親子3代で通うファンあり。地元平塚で愛され続けるフランス料理店/マリー・ルイーズ(神奈川県)
1984(昭和59)年に創業した「マリー・ルイーズ」は、メディアでもよく取り上げられるフランス料理店だ。文化人が足繁く通う店として知られる一方、地域になくてはならない店として、創業時から変わらず訪ねてくる者もいる。平塚の変遷とともに月日を重ねてきたオーナーシェフの尾鷲さんに「マリー・ルイーズ」と、平塚の街についてお話を伺ってきた。
いつか地元平塚で独立したい。修行ののちフランス料理店をオープン
――フランス料理「マリー・ルイーズ」を開業されるまでの経緯を聞かせてください。
尾鷲さん:料理人になることを決意し、18歳のときに平塚市内のレストランで働きはじめました。西洋料理の基本的なことを学んでから、フランス料理界の重鎮で、後の私の師匠となる方が経営する「ピアジェ」、その姉妹店である「シャペロン・ルージュ」で修業しました。いつかは地元で独立したいと思っており、その目標を達成すべく1984(昭和59)年に「マリー・ルイーズ」をオープンさせました。
――料理に対するこだわりと、おすすめメニューについて教えていただけますか?
尾鷲さん:フランス料理と一口に言っても、近年はイタリア料理に近いフランス料理も存在するなど様々なスタイルがあります。時代の変化に合わせるところは合わせつつ、フランス料理としての根本は変えないように心がけています。特に、フランス料理におけるベーシックなソースの土台となるフォンは、師匠に学んだやり方を踏襲しています。食材については産地にこだわらず厳選した旬の美味しい野菜や、フランスから空輸で送られてくる肉など、料理に対する思いに負けない食材を吟味して使っています。
メニューについてですが、コース料理の前菜「楽しみのアシェット」が人気です。色々な味を試してみたいと思われる方は多いですが、我々としてもできるだけ多くの料理を味わっていただきたいものですから、まずは「楽しみのアシェット」で、宝石箱を開けるときのような高まる期待感とともに、楽しんでもらえると嬉しいですね。
こだわりの料理をケータリングやテイクアウトでも提供。多くの方に喜ばれるように
――ランチやディナーだけでなく、ケータリングサービスにも対応されているそうですね。どのような方が、どのようなシーンで利用されるのですか?
尾鷲さん:企業や病院、大学関係者の集まりだったり、結婚式などで利用されるケースが多いですね。以前、結婚式での依頼があったときのことですが、100人という規模、そして大型連休の最終日だったことから移動時間への不安、さらに準備の時間が取れるかどうかが分からず、対応が難しいと返答せざるを得ませんでした。しかしその方は、それを踏まえた上でどうしてもお願いしたい、と。ここまで言っていただけるというのは料理人冥利に尽きることですし、本当に嬉しく思いました。
ケータリングサービス以外にも、テイクアウトに対応しています。以前からしていたことだったのですが、コロナ禍で外食を控える流れが出てきたときに、より広く知られるようになりました。家で記念日を祝うというケースにご利用いただいています。
――普段はどのような方が来店されますか?
尾鷲さん:創業時から来ていただいている方もいらして、そのお子様、お孫さんと親子3代という方もいます。地元の方ももちろん多いですし、インターネットで予約される市外の方もいらっしゃいます。今は市外の方が少し多いくらいですね。誕生日や結婚記念日などの特別な日でのご利用が大半です。
村井玄斎公園に近く、文化人が暮らした趣のある立地
――長きにわたり、松風町、そして平塚を見てこられたわけですが、“住む場所”としてこれらのエリアをどのように思いますか?
尾鷲さん:まず松風町についてですが、海も山も近く、落ち着いた住宅街が広がっています。以前は松林ばかりで、今のようにマンションもありませんでしたから、それと比べるとかなり景色は変わりましたね。また、厳密に言うと八重咲町になりますが、当時は夏目漱石よりも人気があったという作家・村井弦斎の居宅があった「村井玄斎公園」が当店の正面にあるなど、文化人が暮らした足跡もあります。
よりエリアを広げて平塚の街として見た場合、都心への通勤圏にありながら自然にも恵まれ、気候が温暖で自然災害も少ない街です。通りも広く、車に乗られる方はすぐ実感できるのではないでしょうか。都会ではありませんが、かといって田舎でもないバランスのいい街だと思います。
――地元の方との交流、もしくは接点などありましたらぜひ聞かせてください。
尾鷲さん:「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」では、平塚はリトアニアの事前キャンプ地に選ばれました。その誘致のために市が動いていたとき、市からの依頼で平塚の食材を使った料理を出したり、レセプションの会場として使ってもらったこともあります。
また、当時の大ベストセラー小説「食道楽」を著した村井弦斎に関連するイベントで、「明治における弦斎料理とフランス料理の時代考査」というタイトルでパネル展を行ったこともあります。日本の一般家庭と西洋料理との変遷を調べていたら、その流れのなかに師匠の名が出てきたのは驚きましたね。
――最後の質問です。平塚エリアの魅力について聞かせてください。
尾鷲さん:魅力はやはり、海が近いということですね。この辺りでも風に乗って海の香りがします。海だけでなく気軽に登れる山、例えば「21世紀に残したい日本の自然100選」に選ばれた「高麗山」をはじめ、相模湾を一望できる「湘南平」もあります。散歩圏内に魅力的な場所がたくさんあることも平塚のいいところだと思います。
マリー・ルイーズ
オーナーシェフ 尾鷲幸男さん
所在地:神奈川県平塚市松風町1-16 レーベンス松風 1F
電話番号:0463-24-0465
URL:https://www.m-louise.com/
※この情報は2022(令和4)年1月時点のものです。
親子3代で通うファンあり。地元平塚で愛され続けるフランス料理店/マリー・ルイーズ(神奈川県)
所在地:神奈川県平塚市松風町1-16 レーベンス松風1F
電話番号:0463-24-0465
営業時間:ランチ11:30~14:30(L.O.13:30)、ディナー18:00~22:00(L.O.20:30)
定休日:月曜日
https://www.m-louise.com/