ベンチャー企業の創業支援・成長支援を通して、 地域の発展に貢献する「KSP」/株式会社ケイエスピー 西村哲さん 中村瑞穂さん 小澤亮馬さん
企画事業 部長 西村哲さん
企画事業部 交流課 中村瑞穂さん
企画事業部 交流課 小澤亮馬さん
ベンチャー企業の創業支援・成長支援を通して、
地域の発展に貢献する「KSP」
川崎市の京浜臨海部から中央部にかけての地域には、「東芝」、「NEC」、「富士通」、「キヤノン」など世界有数の企業の中核機能や研究機能が集積している。そんな中にあって、特徴的なのが、研究開発型のベンチャー企業から国内外の大企業の研究部門が集積している「かながわサイエンスパーク=KSP」だ。
「KSP」は、溝の口駅南にあり、そこでは、国内外の企業が研究開発を行っているだけでなく、広く市民に開放されたスペースを持つ、地域に開かれた研究開発施設である。毎年開催されているイベントには、多くの子ども達や地元の人々が集まるという。今回は平成25(2013)年に第10回目を数える「かわさきサイエンスチャレンジ」の話題を中心に、「株式会社ケイエスピー」から、企画事業部長の西村哲さん、企画事業部交流課の中村瑞穂さん、小澤亮馬さんにお話を伺った。
KSPとは、そもそもどのような施設なのでしょうか。
(西村さん)「KSP」というのは通称で、正式名称は「かながわサイエンスパーク」といいます。55,000平方メートルという広い敷地に3つのビルがあり、主に研究開発型のベンチャー企業や大企業の研究開発部門が入居しています。
「KSP」は1989(平成元)年にオープンしていますが、当時は、政府の工場分散政策を受けて、神奈川県内・川崎市内から県外・市外への工場移転が進んでおり、地域の経済力は減退していました。そこで、県と川崎市は、研究開発機能を集めることのより、県内・市内に多数存在する技術力の高い中小企業に刺激を与え、新たな産業を生み出していこうと考えたのです。
KSPの敷地は工場の跡地で、当初はマンション用地として取得されたのですが、県と市がお願いして、地主となった企業を巻き込んで、「都市型リサーチパーク」を建設するプロジェクトが動き出しました。その後、同じような施設が全国各地に出来ていますが、KSPは、今はなくなってしまいましたが「民活法」という法律に基づくプロジェクトの第1号で、全国的に注目を集めましたし、開設当初は、海外からの視察も多かったと聞いています。
現在の入居企業数は、ベンチャー企業、一般企業あわせて約130社となっております。その中には皆さんが広くご存じの大企業もありますし、バイオ系で注目を集めているベンチャー企業もあります。また、KSP内で働く研究者などの就業者は現在5,000名を超えていますが、これは開設以来、最も多くなっています。
KSPのコンセプトは「研究開発型の企業が生まれ育ち、交流する拠点」ということでして、私どもとしては、研究開発型の企業が集まって、お互いにシナジー効果といいますか、相乗効果で、ともに発展していくことを目指しています。
KSPのコンセプトは「研究開発型の企業が生まれ育ち、交流する拠点」ということです。私ども株式会社ケイエスピーは、KSPの中核的事業主体として、公益財団法人神奈川科学技術アカデミーと連携して多くの事業を行っていますが、研究開発型企業がKSPに集まり、交流することにより互い刺激しあうことで新たなビジネス展開ができるよう、ともに発展していけるような環境の整備に努めています。
いわば「一大研究開発拠点」である「KSP」さんですが、川崎市民にとっては身近な存在であり、「かわさきサイエンスチャレンジ」をはじめ、様々な地元との交流事業も行っていると聞きました。
(西村さん)研究施設ですので、KSPで働いている入居企業の利便性を高めるために、3棟の建物のうち、西棟には、セミナー、会議や展示会などが行える、ホール、ギャラリー、貸し会議室があります。また、コンビニ、飲食店や郵便局など誰でも使える施設も用意しています。ランチタイムには、お弁当なんかも安く販売されていますので、一度覗いてみてはいかがでしょうか。
それから、73の客室を持つホテルも併設されています。国内外から、KSP内の企業を訪問されたお客様のための宿泊施設として用意されたものですが、最近は、「川崎フロンターレ」と戦うJリーグのチームの定宿にもなっています。
(中村さん)市民の方々との交流イベントの最大のものは、今年で10回目の開催になる「かわさきサイエンスチャレンジ」ですね。今年は8月17日(土)と18(日)の2日間、「KSP」の西棟の1階ロビー、3階のギャラリーとホール、そして、7階の会議室で開催します。
このイベントは、川崎市の教育委員会、経済労働局と出展していただく企業・団体等で構成する運営委員会が主催するという形をとっており、私ども「株式会社ケイスピー」はその事務局を担っています。
出展者の皆さまに、この2日間いろいろなイベントや実験をしていただきます。内容は毎年少しずつ変わりますが、例年だいたい10社程度の企業や団体の方にご協力いただいています。「KSP」内や川崎市内に本社を置く企業だけでなく、市内に研究施設が置かれているなど、川崎市に縁のある企業さんに、出展していただいてます。当日は実際に企業の方が対応してくださるので、企業の広報の担当の方だったり、実際に研究をされている方とも話をすることができると思います。
今年の「かわさきサイエンスチャレンジ」にはどのような企画が予定されていますか?
