園長 田中元三郎さんインタビュー

心身のバランスのとれた調和的発達を大切にする/みやした幼稚園(埼玉県)


2010(平成22)年に竣工した新しい園舎
2010(平成22)年に竣工した新しい園舎

JR「上尾」駅西口より徒歩10分。住宅街の中に位置する埼玉県上尾市にある『みやした幼稚園』は、昭和54年(1979年)の開園より40周年を迎えた地域に根ざした幼稚園です。平成22年(2010年)に竣工した新しい園舎には、作りたての給食を提供できる調理室や、安全・安心に配慮した設計が盛り込まれ、快適な空間で日々充実した保育が実践されています。今回は、同園の田中元三郎園長を訪ね、『みやした幼稚園』の保育の特色や地域の魅力についてお話を伺いました。

昭和54年(1979年)の開園より40周年を迎える上尾市の『みやした幼稚園』

地域に愛されて40年、「みやした幼稚園」
地域に愛されて40年、「みやした幼稚園」

――『みやした幼稚園』の沿革と概要について教えてください。

田中さん:学校法人上尾田中学園『みやした幼稚園』は、昭和54年(1979年)の開園より40周年を迎えた私立幼稚園です。現在の園舎は、平成22年(2010年)に竣工した新しい園舎で、定員は240名規模で運営しています。上尾市内には20の私立幼稚園と公立の『上尾市立 平方幼稚園』があるのですが、地域の保育ニーズの高まりを受けて幼稚園の北側に保育園『こどもの園 プラムハウス』を開園しました。

保育園は別の法人ですが、私が理事長を務めているのもあって、幼稚園と保育園が一緒になって芋掘りやクリスマスの合唱コンサートなどに取り組むこともあります。

心身のバランスのとれた調和的発達を大切にする保育

――教育目標について教えてください。

田中さん:当園の教育目標は、「1.知育、徳育、体育の調和発達の教育」、「2.美を愛する豊かな心情を育てる教育」、「3.地域社会を愛する教育」、「4.創造性を育てる教育」、「5.和と協力の精神を養う教育」、「6.安全教育の実践」の6つを信条として掲げています。

なかでも、心身のバランスのとれた調和的発達というのを大切にしていて、幼児期にしかできないこと、また幼児期らしい遊びや取り組みを通じた保育を実践しています。

保護者の方や他の園から来た先生たちによると、自由な気風とよく言われますが、園を運営する上でも園が主体ではなく、現場の先生たちが良いと思った保育を実践してもらえるような雰囲気づくりをしています。

園長の私がいくらああしろこうしろと言っても、すべてに目が行き届くわけではありませんし、先生たちが自らやりたいと思ったことをやった方が子供たちには伝わるんですよね。みんなで考えて子供たち一人ひとりの健全な成長を見守っています。

「みやした幼稚園」の教育目標・6つの信条
「みやした幼稚園」の教育目標・6つの信条

地元で採れた野菜を使った手作り&出来立ての給食を提供

――特色のある保育内容について教えてください。

田中さん:保護者の方に一番喜ばれているのは給食ですね。園内に調理室を設置して食事を提供するいわゆる自校方式でやっているのは市内の幼稚園では数えるほどしかありません。手作りかつ出来立てのおいしい給食で子供たちの心と身体を育てています。

園から500メートルほど離れた場所に畑がありまして、子どもたちとじゃが芋やさつま芋を作ったり、トマトやきゅうり、キャベツ、白菜など、季節ごとの野菜を育てていて、収穫した野菜は給食にして出すようにしています。

園内に調理室があることで、あったかいものはあったかいまま、冷たいものは冷たい状態で提供できるのはもちろん、アレルギーへの対応もできますし、子供たちのリクエストを聞いてメニューを作るといった多様なニーズに応えることもできるんです。

もちろんご家庭で作るお弁当の良いところもありますが、それを負担に感じるご家庭にとっては魅力に感じていただけるようです。

地元の野菜を使った手作り給食が嬉しい
地元の野菜を使った手作り給食が嬉しい

時代のニーズに応える時間外保育とプレスクールへの取り組み

――給食の他に保護者の方からのニーズとして多いのは?

田中さん:市内にある他の幼稚園とも状況は同じかと思いますが、時間外の預かり保育のニーズが高いと思います。朝8時から8時30分、14時から17時30分までの時間帯で時間外保育を実施しています。また、長期の休みになる夏休み、冬休みの間もずっと子どもたちを預かっていられるので、保護者の方たちからは喜ばれています。

他にも、2歳児と3歳児を対象にしたプレスクールの「めだかクラブ」もあって、入園後の集団生活にスムーズにつなげていくことを目的に取り組んでいます。週2クラス、週3クラスがそれぞれあって、10時から12時までの2時間を目安に一緒に過ごします。説明会や見学会も実施しているので、詳しくはホームページもしくはお電話をください。

時間外保育、プレスクールといった保護者の要望に寄り添った保育を実践
時間外保育、プレスクールといった保護者の要望に寄り添った保育を実践

地元小学校や保育所と一緒に行うお芋掘りの合同イベント

――年間行事や地域のイベントへの関わり等について教えてください。

田中さん:まず年間行事については、お餅つきや豆まきなど日本人としてのアイデンティティにつながるようなものを大切にしていて、季節ごとの行事として取り組んでいます。

また先ほども触れましたが、園の畑で子どもたちと一緒にじゃが芋やさつま芋を作ったりしています。5月にさつま芋の苗を植えて10月に収穫するのですが、近くにある『鴨川小学校』と『大谷保育所』、「こどもの園プラムハウス」と当園が一緒になってお芋掘りをする合同のイベントもあります。

