いい教育は、保護者とともに。 「チーム立会」が子どもを育てる。/品川区立立会小学校 校長 星野豊さん

品川区立立会小学校 校長 星野豊さん

いい教育は、保護者とともに。
「チーム立会」が子どもを育てる。

1997年より全国に導入が広がった「公立学校選択制」だが、品川区は全国でもっとも早くこの制度を導入した自治体だ。そんな品川区の「大井町」駅徒歩7分に位置する「立会小学校」は学区外の児童が入学を希望する際、抽選を行うこともあるという。その背景にあるのは、星野豊校長が確立させた「チーム立会」という考え方だった。

品川区は学校選択制を採用してから今年で13年と、全国でも導入がかなり早いです。学校選択制の一番のメリットは何でしょうか?

"品川区立立会小学校
"品川区立立会小学校

品川区の考え方は、いろいろな種類の学校を取りそろえ、保護者に選択してもらうということ。もちろん、保護者に選んでもらうということで、緊張感を学校に与えるという考えもあったと思います。 品川区はどんなに小さな学校でも統廃合をしないという方針で、先ほども申し上げたように保護者に選択していただくためにさまざまな進路を用意しています。

区全体としては小中学校の一貫教育を行っている学校が6校。そのほか区の中で小中学校が緊密に連携する学校、連携はしているけどもう少し自由に各学校の特色を出すという学校があります。また保護者の方も選択したからには、学校にもっと興味を持っていただいて、学校の教育に協力していただくという狙いもありますね。

 

「立会小学校」は入学時に抽選を行うこともあるそうですが、多くの保護者に選ばれる理由を教えて頂けますか?

品川区立立会小学校
品川区立立会小学校

理由は2つあると思います。ひとつは学力にきちんと目を向けて指導していること。要するに勉強をするのに落ち着いた環境づくりができているんですね。もうひとつは「立会小学校」独自の体験的な学習を気に入っていただいているのではないかと思います。

まず学力についてですが、基礎的な学力を育てるのは決して難しいことではないんです。一番大切なのは「きちんとした生活をする」ということ。いわゆる“早寝早起き朝ごはん”という、基本的なことがベースにないとダメ。そして「式や朝会できちんと並んで人の話を聞くこと」。これは授業にも、すごく影響します。がやがやしている中で授業をしても力はつかないですよね? 人の話をきちんと聞ける学級づくりをして初めて勉強ができるのです。

 

「立会小学校」では2009(平成21)年より学習のきまりやノートのとり方などを明確にして、全校で同じ方法で取り組む「立会スタンダード」をスタートさせました。それも学力向上につながっているのでしょうか?

品川区立立会小学校
品川区立立会小学校

もちろんです。「立会スタンダード」は簡単に言いますと、先生が全員同じ方針で同じように指導するほうが効率いいよね、ということ。先生によって方針が違うと、毎年新年度になると子どもが混乱します。そうなると、余分なエネルギーが必要になる。それよりも、違うところにエネルギーを使ったほうがいいですよね。

例えば「立会スタンダード」ではノートを取る方法、算数はマスの目の取り方まで決まりがあります。なぜかというと、先生のノート点検がすごく楽だから。学力をあげるには、ノート点検がすごく大事なんですよ。この子はどこまでわかっているか、ノートをみれば一目瞭然です。これで学習効率をよくすることができるし、子どもたちも先生も変なところでエネルギーを費やさなくてすむのです。

 

いわゆる「ゆとり教育」とは異なる方向性ですね。

品川区立立会小学校
品川区立立会小学校

立会小はこれまで「ゆとり教育」なんて1つもしていません。きちんとやることがゆとりであって、最初からゆとりの授業をやろうと思ってもできませんよ。どんな子どもでも最低限の学力を身に着けてもらうのが義務教育ですよね。そのためには、非常にきめ細かく授業をする必要があるんです。

苦手な子には個別指導をする一方、得意な子には次の課題を与え、それぞれに合った授業をする。僕はそれが真のゆとりだと思っています。すべての子どもたちにゆっくり教えることがゆとりじゃない。

 

そしてもうひとつ、「立会小学校」の特長に「独自の体験学習が豊富」という点がありますよね。具体的にはどんなことをやっているのでしょうか?

品川区立立会小学校
品川区立立会小学校

稲作やミカン狩り、あとは地元の商店街に協力していただき「お店当番」という授業もあります。変わっているものでは「1日東大生」という体験学習も面白いですよ。まず赤門前で東京大学の先生が出迎えてくれて、ちゃんと講義をうける。お昼には学食でカレーライスを食べたり、研究室に行ったり、安田講堂前で記念撮影をしたりと、1日東京大学で過ごすんです。そうするとね、子どもたちも東京大学はもちろん、勉強に関してもすごく関心を持つようになりますね。

 

こういった体験学習について、保護者の方からはどんな反応がありますか?

品川区立立会小学校
品川区立立会小学校

実はこれらの体験学習は、保護者も一緒に参加ができます。子どもと一緒に体験したいという保護者はすごく多いですね。田植えなんてやったことがない保護者もいっぱいいますから、生徒よりも保護者が興奮しています(笑)。 こういった体験学習に参加していただくと、保護者の方に普段の先生たちの苦労もご理解いただけますよね。

私たちは、保護者の方も我々と一緒の「チーム」だと考えているんです。これを「チーム立会」と名付けているんですけど、子どもを真ん中に置いて、教職員、保護者あるいは地域の方々が一つの輪になるイメージ。同じチームである以上、仲良くしなくてはいけないし、みんなで協力できることは協力してもらう。例えばマラソン大会にはマラソンボランティアがいます。ボランティアを保護者で募集すると、やってくれるんです。そのほかにも清掃ボランティアもあって、学校を時々掃除してくれるし、図書館の飾りつけや本の整理をする図書館ボランティアの方もいます。本当にみんなで力を合わせて盛り立ててくれているんです。

 

協力的な親御さんが多いんですね。保護者の方の特徴を教えていただけないでしょうか。

品川区立立会小学校
品川区立立会小学校

「立会小学校」の親御さんは、自分で学校を選択してここに来ているわけですよね。そうなると学校に対する期待度はものすごく高くなる。そういう方にとっては先生が一生懸命指導するのは当たり前のこと。その期待に応えるためにはこちらがよほど努力をしなくてはダメです。
でもその分、保護者の方の応援も多い。運動会なんて鈴なりですよ(笑)。この前の音楽会なんて子ども600人しかいないのに、親御さんだけで1000人が来ました。そのくらい皆さん子どもの活躍を見たいし、期待をしている。

あと現在、6年生が約100人いますが、その中で6年間虫歯になったことがない児童はどのくらいいると思います? そういう子は保護者がきちんと口の中をケアしていると言えると思うのですが、「立会小学校」ではその人数が50人を超えるんです。それだけ子どもに対して熱心な人が多い。給食費未納者もいませんし、教員も余計なことにエネルギーを費やさなくて済む。教員だけではなく、保護者も含めてみんなで教育の質を上げていこうという意識があるのです。

 
品川区立立会小学校
品川区立立会小学校

今回、話を聞いた人

品川区立立会小学校 校長 星野豊さん

所在地:東京都品川区東大井4-15-9
電話番号:03-3474-3424
http://school.cts.ne.jp/~tachiai/index.html

※記事内容は2013(平成25)年3月時点の情報です。

いい教育は、保護者とともに。 「チーム立会」が子どもを育てる。/品川区立立会小学校 校長 星野豊さん
所在地:東京都品川区東大井4-15-9 
電話番号:03-3474-3424
http://school.cts.ne.jp/tachiai/