代表 赤井美津江さんインタビュー

賑わいを見せる新スタイルの創業支援カフェ/道案内カフェnoumachi(埼玉県)


2020(令和2)年2月1日のオープンより、南埼玉郡宮代町周辺の街の魅力を発信する新しい拠点として注目を集めている『道案内カフェnoumachi』。創業支援を目的としたシェアキッチンやレンタルスペースとしての利用も可能な新しい取り組みを実践し、地域に新しい息吹をもたらしています。今回は『道案内カフェnoumachi』を運営する、アンカルク株式会社代表の赤井美津江さんを訪ね、お店の特長や地域の魅力についてお話を伺いました。

お店のオープンキッチンに立つ赤井さん
お店のオープンキッチンに立つ赤井さん

2020(令和)年2月オープン。デザイン会社が立ち上げた新感覚のカフェスペース

――まず、お店のコンセプトや開店のきっかけ、店名『道案内カフェnoumachi』の由来などについてご紹介ください。

赤井さん:『道案内カフェnoumachi(のうまち)』は、私が代表を務める『アンカルク』というデザイン会社で運営しているカフェスペースです。東武スカイツリーライン『東武動物公園』駅から徒歩で2分ほどの場所にあり、令和2年(2020年)2月1日にオープンしました。

アンカルクでは、平成24年度(2012年)から宮代町のWebサイトの運営を請け負っていることもあり、街の皆さんとの繋がりも多く、一緒にこの地域を盛り上げていきたいという思いから新たな事業を立ち上げることになりました。街には、『ハイブリッドレジャーランド 東武動物公園』という全国的にも知られるレジャー施設があるのですが、その『東武動物公園』には寄っても、街を素通りしていく人がほとんどだったので、そういった観光客の方が地元のお店に立ち寄って、交流を持っていただけるような場所にしたいという思いからこの場所にお店を出すことに決めました。

店内の黒板には“ゆっくりをはぐくむ。”のコンセプトメッセージが。
店内の黒板には“ゆっくりをはぐくむ。”のコンセプトメッセージが。

『noumachi(のうまち)』という店名は、宮代町が“農のあるまちづくり”を政策として進めているのと、街を知るとの意味合いを込めて英語のknowにかけて『noumachi』と名付けました。

創業支援を目的としたシェアキッチン&レンタルスペースとして運営

――お店の特長やこだわりについて教えてください。

赤井さん:一般的なお店と違う点としては、創業支援を目的としたシェアキッチンとして運営しているところです。またイベントやワークショップを開催するためのレンタルスペースとしてもご利用いただけます。店内には作品の展示スペースもあるため、例えばワークショップを開いた作家さんの作品をお預かりして、この場で委託販売することも可能です。

この日も作家さんの作品が置かれていた
この日も作家さんの作品が置かれていた

このようなスタイルにしたのには理由があります。私自身起業してもうすぐ10年になるんですけど、震災のあった平成23年(2011年)に創業してからさまざまな出来事を経験してきました。また実際に創業してから大変なご苦労をされた方もたくさん知っているので、そうした経験を生かし、創業に向けての“道案内”みたいなものをしていければ良いなと思っています。試せる場所、失敗できる場所、そして人が集う場所。それが『道案内カフェnoumachi』です。

多彩な取り組みが展開されているシェアキッチン

――シェアキッチンの取り組みについて詳しくお聞かせください。

赤井さん:Webサイトのカレンダーを見ていただくと、カフェマークが付いている日と、具体的な名前のある日がそれぞれあると思います。例えば10月は『シメノ食堂』、『新井さんちのごはん』、『なちゅりらとはるさん』、『れらカフェ』がシェアキッチンとして運営されています。(取材時は令和2年(2020年)10月)
それぞれ簡単にご紹介させていただくと、『シメノ食堂』は実はうちの母がやっていまして、82歳のおばあちゃんがキッチンに立っています。お客さまから「美味しい」と言っていただけるのが本当にうれしいみたいで、生きがいのように張り切ってやっています。

