市民が集う、安心できる場所を目指す

リニューアルした施設でさらに住み良い街へ/善行市民センター・公民館・市民図書室 大阪さん


新しい「善行市民センター」の外観
新しい「善行市民センター」の外観

藤沢駅から小田急江ノ島線の各駅停車に乗って2駅。「坂の街」として知られている善行(ぜんぎょう)駅周辺は、湘南エリアにありつつも丘陵が多く、畑作地もまだ多く残っている閑静なエリアである。ここは藤沢市内でも比較的古い街のひとつで、地域の人々には先祖代々ここで暮らしている、という人も多いとか。その一方で、最近は利便性と静けさ、素朴さがバランスよく交わっている街として、若いファミリー層からも注目を集めている。 そんな善行の街に、2020(令和2)年の1月に新しいコミュニティセンターが竣工し、ここに暮らす人々をつなぐ拠点として活用されはじめている。今回はこちらで住民同士の交流をバックアップする仕事をされている、藤沢市民センターの大坂さんを訪ね、市民連携組織のひとつである「善行三者ふれあいネットワーク」とその活動内容、ここを利用する皆さんやイベント参加者からの声、善行エリアの魅力などについてお話を聞いた。

――まず、「藤沢市善行市民センター」の概要について教えてください。

大坂さん
大坂さん

大坂さん:もともとあった市民センターは1979(昭和54)年にできたものでしたが、老朽化等があったので、安全確保のために今回建て替えを行いまして、2020(令和2)年の1月4日にオープンさせていただきました。

機能としては、基本的には今まであった市民センターの内容を引き継いで、公民館、図書室、地域包括支援センター、体育室、高齢者の方の生活支援を行う「善行いきいきサポートセンター」、地区ボランティアセンターの「パートナーシップ善行」などが入った複合施設になります。 このうち、「いきいきサポートセンター」と「パートナーシップ善行」さんについては、もともとセンターとは別の建物にあったんですが、今回、より連携を強めるために、同じ建物内に集約されました。

――新しいセンターになって、新しく加わった機能などはありますか?

大坂さん:基本的に新しいものは無いんですが、幾つかを統合したり、既存の施設を充実させたという形になっています。それから、今は体育室を取り壊す工事をしているところで、体育施設が何も無い状態になっていますが、今後「健康プラザ」という新しい体育棟を建てる工事を行いまして、2021(令和3)年の末ごろには全面オープンの予定です。もちろん、今までよりも広く、きれいな体育室になると思います。

1階のコモンスペースの様子
1階のコモンスペースの様子

また、新しい共用スペースとして、1階に「コモンスペース」というフリースペースを作りまして、そこでちょっとしたサークルさんの活動や、地域団体さんの活動などができるようにもなりました。予約を入れなくても自由に使っていただけますので、「特別な用事は無いけれど、ちょっとセンターに遊びに行ってみようかな」って思っていただいて、そこで、新しい交流が生まれていけばいいな、と思っています。

――バリアフリーも実現したそうですね。

センター内に設けられたエレベーター
センター内に設けられたエレベーター

大坂さん:そうですね。以前のセンターにはエレベーターが無かったんですが、今回はもちろんエレベーターを付けましたし、各トイレにおむつ交換台も作りましたし、授乳室も作りました。 内装についても、前の建物よりも木をふんだんに使って、自然光もたっぷり入るようになって、ぬくもりが感じられるような施設になったと思います。「大きなおうち」に遊びに行くようなイメージで、気軽に来ていただけたら嬉しいですね。 1階のロビーに吊るし飾りが飾ってあったと思いますが、これは、地域の有志の方が作ってくださったものなんですよ。

1階ロビーの花のつるし飾り
1階ロビーの花のつるし飾り

――大坂さんのお仕事内容について教えてください。

大坂さん:センターの中には戸籍などの交付や証明をしている「庶務担当」という部署と、私たちのような「地域担当」の部署が入っていまして、私は、市民センターを活動拠点として、地域活動団体をしている団体の活動支援を行ったり、地域の要望、たとえば「ここの道路が壊れちゃっているよ」といった要望をお伺いして、市の担当の課とつなぐようなお仕事もさせていただいています。そのひとつが、「善行三者ふれあいネットワーク」の運営になります。

――「善行三者ふれあいネットワーク」とは、どんなものなのでしょうか?

