世界に冠たるスーパーターミナル・ナゴヤ、その実現に向けた名古屋市の取り組みとは?/名古屋市 住宅都市局 リニア関連都心開発部(愛知県)
多くの交通機関が集中する交通結節点である愛知県を代表する「名古屋」駅。そんな「名古屋」駅周辺では、2027年度のリニア中央新幹線開業に向け、大きく変貌を遂げようとしています。そんな駅周辺のまちづくりの、共通目標となる基本方針と具体的な取り組みをまとめた「名古屋駅周辺まちづくり構想」について、名古屋市のリニア関連・名駅周辺開発推進課の加藤慶一郎さんにお話を伺いました。
リニア事業を支え、駅周辺のプランニングを考える
――「リニア関連・名駅周辺開発推進課」の中で、加藤さんはどのようなお仕事に携わっているのでしょうか
加藤さん:この課のミッションは2つあります。ひとつは、JR東海さんのリニア事業そのものが上手く進むようサポートすることです。2つ目は、リニア開業を見据え、「名古屋」駅周辺のまちづくりをどのように進めていくかプランニングすることです。 私は、2つ目の方を担当しています。
――「まちづくり構想」について、詳しく教えてください
加藤さん:「まちづくり構想」には、ポイントが3つあります。ひとつは「顔づくり」。「名古屋」駅周辺は、名古屋の顔になる場所なので、空間デザインについて、顔にふさわしいものとすることや、防災性の向上、環境に配慮した再開発を進めることなどがテーマとなっています。
加藤さん:2つ目は、「交通施設を分かりやすく、便利にする」ことです。駅や駅前広場、バスターミナル、高速道路など、交通施設の改善を検討しています。
3つ目は、「名古屋らしいまちの魅力」を発見し、育てることです。ただ開発すればいいということではなく、地域資源をみんなでしっかり認知し、残していくことも大切だと考えています。栄エリアや「名古屋城」との連携を上手くできるようにするということもテーマのひとつです。
加藤さん:例えば、「名古屋」駅と「名古屋城」は2kmほど離れていて、現状では地下鉄で行く場合、乗り換えなければ行けません。リニアは8割が地下なので、「名古屋」駅まで地下で来て、そこからまた地下で「名古屋城」に行くのではなく、地上でまちをぐるっと見て回れるような新しい交通システムを検討しています。周辺には堀川や柳橋市場など魅力的な場所もあるので、そこまで歩いて行きやすいよう、歩行者空間を豊かにすることも考えています。
次々と開発が進む「名古屋」駅周辺
――名駅エリアは「ミッドランドスクエア」ができた10年ほど前からめまぐるしく変化しています。現在進んでいるプロジェクト、これから計画されているプロジェクトを教えてください
加藤さん:リニアの計画が動き出してから都市計画されたものですと、「JRゲートタワー」「JPタワー名古屋」「大名古屋ビルヂング」「シンフォニー豊田ビル」などがあります。また、ささしまエリアの開発も、来年にはほぼ完成するくらいまで進んでいます。今後の動きとしては、現在の名鉄、近鉄などの開発計画があります。リニアが来る11年後までに、名鉄の駅などが再整備されることになっていまして、これが当面の最も大きな開発になります。
また、リニアの駅は地下につくられますが、その上のスペースをどう活用するかということもJR東海さんと一緒に検討しています。一方、現在は駅西側はあまり開発が進んでいませんが、昨年「都市再生緊急整備地域」が拡大されました。容積率の緩和などが受けられるエリアが広がりましたので、駅西側の開発の追い風になるのではと考えています。
世界中の方を迎え入れられるまちづくり
――目標とするまちの姿として「世界に冠たるスーパーターミナル・ナゴヤ」を掲げていますが、これについて詳しく教えてください
加藤さん:現在、「名古屋」駅に乗り入れている路線は9つあります。これにリニアが加わると10路線。乗降客数を見ても、「名古屋」駅全体で約111万人。「東京」駅(113万人)と同じくらいの乗客が行き来しています。「中部国際空港 セントレア」まで約30分ということもありますので、海外からのお客様も多くなると想定されます。
そういう点からも、世界中の人たちを迎え入れられるくらいのまちをつくっていかなければならない。そんな思いを込め、この目標を掲げました。
――海外からのお客様向けの具体的なプランはあるのでしょうか
加藤さん:一番の目玉は「乗り換え空間を分かりやすく」ということです。現状では、新幹線の駅が西側、名鉄が南側にあり、平面的にも、高さ的にもかなりの移動距離があります。後から後から駅をつくってきた関係で、非常に分かりにくく、不便だという声をいただいておりました。そこで、乗り換えを分かりやすくするために、「ターミナルスクエア(仮称)」という乗り換え空間を、駅の西に2ヵ所、東に3ヵ所つくりたいと考えています。
まだ具体的な計画はできていないですが、案内サインの多言語化や観光案内所の設置なども検討していきます。また、観光バスについて、現在は路上での乗降が問題になっていることもありますので、この機に改善できないかと考えています。
7,000万人都市圏の中心、名古屋を盛り上げたい
――最後に、今後名古屋市に住もうと思っている方に向けて、このエリアの魅力を一言お願いします
加藤さん:今回の構想は、「初めての方にも、分かりやすく便利な駅に」というコンセプトで進めていますが、初めての方にとってよい駅は、市民にとっても良い駅になるのではないかと考えています。リニアができ、東京-名古屋-大阪が結ばれると、7,000万人の都市圏ができると言われています。
世界のどこにも例のない、7,000万人都市圏のセンターが名古屋なんです。そういう意味でも、非常に可能性を感じられるエリアだと思います。一方で、近くには中川運河や堀川などの水辺環境があり、四間道など魅力的な場所も多くあります。開発と同時に、名古屋人が共通で自慢できる地域資源を掘り起すことも私たちのミッションですので、名古屋に愛着を持つ人が増えてくれたらうれしいですね。
名古屋市 住宅都市局 リニア関連都心開発部
リニア関連・名駅周辺開発推進課
主査(まちづくり計画担当)
加藤慶一郎 さん
※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。
世界に冠たるスーパーターミナル・ナゴヤ、その実現に向けた名古屋市の取り組みとは?/名古屋市 住宅都市局 リニア関連都心開発部(愛知県)
所在地:愛知県名古屋市中区三の丸3-1-1
電話番号:052-961-1111(代表)、052-953-7584(名古屋おしえてダイヤル)
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休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始
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