校長 神田光子先生インタビュー

富士山も望む国分寺崖線の高台で、地域に見守られて歩む/世田谷区立砧小学校(東京都)


世田谷区立砧小学校 神田光子校長先生
世田谷区立砧小学校 神田光子校長先生

小田急線「成城学園前」駅南口から徒歩15分、仙川や野川が近くを流れ、「都立砧公園」や「区立大蔵運動公園」も近接する自然豊かな環境に立地する「世田谷区立砧小学校」。1900(明治35)年創立の歴史ある同校に、2021(令和3)年度より校長として着任した神田光子先生を訪ね、日常的な取り組みやコロナ禍での学校運営、周辺地域についてお話を伺った。

外遊びや朝ランで、日常的に体力をつけることを重視

――まずは「砧小学校」の沿革や、現在の概要について教えてください。

神田校長先生:本校は砧エリアにある計8校の小中学校の中で最初にできた学校で、2022(令和4)年度には創立120周年を迎えます。現在は各学年2~3クラス、「ことばの教室」(通級)が2クラスあり、計474名の児童が通っています。

――今年4月に着任されたそうですが、どのような印象を持たれましたか?

神田校長先生:実は以前に5年間本校で副校長を務めていて、初めてではないんですよ。「砧小学校」から「多聞小学校」に異動して1年、「山野小学校」に2年いて、また戻ってきました。以前から変わらず、地域の人たちがとても温かい学校だなと感じています。

子ども達が元気に登校してくる、正門の様子
子ども達が元気に登校してくる、正門の様子

――そうだったのですね。周辺環境に変化はありますか?

神田校長先生:新たに建てられている住居も多く、以前あった団地の印象とは変わってきていますね。外環自動車道の掘削工事も始まり、学区域である喜多見地区の南の方はかなりの部分が道路用地となって、引っ越された方も多くいらっしゃいます。この学校は高台にあって、下を広く見渡せるのですが、景観がだいぶ変わってきたと感じます。

広々とした校庭
広々とした校庭

――貴校の教育目標と、その実現のために力を入れている取り組みを教えてください。

神田校長先生:「かしこく やさしく たくましく」を目標に教育活動を進めています。3つの力をバランスよくつけるのが理想ですが、「健康と安全なくして教育なし」を校是とし、日常的な体力作りに最も力を入れています。1月の持久走大会や2月のドッジボール大会といった体育行事もありますが、基本は日頃の外遊びと考えています。

毎日の5分間走「朝のランランラン」もずっと続けています。体に染みついているのでしょう、子どもたちは曲が流れると走り出すんですよ。ずっと全校児童で行っていましたが、いまは密を避けるために3学年ずつに分けて実施しています。

日頃の外遊びの中が、自然と体力づくりになる
日頃の外遊びの中が、自然と体力づくりになる

3年生は地元の「石井戸囃子」を受け継ぎ、6年生は鼓笛隊で結束

――学校行事や特色ある課外活動についてもご紹介ください。

神田校長先生:伝統的に学年単位で取り組んでいるのは、6年生の鼓笛(こてき)と3年生の「石井戸囃子」です。石井戸囃子というのは石井戸地区に伝わるお囃子で、楽譜などはなく口伝によって受け継がれてきたものです。毎年保存会の方に来ていただいて3年生が教わり、11月3日の喜多見区民祭でお披露目させてもらうのが恒例になっています。

今年で34回目を迎えた「砧っこ夏祭り」は、当時のPTAの人たちが、子どもたちがお金を持たずに遊びに来られるお祭りをやってあげたいと発案したそうです。今も手ぶらで来て、カレーライスを食べたり、出店で遊んだりできるんですよ。カレーライスは事前に買ったチケットを持参することになりましたが、今も当日は一切お金がかかりません。宗教上の理由で豚肉が食べられない子のためにチキンカレーを用意していただいた年もあり、本当にありがたかったです。

――食育についてもお聞かせいただけますか?

