下町の風情と世代を越えて愛されるもんじゃを受け継いでいく「月島もんじゃ振興会協同組合」/月島もんじゃ振興会協同組合 片岡和秀さん
東京メトロ有楽町線、都営地下鉄大江戸線の2路線が利用できる交通利便性に優れた月島エリア。近年は高層マンションの建設も多く、生活の利便性を求めるビジネスパーソンやファミリーにも人気が高い。一方で、全国的に知られる月島のもんじゃを求めて訪れる観光客も多く、賑わいのある商店街も月島を象徴する魅力のひとつ。今回は「月島もんじゃ振興会協同組合」広報ご担当の「海鮮もんじゃ片岡」の片岡和秀さんを訪ね、月島の街の魅力についてお話を伺った。
約50店舗が加盟する「月島もんじゃ振興会協同組合」
――まず「月島もんじゃ振興会協同組合」の歴史、概要について教えてください。
片岡さん:「月島もんじゃ振興会協同組合」が発足したのは2002(平成14)年9月のこと。前身の「月島もんじゃ振興会」という任意団体を発足した1997(平成9)年から数えると20年以上もの活動になります。
昭和30年代にわずか数軒だったもんじゃのお店は平成に入る頃から急増して、「もんじゃストリート」と呼ばれている「西仲通り商店街」を中心にひしめき合うように増加しました。
現在では約50店舗が加盟していて、商店街のイベントや地域のお祭り、中央区の取り組みなど幅広い活動を行なっています。
また、年間延べ4万人もの修学旅行生の受け入れも組合が窓口になっていて、人数やクラスごとにお店の割り振りをするのはもちろん、旅行会社との折衝などもしています。
子どもたちが集まる駄菓子屋からはじまった月島のもんじゃ
――月島でもんじゃという食文化が発展した背景についてお聞かせください。
片岡さん:月島は明治20年代に行われた埋立てによって誕生した地域で、東京湾に“月の岬”という観月の名所があったことにちなんで月島(つきしま)と命名されたそうです。当時は工業用地として発展し、運河沿いには工場や倉庫が数多く、木造住宅が密集したエリアにはいわゆる下町らしい町並みが形づくられていきました。
路地には学校帰りの子どもたちで賑わう駄菓子屋もありました。それらのお店の中には鉄板の焼台があって、出汁で溶いた小麦粉を薄く焼いて醤油や蜜をつけて食べていたのが、月島もんじゃの始まりです。子どもたちのお小遣いでも食べられる、まさに下町の味でしたね。
“もんじゃ”という名前は、その出汁で溶いだ生地で鉄板に文字を書きながら食べていた、ということに由来します。漢字にすると、“文字(もんじ)焼き”で、それが後に“もんじゃ焼き”となったようです。
私も子どもの頃は100円玉を握りしめて、おばちゃんのやっているお店に通いましたが、子どもたちだけで食べるのももんじゃ、家族そろって食べに行くのももんじゃ。もんじゃは月島の人たちにとって欠かせない生活の一部となっています。
もんじゃを求めて海外からも多くの観光客が
――全国に知られる観光地として、近年の観光客の動向について感じることはありますか。
片岡さん:観光地としては、浅草やお台場など都心部にある他の観光地と同じように、スカイツリーが開業した後は、その帰り道に立ち寄ってくれる方が増えましたね。また、「ディズニーランド」や辰巳エリアで行われるスポーツイベントの後に有楽町線で立ち寄ってくれるお客さんも増えているように感じます。
平日と土日、季節によってもお客さんの層がガラッと変わるのですが、平日の夜は近隣の会社に勤めている方が居酒屋感覚でもんじゃのお店に来てくれますし、土日は近隣の家族連れやプチ旅行感覚で埼玉、千葉、神奈川あたりからも多くいらっしゃいます。
企業とのコラボも積極的に受け入れ、もんじゃの普及に取り組む
――組合としての最近の取り組みなどについて教えてください。
片岡さん:組合で今最も力を入れているのは、飲食関係をはじめとした各企業との連携です。イベントの共催や商品のマーケティングのお手伝いなど、積極的に受け入れています。
例えば、新商品のキャンペーンに合わせて、のぼりやTシャツ、提灯を作ったりといったお店側の取り組みもそうですが、企業のHP等からも月島のもんじゃについて発信してもらったり、知ってもらう取り組みをしています。
そのほかにも、ソフトドリンクや、チョコレート、ヨーグルトといった食品をはじめ、スキンケア商品や消臭剤など、全国からあらゆる世代のお客さんが訪れる月島は、商品マーケティングに適しているようです。
また、中央区のイベントとして行っている「ハロウィンイベント」も組合として参加していて、前売りで販売される4~500枚のチケットを求めて、数時間前から行列ができるほど人気があるイベントです。
新商品のマーケティングや新しいイベントへの取り組みなど、前例がないことでも柔軟に対応できるのが、「月島もんじゃ振興会協同組合」の特徴ですかね。
地域とのつながりをさらに強め、魅力ある月島へ
――月島の街の魅力について教えてください。
片岡さん:交通アクセスについては、東京メトロ有楽町線と大江戸線の2路線があり、30分もあれば新宿や渋谷などへも行きやすいので非常に便利です。高層マンションが増えているのも、こういった生活の便利さが魅力に映っているんだと思います。
ただひとつ、ここで生まれ育った私が感じるのは、街の雰囲気が以前と変わり、下町っぽさが少しずつ消えてしまっているということです。月島で今進んでいる大規模な開発は、耐震工事などの地域防災計画に基づく取り組みなのですが、これによって街の区画がひとつ無くなったり、代々この地域に住んでいた人が引っ越してしまったりしているというのが現状です。 それにより、町内会の活動なども年々参加者が減っていたり、住民同士の横のつながりも薄くなってしまっていたりと昔よりも地域の一体感というのはなくなってきているのかなと感じることもあります。
ですので、月島に新しく引っ越して来られた方には、ぜひ地域の行事やイベントに積極的に参加していただきたいなと思っています。もちろん、自分のできる範囲や興味のあることから。地域のイベントに参加して昔からこの地域にいる人たちと出会うチャンスを掴んでほしいなと。
月島には3年に一度、3日間通してお祭りが行われる「住吉神社」の例大祭など、歴史のあるお祭りもあります。これまで代々地域の方々が参加され、地域で盛り上げてきたお祭りなので、新しく月島に引っ越して来られた方にもぜひ参加していただけたらと思います。マンションなどだとなかなか地域とのつながりをもつのが難しいこともあると思うので、もし街の行事やイベントに興味のある方は、組合の事務所でもうちのお店でも良いので、ぜひ立ち寄ってみてください。
私たちにとっては、地域との関わりを少しでも持っていただけるだけで嬉しいです。あとこれは下町の良いところですが、一度参加すればあっという間に色々な人とのつながりができていくと思いますよ。是非、気軽に来てください。
今回お話を聞いた人
「月島もんじゃ振興会協同組合」広報ご担当 片岡和秀さん
下町の風情と世代を越えて愛されるもんじゃを受け継いでいく「月島もんじゃ振興会協同組合」/月島もんじゃ振興会協同組合 片岡和秀さん
所在地:東京都中央区月島1-8-1 アイマークタワー1F 103
電話番号:03-3532-1990
http://tsukishima-monja.jacklist.jp/