校舎責任者 大津和弘さんインタビュー

思考力・記述力育成に重点を置き、浦和エリアから難関中学受験をサポートする/SAPIX小学部 南浦和校(埼玉県)


文教地区として知られる浦和エリアの子どもを持つ親にとって最も関心の高い話題のひとつが学習塾である。中学受験で求められる力が単純な知識量や練習量から思考力や記述力に変化する中、希望の進路に応じた最適な学習機会が得られるのは浦和エリアの魅力だろう。

今回は、難関中学への進学実績が高いことでも知られる「SAPIX(サピックス)小学部」を訪ね、塾の特色や浦和エリアの生徒たちが多く通う「南浦和校」の子どもたちの様子や教育事情などについて、校舎責任者の大津さんにお話を伺った。

お話を伺った「SAPIX小学部 南浦和校」 校舎責任者 大津さん
お話を伺った「SAPIX小学部 南浦和校」 校舎責任者 大津さん

「思考力」と「記述力」の育成に重点を置く「SAPIX小学部」

――まずは、進学教室「SAPIX小学部」の特色についてご紹介ください。

大津さん:「SAPIX小学部」は、中学受験を目指す子どもたちのための進学教室です。設立から30年以上になり、2020(令和2)年11月には新校舎「白金台校」が開校。首都圏・関西に全48校舎を展開しています。

特色としては「思考力」と「記述力」の育成を大切にしていることです。講師から「これを覚えましょう」とか「こうやって解きなさい」といった一方通行の授業をするのではなく、生徒たちに問いかけ、考えてもらい、意見を引き出し、その意見についてみんなで議論をするといった授業に30年前から取り組んでいます。講師と生徒との対話を、私たちは「討論式授業」と呼んでいます。
また、入試問題も年々多様化しており、知識の量を問う問題ではなく、その場での「対応力」が問われることも多くなっています。授業を通じてそういった対応力を養うような工夫もしています。

代々木にある「SAPIX」本社ビル
代々木にある「SAPIX」本社ビル

例えば国語では、記述式の問題でわざと欠けている解答を示して、そこに何が欠けているのかを議論して気づかせていくという授業があります。また、生徒の解答に対してちょっとずつヒントを提示しながらその場で考え、書き直していくことにより記述力を高めていくといった取り組みもあります。
私は理科の担当なのですが、過去にどう考えても小学生が理解できないような内容の問題が入試に出題されたことがありました。例えば細胞内共生説について。詳しい説明は省きますが、一見すると知識として知らなければ解けないような問題に感じられるのですが、よくよく文章を読むと問いの中に色々とヒントが隠されていて、小学生の知識でもどうにか答えられるようにしてあるんですね。

想定していなかった問題に直面した時に、その場でなんとかして答えを導いてやろうとしたり、きっとどこかにヒントがあるはずだと考えたりすることができるような力、一朝一夕では身につかない能力を日々鍛えているのが「SAPIX小学部」の授業です。“何が来ても大丈夫”という柔軟な思考は、受験だけでなく、今の社会でも必ず役に立つ力となるはずです。

埼玉県のみならず都内の難関中学進学を目指す「南浦和校」、低学年からの入室も増加傾向

――「南浦和校」の概要についてご紹介ください。在籍する生徒数、クラス数などはいかがでしょう。

大津さん:「南浦和校」は「浦和」駅隣のJR「南浦和」駅の西口を出て徒歩約5分の場所にあります。現在ある48校の中でも初期に開校した校舎のひとつです。生徒数は「SAPIX小学部」のなかでは中規模くらいの校舎になります。

「SAPIX小学部 南浦和校」の外観(画像:株式会社日本入試センター提供)
「SAPIX小学部 南浦和校」の外観(画像:株式会社日本入試センター提供)

小学1年生から6年生までそれぞれ学力別のコース編成を組んでおり、低学年は4~10コース、高学年は10コース前後設置しており、1コース15〜20名で授業を行っています。以前は4年生あたりから塾に通い始める生徒が多かったのですが、最近は中学受験に対する意識の高まりとともに、年々通い始める時期が低年齢化している傾向が見られます。

入室に際しては、基本的に月に1回入室テストがあり、学年の途中でも入れる体制を整えています。ただし5・6年生になると基礎的な学力が備わっていないと授業内容の理解が不十分になってしまいますので、入室基準点はやや高めになってきます。

教科ごとに用意されている専用テキスト(画像:株式会社日本入試センター提供)
教科ごとに用意されている専用テキスト(画像:株式会社日本入試センター提供)

――「南浦和校」の生徒はどの辺りから通われていますか?

大津さん:通塾エリアとしては近隣の方がほとんどで、周辺の公立小学校の生徒が多いですね。電車等を利用する場合でも通塾時間は30分程度の方が多いです。ただし、浦和エリアのアクセスの良さから、まれに遠方から通塾される方もいますね。

規模の大きい校舎に行った方が良いかと聞かれることもありますが、「ご自宅から一番近いところが一番良いですよ」とお答えしています。私も2児の父親なのですが、学校が終わった後に通うことを考えると、遠いところは子どもにとっても負担ですし、親としても心配ですよね。「SAPIX小学部」は全校舎でサービスの均一化に努めていますし、教材も同じものを使用しています。どの校舎で授業を受けても差はありませんので、まずは家から近い校舎を訪ねてみてください。

教室内風景(画像:株式会社日本入試センター提供)
教室内風景(画像:株式会社日本入試センター提供)

――「南浦和校」に通う生徒の進学希望先の傾向などはありますか?