神田校長先生:校舎の西側にある畑で、主に1・2年生が毎年大根を育てています。育てている品種とは違いますが、この辺りには大蔵大根というブランド大根があって、子どもたちにとっては親しみのある野菜なんです。収穫できたら自宅に持ち帰って調理し、食べるところまで体験しています。

給食では、郷土料理や世界の料理に触れたメニューや読書週間に「お話給食」として、物語に登場した料理を参考にしたメニューなど多彩な取り組みを行っています。

校舎の裏にある学校菜園
校舎の裏にある学校菜園

ICTの活用で宿題や健康管理、保護者との連絡などがスムーズに

――昨年度に続き本年度も、ICTの活用などコロナ禍に対応した学校運営が求められたと思いますが、実感された利便性などあればお聞かせください。

神田校長先生:コロナ禍でタブレットの配布が早まり、世田谷区でも今年の夏に全児童に配られました。そのときは対面授業ができていたので全員が使うまでには至りませんでしたが、その後分散登校になったのが転機となりました。登校する子は実授業、自宅学習の子はアプリ「Microsoft Teams」で参加という形式になり、一気にICTの活用が進みました。準備をしていたので先生方はすぐに順応し、自宅にいる子が挙手しても同じ教室にいるように指したりしています。

教室内の様子
教室内の様子

宿題には、書類の配布や収集が一括でできるクラウド型学習支援アプリ「ロイロノート・スクール」を活用しています。子どもたちの毎日の検温と健康観察にも利用していますし、明日の予定などの情報共有も徹底できるようになりました。

また、今年度からは保護者との連絡にもデジタルツール「すぐーる」を導入しました。アプリで欠席連絡をもらえる他、学校からの連絡事項を電子メールで情報配信できるので、ペーパーレス化も進んでいますね。

子どもたちの良い部分を見てくれる、地域住民の温かさが魅力

――世田谷区で進められている「地域運営学校」というのは、どのようなものなのでしょうか?

神田校長先生:地域の人々に学校の運営をサポートしていただくんです。毎月一回、地域の方や保護者、学識経験者、卒業生などがメンバーになっている学校運営委員会を開き、学校が取り組んでいる教育活動について活発に議論しています。

昇降口
昇降口

――神田校長先生が思われる、周辺地域の魅力をお聞かせください。

神田校長先生:地域の人や保護者の方など、この地域に住んでいる人たちの温かさですね。子どもたちが頑張っている姿や良い行動を見つけては、学校に知らせてくれるんです。「挨拶がよくできている」「上級生が、転んだ低学年の子をケアしながら登校していた」といったように、些細なことでも知らせてくださるんです。

子どもたちに伝えると、褒められた子は喜ぶし、他の子は頑張ろうと思いますよね。一緒に子育てをしてくれているように感じられて、本当にありがたいです。

晴れた日には富士山が見える、学校近くの急階段
晴れた日には富士山が見える、学校近くの急階段

神田校長先生:好きな場所は、正門を出て右手にある急階段ですね。天気がいいと富士山が見えるんです。朝、登校指導で正門前に立っていると、階段をのぼって登校してくる子たちが「今日も富士山が見えたよ」とか「雪で真っ白だよ」とか教えてくれます。見えるのは富士山だけではないようで、子どもたちによれば、暗くなると東名高速を走る車のライトもきれいだそうですよ。

世田谷区立砧小学校 神田光子 校長先生
世田谷区立砧小学校 神田光子 校長先生

世田谷区立砧小学校

神田光子 校長先生
所在地:東京都世田谷区喜多見6-9-1
電話番号:03-3417-4477
URL:https://school.setagaya.ed.jp/kita/
※この情報は2021(令和3)年11月時点のものです。

富士山も望む国分寺崖線の高台で、地域に見守られて歩む/世田谷区立砧小学校(東京都)
所在地:東京都世田谷区喜多見6-9-1 
電話番号:03-3417-4477
https://school.setagaya.ed.jp/kita/