地域協力者会議の案内
地域協力者会議の案内

大坂さん:これは、地域で活動している団体が連携をして、地域が持っている特色を生かしながら、地域社会全体で子どもたちの健やかな成長を支援していこう、という趣旨の組織で、藤沢市内にはそれぞれの地区にこのような組織があるんですが、善行地区では「善行三者ふれあいネットワーク」と呼んでいます。 ここに参加しているのは、地区内の小中学校、保育園、それぞれのPTAさん、地域団体の代表の方、児童クラブさんなどで、年に4回の会議を行いまして、各団体の活動内容をお話したり、子どもたちの見守りをどうすればいいか、といったテーマで討論をしたりしています。現状では、活動はこの会議がメインになっています。 そのほかには、各団体への支援事業を行っていまして、たとえば、「善行あそび塾」という団体さんが、毎月1回くらいのペースで、大越小学校さんで紙飛行機作りやペットボトルのロケット作りなどをやって下さっているんですが、その活動の支援を、主に金銭的な負担の部分で行っています。このほか、登校時に見守りをしてくださっている団体さんにベストの購入費用を支援したり、といった支援も行っています。

――「善行三者ふれあいネットワーク」では、地区のイベントの協賛もされていますね。どのようなイベントがあるのでしょうか?

大坂さん:イベントについては、基本的には共催という形のものがメインで、これも主に資金面で支援しています。ひとつ大きなものでは、「善行地区青少年育成協力会」さんとの共催で夏休み中に行っている、「真夏の子どもフェスティバル」があります。この時には、ふれあいネットワークに所属している団体さんもブースを出して、工作ですとか、輪投げですとか、いろんな企画をやってくださっています。 ほかには、「おばぁの市場」は珍しいかもしれません。これも三者会議の中に入っている団体が主催しているものですが、お祭りの屋台のような形で、いろんな社会体験のブースが出るんです。そこに子どもたちが入って、お店のお手伝いをして、そのご褒美にスタンプを押してもらえるんですね。それを、「おばぁ」というキャラクターのところに行って見せると、お菓子をもらえたり、文房具をもらえたりする、というイベントです。 主催事業としては、「教育文化のつどい」というものがありまして、これはかなり前からあるイベントなのですが、昔は、子どもたちの成長や見守り等に関するテーマの講演会をやっていました。大人のための企画だったんですね。それを、2016(平成28)年度からがらりと変えて、「善行かるた大会」にしました。

善行かるた大会の案内
善行かるた大会の案内

――かるた大会ですか!なんだか面白そうですね!!

大坂さん:この「善行かるた」というのは、「郷土づくり推進会議」さんが呼びかけて作ったもので、絵札と読み札があって、これを、地区内の小中学校の子どもたちが中心になって考えているんですね。なので、善行の魅力がいっぱいに詰まったかるたになっています。 大会はそれを生かしたイベントということで毎年11月にやっていまして、最近は善行中学校の文芸部の方に読み手として協力をしてもらったりして、学年ごとに試合形式でかるたをやっています。大人の試合もあるので、けっこう盛り上がりますよ!

善行地区の行事や場所を描いた「善行かるた」の絵札
善行地区の行事や場所を描いた「善行かるた」の絵札

――「善行三者ふれあいネットワーク」の今後のビジョンを教えてください。

善行地区の三者の場合は、今はまだ情報交換がメインで、年に4回集まって情報共有をする、というレベルなんですけれども、市内のほかの地区ではもっとほかの活動もしていて、メンバーで学校に授業のお手伝いに行ったり、という事例もあるので、いろんな団体のところのお話を聞きながら、活動の幅を広げていきたいですね。 あとは、知名度アップですね。まだまだ認知度が低いですから、活動しているということを積極的にアピールしていきたいですね。

――この地域の子どもたちの様子や、学校の特徴について、どんな印象をお持ちですか?

