立場エリアの生活を支える、受け継がれてきた商店街/立場中央商店会(神奈川県)
横浜市営地下鉄「立場」駅から徒歩3分。立場交差点に立つ「ヨークマート立場」の一角に、「リカーショップ タテバ」がある。少しずつ形を変えながら、明治時代からずっとこの地で地域の人々のために営んできた店だ。
今回はそんな同店の後継ぎで、「立場中央商店会」会長を務める青木良憲さんに、立場エリアの歴史や住環境についてお話を伺った。
地域に根を張って代々営んできた店の屋号が、交差点や駅の名に
――「立場中央商店会」の概要をお聞かせください。
青木会長:1983(昭和58)年、「ヨークマート立場店」の誘致活動を機に商店会を発足させて独立しました。2019(令和元)年には商店主らがプロの知識を提供する「まちゼミ」を泉区で初めて開くなど、さまざまな活動を行ってきました。
その後、私の父が会長を降りることを決め、それを機に役員を総入れ替えして若返りを図ることになりました。それで2021(令和3)年に私が会長になり、他の役員も40代中心になりました。「立場中央商店会」はみんな商売が成り立っていて後継ぎ問題もあまりなく、役員のなり手がいたことは運が良かったですね。
青木会長:商店会の加盟店はコロナ禍を経て少し減ってしまい、現在は40店舗くらいです。ただ新しい店も入ってきていて、深刻な空き店舗問題とは無縁です。「立場中央商店会」にはアーケードもなく、両脇に店がずらっと並んでいるわけでもありませんが、暮らしに即した飲食店や自転車屋などいろいろな店があり、古い店から新しい店までそろっています。
――駅名やこちらの商店会の名前になっている「立場」は、正式には地名ではないそうですね。
青木会長:明治時代この辺は繭や石炭を運ぶ荷馬車でにぎわっていたそうです。そこで私の曾祖父は馬をつなぐための杭を立て、商店を構えました。宿場と宿場をつなぐ街道沿いに設けられた休憩所、これがいわゆる「立場」です。この「立場」をそのまま屋号として使ったんですね。以来、よろず屋やスーパー、酒店と地域に根差した商売を代々続けてきたことで、「立場」はこの地域に浸透して地名のように認知され、いつの間にか交差点の名前となって、駅の名前にまでなりました。
私の祖父はそのことを自慢に思っていましたし、父も誇りに思っています。曾祖父や祖父が地域のために率先して活動していた話は聞いていますし、同じように地域活性化のために尽力してきた父の姿も見てきたので、住所にも字にもない通り名が実質的に地名のようになっているのは、身内ながら私もすごいことだと思っています。
――立場の街の成り立ちと共にあった「立場中央商店会」ですが、周辺の環境は具体的にどんな風に変わりましたか。
青木会長:1989(平成元)年に「ヨークマート立場店」ができて、その10年後に横浜市営地下鉄「立場」駅ができて、その数年後に今度は「イトーヨーカドー立場店」ができました。目の前の長後街道も片道1車線だったのが片道2車線になりましたし、結構変わりましたね。「ヨークマート立場店」ができた当時はまだ子どもでしたが、振り返ってみると随分便利になったなと思います。
近隣の学校や自治会、商店街など地域との連携を深めていきたい
――「立場中央商店会」の維持や活性化について、取り組んでおられることがあれば、お聞かせください。特に目玉のイベントなどがあれば、合わせて教えてください。
青木会長:コロナ禍が明けて以降、現在はまだいろいろ模索中といった状況です。2015(平成27)年からは商店会主催で「立場フェス」というイベントを行っていたんですが、元々会場にしていた駐車場に建物ができてしまい、使えなくなってしまいました。現在は付近の公園などで行えないか調整中の段階です。2019(令和元)年10月を最後に開催できていないので、できれば今年は再開したいと思っています。
――「立場中央商店会」内だけではなく、地域や周辺施設と連携して取り組んでいることがあれば、お聞かせください。
青木会長:まだあまりできていないのですが、商店街同士の接点をもう少し増やしていければと考えています。コロナ禍明けに泉区商店街連合会の会合に出席したとき、お隣の「中田中央商店街」の会長さんが前向きに商店会の仕事に取り組んでいらして、見習わなきゃと思ったんです。同時にこの人となら協力し合えると思い、横のつながりを意識し始めました。
また、自治会や近隣の学校とも協力していきたいと考えています。やはり地域あっての商店街です。自分たちの商売も大事ですが、その視点だけではいずれ立ち行かなくなるでしょう。最初は防災訓練などでもいいので、まずはこの立場エリアの住民の皆さんと連携することが大事だと感じています。
交通の便が良く、ほどよく田舎なのが心地よい立場エリア
――周辺にお住まいの方も多くいらっしゃると思いますが、立場エリアの住みよい点はどのようなところだと思われますか。
青木会長:田んぼも結構あって、横浜市の中ではほどよく田舎なところが魅力です。泉区は横浜18区の中で農地面積が最も広いんですよ。「和泉遊水地」の辺りには「大矢養鶏」という市内トップクラスの大きな養鶏場もあります。おいしいのはもちろん、出所がはっきりしていて安心できるので、私はいつもそこで卵を買っています。都会に住みたいという方には向かないかもしれませんが、治安も悪くないし、物価も高くありません。
そして鉄道・車ともに交通の便がいいです。横浜市営地下鉄が便利なのはもちろん、近くを走る相鉄線も相互乗り入れで渋谷や新宿など東京方面へのアクセスに力を入れています。駅前にはイトーヨーカドーとヨークマートと商店街があり、今年の夏には市営地下鉄「下飯田」駅と相鉄線「ゆめが丘」駅に近接した「ゆめが丘ソラトス」という大きなショッピングモールもできるので、買い物に困ることもありません。
――立場エリアで特に好きな場所やおすすめスポットがあれば教えてください。
青木会長:個人的に思い入れがある場所といったら、立場交差点ですね。昔は、いまヨークマートがある場所が住居兼店舗だったので、目と鼻の先にある交差点は毎日目にする身近な風景でした。駅が造られる様子や、道路が拡張されるところなど、この街の変化がよく分かる場所でもありました。
青木会長:おすすめスポットとして真っ先に思い浮かぶのは、「泉警察署入口」交差点の辺りから見える景色です。ちょっと「立場」から離れて鎌倉道を北に行ったところなんですが、警察署の方に曲がるとなだらかな下り坂の両脇に畑が広がっていて、正面に遠くの山々が見えるんです。天気がいいと富士山も見えますよ。近くに「富士塚」というバス停があるので、昔から富士見スポットだったのでしょう。たまに三脚を立てて本格的な撮影をしている人もいます。
――最後に、これからこのエリアに住まわれる方々に向けて一言お願いいたします!
青木会長:生まれ育ったひいき目かもしれませんが、個人的に住環境は非常にいいと思っています。今後は「立場フェス」などのイベントも復活させ、地域のみなさんに商店街の存在感をアピールしていこうと考えています。気になる店があったらぜひ立ち寄ってください!
立場中央商店会
会長 青木良憲さん
所在地:神奈川県横浜市泉区和泉中央北2-1-1
電話番号:045-802-0589
URL:https://tateba.jp/index.html
※この情報は2024(令和6)年2月時点のものです。
立場エリアの生活を支える、受け継がれてきた商店街/立場中央商店会(神奈川県)
所在地:神奈川県横浜市泉区和泉中央北2-1-1
電話番号:045-802-0589
https://tateba.jp/index.html