校長 吉田德子先生インタビュー

きめ細かい指導と、地域とのつながりを大切にする/柏市立田中北小学校(千葉県)


千葉県柏市の北端に位置し、野田市・流山市と隣接する公立小学校『柏市立田中北小学校』。全学区が市街化調整区域であるため、田畑や雑木林、利根川といった自然環境に恵まれています。今回は同校の吉田德子校長先生に、学校の取り組みや柏たなかエリアの魅力についてお話を伺いました。

柏市立田中北小学校
柏市立田中北小学校

みんな仲良しの少人数クラスに、競争心をプラス

――学校の沿革と概要を教えてください。

吉田校長:ここは創立64年の歴史ある小学校です。全校児童は現在188人。1年生のみ2クラスで、あとは特別支援学級の『太陽学級』を含めて1クラスずつと規模は小さめです。1クラスあたりの児童も30名ほどです。ただ、周辺には住宅が増えているので、これから児童数もそれに従って増えていくと思います。

校庭
校庭

――小規模クラスの特徴を教えてください。

吉田校長:一人ひとりに目が行き届きやすいのが良いところです。一方で、常に教師に見てもらえるため、子どもたちの競争心が育たないという点もあり、そのことを心配する保護者もいらっしゃいます。そこで今年度は「子どもたちのできることを増やしていこう」という目標を掲げ、活動してきました。すると、音楽部は千葉県吹奏楽コンクールで銀賞を受賞し、早くも手ごたえを感じています。また、バスケットボールの試合で負けて悔し涙を流す児童にも大きな成長を感じました。

――歴史ある公立小学校として、どんな役割を果たして来られたのでしょうか。

吉田校長:柏市内でいち早く授業にパソコンを取り入れたことは、誇らしい実績といえるでしょう。時期的には、昭和の終わりから平成のはじめ頃ですね。パソコンを取り入れた授業の進め方や指導法など、本校から他校へと広がって行きました。

調べ学習がしやすい図書室とコンピューター室
調べ学習がしやすい図書室とコンピューター室

――他校にはない設備などはありますか。

吉田校長:郷土資料室は、比較的珍しいかもしれません。この一帯で使われていた農機具や織機、洗濯桶といった日用品を置いていて、主に3年生の授業で地域の昔の暮らしを学ぶ際に利用しています。また、デジタル教科書が設置された空き教室の一室を『英語ルーム』として、英語の時間に使っています。

郷土資料室
郷土資料室

さまざまな算数の学び、詩の暗唱に取り組む

――力を入れている分野や特色ある取り組みについて教えてください。

吉田校長:近年は算数に力を入れていて、タイムを競う形で全校児童が行っている『計算チャレンジ』、担任と外部講師で希望者を指導する『放課後算数教室』、柏市の生涯学習課から予算をもらって実施している『ステップアップ教室』など、さまざまな取り組みを行っています。基礎的な計算力の向上や苦手分野の補習など、それぞれに目的をもって取り組んでいます。

――他にも貴校ならではの教育活動はありますか。

吉田校長:詩の暗唱でしょうか。内容は夏目漱石の『坊っちゃん』の冒頭や『平家物語』の一節など、子どもたちに残したい美しい日本語の文章を選んでいます。専用のテキストを用意していて、1~6年生まで毎月1つお題が決まっています。休み時間に職員室へ行って、そこにいる先生にみてもらいながらテストを受けます。覚えるのには集中力が必要なので、国語力をはじめ集中力も養えますし、本への興味が促されて読書にもつながります。

英語ルーム
英語ルーム

――指導で心がけていることなどはありますか。

吉田校長:活発な意見交換を促すため、各授業でホワイトボードの活用を推進しています。今実施しているのは1年生、4年生、5年生の3学年。一人ひとり自分の考えを書いて、周りの子に発表するんです。算数だったら自分なりの解き方を書いたりなど。ホワイトボードだと自然と文字が大きくなるので、要約の練習にもなります。

地域との密な連携が、地元への愛着を育む

――「柏たなか」という街の特徴を活かした活動はありますか。

吉田校長:1つはこの辺りの農村地帯で400年続く伝統行事『おびしゃ』についての学びです。継承者が年々減っていると知り、ぜひ本校で子どもたちに『おびしゃ』について教えてほしいと保存会にお願いしました。そして、昨年度から保存会の方々に3年生の社会の授業に来ていただき、『おびしゃ』の成り立ちや踊り、太鼓などを教えていただいています。 もう1つは土地柄を活かした農業体験。これは今年度から地域の方に田んぼをお借りして、5年生に田植えや稲刈りを体験させてもらっています。

たなかっ子祭の七夕飾り(提供:田中北小学校)
たなかっ子祭の七夕飾り(提供:田中北小学校)

――地域と一緒に行うイベントなどはありますか。

吉田校長:たくさんありますよ。春は『桜まつり』、夏は『七夕まつ祭り』、秋は『音楽フェスタ』、冬は『凧あげ』など、田中地区にある4校と地域が一体となって地域を盛り上げています。また、季節の行事だけではなく、『千葉県立柏高等学校』の生徒を講師に『おもしろ理科実験教室』が開かれることもあり、地域との交流はとても盛んです。

――近隣の幼稚園や保育園、進学先となる「柏市立田中中学校」との交流はありますか。

吉田校長:すぐ隣の『おお田保育園』の園児とは1年生を中心に盛んに交流しています。校内を案内したり、昔遊びという行事を一緒に楽しんだり。また、中学とはこの地域一帯で交流しています。田中地区の小・中学校4校の児童会と生徒会で「誰にでも優しくしましょう」「元気にあいさつをしましょう」「ルールを守りましょう」という3つの目標を掲げた『たなかっ子宣言』を定め、活動しているんです。『柏市立柏高等学校』とも交流があり、全国大会常連の吹奏楽部の先生や生徒さんに、音楽部を指導していただくこともあります。

「おらが街」「おらが学校」という意識が子どもを守る

きれいに揃えられた靴
きれいに揃えられた靴

――今後力を入れて取り組んでいきたい活動があれば、教えてください。

吉田校長:当たり前のことを当たり前にする。これを大切にしていきたいと思います。気持ちの良い挨拶や返事をはじめ、脱いだ靴は揃えるといったマナー、ルールの順守、友だちへの思いやりなど、基本の指導をしっかりやっていきたいですね。

――最後に、「柏たなか」エリアの環境の魅力を教えてください。

吉田校長:地域全体が子どもに対してあたたかいことでしょうか。『おらが街』『おらが学校』という考えが浸透していて、地域をあげて子どもたちをみていこうという空気を感じます。これまで柏市の学校をいくつもまわりましたが、ここまで人があたたかい地域ははじめてです。

まとめ

いかがでしたか。緑豊かな自然環境に恵まれた『柏市立田中北小学校』。市内でもいち早くPC授業を取り入れたスピード感、算数の注力による計算力、歴史や文学による国語力など、これからの子どもたちに必要な教育を通じて、地域との関りや交流も密におこなうことで、情緒豊かに育っていくことと思います。これから柏たなかへの移住と、子どもの教育を考える際の参考にしていただければ幸いです。

柏市立田中北小学校

吉田德子校長先生
所在地:千葉県柏市大青田1536-1
電話番号:04-7131-4883

きめ細かい指導と、地域とのつながりを大切にする/柏市立田中北小学校(千葉県)
所在地:千葉県柏市大青田1536-1 
電話番号:04-7131-4883