黄金家 店主 的場喜志さん インタビュー

歴史ある温泉街を見守り続ける温泉銘菓の本家「黄金家」

かつて温泉街として栄えた宝塚湯本町で、温泉銘菓として作られた「炭酸せんべい」 。現在の湯本町で温泉として営業を行うところは少なくなったが、炭酸せんべいは創業以来120年を経て、現在でも変わらず親しまれている。今回は宝塚で炭酸せんべいを作り続けている「黄金家」のご主人である的場さんにお話を伺った。

創業以来変わらない味を今に受け継ぐ

「黄金家」ご主人 的場喜志さん
「黄金家」ご主人 的場喜志さん

――まず、お店の歴史について教えてもらえますか

的場さん:創業は1897(明治30)年です。現在で四代目となっているのですが、創業のきっかけは、初代が「湯の町宝塚」にふさわしい銘菓を作ろうと考えて思いついたのが、この炭酸せんべいです。今でこそ「歌劇の街」ですが、当時はこのあたりが中心地の「湯の町」でした。

ひとつずつ丁寧に手作りされる
ひとつずつ丁寧に手作りされる

――炭酸せんべいの特徴やこだわりを教えてください

的場さん:今みたいに豊富になんでもあるような時代ではなかったので、材料は非常にシンプルです。小麦粉、片栗粉、砂糖、食塩に炭酸水とこれだけしか使っていません。牛乳やバターや卵も使っていないです。もちろんショートニングなんてものも当時は手に入りませんから使用していません。”炭酸せんべい”という名前は炭酸水を使うことに由来しています。昔は温泉から湧き出る炭酸水を汲み上げて使用していました。炭酸水を入れることによって、練った生地が美味しそうに黄色くなってくるのです。創業以来この作り方を変えずに120年変わらず同じものを作り続けています。ただ、水分の量は季節によって焼きあがりの微妙な変化があるので、その辺りは経験値で調整しています。変わらず良いものを作るためのさじ加減というわけです。

長年の経験に裏打ちされた、まさに職人芸
長年の経験に裏打ちされた、まさに職人芸

――人気の商品やおすすめの商品について教えてください

的場さん:看板商品である炭酸せんべいは、今でも年齢層問わずに人気があります。「宝塚歌劇場」や「手塚治虫記念館」にも商品を置かせていただいておりますが、お土産品としても非常に好評をいただいております。変わらない味のものを作り続けている一方で、若い人などにも気に入っていただけるようにと、クリームを挟んだ「クリームタンサンセンベイ」や、卵とショートニングを使った「宝塚せんべい」があります。オリジナルの炭酸せんべいに加えて、この3点が人気です。

「クリームタンサンセンベイ」と「宝塚せんべい」
「クリームタンサンセンベイ」と「宝塚せんべい」

――お客さんにはどのような方が多いのでしょうか

的場さん:観光で来られた方や、もともと宝塚が地元の方が、帰省のお土産として買っていかれるのが多いです。「阪急百貨店」には東京を含め全店で取り扱いしていただいているので、ご贈答用にもよくご利用していただいています。

 

時代とともに変わっていく街、宝塚という場所の変わらない価値

昔の宝塚温泉街の風景
昔の宝塚温泉街の風景

――貴店から見た宝塚温泉街の街の移り変わりについて教えていただけますでしょうか

昔の蓬莱橋の様子。手前に「天然たんさん水この下あり」とある
昔の蓬莱橋の様子。手前に「天然たんさん水この下あり」とある

的場さん:温泉旅館の最盛期だったのは昭和30年から40年代頃で、1970(昭和45)年の「大阪万博」の時がピークでした。最盛期には大小合わせて50軒ほどの旅館が営業して、賑わっていましたが、それ以降は次第に数が減って、温泉旅館少なくなりましたが、その一方で、交通網の発達や歌劇の人気で「宝塚」という土地のブランド化が行われたので、マンションや住宅地が整備されて便利で住みやすいおしゃれな街に様変わりしました。

店舗外観
店舗外観

――この街や地域の魅力はどんなところでしょうか

的場さん:電車で神戸にも大阪にも30分ほどで行けるので、住むのにはとても便利なところで、環境もいいと思います。ここの温泉街の地域としても、正直に言ってこんなにいいところはないんじゃないですか。バブルがはじけるまでは有名な大手企業の保養所もたくさんあるくらいでしたから。それから宝塚といえば歌劇が有名すぎるので、もちろん歌劇はいいのですが、それ以外にも宝塚のいいところは、もっとアピールするべきところもあると思います。例えば山本地区なんて日本3大植木産地のひとつですし、西谷地区の自然や「武田尾温泉」など、もっと知ってもらうべきところがたくさんあると思いますよ。

武田尾温泉の紅葉
武田尾温泉の紅葉

――なるほど、山本が植木の産地というのは私も小学校の社会の教科書で載っていたことは覚えていますが、歌劇の存在が大きく少し印象が薄く思われますね。

的場さん:そうなんです。だからもっとそういう部分にも宝塚市の魅力として総合的にスポットを当てていくべきではないかと思います。電車の交通の便がいいだけでなく「伊丹空港」もこんなに近くにあるのですから。もっと観光で呼び込みできる要素はあるんじゃないでしょうか。
そういう意味で宝塚はまだまだ隠れた魅力の宝庫だと思いますよ。

 

黄金家 的場さん
黄金家 的場さん

炭酸煎餅本家 株式会社 黄金家

店主 的場喜志さん
所在地 :兵庫県 宝塚市湯本町9-27
TEL :0797-86-2962
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

歴史ある温泉街を見守り続ける温泉銘菓の本家「黄金家」
所在地:兵庫県宝塚市湯本町9-27 
電話番号:0797-86-2962
営業時間:9:30~18:00
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)
http://koganeya.jp/koganeya/TOP.html