地域のイベントについては、毎年10月頃に行われる『コミ協フェスタin大谷』という地域のお祭りがあって、毎年参加させてもらっています。

他にも、12月24日のクリスマスは、上尾駅西口の『上尾ショーサンプラザ』で合唱を披露するイベントがあって、年少、年中、年長と『こどもの園 プラムハウス』の計4グループが歌を歌います。保護者や知り合い以外の観客がいる前で歌うという経験は、表現力の向上や度胸がつくことにもつながる貴重な取り組みで、30年以上続いています。

新しい園舎はぬくもりある木の造り
新しい園舎はぬくもりある木の造り

地域とのつながりの中で子供たちを育てられる恵まれた環境

――地域との交流やつながりは他にも?

田中さん:『鴨川小学校』とのつながりは合同のお芋掘り以外にもあり、入学前の子供たちが小学校を訪れる体験入学や、運動会や音楽発表会がある時などにも招待いただいています。市内でも優秀な学校のひとつとして評判で、保護者の方の教育に対する関心度も高く、卒園生も多く通っています。

地域とのつながりという点では他にも、「いきいきクラブ」という地域の老人クラブがあるのですが、そこに招待いただいておじいちゃん、おばあちゃんと交流したり、市内7校の中学校の職場体験学習も受け入れているため、地元の中学生との交流もあります。なかには幼稚園の運動会にボランティアとして参加してくれる中学生もいて、地域とのつながりの中で子供たちを育てています。

絵本も豊富にそろっている
絵本も豊富にそろっている

自然と触れ合う機会が多い、子育てにも魅力的な環境

――子育てをする上で、上尾エリアの魅力についてお聞かせください。

田中さん:上尾の良いところは、都市化しているけれども自然があるというところかな。住宅街の中にもまだ畑が残っており、当園の園庭にもビワの木があるのですが、子どもたちがビワの実をとって食べたり、そういう楽しさがありますね。自然と触れ合う機会が多い地域だと思います。

また、近くに鴨川という小さな川が流れているのですが、冬場は水鳥が泳いでいたり、春は土手の桜が綺麗ですね。

幼稚園のある西宮下というこの地域は、江戸時代の記録によると15軒くらいの農家が集まってできた集落で、今でもこの地域で農業をやっているのは私ともう一軒くらいしかありませんが、県道そばにある『天神社』に行くと地域の歴史の一端がわかります。

都市化しているけれど自然とも触れ合える「上尾」エリア
都市化しているけれど自然とも触れ合える「上尾」エリア

子供たち一人ひとりが“生まれてきて良かったな”と感じられる幼稚園にしたい

――最後に、これから上尾への移住を考えている読者へひと言メッセージをお願いします。

田中さん:幼児教育に携わって40年になります。この年齢になってあらためて思うことは、子どもたち一人ひとりが“生まれてきて良かったな”と感じられる幼稚園にしたいなということです。

みんなと一緒に遊んで、楽しい時間を過ごして、ご飯を食べて、“楽しいな”とか“生まれてきて良かったな”と感じてもらって、小学校に進学してもらうのが私は一番大切なことだと思っています。

読み書きや算数ができるといった認知的能力に対して、幼児期の“非認知的能力”の育成に注目が集まっていますが、目標に向かって頑張る力や他者とうまく関わる力、感情をコントロールする力など、そういうものを感じられるような健全な成長を支援していきたいと思います。

そのためにはそういう雰囲気や考え方を共有できる良い先生がいて、子供たちが自由に遊べて、自分の言いたいことや伝えたいことを自己表現できる環境を整えることが一番大切なことだと考えます。

現在、当園の卒園生で職員になった先生が2名、来年も1名現場に加わる予定ですが、良い先生を育てていくことが良い幼稚園の運営につながるものと思い、これからも自由な気風の中で保育に取り組んでいきたいと思います。

広い園庭は子供たちの笑顔があふれている
広い園庭は子供たちの笑顔があふれている

まとめ

いかがでしたでしょうか。子どもたちの自主性を尊重し、先生たちとともに、楽しく自由に学ぶ姿勢は、今後の成長に重要な時間になりそうです。また、『みやした幼稚園』では、上尾市内でも数少ない休職を実施している幼稚園。自分たちで育てた野菜などを食べる機会も、食育の観点からも良い影響がありそうです。地元の方々との交流も、コミュニケーション能力を養ううえでは現代ではいちばん必要とされる試みかもしれません。。これから埼玉県上尾市への移住と、教育を考える際の参考にしていただければ幸いです。

田中元三郎園長
田中元三郎園長

みやした幼稚園

園長 田中元三郎さん
所在地 :埼玉県上尾市西宮下1-68
電話番号:048-775-3556
URL:http://www.miyashita-k.ed.jp/
※この情報は2019(令和元)年12月時点のものです。

心身のバランスのとれた調和的発達を大切にする/みやした幼稚園(埼玉県)
所在地:埼玉県上尾市西宮下1-68 
電話番号:048-775-3556
教育時間:9:00~14:00
http://www.miyashita-k.ed.jp/