店内の様子
店内の様子

『なちゅりらとはるさん』は、米粉のパンの先生として活動していたなちゅりらさんと出会ったのがきっかけです。「パン教室をやっていきたい」というお話を伺ったので、「ここでやってみませんか」と。そうしたらはるさんというプロの料理人を連れて来てくださって、私たちの取り組みに興味を持ってくださり、ふたりで素敵なお料理を提供してくれることになりました。
『新井さんちのごはん』は、まさにこのスペースのテーマにぴったりの方で、「いつか自分でカフェをやってみたい」という夢を抱いている3人のお子さんを育てるお母さんです。最初は「私なんかでもやっていけますでしょうか…」といった感じでしたが、試行錯誤を重ねるうちにお客さまの数も増え、みなさんに直接「美味しい」と言っていただけることが自信にもつながっているようです。息子さんがスポーツをやっていたこともあり、栄養バランスにものすごく気を遣った料理で、とっても美味しいんです。

イベントの案内チラシが盛りだくさん
イベントの案内チラシが盛りだくさん

『れらカフェ』さんは、加須市の『繭久里(くくり)カフェ』というお店の料理長を務めていらっしゃる方と以前からお付き合いがありまして、自分のお店では試せないビーガン料理を展開してみたいということでご利用いただいています。

このようにシェアキッチンをご利用いただいている方はプロ・アマ関係なく、出会いのきっかけや目的もそれぞれで、いろいろな交流や広がりも出て来ています。
はじめの頃はそれぞれのお友達やファンが来てくださるだけだったのが、ちょっとずつ「この日にも来てみようかな♪」といった感じでお客さまの広がりが出て来て、シェフたちの間でもお互いのメニューやサービスの内容を意識しながら試行錯誤しているので、とても良い広がりを見せていると思います。

作家とお酒を飲みながら作品についての話を聞ける「Maker’s Yard」

――『Maker’s Yard』などイベントの取り組みについても詳しくお聞かせください。

赤井さん:『Maker’s Yard』は私たちが主催するイベントのひとつで、陶芸やガラス工芸など地元でものづくりをする作家さんにご協力をいただいて、お酒を飲みながら作品についての思いやこだわりを直接聞けるような場として提供しています。
直近のイベントでは、陶芸家の“松村淳(マツムラジュン)さん”と“Amanda Tong(アマンダ トン)さん”をお招きして、現代陶芸の世界についてお話いただきました。その日はお店にろくろを持って来て、私たちの目の前で作品を作ってくださいました。参加した人たちの中から陶芸に興味を持つ人が増えたり、陶芸教室に参加してみたいといった人が出て来たり、ここでもいろんな広がりが生まれると良いなと思っています。

カフェには地域の様々なイベント情報が集まる
カフェには地域の様々なイベント情報が集まる

この場は、作家さんにとっても参加者と直接お話することで販売に繋がったり、ご意見やご感想をいただくことで創作の意欲に繋がったり、さまざまな面でプラスになっているのかなと。イベントは他にも、オーガニックコーヒーを楽しんだり、手工芸のワークショップがあったりと、月ごとに楽しいイベントやワークショップを開催しているので、ぜひホームページをチェックしてみてください!

地域の応援に支えられながらコロナ禍の苦境にも負けず運営

――コロナ禍の影響もあったかと思いますが、オープンしてから今日に至るまで、お客さまの反響や地域との繋がりなどはいかがでしたでしょうか。

赤井さん:オープンに先立って、令和2年(2020年)1月下旬にプレオープンのお披露目会をした際に、プロジェクターで私たちのやりたいことや想いをご紹介させていただいたのですが、シェアキッチンやレンタルスペースとして運営するというのが町にとっては新しい取り組みだったので、実際にやっているうちに少しずつその意図が伝わっていったかなという印象です。

