こだわりの食材を楽しめるフレンチレストラン/レストラン セン オーナーシェフ 丸山旋さん
靖国通りから一本裏手に入った場所で、開業から6年余り、舌の肥えた人々を喜ばせ続けている隠れ家レストラン「レストラン セン」。オーナーシェフである丸山旋氏が料理もサービスも自らこなしながら、すべてのお客さんに、誠心誠意の対応をしてくれると評判のレストランであり、主に口コミを通じて、常連の輪を広げてきた。今回はそんな丸山シェフを、開業6周年にあたる2016(平成28)年10月に訪ね、お話を伺った。
念願のお店を九段でオープン
――まずはお店の沿革、概要についてお聞かせください。
「いつか自分の店を持ちたい」という気持ちは昔からあり、2010(平成22)年の10月にお店を開きました。ちょうど6年になります。開業までは1年くらい準備をし、その間にいろんな場所を見て、最終的に九段に決めました。
――この地域に、もともと何か縁があったのでしょうか?
それが、まったく無かったんです。当初は前職で勤めていた青山周辺で探していたんですが、なかなか難しくて。そんな時にここを見つけました。九段にはあまり来たことがなく、少し駅から離れていたので「ちょっと難しいかな?」とも思ったんですね。 でも、この物件を見た時に、周りにオフィスやマンションがあるし、ビルのオーナーさんにも是非、と言っていただけたので、ここに決めました。
――どのようなコンセプトのお店にしようと思っていたのでしょうか?
当初はもっとカジュアルなイメージでした。人通りが多く、たくさんお客さんが入れ替わるようなお店を考えていたんです。でも、場所を見に来てコンセプトを変えました。しっかりとした、コース主体の「レストラン」という形のお店がここには合うと思ったんですね。 ただあまり堅苦しいところは無いので、基本的に予約制ですが、直前のご連絡でも席が空いていれば対応させて頂いております。
「すべて自分で選んだもの」と言えること
――お料理についてお聞かせください。
今はコース料理だけをやっております。基本的に昼が2,600円と4,000円(税別)、夜が4,600円、5,800円と8,000円(税別)のあわせて5コース。内容は常に変わりますから、ホームページで最新情報をご確認いただきたいですね。
昔はアラカルトもやっていたんですが、コースで最初から最後まで、流れを感じながらしっかり食べていただきたい、じっくり味を見ていただきたいという思いがあり、コースのみとしています。
――食材にもかなりこだわっているようですね。
やはり「食材は自分で見る」ということにこだわっています。一部は業者に頼んでいますが、基本的には食材は築地市場や辰巳にある業務用食材の店に行って、自分で選んで、すべて買っています。
産地や生産者について、特別なこだわりというのは実はありません。「誰が作ったから」「誰が持ってきたから」ということではなくて、自分が「価値がある」と思って、選んで買う。それが一番肝心なことだと思っています。そういうものを、最初から最後まで全部責任を持って、お客さんに提供したいですね。「これは私が、すべて選んだものです」と言えることを大切にしています。悪い方に転ぶこともありますけれど、自分が選んだことですから。
――コース料理は昼と夜あわせて5つ、こだわりを教えてください。
気をつけているのは、お皿ごとに食材と調理法がかぶらないということですね。一皿ごとに、特徴的な品を出すことを心がけています。メニューはおよそ2か月で更新します。2か月に1回程度来て頂ければ、内容は相当変わっているので楽しめると思いますよ。
ベジタリアン対応は致しておりませんが、予約の段階で、肉と魚の好み、アレルギーなどを伝えていただければ、ご対応はさせていただいています。
――ワインのこだわりについて教えてください。
選ぶ基準は「品種特性がわかりやすい」ということですね。だいたい100種類くらい用意し、お客様に説明しやすいものをおいています。たとえば「プイィ・フュメ」というワイン。ソーヴィニヨン・ブランというぶどう品種を100%使ったものですが、品種特性が出ていて、特徴的な香りがあるので採用しました。やはりフランス産のワインが多いですが、食材と同様で、産地には特にこだわっていません。