公立の中高一貫校や国立の中学校に進学される方も一部いらっしゃいますが、南浦和校に入室を希望される生徒は受験をして私立中学校に進学したいという方がほとんどです。浦和エリアはアクセス性が高く、進学先の選択肢もさまざまですが、多くの方が都内の中学校を第一志望にされています。また、埼玉県内は入学試験の時期が少し早いこともあり、ほとんどの方が県内の学校を併願で受験します。

「浦和」駅を通る湘南新宿ライン。アクセスの良さで進学の選択肢も広がる。
「浦和」駅を通る湘南新宿ライン。アクセスの良さで進学の選択肢も広がる。

――浦和エリアの保護者やお子さんの意識や印象などはいかがでしょう?

浦和は文教地区として知られているように教育に対する意識が高く、その中でも難関校への進学を希望している方が「SAPIX」を選んで来てくださっていのではないかと思います。 また、生徒たちは素直な子が多いという印象です。

家庭学習と塾の授業は車の両輪のようなもの、家庭の学習環境も大切

――中学受験を検討している方へ。学習塾の講師から見た“伸びる子”とは?

大津さん:私たちは塾ですべて完結できるとは考えておりません。家庭学習と塾の授業は車の両輪のようなもので、ご自宅でしっかり勉強する習慣を身につけることや、学習環境が整っているという点も重要です。
塾で授業を受けているだけで学力が上がるわけではありません。家庭学習を怠ると学力は下がります。毎日少しずつ基本問題をやる、知識問題を少しずつ覚えるなど、コツコツと積み上げることの必要性をいつも伝えています。

――家庭学習における適切な環境や、保護者の関わり方とは?

大津さん:生徒の個性によってケースバイケースではありますが、低学年から4年生くらいの生徒に対しては「自律してやりなさい」と言っても難しいと思います。「SAPIX小学部」では復習を重視していますので、授業があるたびに毎回小分けにしてテキストを配るのですが、そのテキストは教科ごとにも分かれています。復習に使うのはどのテキストかなど、家庭学習の計画は一緒に立ててくださいと保護者の方にはお願いしています。また、ご家庭でもしっかり復習ができているかなど、ノートを見てチェックをすることも大切ですね。

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一方、6年生の最後の時期まで保護者が一緒になって、というのはなかなか難しいと思います。反抗期などもありますし、逆効果になってしまうこともあるでしょう。お子さんが集中できる学習環境になるよう、付かず離れず見守っていただくと良いと思います。

家庭学習がうまくいかなかったり、思うように学力が伸びなかったりする場合には、個別にお電話で相談に乗るなどのサポートをさせていただいております。お子さんの初めての中学受験というご家庭ではいろいろとお悩みもあるかと思います。また、昨今はインターネット上にいろんな情報がありますが、何が正しい情報なのかはなかなか見抜けませんので、保護者の方も判断に迷うことがたくさんあるかと思います。そういう時は経験豊富で日々子どもたちと接している私たち現場の講師に相談していただければと思います。

「塾に来るのが好き」といって通い続ける子どもたちの姿

――コロナ禍における学習環境の変化や新しい教育サービスの展開などがあれば教えてください。

大津さん:休校要請がなされた3月、そして緊急事態宣言が発出された4月はいったん校舎を閉め、授業を休講にすることを余儀なくされましたが、解除後は徐々に授業を再開し、マスクの着用や入室時の検温カードの提出など、感染症対策を徹底しながら通常通りの授業をしています。先述の通り「SAPIX小学部」は授業の中での問いかけや議論など、ライブ感のある環境の中で柔軟な「思考力」「記述力」を身につけてもらうことを重視しているため、極力従来通りの授業を行うことを最優先に考えています。

塾の運営や教育事情をお話しくださる大津さん
塾の運営や教育事情をお話しくださる大津さん

ただ、これから入試の直前期を迎えようとしている6年生に限っては、リスクを最小限に抑えるための新しい試みとして、映像を通して自宅で勉強できるシステムを作ろうという動きを進めています。私も緊急事態宣言解除前にオンラインでの双方向の授業を担当しましたが、アイデア次第で面白いことができると感じています。

現時点で大きく体制を変えずに運営させていただいているのは生徒や保護者の方の理解・協力があってのことで、本当にありがたいことです。またこのような事態になり改めて気付いたことですが、「塾に来るのが好き」、「塾が楽しい」といって通い続けている子どもたちがたくさんいます。塾に来ると先生がいて、友達がいて、みんなで議論をするそのやりとりや、学ぶことの楽しさを実感できる環境を、できる限り守っていければと考えています。

SAPIX小学部 南浦和校

校舎責任者 大津 和弘さん
所在地 :埼玉県さいたま市南区南本町2-11-17
電話番号:048-833-3759
URL:https://www.sapientica.com/school/saitama/minamiurawa/
※この情報は2020(令和2)年12月時点のものです。
※感染症予防対策のうえ、取材を実施しております。

思考力・記述力育成に重点を置き、浦和エリアから難関中学受験をサポートする/SAPIX小学部 南浦和校(埼玉県)
所在地:埼玉県さいたま市南区南本町2丁目11−17 
電話番号:048-833-3759
https://www.sapientica.com/school/saitam..