こだわりのメニューでほっと一息
こだわりのメニューでほっと一息

コロナ禍で密にできない、人を呼べないなど、オープン直後にこういった状況になったのでなかなか大変ではありましたが、ご近所のお店の方や地域の方も来てくださるので続けられています。地域との繋がりという点では他にも、このお店は宮代町にキャンパスのある『日本工業大学』の佐々木研究室の先生が設計してくださいました。あとカウンターにも、ガラス工芸の作家さんに作っていただいたビー玉を装飾として使わせていただいて、地域の方の応援をいただきながら運営しています。

自治体の枠を超えた生活者の視点でもっと広く活動したい

――今後、さらに挑戦していきたい試みや計画などがありましたら教えてください。

赤井さん:アンカルクでは、現在宮代町関連の3つのWebサイトを運営させていただいていますが、住むとか暮らすって、実際には自治体の枠を超えたもうちょっと広いエリアで捉える必要があるんじゃないかなと最近考えています。
生活圏と言うか、お隣の北葛飾郡杉戸町や幸手市なども含めたもう少し広い展開ができたら良いなと。

店舗入り口にも「noumachi」の文字。フラッと立ち寄りやすい雰囲気がうれしい。
店舗入り口にも「noumachi」の文字。フラッと立ち寄りやすい雰囲気がうれしい。

このあたりの地域は、人との関係性もちょうど良い距離感で、暮らしやすさとか癒しといったキーワードが似合うと思っています。お隣の杉戸町は宿場のあった街道沿いは今でも商人の町みたいな雰囲気があって、歴史のある建物も多く残っているのが特長で、宮代町にはない魅力があると思います。杉戸町のある東武動物公園駅の東口は、今後、駅前広場が整備されて道路も広くなる予定なので、どう発展していくか期待感もありますね。

オンオフのバランスをとりながら充実したライフスタイルを叶えられる場所

――最後に、この地域で暮らす魅力についてお聞かせください。

赤井さん:私自身のテーマでもあるんですけど、「半分稼いで、半分好きなことする」っていうのがおすすめです。好きなことをするためには稼ぐことも必要で、両方のバランスをとりながら生活ができたらもっと人生が豊かになるんじゃないかなと思っています。
このあたりは電車で都内にも出やすい場所なので、平日は都内でお仕事をして、休日はのんびり農体験をしてみたり、陶芸やガラス工芸に挑戦してみたり、充実したライフスタイルを叶えられると思います。イベントの情報やお誘いもたくさんあると思うので、そういう人たちと一緒に楽しみながら生活していけば、きっともっとおもしろい地域になっていくと思います。ですので、この場所ではそういう人たちに向けて、もっとコミュニティに入りやすくなるようなご案内もできたら良いなと。また、起業を考えている方にも、ぜひ気軽にお店に立ち寄っていただきたいです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。都内からは、東武スカイツリーラインで一本、車でも首都圏からは1時間ほどで行ける、ファミリーにも人気の『東武動物公園』からほど近くにある、創業支援カフェ『道案内カフェnoumachi』。街を支える多彩なバックグラウンドを持つ方々が協力して運営するシェアキッチンは、そのどきどきで、どんなお店が入っているのか気になります。また、イベントスペースで展開されるワークショップでは、お酒も楽しめます。文化とグルメをちょうどよく融合させた居心地の良い空間で、日ごろ考えているクリエイティビティを発揮するのもいいかもしれません。これから宮代町への移住や転居を考える際、立ち寄りたいお店のひとつとして参考にしていただければ幸いです。

道案内カフェnoumachiインタビュー
道案内カフェnoumachiインタビュー

道案内カフェnoumachi

代表 赤井美津江さん
所在地 :埼玉県南埼玉郡宮代町中央 2-2-30
電話番号:0480-31-7838
URL:https://noumachi.jp/
※この情報は2020(令和2)年11月時点のものです。

賑わいを見せる新スタイルの創業支援カフェ/道案内カフェnoumachi(埼玉県)
所在地:埼玉県南埼玉郡宮代町中央 2-2-30 
電話番号:0480-31-7838
営業時間:11:00~17:00(火・水・金・土曜日は21:00まで)
定休日:木・日曜日
https://noumachi.jp/