大坂さん:善行の三者連携については「善行中学校区」がベースになっているので、対象は善行中学校さんと善行小学校さんになるんですが、実は、「善行地区」と言った場合はすごく広い範囲になって、もっとたくさんの小中学校が含まれてくるので、イベントを企画すると、善行中学校区以外からも、たくさんの学校の子どもたちが来ています。 そういった中で、子どもたちの特徴ということですと、やっぱり坂が多いですから、子どもたちは、すっごく元気です。子どもたちだけじゃなくて、ご年配の方も健脚の方が多いんですが(笑)。 あとは、あいさつができる子がとっても多いですし、フレンドリーですね。イベントではいろんな学校の子どもたちが集まりますけれど、最初は学校ごとに集まっていても、すぐに打ち解けて、違う学校の子とも仲良しになっています。 中高生についても、善行地区には「中高生等ボランティア」というのがあるのですが、善行中学校以外にも、聖園(みその)女学院さん、翔陵高校さん、清流高校さんの生徒さんが、イベントなどの時にお手伝いをしてくれるんですね。すごく協力的な生徒さんが多くて、いつも助かっています たとえば、今年度の真夏のフェスティバルの時にも、お化け屋敷でおばけ役として協力してくれましたし、善行中学校の美術部さんは(お化けの)作品を作るために、自分たちで“水木しげる展”に行って、勉強してきてくれたそうです。小学生の子どもたちも、こういうお兄さんお姉さんたちをずっと見てきていますから、「中学生になったらお手伝いをやりたい」って言ってくれる子がいたりして、嬉しいですね。

――善行地域の魅力について教えてください。

大坂さん:私は市内でも別の地域の出身なのですが、やっぱり、善行は「坂の街」というイメージがあります。起伏に富んでいて、天気がいいとすごく富士山もきれいで、最初にここに配属になって来た時にも、「坂道つらいなあ」と思いながら来たんですけれども、坂道があるからこそ、地域全体を見渡せるし、富士山や丹沢山系もよく見えるし、足腰も強くなるし、いいこともたくさんありますよね。 あとは、自然がすごく多いところです。藤沢駅から2駅ですけれど、緑がたくさんあって、畑もあって、学校もたくさんあって。 地域の皆さんも、私にも、子どもたちにも、積極的に声をかけてくださって、優しい方が多いですね。子どもたちを、近所の方みんなが見守ってくれているような雰囲気は、とてもあると思います。

――善行エリアで好きな場所はどこですか?

善行寺坂
善行寺坂

大坂さん:私がいちばん好きな場所は、ひとつは、このセンターの前の公園から見る富士山です。朝の富士山ももちろんきれいですし、夕日もとってもきれいなんですよ。 もうひとつは、坂道ですね。善行にはいろんな坂道があって、それぞれに、地域の皆さんが愛称をつけてくれているんですが、私はその中でも「えしゃく坂」がいちばん好きですね。ほかにも、「ふれあい坂」「スポーツ坂」「椎名坂」「神社坂」「朝日坂」「聖(ひじり)坂」という風に、いろんな名前の坂があるんですよ。 あと、親水公園でやっている「れんげの里まつり」もおすすめですし、これは本当は内緒にしておきたいんですけれど、谷戸の辺りでほたるが見られる場所もあって、夏になるとほたるが飛ぶんですよ。地域の方が、地域の資源を大切に守ってくださっているんだな、素敵だなあ、と思っています。

公園から見渡した善行の光景
公園から見渡した善行の光景

――最後に、これから善行に住みたいという方に向けてメッセージをお願いします!

大坂さん:善行地区は藤沢市の中央にあって、藤沢駅から2駅の場所なので、横浜や都心方面にも出やすいですし、それでいて自然も、公園も、学校もたくさんあって、地域自体もとってもあったかくて、子どもたちを見守ってくれる雰囲気があって、イベントもたくさんあって、すごく暮らしやすいところだと思います。 今回、新しく市民センターも建て直しましたし、駅前もいま再整備を行っていて、きれいになりますし、県の施設になりますが、体育センターも建て直しをしていて、とっても暮らしやすい施設や街並みがある地域なので、ぜひ、たくさんの皆さんに来ていただきたいと思っています。善行地区自体が大きな家族のような感じですから、そのぬくもりの中で暮らして、新しい出会いを、たくさん見つけていただければと思います。

善行市民センター 大坂様
善行市民センター 大坂様

善行市民センター・公民館・市民図書室

藤沢市善行市民センター 大坂さん
所在地:神奈川県藤沢市善行1-2-3
電話番号:0466-81-4431
URL:https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/jiti-s2/shise/gaiyo/soshiki/centergyomu.html
※この情報は2020(令和2)年2月時点のものです。

リニューアルした施設でさらに住み良い街へ/善行市民センター・公民館・市民図書室 大阪さん
所在地:神奈川県藤沢市善行1-2-3
電話番号:0466-81-4431
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/ji..