イタリア伝統製法で作る元建築士の革小物

元建築士がイタリア伝統の製法で生み出す、シンプルで機能的な革小物/m+(エムピウ) 村上雄一郎さん

m+(エムピウ)代表 村上雄一郎さん

呼吸する革製品 m+(エムピウ)

都営浅草線・大江戸線「蔵前」駅の近くに工房を持つ「m+(エムピウ)」。元建築士という異色の経歴をもつ村上雄一郎さんの個人ブランドはイタリア伝統の製法でシンプルかつ機能的な革小物を生み出している。ヒット作となった財布をはじめ、ペンケース、バッグ、ベルト、ブックカバー、各種アクセサリーなど幅広い品を多彩なカラーバリエーションで揃え、「上質なものを長く使いたい」という人々に愛されている。今回は蔵前のショップ2階にある工房にお邪魔し、村上さんにお話を伺った。

元建築士でいらっしゃった、村上さんが「革に目覚めた」きっかけを教えてください。

m+(エムピウ)
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元々は設計事務所で建築デザイナーとして働いていました。そのうちに設計の仕事のかたわら、自分で革の財布とかを作り始めたんです。会社の人にも好評で、革職人の方が自分に向いているんじゃないか、と思い始めました。その後、設計の勉強でイタリアに行ったことがある先輩から、革の勉強をするならイタリアが本場だと聞きまして、思い切って会社を辞めて、イタリアに行ったんです。

m+(エムピウ)
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現地では革の勉強をする職業訓練校がありまして、試験を待つ間、街の小さな革工房で勉強しながらお手伝いをしていたのです。工房ではパターンから縫製まで全部取り扱っており、いい勉強をさせてもらいました。学校を卒業した後は現地の会社に就職し、ベネトンの子会社のようなところで1年位サンプル作りの仕事をしていました。

それまでは「日本に帰ったら作るところから売るところまで全部やろう」と思っていました。ですがイタリアで小さな工房と大きな会社を経験しまして、量産は人に任せて、パタンナーとしてやっていこうと考え直したんです。

 

その後、日本に帰ってからすぐm+(エムピウ)を立ち上げたのですか?

m+(エムピウ)
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いいえ、日本に戻って最初は知り合いに紹介してもらったランドセル会社でバッグデザイナーと働かせてもらっていました。その間に、少しずつ革雑貨を作り始めたんです。同時に新御徒町に「台東デザイナーズビレッジ」というのが出来まして、最初のメンバーの一人として入居しました。

台東区エリアのことは何も知らなかったのですが、暮らしてみると革屋さんも金具屋さんも近くにあり、すごく便利だと分かりました。デザイナービレッジを出る時にも「工房を作るならこの辺りで良いかな」と思いまして、蔵前に工房を作りました。

御徒町から蔵前のエリアは「モノづくりのマチ」として話題になっていて、毎年5月には「モノマチ」イベントも行っていますよね。村上さんはその主力メンバーでもあるそうですが、街の今後をどう考えておられますか?

m+(エムピウ)
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数年前に店を出した頃、若い作家の店というのは無かったんです。でも2010(平成22)年に文具の「カキモリ」さんが出来た頃からイベントも行われて、だんだんと盛り上がってきたんです。昨年も面白い店が多く出来て、モノマチの参加店も増えています。モノマチに参加している作家同士の仲も大変良く、よく一緒に飲みに行っています。

また、面白い店が出来るたびにモノマチに“勧誘”しに行きまして、今後ももっとこの界隈を盛り上げていきたいと思います。老舗の金具屋さんや素材屋さんも多いので、最近はそういった老舗にも声をかけています。街は今、老舗と新しい店が一緒になって街を盛り上げようとしていまして、本当に面白いです。またモノマチ関連のイベントを開催しますから、是非沢山の人に来ていただきたいですね。

m+(エムピウ)製品の素材のこだわり、造りのこだわりなどを教えてください

m+(エムピウ)
m+(エムピウ)

素材ですが財布をはじめとしたほとんどの商品にイタリアから仕入れている“タンニンなめし”の革を使っています。この革は使い込むほどに“味”が出てくるからです。品質を味わっていただくために、デザインや装飾は極力最小限に、シンプルにしていますし、なるべく継ぎはぎもしないようにしています。革は天然素材ですから、使い手が呼吸するときには革も呼吸し、使い手が汗をかいた時には、革も汗を含みます。そんな生命感にあふれた革の魅力を楽しんでいただければと思います。

デザインの面では「提案」というのを大事にしていて、既成概念にとらわれないひねった感じである「新しい定番」というのを狙っています。たとえば財布であれば、小銭やカードやお札があって、このままだと小銭が混じるから、こうしようという様に原点からデザインしていくイメージです。これがうまくいきますと「新しい定番」が生まれます。デザインにパワーを使っている分、基本となる部分だけをしっかりとやって、量産は信頼のできる国内の業者さんにお任せをしています。

商品はどちらで買えるのでしょうか

m+(エムピウ)
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こちらの店舗でひととおり展示販売しているほか、インターネット通販もやっています。都内では雑貨店、文具店、バッグ専門店などで扱っていただいていて、一例としては「東急ハンズ」「ロフト」「伊東屋」さんなどに置いています。主力の商品は財布「ミッレフォッリエ」シリーズやペンケースあたりですね。

蔵前の「m+(エムピウ)」店舗で買うメリットはどんな点でしょうか?

m+(エムピウ)
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品揃えはこちらが一番ありますし、ほかの店舗には無い格安のアウトレットの商品もあります。アンテナショップとしての位置づけもありますので、新商品を量産する前に、試験的に並べたりもしています。実際に使い古したサンプルも展示していますので、手にとって“エイジング”された革の魅力を感じてみてください。

最後に、蔵前エリアの魅力について教えてください

m+(エムピウ)
m+(エムピウ)

最近は新しい飲食店もオープンし、これから若い層の方も増えていくエリアだと思います。隅田川の近くにはカフェやレストラン、若いオーナーが経営する海外観光客向けのホテルなどが出来、活気のある街になってきています。また、コミュニティの居心地が良いのも魅力です。今までは新参者同士で繋がっていましたが、老舗の方とも仲良くなっていて、輪が広がっています。今では毎週のように仲間と飲んで楽しんでいます。作家じゃなくてもこういうことはあると思いますので、ぜひ「人のつながり」も楽しんでほしいですね。

m+(エムピウ)
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今回、話を聞いた人

m+(エムピウ)代表 村上雄一郎さん

所在地:東京都台東区蔵前3-4-5 中尾ビル1F
電話番号:03‐5829‐9904
営業時間:11:00~19:00 ※土曜日、祝日13:00~18:00
http://www.monomachi.com/

※記事内容は2013(平成25)年1月時点の情報です。

元建築士がイタリア伝統の製法で生み出す、シンプルで機能的な革小物/m+(エムピウ) 村上雄一郎さん
所在地:東京都台東区蔵前3-4-5 中尾ビル1F
電話番号:03‐5829‐9904
営業時間:11:00~19:00
定休日:日曜日
https://m-piu.com/