人から人へ、伝わる「レストラン セン」の魅力
――どのようなお客様がいらっしゃいますか。
平日の昼間は、この界隈にある私立校の保護者の方やビジネスでのご利用が多いですね。ディナーについては、九段、番町、飯田橋辺りの方を中心に、ご家族、ご夫婦での利用が中心です。平日に個人でディナーを利用される方は、わりと年齢層が高めですね。中には90代のお客様もいらっしゃいます。土日はベビーカーで来られるお客様もけっこうおられますね。そういったお客様には、個室のご利用をご案内しています。また政治家の方が来られてカジュアルに召し上がったり、プライベートで家族で一緒にご利用になったりということもあります。宮家の方もいらっしゃいることもありまして、その際は貸し切りにして対応させて頂いています。
昼の2,600円のコースでも、だいたい1時間は見ていただいていますので、みなさまゆっくり召し上がっていくお客様ばかりです。
――お客様は何が決め手になって、こちらを選ばれているのでしょうか。
インターネットなどの媒体も全部やめてしまって、取材も極力受けないようにしていますので、当店はほとんどのお客様が口コミです。ご友人の方と一緒に来られて、また別の方をいらっしゃる。とてもありがたいですね。
ミシュランガイドのビブグルマンにも、開業の翌年から掲載していたいだいていますが、これを見て来られる方もいらっしゃいます。掲載の安心感があるのだと思いますよ。ただ、どんどん情報は古くなっていってしまいますので、必ず当店のホームページで最新の情報を見てから、お越しいただければ嬉しいですね。
この地で、長く、愛される店へ
――今後、どのようなお店でありたいとお考えですか?
とにかく、長く続けていきたいですね。この場所で、この界隈で、30年。30周年ではちょうど70歳になりますから、そこまでは現役で続けたいと思っています。この場所が非常に気に入っていますので、地域のお客様を大事にしながら、長く続けられればいいですね。
――長く続けるために、気をつけている点などはありますか?
「クオリティを落とさない」ことですね。そのためには、お客様の数を限定させて頂くのが一番だと思っていますので、一度に入って頂くのは2組様までにしています。もちろんお店の回転を早くすれば、一時的に売り上げは上がるのかもしれませんが、それだと先しぼみになってしまうと思うんです。
そうではなくちゃんと手の込んだものを提供しながら、無理をしない経営をして、30年続けていきたいんです。そのためには、”今のお客様”を大切にする、ということだと思っています。
――最後に、このエリアの魅力についてお聞かせください。
この界隈は昔から住んでいる方も多いですが、最近はマンションが増えて、若い世代の方、ベビーカーを押しているお母さん方なども増えてきたと感じています。実は開業した頃は経済の影響もあり、街は寂しい感じがあったんです。でもそこから、千代田区も住民の回帰に取り組んでいまして、ここ2、3年で実を結んできているのだと思います。
最近は住民が増えた影響か、スーパーマーケットも新しくできたり、生活がしやすい環境が整ってきましたので、これからはもっと、若いファミリーの方々も、おじいちゃんおばあちゃんにも、ゆっくり生活できるようなエリアになっていくんじゃないのかな、という気はいたします。都心でありながら、落ち着いた街で、暮らしやすい。そんな街だと思いますよ。
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。
今回、話を聞いた人
レストラン セン
オーナーシェフ 丸山旋さん
こだわりの食材を楽しめるフレンチレストラン/レストラン セン オーナーシェフ 丸山旋さん
所在地:東京都千代田区九段南3-7-2 九段みなみビル1F
電話番号:03-6272-3393
営業時間:12:00~14:30(L.O.14:00)
18:00~23:00(L.O.21:00)
定休日:月曜日
http://sen-tokyo.com/