんたちの様子や雰囲気はいかがですか?

井上先生:学力が安定した規範意識が高い生徒が多く、きまりや校則もきちんと守ります。精神的に安定して、落ち着いている生徒が多いように感じますね。親子三代でこの地域に住んでいらっしゃる方も多く、地域への愛着も強いように思います。あとでもお話ししますが、ボランティア精神もしっかり根付いていて社会性も高い生徒たちが揃っています。

――市内唯一の通級指導学級があると聞きました

井上先生:来年度は「西東京市立明保中学校」にも開設されますので、市内唯一ではなくなりますが、現時点では本校のみですね。通級指導というのは、通常のクラスに在籍しながら学習や生活面で困難を感じているお子さんが週に1~2回、その子の課題や特性に応じた時間設定で本校に通い、コミュニケーション力などのソーシャルスキルを中心にトレーニングするクラスです。本校の通級指導学級は7年前から始まり、現在、市内9校の中学校から生徒が通っています。

校内の様子
校内の様子

小グループでの活動を通じて相手の気持ちや場の状況、人との距離感や礼儀、マナーなどコミュニケーションの仕方を学んだり、作品製作や農園芸、調理などの作業を通して仲間と協力したり、ソーシャルスキルを身に付けます。私としては学習面も大切ですが、まずは生徒たちの自尊感情を育てたいと考えています。デリケートな生徒が多いので、多彩な指導方法で、生徒たちの得意を伸ばし、自分に自信を持てるような指導を心がけています。

多彩な指導方法で、生徒たちの得意をのばす

アクティブ・ラーニングを取り入れたグループ学習 (社会)
アクティブ・ラーニングを取り入れたグループ学習 (社会)

――アクティブラーニングを生かした授業を行なっているそうですね?

井上先生:もともと対話を重視した授業は行なっていましたが、知識を得るだけではなく、「主体的・対話的で深い学び」、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善を進めています。例えば、理科の実験では実験内容だけを決め、アプローチや具体的な実験方法は各班ごとに考え、教科担任にプレゼンをして決定していきます。

アクティブ・ラーニングを取り入れたグループ学習 (理科)
アクティブ・ラーニングを取り入れたグループ学習 (理科)

また国語や社会の授業では、グループごとにテーマを調べ、話し合って内容を深め、結果をまとめて発表するという授業を増やしています。先生の話を聞くだけの授業とは違い、周囲の仲間の考え方を聞き、意見を交換しながら考えをまとめる作業は、想像以上に生徒たちの「判断力」「思考力」「コミュニケーション力」を育てます。

運動会の練習風景
運動会の練習風景

また数学では習熟度別に少人数制にクラス分けし、教科書で満足できない生徒には手応えのある問題に取り組んでもらうこともあります。そのなかで、分からない問題をお互い相談したり、協力し合ったりして解く時間も大切にしています。英語は単純に習熟度別にしてしまうよりも、様々な進度の生徒をランダムに組み合わせることで、お互い刺激し合って会話を進めたり、教え合ったりする姿も見られます。

――ボランティア活動にも積極的に取り組んでいらっしゃると聞きました。

井上先生:様々な活動のなかでも近隣小学校に「リトルティーチャー」として中学生が教えに行く活動があります。すぐ隣の「西東京市立谷戸小学校」で5~6年生を対象に「放課後補習授業」が開かれていて、本校の生徒がボランティアで指導サポートをしています。部活動に参加していない、しっかりした生徒を中心に派遣していて、教わる側も年齢の近いお兄さん・お姉さんに教えてもらう楽しさがあり、教える側も勉強になる、一挙両得の取り組みだと自負しています。

「西東京市立谷戸小学校」での校庭の芝刈りボランティア
「西東京市立谷戸小学校」での校庭の芝刈りボランティア

現在は算数の授業を中心に行っていますが、小学生と中学生の下校時間の違いなどから、テスト最終日や夏休み期間など限られた時期にしかまとまった時間がとれないのが実情です。「今年度は英語の授業もお願いしたい。」とリクエストを受けているので、夏休み期間にも「リトルティーチャー」活動を行いたいと計画しています。