(中村さん)現時点で確定している主なものは、次のとおりです。
・くらしのおしゃれ工房「ポシェットづくり」 (株式会社キルト工芸)
・KAST青少年科学技術フェスティバル「ロボットバトル」(公益財団法人 神奈川科学技術アカデミー)
・パイオニアものづくり教室 「音とスピーカー」(パイオニア株式会社)
・KAST光触媒ミュージアム「光触媒の体験」(公益財団法人 神奈川科学技術アカデミー)
・科学と楽しむ楽しい一日「サイエンス実験ワークショップ」 (慶應義塾大学理工学部 山中研究室)
・世界でひとつだけの「カギ」 (株式会社富士通研究所)
・キヤノン レンズ工作教室 (キヤノン株式会社)
・ロボットプログラミング体験会 (NPO法人 科学技術教育ネットワーク)
・静電気に触れてみよう! (株式会社グリーンテクノ)
・コヴィディエン 外科手術体験教室 (コヴィディエン ジャパン株式会社)
・ユースキンのハンドクリーム教室 ハンドクリームづくりを体験しよう! (ユースキン製薬株式会社)
・親子ものづくり体験教室 オリジナルマイボトルを作ろう!/万華鏡とコマを作ろう! (川崎市/東興資材工業株式会社・チーム等々力)
・科学と遊ぼう!ワクワクドキドキ玉手箱 「ものづくり体験」(川崎市教育委員会、かわさき宙と緑の科学館)
「かわさきサイエンスチャレンジ」にはどのように参加すれば良いのでしょうか。
(小澤さん)事前に申し込みが必要なイベントと、当日参加が可能なイベントがあります。今年は、7月19日から25日まで事前申し込みを受け付けます。川崎市内の方はもちろん、川崎市以外にお住まいの方もご参加いただけますので気軽にお申し込みください!だだし、例年ほとんどのイベントで定員を上回る申込みがあり、抽選とさせていただいておりますので、ご理解ください。
企画・実験の対象年齢はどのぐらいなのでしょうか?
申し込み方法など詳細につきましては「第10回かわさきサイエンスチャレンジ」の専用ホームページ(http://ksp.jp/science/)で確認してください。
事前申し込みが不要なイベントのうち、たとえば「かわさき宙(そら)と緑の科学館」が行っているイベントに関しては、当日、整理券を配付しています。2日とも、14種類一回30分の企画を8回ほど行っています。毎年のことなのですが、整理券を入手するために、朝早くから多くの子どもたちが並んでいます。今年もそうなると思いますので、なるべく早く来られることをお勧めします。
それから、交通手段ですが、駐車場もありますが、できる限り公共交通機関をご利用くださいますようお願いします。最寄の武蔵溝ノ口駅または溝の口駅からKSP行きの無料シャトルバスが出ておりますのでご利用ください。
例年、何人ぐらいの子どもたちが参加するのでしょうか?
(中村さん)昨年は「のべ実験参加者数」が約5,000名でしたので、ひとりで2~3回は実験に参加していると考えると、だいたい2~3,000人の子ども達ということになります。親御さんも合わせればその2倍か3倍くらいはいらっしゃっているかもしれませんね。
その他にも、「KSPふれあい夏祭り」が盛況だとお聞きしました。
(中村さん)はい。毎年7月下旬~8月上旬の金・土曜日の二日間に「KSPふれあい夏祭り」を開催しています。これは、「かながわサイエンスパーク商店会」と、かながわサイエンスパーク周辺地域住民の自治会で構成されている「KSP環境保全等住民委員会(KSPふれあい夏祭り実行委員会)」が主催しているものですが、こちらにも地元の方々に沢山来ていただいています。初日の金曜日は主にかながわサイエンスパークで働く方々向けで、私たちも昨年は、カラオケを歌って参加しました。両日、地元の方によるステージ発表や模擬店などがありますし、小中学生のダンスなどもありました。西棟1階の都市ロビーで行われるので、涼しい中で楽しめるお祭りなんですよ。今年は、8月2日(金)夕方から、3日(土)昼から開催します。どなたでも楽しめるお祭りです。みなさんぜひ参加してください。
最後に、皆さんが感じている、溝の口・高津エリアの魅力についてそれぞれお聞かせください。
(小澤さん)私は昨年入社したので、まだ短いんですが、この近くに住んでいまして、「神奈川県立東高根森林公園」がすごく気に入っています。「津田山」駅の近くにあるんですが、緑が多くて自然豊かな公園です。とても居心地が良く、スポーツなどをしたり、気分転換にはもってこいの場所なんですよ。
(中村さん)最近では、以前から気になっていた溝の口にある温泉にも行きました。溝の口に温泉があるとは思ってもいなかったので、あると知ったときにはすごく嬉しかったですね。実際行ってみるとすごくリラックスできましたし、これからは仕事帰りに頻繁に行こうかなと計画中です。これからも溝の口の楽しいスポットを探していきたいです。
(西村さん)「溝の口」駅の周りには利便施設がほとんど揃っていますし、特に飲食店が多いから、外食でこと欠くことは無いですね。あとは駅が何より便利なんです。「交通の要衝」と言っても良いくらいだと思いますよ。渋谷には10分ちょっとで行けますし、大井町や台場方面、千葉方面にも行きやすいです。「新横浜」駅までバスも出ていますので、新幹線を使った出張や帰省などにも行きやすいですね。もちろん買い物する場所も多いです。そういう面で、「住みやすさと便利さを両方兼ね備えた街」だと思います。
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今回お話を聞いた人株式会社ケイエスピー企画事業 部長 西村哲さん 住所:神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 サイエンスチャレンジURL ※記事内容は2013(平成25)年6月時点の情報です。 |
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ベンチャー企業の創業支援・成長支援を通して、 地域の発展に貢献する「KSP」/株式会社ケイエスピー 西村哲さん 中村瑞穂さん 小澤亮馬さん
所在地:神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1
電話番号:044-819-2001
http://www.ksp.or.jp/