図書室
図書室

――特徴のある教育活動などについて教えてください。

井上先生:本校では毎年11月の第1週目の土曜日に、保護者の方々をお招きしての「意見発表会」を開催しています。これはまず夏休み前に、生徒全員が自分の興味があるテーマを決め、それについての意見文を書きます。テーマはどんな分野でもいいので、「環境問題」や「障害者問題」、「オリンピック・パラリンピック」「将来の夢」など多岐に渡ります。そして9月にクラス内で発表を行います。互いに評価をしてクラス代表を2~3人選出し、次に学年での発表を行います。そして学年代表3名を選出し、合計9名が本番の「意見発表会」でのスピーチに臨みます。

昨年度の「意見発表会」の様子
昨年度の「意見発表会」の様子

この発表会が実に聞き応えのある、素晴らしいスピーチばかりで感動します。原稿を覚えて朗々と話す様子は本当に立派で、それを見る生徒たちは「自分もいずれこうなりたい」と目標にするようです。保護者の方々からも毎年好評いただいています。本校の生徒たちは比較的大人しい子が多いのですが、この活動を通して人の話すことを聞くだけでなく、きちんと「自分の意見も言える・主張できる生徒」に育っていると感じます。

表彰の数々
表彰の数々

毎年入学式に行う新3年生の新入生への挨拶も、原稿を読まず、感情が込もった立派なスピーチをします。私は赴任してすぐにこの挨拶を聞いて、本当に驚き、翌年からは原稿を覚えるように頑張っています(笑)。

風通し良く、行事を通して地域と繋がる

「谷戸せせらぎ公園」
「谷戸せせらぎ公園」

――地域の方々との連携について教えてください。

井上先生:この地域には、生徒会や町内会、西東京市主催のお祭りや行事が年10回以上あります。商店街のお店や地域団体が出店しているので、本校の生徒たちもヨーヨー釣りや射的などのお店のお手伝いをしています。教職員も一緒にお神輿を担いだり、地域の方々とは日常的に交流し風通しのよい関係を築いています。

教室
教室

また、公民館のイベントでも美術部の生徒たちが描いた絵の提灯を作ってくださったり、作品も飾らせていただいたりと、生徒たちのモチベーションも高まります。 運動会では駅伝競技があり、学校周辺を生徒が走って回るのですが、その警備やサポートに地域住民の方々が全面協力してくださいます。日頃のサポートへの感謝の気持ちをこめて、生徒たちが元気に走る姿をお見せしたいと思っています。

――ひばりが丘エリアの印象を聞かせてください。

井上先生:本当に緑が多い地区で、すぐ近くに「西東京いこいの森公園」や「谷戸せせらぎ公園」、広大な敷地の東京大学の「田無演習林」もあって気持ちが良い風景が広がっています。この2箇所の公園へは理科の授業で水を取りに行き、微生物を観察したりと授業でも活用させていただいてます。学校は住宅街の真ん中に位置しているのですが、みなさんお庭を丁寧に手入れなさっていて、四季のお花も楽しめてとても癒されています。「ひばりヶ丘」駅へのバスも出ているので便利ですし、池袋へも西武池袋線で20分程度と非常に便利です。

「西東京市立田無第二中学校」
「西東京市立田無第二中学校」

実は西武池袋線が東京メトロ有楽町線、副都心線を経由して東急東横線、みなとみらい線に直通したことで、進学先の選択肢も広がり私立中学を受験する生徒が増えてきました。保護者の方々にとっても、生徒本人にとっても選択肢が増えたことは進路を考えるうえで非常にプラスだと思います。西東京市や武蔵野地区は公立・私立を問わず学校が多く、本校からは6対4程度の割合で都立高校、私立高校へと進学しています。西武池袋線「ひばりヶ丘」駅へも西武新宿線「田無」駅へもバスですぐ、どこに通学するにも便利なので教育に関心の高いファミリー層に人気があるのも頷けますね。

校長先生

西東京市立田無第二中学校

校長 井上雅子先生
東京都西東京市北原町2-9-1
TEL:042-462-2812
URL:http://www.nishitokyo.ed.jp/j-tanashi2/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

「健康・誠実・敬愛」を目標に、多彩な授業に取り組む「西東京市立田無第二中学校」
所在地:東京都西東京市北原町2-9-1 
電話番号:042-462-2812




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